Rebirth ERO

 DISK5 knockin' on your door                        BY zodiacok
 
 
 

 コンコン、コンコン

「ユイナ君。ユイナ君。」

加持は、正直言って頭を抱えていた

ドアをノックしても、名前を呼んでも、何の返事も無い
ユイナが、部屋に閉じこもったまま外の出てこないのだ
当然学校にも行ってない
唯一、夕方になると出てきて夕飯の用意をして、それを食べて(食事をするのはこの一回だけ)、お風呂に入ると、また部屋に閉じこもってしまう
こんな生活が、もう三日も続いている

「まったく、どうしちまったんだ?」

あんなに明るかった彼女に、一体何があったというのか

「ヤシマ作戦のときに、なにかあったのかなぁ?」

加持にはその原因がまったくわからずにいた
 
 
 

 コンコン、コンコン

「アスカ、アスカ。」

その声に、寝転んでいた少年は読んでいた本を脇において、ベッドから跳ね起きた

「ミサト?開いてるぜ。」

と、
ドアを開けようとした美女を突き飛ばすように中から人影が飛び出し、そのまま走り去っていった
後姿を怪訝な顔で見送ったミサトは、今度はあきれた表情をしてアスカの部屋に入ってきた

「アスカァ。又なの?いいかげんにしなさいよねぇ。」
「なにが?」
「と〜ぼけんじゃないの!・・・まーた女の人引っ張り込んでぇ。だめだって言ってるじゃないのよぉ。怒られるのはあたしなのよぉ。」

ドアのところに寄りかかって目を吊り上げるミサトに向かって、ベッドに座っているアスカは大げさに両手を広げて見せた

「俺が悪いのかぁ?」
「デコピン!」

 パチン!

ミサトは‘つかつか’とベッドまで歩み寄ると、そんなアスカにデコピンをする

「てっ!(>’<)」
「アスカねぇ。さっきもそれであたしが艦長に呼び出されて、文句言われたんだかんねぇ。」
「ジョーダン!・・・わりぃとは思ってるよ。で、なんて言われたの?」
「そーそー。アスカ!あんた軍人さんを海に突き落としたそうじゃなぁい。それも6人も!」
「それは、向こうからケンカ吹っかけてきたんだぜ。」
「原因となったのはアスカのほうでしょ?‘恋人を寝取られた’って言ってるそーよぉ。」
「なんだ、助かったのか。」
「あったりまえでしょ!」
「でもさぁ、ベッドに入る前に‘彼氏いる?’って聞くかよ、フツー?」
「・・・・ベッドでやってるの?」
「・・・いや、何度かは月見ながら甲板の上で。」
「デコピン!デコピン!!」

 パチン!パチン!!

「てっ!てっ!!(><)」

デコピン2連発

「あんたねぇ。どんだけあたしに迷惑かければいーのよ!」
「なんだよぉ。俺、ミサトに甘えてんだよ〜。」
「自分で言ってりゃ、せ〜わ無いわよ。」

‘すりすり’とすりよってくるアスカを軽くいなすミサト

「ミサトが相手してくんないから、寂しくてあんな女に縋っちゃうんじゃないかぁ。」
「あたしは浮気する男は嫌いなのぉ。」
「ちぇ。」

うつむいて、ベッドに‘の‘の字を書きながらいじけるアスカ
ミサトは両手を腰に当てて、じと眼でアスカを見下ろす

「・・・・(いじいじ)。(;;)」
「・・・・・。(−−;」

「とにかく!もう、こんなことはやめなさいよねぇ。」
「ああ。そろそろ‘ネイビー’にも飽きてきた頃だしな。」
デコピン!!

 パッチン!!

「っっってぇ!!(>’<)」
「ば−−−−−っか!!」
「なんだよぉ(・;) ウィットにとんだ‘アメリカンジョーク’だろぉ。」
「アスカのはジョークに聞こえないのぉ!・・・ほんとにぃ、明後日には・・・・。」
「・・・・わかってるよ。」

アスカは額をさすりながら、涙眼でミサトのことを見上げた
 
 
 

加持が、もう何回目だろう、ユイナの部屋の前を右往左往していると

 ピンポ〜ン

玄関でチャイムが鳴った
ユイナのことはひとまず置いておいて、加持は玄関に向かう

「はーい、はいはい。今開けますよ。」

ドアを開けると、そこには・・・

「レイじゃないか。」

ファーストチルドレン、綾波=レイの姿があった

「どうしたんだい?」

加持がそう問い掛けると
レイは少し恥ずかしそうにうつむいた

「碇さんの、お見舞いに・・・。」
「お見舞い?」
「・・・・(コクン)。」

‘お見舞い’
レイのその言葉に、加持は少なからず驚いていた
ユイナが怪我や病気などしている訳ではないのは、学校にはそう言ってあるが、レイも知っているはずだし
何よりも、レイの口からそんな言葉が出るとは思っても無かったのだ

だが

「ああ、そうか。ありがとう。さっ、上がってくれよ。」
「ええ。」

だがその事は、歓迎こそすれ非難すべきことではない

(ユイナ君のおかげなのか・・・)

‘ちらっ’とそんなことも思ったが、詮索すべきことではないとも思った

レイは学校からそのまま来たのか(もっとも、加持はほかの服を着ているのを見たことがないのだが)
制服のままで玄関に律儀に靴をそろえている

それを終えるのをまって、加持はレイをユイナの部屋の前まで案内した

「ここが、ユイナ君の部屋なんだが・・・・・。ちょっといいかな?」
「・・・・・。」

レイにそう告げると、加持はドアの前で一つ、深呼吸をした

「ふぅ・・・。ユイナ君、入るよ。」

 コンコン

とノックをして‘恐る恐る’ドアを開け、中に入ろうとする
と・・・

 ヒュッ・・・・カコンッ!!

「グハッ!」

その加持の額に、飛んできた辞書が垂直にHITした

「う〜ん・・・・。(@〜@)」

しばしひっくり返っていた加持だが、レイが来ていることを思い出しそそくさと立ち上がる
部屋のドアをすでに閉まっている

「ハッ・・・。あ、レ、レイ。・・・というわけなんだ。(−−;」

中に入れてくれない、入れない
これが、ユイナに対して加持がどうしようもない原因の一つでもあるのだ

「レイ。・・・まあ、無理にとは言わない。でもひょっとしたら、レイにだったらユイナ君も心を開いてくれるかもしれない。」
「・・・・・・。」
「お願いできるかな?」

加持はヤシマ作戦のときのような真剣な目で、レイの顔を見つめる
レイも、それに対してはっきりと頷いた

「ええ、そのために来ましたから。」
「そうか。」

加持は笑って頷いた

「じゃあ、よろしく頼む。・・・そしたら、俺はこれからNERVに行ってくる。色々と仕事もたまってるし・・・それに、俺がいないほうが何かと話し易いだろうからな。」
「ええ・・・・。」
「ま、今日中には何とか帰って来たいとは思っているんだが・・・・。なんだったら、レイも泊まっていってもいいから。」
「ええ・・・・。」
「それと・・・。」
「・・・・なんですか?」
「辞書には、気をつけてくれよ。」

それだけ言うと、加持は自分の部屋に消えていった

「・・・・・・。」

レイはしばしその後姿を見つめた後、ユイナの部屋のドアを叩いた
 
 
 

「それと、アスカ。」

いまだいじけている(フリ?)のアスカに話し掛ける

「なに?」
「また、使徒が出たそうよ。」
「また・・・・・。」

いつになく真剣な表情のミサトに向かって、アスカは左の眉毛を跳ね上げて見上げる

「・・・・・・ちっ!」

舌打ちをすると、そのままアスカはベッドに寝転んだ
ミサトは、そのアスカの頭の横に腰掛ける

「アスカ・・・・。」
「わかってるよ。・・・みんな一生懸命やってくれてる。安全性を考えたら、空輸するわけにはいかない。・・・・どうあがいても間に合わなかったさ。」
「わかってるならいーのよん。」

にこやかな笑顔を浮かべて、ミサトはアスカの頭に‘いーこい−こ’する

「わっ!バカ、やめろよっ!」

慌てて起き上がって、その手を払いのける

「あ〜らぁ。せっかく人が慰めてあげてるのにぃ。」
「バッ、バカ。そ、そんな慰め方、あるかよっ。」

真っ赤にして顔を背けるアスカ
それに、ミサトは複雑そうな表情を見せた

「アスカ・・・。」

しかし、アスカの方はそんなミサトには気付かずに、話し掛ける

「と、ところで、その使徒を倒したってのは・・・。」
「ん?・・・・ええ。詳しいことは聞ーてないけどぉ、ファーストチルドレンとサードチルドレンとの連携で倒したって話よん。」
「ちっ・・・また、女に・・・・・か。」
「しょーがないでしょ。チルドレンはあなたを除いて二人とも女の子なんだからぁ。」
「だからって!・・・・・フンッ!」

ふてくされたかのようにアスカは、ミサトに背を向けてベッドに横になった

「そのために、アスカがこーしてはるばるドイツから日本に向かっているんじゃないのぉ。・・・それに。」

‘こてっ’と首だけをミサトのほうに向ける

「それに?」
「それに今回はサードチルドレンだけじゃなくて、ファーストチルドレンも合同だったって言うじゃなあい。」
「ファーストチルドレン・・・・綾波=レイ、とかいったか。」
「そっ。」
「どんな奴なんだ?」
「さぁ?こっちにも、名前と性別、それと年齢ぐらいしか伝わってないのよん。」
「ふ〜ん。・・・で、サードチルドレンが・・・・・。」
「碇=ユイナちゃんよん。」
「碇・・・・ユイナ?」

アスカは‘くるっ’と、寝たまま体もミサトのほうに向けた

「どうしたのん?」
「ん・・・なんか、聞いたことがあるような・・・・?」
「そうでしょ。・・・あの、碇=ゲンドウ総司令のご息女って話よん。」
「あ・・・・いや、そういうんじゃなくてさ・・・・・・・・。」

ぼんやりと天井を眺めるアスカ

「なんか・・・聞き覚えがあるような・・・・・。」
「そう?」
「ああ。・・・・・ん?」

ふと、アスカはミサトに目を向ける

「・・・・・・・。」

なんだか、すごい不快感が沸いてきた

なぜ、だろ?

「あ・・・・ワリィ、ミサト。俺今日は疲れたから、もう寝させてもらうわ。」
「ん?・・・・あ、そう。」

ミサトはベッドから立ち上がる
アスカは、ベッドにねっころがったままブランケットを引き寄せた

そんなアスカを見つめたまま、ミサトはドアの方に向かった

「ったく。あ〜んな事してるからよ。」

そんなミサトの軽口にも、アスカは何の反応も示さなかった
 
 
 

 コンコン

レイは、ドアのノブに手をかけた

加持はすでに出かけたようだ

「碇さん、入るわ。」

そう言ってドアを‘そっ’と開く
と、

「あ・・・・レイちゃん。」

薄暗い部屋の中に、うずくまって座っているユイナの姿があった

 パサッ

そのユイナの手から一冊の辞書が落ちた

「碇、さん・・・・。」

これが、あの碇=ユイナだろうか?
これが、あの底なしに明るかった少女なんだろうか?

その涙を見たことのあるレイですら、そう、思ってしまった

輝いていた眼は虚ろで、頬もどことなく痩せこけて見える
パジャマは着替えているようだが、髪の毛には寝癖が立っていて、櫛もとおしていないのは一目瞭然だ

「・・・・・・。」

レイはそんなユイナの姿を見て、ひどく悲しくなった
と同時に、自分が何のためにここに来たかも思い出した

「レイちゃん・・・・あたし、あたし・・・・・・。」

ユイナは、ゆっくりとレイの方に体を向ける

「レイちゃん。・・・あたし、泣いてないよ。泣いてないよ・・・・・・・。」
「碇さん。」

這いつくばるようにして手を伸ばしてくるユイナに、レイは優しい口調で声をかけた

「レイちゃん。レイちゃん。・・・・」

立ち上がって、ユイナはレイに抱きついた

「レイちゃん・・・あたし、あたし泣いてないよ。泣いてないのに、アスカが来ないよ。」
「碇さん。」
「ねぇ・・・なんで?なんでアスカは来ないの?」

小さく震えている少女を、レイは、右手で優しく抱きとめる

「碇さん。」

レイは、‘そっ’とユイナの体を自分から離した

「私、ケーキを買ってきたの。」

そう言って、ユイナの前に白い箱を差し出した

「私、碇さんと食べようと思って、ケーキを買ってきたの。」
「レイ、ちゃん・・・。」
「ねぇ、碇さん。」

レイは‘にっこり’とユイナに微笑みかけた

「紅茶を、いれてきて下さるかしら?」
「あ・・・・・うん。」

ユイナは、大きく頷く

「碇さん。さ、顔を洗ってきて。・・・そんな顔で、その人に会うの?」
「え・・・・あ、う、ううん。」

ユイナは‘ふるふる’と顔を振った

「さ・・・・。」
「うん。」

ユイナはダッシュで洗面所に入っていった
レイはそれを笑顔で見送ると、ケーキの箱を片手にリビングへ向かった

 ・・・・・

‘エディアール’のブレンドティーの香りが、二人の少女の鼻をくすぐる
机の上には、この間と同じケーキが並べられていた

「・・・うん。だから、お風呂にはちゃんと入ってたんだよ。」
「そう。」
「だから、いつアスカに会っても大丈夫なんだよ。」

えへへ〜、と笑うユイナは、いつもの彼女に戻っていた

「食事も、きちんととっていたのね。」

レイは心配して、その確認の意味で言ったのだが
その言葉に、ユイナは‘ぷ〜’とほっぺたを膨らませてすねてしまった

「だ、だって・・・・食べないとおなかがすくんだもん。((−o−))」
「・・・くすっ。」
「あーっ、レイちゃん笑ったー。(・;)」

そう言っていじけるユイナがかわいくて、レイはまた‘クスクス’と笑うのだった

そんな二人の会話は、加持が帰ってくるまで続いた

(レイの方が、俺なんかよりよっぽど‘保護者’しているかもな)

ユイナが、レイと二人で作ったという夕食を口にしながら、加持はふとそんなことを思った
 
 
 

そっと、ミサトは部屋のドアを閉じた
ドア越しに、ミサトはアスカを見つめる

「アスカ・・・・あたしは、あなたの母親にはなれないのかしらね。」

その呟きは、やはりアスカには届いていなかった
 
 
 

狭いベッドの中に、ユイナとレイは寄り添ってタオルケットに包まっていた

「レイちゃん。」

ユイナは、レイに抱きついてその胸に顔を埋めた

「なあに。碇さん?」

レイは、ユイナをその腕に抱きしめた

「うん・・・・レイちゃんって、なんだかママみたい。」
「・・・・・・。(///)」
「レイちゃんだったら、やっぱり私のママになってくれても、いいよ。(*^^*)」
「・・・・何を言うのよ。(///)」

そのまま、二人は寄り添うようにして眠りについた

 ・・・・・

翌朝、二人はそろって学校に出かける
レイは、玄関でユイナが靴を履くのを待っている

「んしょっと。」

 トントン

と、つま先を地面で叩いて、ユイナは靴を履き終える

「さ、レイちゃん。いこっか。」
「ええ。」

二人が玄関を開けようとしたとき
‘ぽりぽり’と頭をかきながら、加持がやって来た

「ん?・・・ああ、二人とも学校に行くのか。」
「うん。加持さん、いってきます!」
「・・・いってきます。」
「行ってらっしゃい・・・。っとぉ、ユイナ君。」
「はい?」

ユイナは‘くるっ’と振り返った

「俺は、今日は帰って来れないから。仕事がちょっと溜まってるんだ。・・・だから、夕飯は適当に済ませといてくれ。」
「あ、はい。」
「それと、明日は学校を休んでくれ。」
「はにゃ・・・なんでですか?」

小首を傾げるユイナに、加持は言った

「ああ。明日、セカンドチルドレンが来日するんで、それを一緒に迎えに行くことになってるんだ。」
「え・・・・。」
「いいね?」
「あ・・・はい!

その言葉に、ユイナは大きく頷いた
加持も、久しぶりに見るその笑顔を、なぜか眩しく感じていた

「じゃあ加持さん、いってきま−す!」

そしてユイナは玄関のドアを開け、勢い良く飛び出していった

 ―END―
 
 

〜次回予告

アスカを思うたび、ユイナの心は激しく高鳴る
そしてアスカも、ユイナの体を求める

NEXT  Reirth 2

 CHANGE DISK TO THE SKIPPED BEAT

「死んじゃうか・・・でも。」

「でも?」
 
 
 

あとがき

きれいにまとまった・・・かな?
ともあれ、これで‘Rebirth ZERO’も最終話
次回から再びアスカの登場です


マナ:ユイナちゃん寂しかったのね。

アスカ:それにしても、あのファーストがねぇ。

マナ:加持さんより、ちゃんとフォローしてたじゃない。

アスカ:っていうかさぁ、加持さんにはある程度甘えれるけど、こういう時ファーストじゃそうはいかないでしょ。

マナ:それはそうでしょうね。

アスカ:だから、逆に良かったってことよ。

マナ:でもさぁ、加持さんもどうしていいか困ったでしょうねぇ。

アスカ:加持さん女の子の扱い下手だからねぇ。女の扱いなら慣れてる癖に。(ーー#

ヒカリ:不潔よぉっ!

マナ:ん? 何か聞こえた?

アスカ:さぁ。

マナ:こういう時って、優しくしてもきつく言っても駄目なのよねぇ。

アスカ:ビシと言えばいいのよっ! ビシっとっ!

マナ:あら、アスカが落ち込んだ時、ビシっと言われたらどうする?

アスカ:アタシに意見する奴は殺すっ!

マナ:・・・・・・。(ーー)
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