天才ユイナちゃんが行く!   (アメリカンプロレス編)
 

 T2M VS n.G.e                      BY zodiacok
 
 
 

ゲンドウ「・・・・ということだ。どうかね、君達にとっても、悪い話ではないはずだが?」

謎の声「そうだね。我々も、そして僕も、彼には借りを返さなければならないからね。」

ゲンドウ「ふむ・・・ならば、私に協力してくれる。そう取っていいのだね。」

謎の声「ええ。もちろんそのつもりだよ。」

ゲンドウ「ならば、彼等のことは君達に任せよう。・・・・頼んだぞ。」
 

ゲンドウの言葉に、謎の声の主は深々と頭を下げると、部屋からその姿を消した
 

ゲンドウ「・・・・これで、良いのか?。」
 

と、ゲンドウの後ろから二つの影が現れた
 

謎の声2「ああ。貴様にしちゃ上出来だよ。」

謎の声3「うん!上出来上出来!!」

ゲンドウ「だが、こんな事してなんになるというのだ。」

謎の声2「貴様がそれを知る必要はない、そうだろ?」

謎の声3「そーだそーだぁ。」

謎の声2「ま、せいぜい頑張って‘悪の親玉’を演じつづけることだな。」

謎の声3「頑張ってね。」

謎の声2「クックック・・・・あ〜っはっはっはっはっは!!」
 

笑い声を残して、二つの影もその姿を消した
 

ゲンドウ「くっ・・・。」
 
 
 
 

静まり返った会場内に、ユイナの入場テーマ曲‘Catch You Catch Me’が流れ出し
それとともに、観客は再びヒートアップし始める
それはプロレスと言うよりも、アイドルのコンサートに近いノリだ
 

加持「あぁ、とうとう運命の瞬間が来てしまった!!あの、可憐な笑顔を見るのも、これで最後となってしまうのか!?
   そして、今‘我らが’ユイナちゃんが入場してきました!!
   うつむいて、暗い顔をして入ってきますあぁ、そんな顔をしないで!もしも最後になるのなら、あの笑顔をもう一度だけ見せてくれぇ〜!!
   そして、その横にはいつものようにS.A.Lが・・
   ち、違う!S.A.Lじゃない!!
  レイだっ!ゲンドウ派の筆頭であるはずの‘綾波=レイ’が‘我らが’ユイナちゃんのセコン  ドに付いて入場して来たぁ!!!
  こ、これは一体どういうことなんだ!?そしてS.A.Lは、S.A.Lは一体どこに行ってし   まったんだ〜!!!!!」
 

しかしユイナは、到着しても一向にリングに上がる気配を見せない
レフェリーが催促しても、うつむいたままリングサイドから微動だにしない
 

トウコ「えぇ〜い!ぐずぐずしとらんと、さっさと上がってこんかい!!」
 

カ〜ン!

試合開始のゴングが打ち鳴らされても、ユイナは動こうとはしない
 

加持「そうだそれでいいんだぁ!!
  リングに上がっちゃだめだぁ
  上がったら、上がったら殺されてしまう〜!!
 

しかし、トウコのほうからリングサイドに降りてきてしまった
 

ユイナ「・・・!」
 

それに気付いたユイナは、慌てて逃げる
 

トウコ「まてぇ!待たんかい!!」
 

ユイナが逃げる、トウコが追いかける
リングの周りをぐるぐると、まるでバターにでもなりそうな勢いで、二人は鬼ごっこをしている
 

加持「そうだ逃げるんだぁ!!
   つかまったら、つかまったら殺されてしまう〜!!
 

だが、加持の叫びもむなしくトウコの手がユイナに届こうとしたそのとき!
黒い影が駆け抜けていった
 

黒い影「アッスカボンバー!!」
 

その技がクリーンヒットしたトウコは、激しく吹っ飛ばされてしまう
 

S.A.L「待たせたなぁ。」

ユイナ「ア、アスカァ!」
 

ユイナはS.A.Lの姿を見つけると、涙を浮かべながらその胸に飛び込んだ
 

ユイナ「うっ・・・アスカァ、アスカァ。」
 

アスカも、優しくユイナの髪をなでてやる
 

加持「S.A.Lだぁ!!
   やはり‘我らが’ユイナちゃんのピンチを救うのは、S.A.L、この男しかいなかった〜!!
 

感動の再会を果たすとアスカは、のびているトウコを拾い上げ、リングの中に放り込む
 

S.A.L「さあ、フォールを奪ってこい!」

ユイナ「あ・・・・・うん!」
 

1.2.3・・・・・カンカンカーン!!
 

リングアナ「勝者、碇=ユイナ。碇=ユイナ選手です。」

加持「なんということだ−−!!
  ‘我らが’ユイナちゃんが‘E.V.Aジュニアヘビー級’の王座についた!!
  ゲンドウの作戦は、まったくの裏目に出てしまった〜!!

S.A.L「よこせ!」

加持「あっ!」
 

絶叫している加持から、S.A.Lがマイクを奪い取る
そしてユイナ、レイの待っているリングへと上がっていった
 

「キャ〜!!」「アスカさまー!!」
 

と、そのS.A.Lに黄色い声援が飛び、中には失神する女性まで現れる始末
それもそのはず、今日のS.A.LはいつものT−シャツにジーパンと言ういでたちではなく
黒い革のズボンに素肌の上にじかに黒の皮ジャン、それに黒いサングラスと、男の色気を十二分にかもし出しているのだ
そんな声援に軽くてを上げて応えるS.A.Lを‘ぶすっ’とした顔で睨んでるユイナも、相変わらず無表情なレイも、いつのまにか黒い皮ジャンを着込んでいる
 

S.A.L「いいか、テメーら。良く聞け!!
 

キーン、というマイクの音とS.A.Lの言葉に、場内は一瞬にして静まり返った
 

S.A.L「新‘E.V.Aジュニアヘビー級’チャンピオン、碇=ユイナの誕生だ
 

その言葉と同時にユイナがチャンピオンベルトを掲げる
 

「「「「おお−−−!!!」」」」
 

再び場内がどよめく
そのとき、設置されていたモニターにスイッチが入れられた
しかし映し出されたのは、誰もが予想した‘オーナーゲンドウ’の顔ではなく‘T2M’の文字
 

S.A.L「いいか、テメーらこれで俺達はNERVにある2本のベルトを手に入れた。
     残るは‘E.V.Aタッグ’のみ。だがそれを手に入れるのも時間の問題だ!!

「「「「おお−−−!!!」」」」

S.A.L「だが!!
     ・・・・俺は、こんなんじゃ満足はしてねぇ。
     貴様らには、新世紀のプロレスを見せてやる!!
 

そういうとS.A.Lは‘T2M’のポーズ(親指・人差し指・中指を伸ばし、薬指・小指は曲げる。そのとき人差し指と中指はくっつける)を取る
 

S.A.L「Team Two−Million!! I’m ASUKA.
 

そのアスカの宣言と同時にモニターから‘T2M’の文字が消え、いつものようにゲンドウがその姿をあらわした
 

ゲンドウ「やぁ、アスカ君。まずは新チャンピオン誕生おめでとう、といったところかね。」

S.A.L「・・・なんだよ。いい所に水をさすんじゃね−よ。」

ゲンドウ「そう言うな。・・・しかし、おかしいな。私は‘ユイナ’を挑戦者に指名したはずだが?
     なぜ、君がトウコ君と戦ったのかね?」

S.A.L「ハァ、なに言ってんだ?俺が道を歩いていたら、あいつの方からぶつかってきた。その後歩くのに邪魔だから、避けておいた。それだけのことだ。」

ゲンドウ「ふむ・・・毎回、君の屁理屈には呆れてモノも言えないな。・・・・・そしてレイ!」

レイ「・・・・・。」

ゲンドウ「よもやお前までもが私を裏切るとはな・・・。これでは、私は人間不信に陥りそうだ。」

S.A.L「それはまた、笑えないジョークだな。」

ゲンドウ「‘笑えないジョーク’か、言ってくれるな。ところでアスカ君。‘T2M’結成おめでとう。
     そこで私から、ささやかながらお祝儀をプレゼントしたいと思う。受け取ってくれたまえ。」

S.A.L「なんだと・・・。」
 

S.A.Lはその言葉に、左の眉毛を跳ね上げた
と、同時に会場の照明が消え、あたりは真っ暗になる
ユイナは思わずS.A.Lの手を‘ギュッ’と握り締めた

バーンッ!!

激しい衝撃音と共に、天井にスポットライトが当てられた
そのライトによって浮かび上がった文字、そこにはこう書いてあった

n.G.e’・・・・と
 

「「「「おおおおおおぉぉぉ−−−!!!」」」」
 

その文字を見た瞬間、観客が大歓声を上げた
 

」  「「「「エヌ!」」」」

」  「「「「ジー!」」」」

」  「「「「イー!」」」」
 

ドド−−ン!!

と、花火が爆発し、花道の奥にスポットライトが当てられた
そこに16人の男達のシルエットが浮かび上がる
 

「「「「おおおおおおおおぉぉぉ−−−−!!!!」」」」

加持「お聞きくださいこの大歓声!!
   S.A.Lに負けない、いや、それ以上の声援が送られていますっ!!
   なんと!ゲンドウの今回用意したプレゼントは‘n.G.en.G.e’です!!!
   な、な、な、な、なんとっ!!ゲンドウが‘n.G.e’と手を組んだ〜ッ!!!!!
 

加持がどこからか取り出した二本目のマイクを持って、絶叫する
無理もない、あの‘n.G.e.’の本隊が現れたのだ!
と、その男達の中央に立つ、銀髪に赤い瞳の青年がマイクを持った
 

カヲル「やぁ、惣流君。久しぶりだねぇ。会いたかったよ。」

S.A.L「俺はお前の顔なんざ、見たくもなかったがな。」

カヲル「フフン。そうかい。だけど、僕は会いたかったのさ。一年前、君に受けたあの屈辱を返すためにね!」

加持「そうです皆さんも覚えているでしょうか!?
   一年前の、あの‘E.V.Aヘビー級’タイトルマッチ、‘S.A.L VS 渚=カヲル’のことをっ!!
 

 カンカンカーン!
 
 リングアナ「19分25秒。リングアウト勝ちで〜、勝者渚=カヲル〜。渚、カヲル〜。」

 加持「あーっと渚=カヲルが王者S.A.Lを下しました−ッ
   しかしルール上、フォールかK.Oでなければ王座は移動しません!!
   リングアウトでは王座は移動しないのですっ!!
   S.A.L試合には負けましたが、王座を防衛することには成功しました−ッ!!
 

加持「あの試合で渚=カヲルは試合には勝ちましたが、王座を奪い取ることは出来ませんでした
   試合に勝って、勝負には負けたのです!!
   ‘n.G.e’のリーダーとしてあれほどの屈辱はなかったでしょう!?
   しかも、当時のS.A.Lは格下も格下、‘n.G.e’の分流‘n.G.eNERV’の一員でしかなかったのですからっ!!
 

加持の言葉に、そのときのことを思い出したのか、カヲルの目が‘すぅ’ッと細くなる
 

カヲル「そうだね。僕はあの時、君のことを甘く見ていたのかもしれない。・・・だけど、今度こそ手に入れて見せるよ。‘E.V.Aヘビー級チャンピオン’の座も、そして。」
 

カヲルの目が‘かっ’と大きく見開く
 

カヲル「そして、ユイナさんの心もね!
   
加持「な、なんとっ
   ‘n.G.e’リーダー渚=カヲルの狙いは、‘E.V.Aヘビー級’のベルトだけではなかった!!
   ‘我らが’ユイナちゃんをも、S.A.Lから奪い取ろうと言うのだ−−!!!

S.A.L「・・・なんだと。」
 

‘ユイナさんの心も’、その言葉を聞いた瞬間S.A.Lの髪が逆立っていくのを、会場にいる誰もが感じ取っていた
 

S.A.L「貴様!なんていったぁ!!」

ユイナ「ま、待ってよ。アスカ!」
 

今にもカヲルに向かって行きそうなS.A.Lを、必死に抑えるユイナ
 

S.A.L「はなせっ!ユイナ!」

ユイナ「大丈夫だよっ!私は、絶対にアスカのそばを離れたりしないよ。だから、だから私のことを信じてよ。ねっ。」

S.A.L「ユイナ・・・。」

カヲル「フフン。」
 

ユイナの言葉に、ようやくS.A.Lは落ち着きを取り戻す
 

ゲンドウ「相変わらず、仲がいいようだね。・・・・しかし、渚君。‘ユイナを手に入れる’とは聞いていないがね。」
 

先ほどまで沈黙を守ってきたゲンドウが、ようやく口を開いた
 

カヲル「フフン。そうだったかな?」

ゲンドウ「・・・まあいい。ところでアスカ君。君は‘E.V.Aヘビー’‘同ジュニアヘビー’のベルトを手に入れ、ユイナも手に入れている。
     そして、あまつさえ‘E.V.Aタっグ’ですら手に入れたも同然だといっている。
     だが、果たしてそれを手に入れたところで‘新世紀のプロレス’などというものが見られると言うのかね?その程度のことをしたレスラー達は、過去に何人も存在している。
     そんなことで・・・。」

S.A.L「何を勘違いしているんだ?」

ゲンドウ「なんだと・・・。」
 

S.A.Lはあざ笑うかのようにモニターのゲンドウを見つめる
 

S.A.L「俺が、本当にほしいのは・・・・。」
 

つづく
 
 
 

あとがき
う〜ん・・・・・・(^^;


アスカ:ナルシスホモが出て来たじゃない・・・。

マナ:本当ねぇ。サル。

アスカ:むっ!(ーー) 何か言った?

マナ:だって、あっちこっちに”サル”,”サル”って書いてあるじゃない。

アスカ:S.A.Lよっ!

マナ:だから、”サ.ル”でしょ?

アスカ:なんで、ローマ字読みすのよーーっ!!!!(ーー#

マナ:他に、どう読むのよ? サル?

アスカ:いい加減にしろーーーーっ! (ドゲシっ! グシャっ! ベキベキベキっ!)

マナ:いやーーーーーーー。(前回に続いて、また殴られてるような・・・。)

アスカ:だから、アンタが余計なことばっかり言うからって言ってるでしょうがっ!(ーー#
作者"zodiacok"様へのメール/小説の感想はこちら。
tyasud@yahoo.co.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system