Reirth

DISK10   ガラスのメモリーズ                                       BY  zodiacok  
 
 


 
惣流=アスカ=ラングレー、7才の誕生日

「アスカちゃん、お誕生日おめでとう。」

広いリビング、豪奢な家具

2人っきりの・・・だけど、楽しかった誕生パーティ



  「やめろぉーーーーーっ!!


   

暗い闇の中
少年の前には、1人の少年が立っている
彼は再び、語り始める


いつも忙しかったけど、今日は久々にお休みを取ってくれた
それがすごく嬉しくて

「ママ!ママ!おはよう!!」
「おはよう、アスカちゃん。」

いつもより、早めに起きた

「ママ、今日買物に行くんでしょ?」

満面の笑みを浮かべて、尋ねた

「ねぇ、早く行こうよ。」

短めの袖を引っ張って、催促した

「ねーぇー!」

そこから伸びる白い腕に、抱きつくようにまとわりついたりもした


 
久しぶりに、ママと食べる朝ご飯
久しぶりに、ママとのお買い物
久しぶりの、ママとの会話

そんな事が、アスカにはとても嬉しかった


いつも以上にはしゃいでる自分を、少しは、自覚していたりして
それでも、それでいいと思った

ママは・・・ちょっと困った顔をしたけど
たまには、いいんじゃないのかな?

だから、わがまま言ってアイスを3段重ねにして、トッピングもつけてもらったり
飽きるまでおもちゃ屋を覗きつづけたり
雑誌を一冊立ち読みをしたりしていた

・・その間、ママは買い物をしていたんだけど

今日のご馳走の材料をいっぱい買って
家に帰ったら一緒につくろうって決めて、お手伝いしようって
だから、重たい荷物を持っておうちに着いて・・・・



 あんなことが起きるなんて、思っても無かった


「やめろっ!!」

少年は叫ぶ

「やめろーっ!!」

歯を食いしばり、強く拳を握り締めて

「やめろーーっ!!」

少年は、叫びつづける 


 

家に着いて・・・
ドアを開けた瞬間に、中から襲い掛かってきた男たち
捕まって、後ろ手に縛られて

そして、ママは・・・・



「やめろっ!それ以上いうなっ!!」


「そしてママは、男たちに暴行された・・・・・お前の見ている前でな。」

少年は、口の端を歪め、左の眉を跳ね上げて
小ばかにしたように、アスカの過去を、アスカに話し掛ける

「情けないよな、男に一発殴られただけで気を失っちまってさ。
  そんなお前を護るために、甘んじて男たちを受け入れたんだぜ!?」

  レイプされたんだぜ!

「お前は、それをただ見ていることしか出来なかった・・・・。原因は、お前なのにさ。」


永遠に続くかに思われた陵辱劇
その終焉は、時計の針が深夜12時をさしたところでやってきた

男たちが消えた後、残されたのは・・・・母子2人

「・・うぅっ・・・・・ママ。」

幼いアスカは、もはや涙も枯れはて

「・・・・・・。」

母キョウコは、白濁した液にまみれ、気を失っていた


 
それからすぐの事だった
入院していた病院で、キョウコが首を吊って自殺したのは


 

 「お前がママを殺したんだ!!」

少年の言葉は、容赦なくアスカを攻め立てる

 「お前が護ってやれれば、ママは助かったんだ!!」

少年の言葉は、アスカの心を傷つける

 「お前がいなければ、ママは精神崩壊なんかしなずにすんだんだ!!」

少年の言葉が、アスカの胸に突き刺さる
   
   「お前が強ければ、あんな事にはならなかった!!・・いつもそうだろ、口だけで、何も出来やしないのさ。」

「やめ・・ろ・・・。」

そしてアスカは、口だけの抵抗を続ける

「なんで・・お前は・・・・。」

 「わかってんだろ?」

口の端を歪め、笑う少年

 「俺が、誰かってことぐらいはさ。」

暗い闇の中、アスカの前に立つ彼は
腰まで届く赤みがかった金髪をかすかに揺らし
蒼い瞳で、射抜くように見つめる

 「俺がさ・・・・お前だってことぐらいは。」

そう、彼もまた・・惣流=アスカ=ラングレー


 

「何も出来ないくせに、いつも虚勢だけは立派でさ。」

 やめろ・・・

「お前1人で倒した使徒が一体でもあったか?・・1人じゃ、何も出来ないんだろ?」

 やめろ・・・・

「ああいたな・・キリシマを、お前に助けを求めたあいつを・・・見殺しにしたっけな。」

 やめろぉ・・・・

「挙げ句は、お前を慕ってくれている彼女を・・・ユイナを無理やり犯そうとしたりさ。」

 やめろよ・・・・

「おまえはさ・・・・。」

 やめてくれ・・・・

「お前は、誰かを護ることなんて、出来やしないんだよ・・・。」

 たのむ・・・・

「お前にできるのは・・・・誰かを、傷つける事だけだよ。」

 やめてよ・・・・

「・・逃げるなよ、現実から。」

 やめてくれ・・・

「お前の過去なんだ、それは、変えられないんだ・・・・。」



 もう、やめてくれ・・・・・

   


天空高く舞う、アラエル

七色の光が包み込むは、赤き巨人

「アスカッ!!」

司令の許可が下りず、出撃できずにいる初号機の中で
ユイナは1人、アスカの名前を呼んでいた

「ねぇっ!加持さん!!出してよ!アスカを助けるの!!」

叫ぶ・・・・力いっぱい、目に涙を浮かべて

「加持さん!アスカが苦しんでるの!アスカを助けるの!!」

何度・・何度その名を呼んでも
何回もコントロールレバーを叩いても

「ねぇ!加持さん!なんで出してくれないの!?」

誰も、何もしてくれない

「パパッ!なんででてっちゃいけないの!?なんで誰もアスカを助けてくれないの!?」

誰も、何もいってくれない

「ねぇっ!アスカを助けるの!アスカを助けさせてよっ!!」

誰も、何もさせてくれない

「ねぇっ!・・・ねぇってば!!」

あるだけの声を張り上げる

と・・・

 ・・・クククッ

「!!・・アスカッ!?」

通信回線を通して聞こえてきたその声に
ユイナの目じりに、うっすらと涙が浮かんだ

今は、ただそれがけが、嬉しいことだから

「ねぇ・・アスカ、どうしたの。」
 
 アハハハハッ・・・・悪い・・ユイナ

「・・・・え?」

それは、初めて聞く謝罪の言葉
今までにしたことの、そしてこれから起こる事への償いの気持ち

「アスカ?」

 ユイナ・・・


 

 俺、もうだめだ


   



〜次回予告


あなたは今、好きな人がいますか?
あなたはその人のこと、本当に好きですか?

 CHANGE DISK TO THE 「激情」

「彼は必要ないからだ!!


   

あとがき

書いてて、自分でつらくなってしまいました
彼が、ユイナを護りたかった理由
ミサトに、母を求めきれなかった理由
少しでも分かっていただければ、幸いです


マナ:アスカがアラエルにやられちゃったぁっ。

アスカ:アラエルは・・・やっぱ天敵よっ!

マナ:あなたも大嫌いだもんね。

アスカ:アイツだけは許せないわっ!(ーー#

マナ:なんだか、最後にユイナちゃんに話し掛けてるけど。大丈夫かな?

アスカ:かなり危険な状況よね。これって。

マナ:ユイナちゃんがなんとかしてくれたらいいけど。

アスカ:碇司令が動かしてくれないじゃない。(ーー#

マナ:あなたの時もそうだったもんねぇ。

アスカ:ユイナがこの後、どうするかが鍵ね。

マナ:ユイナちゃんも成長してるから、なんとかしてくれると思うけど・・・。
作者"zodiacok"様へのメール/小説の感想はこちら。
ysd-244@clio.dricas.com

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system