ドイツにて  〜Rebirth Ver
 

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作者注:この小説は、もし‘ドイツにて’に登場するキャラが、‘Rebirth’のキャラクター
          だったらという設定で書かれています。
         ‘Rebirth’ については‘The Epistles’に掲載されています。また、一部
         ‘ドイツにて’内に表記されている記述を流用していることをお断りいたしておきます。

      また、この注釈自体‘TRTT外伝 case of あまえんぼうアスカちゃん’
      にあるものをパクったものである事もお断りしておきます<(__)>
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ドイツの空港

「ぶ〜!パパも、いきなりドイツへ行けだなんてひどい!ドイツ語なんて全然わからないのにぃ!!」

ユイナは昨日まで、親戚の所で世話になっていた
そんな平和で平凡な毎日に終わりを告げる一通の手紙が、届いたのだ

 「ドイツへ行け」

父親からの初めての手紙にはたった一言、そう書いてあった

「お迎えが来てるって、いってたのにぃ。」

空港に着いたのはいいけど、右も左もわからない
お迎えの人も誰だかわからない

「やっぱ、来るんじゃなかったな〜。」

ぶ〜ぶ〜と文句をたれながら、ベンチに腰掛けているユイナ
と、

どげしっ

と、突然後ろから蹴っ飛ばされ、軽く5メーターはふっとんだ

「ほ、ほえ〜!?」

激しく地面にぶつけた頭をさすりながら、ユイナが振り返る
その視線の先には、右足を前に掲げた少年がたっていた

「テメーがサードチルドレン?」
「えっ・・・・。(*・・*)」

腰まで届く赤みがかった金髪・射抜くような蒼い瞳・不適に微笑む唇
蹴っ飛ばされたことも忘れて、ユイナはその姿に見惚れてしまった

「だから、サードチルドレンかって聞いてんだろ! ま、いいさ。さっさとこいよ。」

ユイナのボストンバッグをつかむと、先に歩き出してしまう
ユイナはその少年の後を、慌てて追いかける

「ねぇねぇ、なんて名前?」
「俺?俺はセカンドチルドレン、惣流=アスカ=ラングレー。・・・おまえなんかに覚えてもらいたくは無いけどな。」
「ふ〜ん。わ、私は・・・。」
「サードチルドレン、碇=ユイナだろ。」

サードチルドレンとかセカンドチルドレンとか、ユイナには何のことかさっぱりわからない
だけど、この人が自分のことを知ってたってことが、なんだか無性に嬉しく思えた

「わ、私のこと知ってるんだ。」
「そりゃそーだ。じゃなきゃ、どーやって迎えに行くんだよ。」

とっとと歩いていくアスカの横を、一緒に付いて歩く
ユイナは少しだけ、ドイツにきてよかったと思い始めていた
 
 
 

ここはネルフドイツ支部

アスカはミサトに言われた通りに、ユイナをネルフドイツ支部の司令室まで連れてきた

「ミサト。連れて来たぜ。」
「あ、ありがと。あなたが碇=ユイナちゃんね。あたしは葛城=ミサト。よろしくね。」
「はい。よろしくお願いします」

深々とお辞儀するユイナに、ミサトは好印象を受けた

「今日から、一緒に暮らすことになったから仲良くしてねん。」
「はい。」
「じゃあアスカ、今日はもういいから。お家に案内してあげて。」
「は、俺が?ミサトの家ってここから結構遠いぜ。そこまで歩いていくのかよ。」
「へ?今日から一緒に暮らすのは、アスカとよん。・・・あれ、聞いてないの?」

「「え−−−−−−−−−−−−−−−−−!!!」」

ユイナとアスカが、同時に絶叫する
が、微妙にユイナの声が嬉しそうなのは気のせいだろうか?

「え〜!何でだよ。・・・・あっ、そうだ!こいつ一人暮らしさせて、俺がミサトと一緒に暮らすってのは?」
「ナマ言ってんじゃないの。これは、仕事の一環だから仕方ないでしょ。同じチルドレン同士ユニゾンしなきゃなんないんだから。今後の作戦の為よん。」
「はぁ〜。わかったよ。」

がっくりと肩を落とすアスカの横で

(そ、そんな・・・ふ、二人暮しだなんて・・・・・キャッ!(*^^*) )

とか考えながら顔を真っ赤にしてるユイナに、誰も気付かなかった
 
 
 

「ったく・・・わけわかんね−よ!何で俺がこんな女と一緒に暮らさなきゃ何ね−んだ!?
・・・・ミサトもミサトだぜ。俺の気持ち、知ってるくせによ・・・。」

‘ぶつぶつ’言いながらも、EVA絡みだということで不承不承了承したアスカは、ユイナを自分の家に案内する

「お、おじゃまします。」

そう言って恐る恐るアスカの家に入るユイナ

「あんまそこらへん、うろちょろすんじゃねーぞ。今から1つ部屋を空けてあげてやっから、茶でも飲んで待ってろよ。」
「うん。」

アスカの家は2LDK
とは言っても各部屋が12畳前後、リビングは25畳くらいあり、現在2つある部屋の1つが寝室、もう1つが勉強部屋になっていた
寝室を明け渡すのはいやなので、勉強部屋を提供することにした

「だいたい、一緒に暮らさないといけないんならもっと早く言ってほしーよな。当日に来られたって、飯の用意も出来ないじゃんかよ。」

先程から文句を言いながら、勉強部屋を明け渡す準備をする

「あ、あの・・・手伝おうか?」
「いいよ。お前は座って待ってろよ。」
「うん。」

ユイナはリビングのソファーに座りながら、所在なさげに荷物を運ぶアスカの様子を眺めていた

「ほれ、終わったよ!でも、全部荷物を運んだわけじゃないから、よけいな物は触るんじゃねーぞ。」
「うん!」

ユイナが入ると、そこは本棚にはなにやら分厚いドイツ語の本がたくさん並べられててりして、なにやら妙な圧迫感を感じる部屋だった

「ねぇ、私はどこで寝ればいいの?」
「そーいやベッドがねーな。・・・・ちっ。しょーがねえ、寝るときは俺のベッド使っていいよ。」
「いいの?ア、アスカはどうするの?」
「いいよ。俺はリビングのソファで寝るから。」
「そ、そう・・・。」

ちょっとがっかりするユイナ

「じゃ、飯でも食いに行くか。」
「うん。」
 
 
 

そして二人は、街中にあるレストランに入っていった
ウェイトレスがメニューを持ってくる
ユイナは手に取って開いてみるが、もちろん全てドイツ語だ

「・・・・・・・・・・・むぅ。」
「どれにするんだ?」
「え〜っと・・・・。」
「ドイツ語がわからねーんだろ。」
「・・・・うん。」
「ったく、見栄張るんじゃね−よ。・・・・何が食いたいんだよ?読んでやっから言えよ。」
「ア、アスカと同じのがいい。」
「ん?」
「アスカと、同じのがいいな。」
「じゃ、そうすっか。」
「うん。」

そして注文したステーキとワインが2セット運ばれてきた
アスカは、きれいにそれを切り分けながらユイナに声をかけた

「お前、EVAに乗ったことあんのか?」
「・・・?」
「シンクロ率ってどれくらいなんだ?」
「はにゃ?」

お肉を切るのに悪戦苦闘していたユイナには、アスカの話している事がよくわからない

「シンクロ率だよ。・・・ほら、かしてみろよ」

見るに見かねたアスカが、ユイナにステーキを切り分けてやる

「ほれ。」
「あ、ありがと。・・・・‘シンクロリツ’って?」

アスカはワインを口に含むと、左の眉毛を跳ね上げ、怪訝な顔でユイナに視線をやる

「もしかしてお前、何も知らないのか?」
「はにゃぁ?」

ユイナも、ワインを一杯、飲み干した
そのユイナの顔が赤くなってきた

「これ、おいしーね。」

そう言ってユイナがグラスを差し出すと、ウェイトレスがワインを注ぐ

「・・・それで、よくチルドレンに選ばれたな。」
「チルドレンって?・・・これ、もう一杯ちょうだい。」

ユイナがグラスを差し出すと、再びウェイトレスがワインを注ぐ

「ま、いいさ。そのうちわかるだろ。それよりお前、そんなに呑んで大丈夫か?」

呆れた顔で、アスカはステーキの切れ端を口の中に放り込んだ

 ・・・・・

1時間後

「さ、帰るぞ。」
「うん!かえろかえろ!!(^^)」

何も考えずにワインを飲みまくったユイナは、完全に酔っ払ってしまっていた
まともに歩くこともできないので、アスカの腕につかまっている
そして帰り道では

「へへ〜、あたしね、ユイナってゆーんだよ〜。(^0^)」
「知ってるよ。」
「ほえ〜!あしゅか、しゅごいね〜。(@0@)」
「はいはい、どーもありがと。」
「ねーあしゅか、なんで、なんでしってんの〜? (?O?)」
「なんでもいーだろ。ほら、さっさと歩けよ。」
「ね〜、なんで?なんでぇ?(^0^)」
「あーもう。・・・俺はなんでも知ってるんだよ。」
「ほえ〜!あしゅか、しゅごいね〜。・・・・ねぇ、おじさん。あしゅかってしゅごいんだよぉ。(^0^)/」

と、見知らぬおじさんに日本語で話しかけるユイナ
そんなユイナを、慌てて引っ張ってくアスカ

「あ〜、ほら、さっさとこっちこいよ。」
「うじゅ〜!(−△−)」

今度はアスカの腕に絡みついたまま、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ
  \(^^))))))。。。(−−)))))。。。
。。。(((((−−)。。。((((((^^)/

「もー、まっすぐあるけよっ!凸(−−メ」

 ・・・・・

ようやく家にたどり着いたときには、アスカはもう‘へとへと’だった

「ふ〜。・・・さ、もう今日はねよ−ぜ。」
「うん!そーしよー!!\(^^)/」

異様にテンションの高いユイナをほっといて、アスカはソファで横になった

ごそごそ

と、一緒になってユイナも布団の中にはいってくる

「・・・・なにやってんだ。〈−−〉」
「あたしも、あしゅかと一緒に寝るの。(^^)」
「ハァ!?・・・馬鹿なこと言ってないで、さっさとベッドで寝てこいよ。」
「やだ!あたしはあしゅかと寝るの!!」
「ほぉら。せまいんだから、さっさと出てけよ。」
「やだやだっ!あしゅかと寝るのっ!!」
「・・・おまえなぁ。(−−;」
「ぐすっ・・・・うわぁ〜ん!あしゅかといっしょに寝るんだもん!(:−;)」
「お、おい!」
「うっ、うぐっ・・・びぇ〜〜〜ん!!(TOT)」
「あーっ!わかった。わかったから!」

ソファから跳ね起きるアスカ

「ふぇっ、あしゅか、どこ行くの?(;;)」
「ソファは狭いから、ベッドに行くんだよ。」
「あ、あたしも行く〜!(:0;)」
「はいはいはい。(−−;」
「うじゅ〜。」

あきれ果てたアスカの腕に抱きつくユイナ

結局、ベッドに入ってももユイナはその手を放さず
アスカはそのままいっしょに寝ることにした
 
 
 

翌朝、アスカはいつもどうりの時間に目を覚ました

「・・・・・・寝覚めのワリィ朝だ。」

隣には自分の腕に引っ付いた離れない少女の姿
その寝顔は、見とれてしまうほど愛らしいものだが
今のアスカにはむかつくことこの上ない

「・・・・・・。」

どこからか、無言でサインペンをとりだしたアスカ
そして、

キュキュキュッ!

すると、ユイナの額に「」の文字が!!

「・・・・・・・プッ。」

思わず吹き出してしまう

「くっくっく・・・・ひ〜〜っ!!あはははははっ!!」

大声で笑い転げるアスカ
と、その声でユイナが目を覚ました

「うきゅぅ・・・・・あ、アスカ。おはよ。」
「あ・・・・ああ。お・・・ぷっ・・・おは・・くくっ・・・・おはよう・・・・あ〜〜っはっはっは!!」
「・・・・?」

寝ぼけまなこをこすっているユイナには、何がなんだか良くわからないが
とにかく、なんか面白いことがあったことだけは事実のようだ

「どうしたの?何が面白いの?」
「な・・・なんでも・・くっ・・・・ない。・・・・ほ、ほら・・・・か、顔でも、あ・・・プッ・・・・洗って・・こいよ。」
「?・・・・・うん。」

アスカの態度に疑問を感じつつも、ベッドから降りて洗面所に向かう
すると・・・・

「あ−−!!何これ−−−−!!!!!」

「くっ・・・・あーーっはっはっはっはっは。」
 
 
 

ネルフドイツ支部についても

「ア・・・アスカ・・・お、女の子に・・・ププッ・・・・そ、そんなことし・・・クククッ・・・・しちゃ、だ・・・だめよぅ・・・・プププッ。」

ユイナの額を見て、必死に笑いをこらえるミサト

「プッ、ククククク。い、いや・・・そーだけどさ。プクク・・・あ〜っはっはっはっはっは。」
                肉
「む〜〜〜!。(−−メ」
「ひゃーっっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」

大笑いするアスカを、目を三角にして睨みつけるユイナ

「ヒーッ!・・・あーっはっはっはっは・・・・・だ、だめぇ・・・・・し、しぬぅ・・・・・あっはっはっはっはっは!!」

特にミサトは椅子から落ちて、床で転げまわっている
この世代の人間には、特にくるものがあるようだ

「もうっ!アスカったら!ここにくるまで、すっごく恥ずかしかったんだからっ!!。」
「あ、ああ・・・・わ・・・ははっ・・・・わりぃわりぃ・・・くくっ。」

怒りか恥ずかしさのためか、顔を真っ赤にしてアスカを睨むユイナ
でも、おかげでここまでアスカの手を握ってこれたのはラッキーだったとか思うユイナ

「恥ずかしくて顔を上げて歩けない!」

というと、手を引っ張ってここまでつれてきてくれたのだ

そんな二人を見たミサトは、笑い転げながら

(あのアスカがこんなに笑うなんて。この娘、結構すごいわね)

と、かなり驚いていた

 ・・・・・

そして、シンクロテストが始まった
プラグスーツに着替えたユイナは、エントリープラグに入る

「きゃっ!み、 水が・・・!」

「大丈夫だよ! LCLを肺に取り込めば呼吸ができるようになる。」

ユイナの初実験なので、アスカは実験には参加せず、ユイナのサポートとして司令室から指導する

「うじゅぅ〜、気持ち悪いよ〜。」

「うるせーな!それくらい我慢しろよ。」

そしてシンクロは開始され、オペレータ達が、事故が起こらないようにとあわただしく動き回っている

「マニュアル通りに思考してりゃいいから。」
「シンクロ開始します。」

オペレータの声と共に、ユイナのシンクロ率がインジケータで示される

「なっ!」

と、驚きのあまり、声も出ないアスカ
司令室でインジケータを見ていたオペレータ達もざわめく

「あらま。」

ミサトも、自分の目を疑った

ユイナが初のシンクロ実験で叩き出した数値は、理論値の限界に近いシンクロ率96%だった

さっきまで大笑いしていたアスカだが、暗い表情で黙り込んでしまう
今までトップを走り続けていたプライドが、今、初めてシンクロしたばかりのユイナにあっさりと抜かれたのだ
それも、到底追いつくことのできない大差をあけられて

その日アスカのシンクロテストは、ミサトの配慮により中止となった

 ・・・・・

その後、ユイナとアスカは2人で家に帰ろうとしていた

「いきなり96%とは、たいしたもんだな。」
「あ・・・あの、アスカ。なんで怒ってるの?」

ユイナにしてみれば何がどうすごくて、なぜ自分が誉められているのかわからない
それよりも、さっきからアスカの機嫌が悪いことのほうが気になって仕方ない

不意に立ち止まったアスカが、後ろをついて歩くユイナのほうをゆっくりと振り向く

「てめぇはな・・・・天才なんだよ。 今までずっとトップだった、この俺が足元にも及ばないぐらいのな!」
「え・・・?」
「・・・・わりぃ。先、帰らしてもらう。」
「ア、アスカ・・・・・。」

呆然として立ち尽くすユイナを置いて
そう言い残してアスカは、その場から走り去っていった

 ・・・・・

アスカから遅れて、ユイナも家に帰ってきた

帰り道の間、ずっとユイナは悩んでいた
天才?
・・・天才って、なんの?
よくわかんないけど、昨日アスカが言ってた‘シンクロリツ’ってものがアスカよりも大きかったらしい
私がそれの天才だから、アスカが怒ったの?
そんな、よくわからないものでアスカに嫌われちゃうの?

私、どうしたらいいんだろ・・・

「ただいま。」

って言っても、なんの反応は無い

ユイナは、アスカの部屋のドアをずっと見つめることしかできなかった
結局その日、アスカは部屋から一歩も出てこなかった

 
 

翌朝、窓から差し込んでくる朝日でアスカは目が覚めた
昨日の夜布団にもぐりこんだまま寝てしまったようだ

(あいつ、どこで寝たんだ?〉

のそのそと起き上がり、ドアの隙間からそっとリビングをのぞきこむ
と、ソファの横の布団がたたんでおいてある

(そっか、ソファで寝てたのか)

ちょっと、悪いことしたな・・・・アスカはそう思った
ベッドで寝ていいって言ったのは自分なのに
昨日だって、かってに嫉妬して、かってに一人でキレて・・・
あいつは、何も悪くないのに

そんな自分が情けなくなってくる
高々30%ちょっとのシンクロ率でいい気になっていたのも情けないし
女の子を置いて一人で帰ってきたことも情けなく思う
でも、一番情けないのは・・・・

「ミサトに同情されちまったよ・・・・。みっともねぇ。」

ベッドの上にねっころがって天井を眺める
ふと、妙にユイナのことが気になる

「ちぇ・・・俺も、落ちぶれたもんだぜ。」

コンコン

そのとき、部屋のドアをノックする音がした
その音に反応して、あわててベッドから飛び起きるアスカ

ガチャ

ドアを開けると、そこには白いワンピースに身を包んだユイナの姿があった
手にはお出かけ用の小さなバッグと、大きめの麦わらぼうし

「なんだよ・・・。」

つもりは無いのに、冷たい言葉をかけてしまう
けどユイナは、そんなことは気にしていない風にアスカににこやかに話し掛ける

「お出かけしましょ。」

そう言って‘にぱっ’と微笑むユイナ

「・・・・・・。(///)」

その笑顔に、アスカは思いがけず顔を赤らめてしまう

「・・・どうしたの、アスカ?」
「あ・・・・な、なんでもねーよ。」
「変なアスカ。」

(・・・変なのは、お前の方だよ)

計らずも優しい視線を向けるアスカに、思わずユイナも顔を赤らめてしまう
どのくらい二人がそうして見つめ合っていたか
ようやくアスカが我に返った

「と、とにかく・・・出かけるって、どこに行くつもりだよ。」
「い・い・と・こ・ろ!(^^)v」
「はぁ?それに、今日だってハーモニクステストがあるんだぜ。」
「そんなの、サボっちゃおーよっ。」
「バカか、お前?そんな事できるわけないじゃねーか。」

だけど、そんなアスカの手を持って、引っ張っていこうとするユイナ

「いいからさっ、行こ行こ!」
「あ。お、おいっ!」

。。。( −−)――( ^^)

「わ、わかったから。ちょっと、離せよ。」

そう言って、アスカはユイナの手を振り解く

「どうしたの?行かないの?(・;)」

涙ぐんでしまうユイナに、アスカはなぜか慌ててしまう

「ば、ば、ば、ばかっ。そ、そーゆーこと言ってるわけじゃねーよ。(*・・*)」
「じゃあ、どういうことなの?(・;)」
「あ、あの、こ、このかっこで出かけられる訳ねーだろっ!」

思わず、大声で怒鳴ってしまう

「ご・・・・ごめんなさい・・・・・・。」
「あ・・・いや・・・・・。」

‘シュン’となってしまうユイナに、アスカは再び慌てる

「と、とにかく。ちょっと着替えてくっから、待ってろよ。な?」
「・・・・うん。」

 ・・・・・

そして二人は電車に乗っていた

アスカにとってハーモニクステストと言えば、自分の才能を世に示す大事な実験だったはずだ
昨日までなら、絶対にさぼるなんてことはしなかっただろう
しかし、今となってはそんなに重要なものでもなくなっていたし、あまり出たくなかったという気持ちもあった

そんなことを考えながら、アスカは座席に座ってがらんとした車両の中を眺めていた
ユイナも、そんなアスカの横顔を‘ぼ〜’っと見つめている

着替え終わったアスカを見たとき、その姿にユイナは見とれてしまった
黒い半そでのシャツに、黒いズボン
いつもT−シャツと、後はジーパンか半ズボンというラフな格好しか見たことのないユイナには、アスカのその姿はあまりに強烈だった

(かっこいい!)

ある種、シックな格好ではあったけれども、逆にそれがアスカの持っている‘空気’を演出していた
しかも今日はこれから

(アスカと・・・デ、デートだっ!(*^^*) )

そりゃあ、ユイナのテンションも上がろうというものだ

 ・・・・・

電車は二人を乗せて、目的の駅に到着した

「こんなとこ来たの初めてだな。」
「アスカッ!こっちこっち。」

アスカの手を引いて、走り出すユイナ
着いた先は、辺り一面に花が咲き乱れる室内の公園だった

「へ〜、こんな所があったんだ。」
「奇麗な所でしょ?」
「たしかに。」

セカンドインパクト以降その影響で、ドイツでもかつての日本と同じような四季が訪れるようになっていた
しかし皮肉なことに、同じくセカンドインパクトの影響で、こういったお花畑はおろか自然といったものはめったに見られなくなっていた

アスカは、その花の絨毯に見とれていた

「よく、こんなとこ知ってたな。」
「うん。ここって、ドイツのどの観光ガイドにも載ってる有名な観光地なんだ。だからドイツに来たばっかの私でも、来ることができたんだよ。」
「ふ〜〜ん、そうなんだ。」
「ねえ。アスカって今までお花を見たことある?」
「あるけど。」
「その中で、アスカの一番好きなお花ってどんなお花?」
「ん?え〜っと・・・・・。」

アスカは、今まで見てきた花のことを一生懸命に思い出そうとしたが、大学受験や、EVAのパイロットとしての思い出しか頭に浮かんで来なかった

「う〜ん・・・・・・・。」
「私はね、お花だったらなんでも好き!」
「あっそう・・・・。」
「でもね、そんなかでも‘さくら’の花が一番好き。」
「へぇ・・・・・・・。」
「‘さくら’の花って言うのはね、ピンクの花が見上げた先一面に広がっているんだよ。」
「そっ、か。」
「それでね、そんな時に強い風がね‘ピュ〜!’って吹くとね、思わず‘ギュ〜!’って目をつぶちゃうの。(><)」
「ふ〜ん・・・・・。」
「それでね、‘ぱ!’って目を開けると(・・)、‘さくら’の花びらが雪みたいにあたりに舞っていて、すっごく、きれいなんだよ。」
「・・・・・・・・・・。」
「ねえ。アスカって今までお花を見たことある?その中で、アスカの一番好きなお花ってどんなお花?」
「俺は・・・・・・。」
「笑った顔も、まじめな顔も、ちょっと怒った顔も、みんなかっこよかったけど。
さっき、このお花畑を見て楽しそうな顔をしたアスカの顔が、今まで見た顔の中で一番かっこよかったよ。(^^)」

ユイナはアスカの顔を見つめて‘にぱ’って笑った

「せっかくだもん、もっと楽しくしてみよーよっ!」
「もっと楽しく、か・・・。」

じっと、自分の手のひらを見つめるアスカ
他人に認めてもらいたくて、努力し続けた
近くにある有名な観光地すら知らずに、がむしゃらに努力し続けた

(俺、今まで楽しくなかったかもな)

「アスカと、このお花畑に来たたかったんだ。」

(‘もっと楽しく’か・・・。そうだな、それもいいかもな)

「ユイナ。」
「ん?」
「これからお前のこと、‘ユイナ’って呼ぶ!いいな。」
「あ・・・・うん!」
「さて。じゃ、今日は思いっきり楽しむとするか。なっ、 ユイナ!」
「うん。そうだね、アスカ!」

アスカは、生まれて初めて心から楽しいと思える一日を過ごした
ユイナも、今までで一番楽しい一日を過ごした

そして、ネルフで準備されていたハーモニクステストはミサトの配慮により中止となった
また諜報部にも手出し無用との指示が出されていた
 
 
 

家に帰ってきたアスカは、ソファーに座って今日一日を思い返していた

「はぁー。こんなのは初めてだな。」
「ねぇねぇ。アスカは今まで、どんな暮らしをしてたの?」
「ネルフで実験をして、帰ってきたら大学の勉強して。それの繰り返し。」
「ふぅ〜ん。」
「‘もっと楽しく’ねぇ・・・。ユイナを見てると、確かにそう思うよ。」
「へへ〜。(^^)ゞ・・・・そーかな?」
「あんま誉めてるわけじゃねーけどな。でも、俺にそんな風に言ってくれたのは、ユイナが初めてだったな。
周りのやつらはみんな俺のことをEVAのパイロットか、13歳で大学を卒業した天才としか見てくれなかったからな。」
「ミサトさんも?」
「ミサトは、別だったけどな。でも、今思えば体よくあしらわれていたよ−なきがする。」
「ふ〜ん・・・。明日、怒られないかなぁ?」
「そりゃ怒られるだろうな。でも、いいじゃんか、怒られたってさ。」
「そうだね。」

そして、アスカはソファで
ユイナは、アスカのぬくもりの残るベッドで眠った
 

 
 
翌日から家事は当番制にして交代でやることにした
お互いに協力して、EVAのパイロットとしての資質を高めあった
2人でドイツの観光地を見てまわった
週末には、ユイナの希望で‘パリ’に観光に行ったり、アスカの趣味で‘ホッケンハイム’にカーレースを見に行ったりもした

そんな楽しい日々にも終わりがやって来た
ユイナが帰国する日がやってきたのだ
 
 
 

ドイツ空港
今日は、ユイナが日本へ帰る日だ
二人が出会ったあのロビーに、ユイナとアスカがたたずんでいる

「俺もさ、すぐに日本へ行くことになるから。」
「うん。」
「それから、日本には加持さんっていう女たらしがいるんだけど、そいつが迎えに来ることになってるらしい。」
「うん。」
「それから、もう1人チルドレンの女が日本にはいるけど、負けるんじゃねーぞ!」
「うん。」
「それと、さ。」
「うん。」
「その・・・。俺、お前に‘名前を覚えてもらいたくない’なんて言ったけど、あれ、うそだからなっ!」
「うん」
「俺のこと・・・俺の名前を絶対忘れんじゃねーぞ!」
「うん。」
「すぐに会いに行くからな!・・・って聞いてんのかよ?」
「う、うん。」

そんなユイナの目には、うっすらと光るものがあった

「な、なに泣いてんだよ。」
「う、うん。」
「ユイナ・・・・。」
「うっ・・・アスカァ。・・・私、私待ってる。ずっとず〜っと待ってる。」
「・・・・ああ。」

‘ぽて’とアスカの胸に寄りかかってくるユイナの頭を、そっと抱きしめる

「絶対に、待ってるんだぞ。」
「うん・・・。」

「コホン。そろそろ出立の時間です。」

2人の間に、諜報部の人間が割って入った

「・・・ったく、お前ってデリカシーのねぇやつ!」
「まぁ、仕事ですから。」

諜報部の人間に護衛されながらゲートに向かうユイナ

「ユイナッ!」

そのユイナをアスカが不意に呼び止めた

「なに?アス・・んんっ!(*@@*)」

振り返ったユイナの唇に、アスカは自分のそれを重ねた

「じゃ、また、日本で会おうぜっ!(*^^*)」
「あ・・・・うん・・・・。(*・・*)」

顔は真っ赤、体は‘ふにゃふにゃ’になったユイナを諜報部の人間が両脇を持って飛行機に引っ張っていった
 (−− )><(*@@*)><(−− )。。。

ユイナを乗せた飛行機が飛び立って行くのを、アスカはいつまでも眺め続けていた
 
 
 

そして、物語は‘Rebirth DISK1’へ続く・・・・・・・かも
 
 
 

〜あとがき
あとがきも何もない、単なるパクリですが
こんなことしてでも、‘タームさん’に一歩でも近づければいいなぁとおもいます
あ、後、セルフパロディみたいなものもいくつか入っていたりします
‘Rebirth DISK1’には続きませんよ・・・・・多分


マナ:どっかの詰まらない作品も、こんなにすばらしい作品になるのね。

アスカ:ほんとよねぇ。さくらの花のとこなんか、綺麗な描写よねぇ。

マナ:それはそうと、”肉”って・・・。

アスカ:さすがに、ユイナも怒ってたわねぇ。(^O^)

マナ:ありゃ、怒るわよ。

アスカ:アタシがあんなの書かれてたら、はりたおしてるわ。

マナ:誰も、あなたに”肉”なんて書かないわよ。

アスカ:当然よっ!

マナ:どうせ、書くなら”猿”ねっ!(^O^)

アスカ:ぶっ殺すっ!(ドガっ! グシャっ! ベキベキベキっ!)

マナ:いやーーーーーーー。(なんか最近、殴らることが多いような・・・。)

アスカ:アンタが余計なことばっかり言うからでしょうがっ!(ーー#
作者"zodiacok"様へのメール/小説の感想はこちら。
tyasud@yahoo.co.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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