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 そしてアスカが部屋のドアを開けた瞬間

 !?
 
 「シ・・・シンジ?」

 シンジはアスカを後ろから抱きしめて引き止めた。

 アスカヲコノママイカセテハイケナイ。

 それは本能にも近い行動だった。

 「シ、シンジ!あんたなにしてんのよ?」
 「い・・・嫌だ!」
 「えっ!?」
 「行っちゃ嫌だ、アスカ、行かないで・・・」

 少女に縋るような少年の声。
 その言葉に一瞬アスカの蒼い瞳が淀んだ。だが、すぐに

 「何言ってるのよ、あんた・・・」
 「もう嫌だ。アスカと離れるのも、アスカが他の男に抱かれるのも何もかも嫌だ!
  行かないで、アスカ」
 
 普段の学園での冷静な態度が嘘のような駄々っ子のようなシンジの態度に

 「今更何言ってるのよ!あたしがどうしようとあんたなんかには関係ないでしょう!?
  何よ、今更・・・」

 そう言ってアスカはシンジ腕の中で暴れ始める。
 シンジの目には喋れば喋るほどアスカがどんどん壊れていくような錯覚を覚えた。
 
 「アスカ、お願いだから黙って・・・」
 「うるさい!うるさい!うるさい!!」

 シンジはアスカの両手を掴んだが、アスカの暴走は止らない。

 「アスカ、黙って」
 「うるさい、このバカシンジ!何を今更・・・」
 「黙ってよ、アスカ!」
 「もう遅いのよ・・・」
 「黙って!!」

 

 次の瞬間、シンジは実力行使でアスカの口を塞いだ。

 「!?」

 目と鼻の先にある少年の顔。

 繋がった二つの男女の唇。
 
 それははじめてシンジからアスカにしたキスだったかもしれなかった。  

 『シ・・・シンジィ・・・』

 アスカの蒼い瞳が再び淀みはじめた。

 「ぷっ、ふぁ・・・!」

 やがてシンジはアスカの唇を離した。

 

 「えっ!?」

 キスもそうだが次のシンジの行動はアスカの予測を超えていた。
 シンジは左手でアスカの腰を掴み、右手をアスカの太股の下にまわすとヒョイっとアスカを抱き上げた。
 
 「シ・・・シンジ?」

 先のキスの効果が少年のアドレナリンを刺激したのか、心なしか少年は興奮しているように感じる。
 少女は少年の腕の中で少年の意外な行動に戸惑った。
 そして自分を軽々と抱き上げた、一見細身に見える少年の意外な膂力の強さに驚かされた。

 『あんなにヒョロヒョロしてなよっちかったシンジなのに・・・やっぱりシンジも男の子なんだ』

 シンジの中に男を感じたアスカの蒼い瞳が潤み始めた。
 次にシンジは扉の前からふとんの前までアスカを運んでくると、そのままアスカごとふとんの上に倒れこんでしまい、完全にアスカを押し倒す感じになってしまった。

 

 「シ、シンジ・・・」

 真上からアスカを見下ろすシンジの黒い瞳の中に呆然とした表情の自分自身の姿が映っている。
 シンジを見上げるアスカの蒼い瞳の中にも、興奮した表情で少女を見下ろした自分の姿が映った。
 その姿を見て、少年の興奮は少しずつ冷めていった。

 「ア、アスカ・・・」

 完全に正気に返ったシンジがアスカに声を掛ける。
 そして少女を押し倒す形になっている自分自身に気づいて慌てて少年が離れようとした時

 

 !?

 少女は少年の腕を軽く掴んだ。

 「シンジ・・・」

 そう呟いた後、少女は真剣な表情で少年を見つめる。

 「アスカ・・・」

 その少女の言葉に少年は金縛りにあったように動かなくなる。



「二人の補完」

十九話補完外伝「初夜」
by Corwin

 

 シンジの心には嵐が吹き荒れていた。
 「誰かのものになった」アスカへの嫉妬、先ほど見せられた痛々しく強がる姿への憐憫、抱え続けていた少女に対する感情への疑問。
 そして、いまなお心の中にある想いを一時的に塗りつぶしてしまうほどの獣欲。
 
 だから、引き止めたアスカの手の震えを感じ取る事が出来なかった・・・そこにあるのが自分を求める感情と等量に存在する怯えだと言う事を。

 「シ・・・シンジ・・・」

 再びアスカが彼の名を呼んだ。
 とても近く、息遣いさえ頬に感じ取れると錯覚してしまう距離で艶やかな桜色の唇が震えつつ名を呼ぶ。
 その美しく、また酷く心を高ぶらせる光景にシンジの獣欲が今度はゆっくりと鎌首をもたげる。

 『綺麗だ・・・けど、この唇は・・・もう・・・』

 ズキ!
 
 心が酷く痛んだ。
 だからシンジは、それを奪った・・・ただ塞ぐため、アスカが自らを傷つけるのを止めるためにした先ほどのものとは違い、ただその柔らかな唇を己のものとするために。

 「ん・・・っ!」

 添えられたアスカの手がきゅっとシンジの腕を掴んだ。
 荒々しく自分を貪るシンジに戸惑いながらも、アスカは激しいキスに心を委ねた。
 ぐっと押し付けられた唇が歪み、薄膜同士が擦れあう。
 そのたびにぴりぴりとした痺れが広がり、アスカの脳をピンク色の霞で包んでいく。
 と、キスが中断された。

 「あ・・・?」

 戸惑い、続きを乞うかのように甘えた息が漏れる。
 その声を聞いたシンジは再びやりきれなさに襲われ、今度は左手を頬に当てると、そっとアスカの唇をなぞった。

 「は・・・っ?!」

 アスカが戸惑いつつ艶めいた声を漏らす。
 ただ指でなぞられただけだと言うのに、今しがたのキスに負けず劣らずの快感が走ったためだった。

 『あ・・・なんでこんなに?・・・・・・そっか、シンジだからなんだ・・・』

 その自覚にふぅ、とアスカの表情が緩む。
 だがその反応は、シンジには百戦錬磨の「女」の笑みに見えてしまった。
 僅かに強く、アスカの唇を割ってシンジの指が白い歯に触れる。

 「アスカは・・・いつも、こうなんだ?」
 「?!」
 「キスだけで、触られただけでそんな風にいやらしい顔になるんだ」
 「ち、ちがっ・・・!」

 抗議の声を塞ぐように、三度シンジがアスカの唇を塞ぐ。
 先ほど触れていたものを確かめるようにシンジの舌が繰り返しそこをなぞる。

 『っ・・・?あ、そんな・・・う、そ・・・』

 唇を割って蠢いている初めて感じる他人の、シンジの舌に、アスカの意識はたちまち溶け出してしまう。
 怯えるように噛み締められていた歯が容易く開かれる。
 再びシンジの心に嫉妬が走った。

 『っ!!』

 それを振り切るように、今度は舌をアスカの口腔へと侵入させる。
 さすがにアスカの舌は怯えたように縮こまっているが、それにお構いなしにシンジはアスカの口腔をまんべんなくなぞり、確かめる。
 まるで、そこに触れただろう誰かの痕跡を拭い去ろうとするかのように。

 『シンジ・・・シンジぃ・・・』

 何者にも許した事の無い場所にシンジの舌が触れるたび、アスカはそこが火がついたように火照り、痺れるのを感じていた。
 そうして余すところ無く全てを知られ、シンジを塗り込められていく。
 それがたまらないほどの快感だった。
 今の僅かなやり取りでアスカの反応を感じ取ったのか、彼女自身すら知らなかった弱点の上顎を繰り返しなぞられると、それだけで腰の奥からじわりと熱いものが溢れ出すような気がする。

 「ふ・・・んんぅ・・・」

 甘えた鼻声を漏らすと、アスカは両腕と舌とでシンジにしっかりと抱き着いていた。

 『?!・・・アスカ・・・!」

 絡みついた舌、そこからもたらされる熱い感覚にシンジの心が震える。
 そのままそっとアスカの舌に応え、優しく受け止める。
 頭の中で舌が絡み合う淫らな水音が響き、意識が陶然となりかける・・・だが。

 『他の、誰かとも・・・?』

 この音が既に他人の頭蓋に響いた事がある。
 それを思うだけでまたしても襲う痛み。
 それを埋めるために、シンジはアスカの舌をきつく吸い上げ、自分の口腔に捕えた。

 「っ?!」

 アスカの戸惑いを無視し、歯で微かに噛んで完全に囚われた状態にすると、己のものとなったアスカの舌をおもうさましゃぶり回す。

 「は・・・っ?!ふぁ・・・ひん、いっ!」

 舌を封じられただらしない声が名を呼ぶ、しかし彼はそれに気付かないままアスカを責め立てる。

 『や・・・嘘、こんな、激しすぎ・・・っ!あたしっ、変になる・・・っ!』

 シンジにすべてを奪われ、しゃぶり尽くされる錯覚に怯えと倒錯した快感を覚え、アスカの指先がシンジのうなじを掻く。
 反射的な行動であったが、シンジはそこから快感が走るのに気付かざるをえなかった。

 『手慣れて・・・いるのか・・・っ!!』

 お返しとばかりにシンジの指がアスカの後頭部を抱え、引き寄せる。
 髪の中に沈む、見かけよりしっかりしたシンジの指にアスカは穏やかな安心を感じた。
 唇が隙間無く合わされた為、激しくなる呼吸は鼻からなされる。
 漏れる息がシンジのものと混ざり合い、アスカの頬をくすぐり、なぶった。

 『くすぐったい・・・?ううん、きもちいい・・・』

 初めてのキスの時とは正反対の感想。
 そう思えた事が嬉しく、アスカは体を摺り寄せるようにして一層きつくシンジに抱き付いた。
 胸で柔らかく潰れる膨らみの感触。
 二枚のシャツ越しでも判る二つのころころとしたふくらみ。

 『キスだけで・・・?・・・それだけで、こんなに感じるくらいに・・・!』

 それが赦せないと、シンジの左手がシャツに滑り込んで乳房を鷲掴む。

 「っ?!!」

 走る苦痛に仰け反るが、押さえつけられ、頭蓋と舌を囚われているアスカには逃れる術が無い。
 身体の下で踊る筋肉の動きを誤解し、シンジはまたしても嫉妬に駆られる。
 そのまま荒々しく揉みしだき続ける。

 『痛・・・っ!シンジ、駄目・・・赦して・・・っ!!』

 だが、しばらくすると痛みが鎮まりはじめた。
 慣れた訳ではない、アスカの肌の敏感さは触れられる前と同じだ。
 ただ、触れているシンジが

 『柔らかい・・・けど、何か押し返すみたいな・・・それに、凄く、肌触りが・・・いい・・・』

 初めて触れる女性の、アスカの胸の膨らみの不思議な手応えに溺れはじめていたからだった。
 痛めつけるのではなく、その心を魅きつけて止まない感触をよりたくさん感じ取ろうとする。
 自然、その動きはいつものシンジの心と同じく優しく細やかなものとなっていった。
 滑らかな肌を滑り、そっと指を沈ませる、かと思えばこねるように優しく絞り上げる。

 『あ・・・もう、いたくない・・・・・・』

 安堵するアスカ。
 そして、次の瞬間

 ゾクリ!

 『ひ・・・っ?!な、なに?!』

 背筋を戦慄が駆け抜けた。
 シンジの指が動きを変えるたび、それは徐々に強くはっきりとしていき・・・とうとう思い出したようにシンジの指が堅くしこった蕾を摘んだ瞬間

 『あ・・・あああぁぁっ!!』

 強烈な快感として脳裏で弾けた。
 声に出せないまま舌がシンジの口の中で震える。
 シンジはそれを無意識にしゃぶり続けている。

 『や、うそっ・・・!そんな、こんなの・・・っ!!』

 シンジの動きは止まらない。
 変わらず舌と指先とでアスカを追いつめ続ける。
 そして、逃れる術のないアスカの性感は何時の間にか弾ける寸前まで来ていた。

 『や・・・こわい・・・怖いよぉ・・・シンジィ・・・』

 自慰すら知らなかったアスカの無垢な心に、待ち構えているはずのピンク色の何かは恐怖の対象として映った。
 怯えシンジに縋り付く・・・それが最後まで自分を追い込むとも知らずに。
 差し伸べられた舌がきつく吸い上げられ、二人の胸に挟まれた指先が乳首を犯すのとは同時だった。

 「っ・・・ーーーっっ!、〜〜っっっ!!」

 押さえつけられたアスカの躰が跳ね回り、縋り付いた唇が絶頂の叫びに震えた。
 それに意識を呼び戻されたか、シンジが慌ててアスカを解放する。

 「アスカ?!」

 ベッドに沈んだアスカは息を喘がせ答えられない。

 『もしかして・・・イったの?アスカ・・・あれだけの事で・・・?』

 忘れていた感情が戻ってくる。
 汗で張り付いた肌色の透けるシャツ、はだけた隙間から覗くピンク色に上気した乳房と張り詰めた蕾、甘い汗の匂いと切ない喘ぎ。
 それら全てがシンジを駆り立てる。
 シンジははだけられて片方の乳房をさらけ出しているシャツを掴むと、ボタンを引き千切って全てを剥き出しにさせる。

 「はっ・・・あ、しん、じっ?」

 初めて感じるアクメに震え、未だに息が荒いままアスカはのろのろと頭を上げる。
 目の焦点が合うのとシンジが堅く勃起した乳首を口に含むのとは同時だった。

 「ひっ!・・・あああぁぁっっ!!」

 アスカが仰け反る。
 シンジはそんな反応に気をよくしたのか、口に含んだ蕾に先ほどのキスの時と同じ事をする。
 唇を滑らせ、擦り合わせ、

 「ひゃ・・・ひんっ!だ、だめぇ・・・っ!」

 ちゅうちゅうと吸い上げ。舌でしゃぶり回し、

 「っ!・・・く、だ、しんっ、じぃっ!!」

 軽く歯を立て唇に捕え、おもうさまなぶりものにする。

 「ひぃっ!あ、きつっ・・・うあっ!ああぅぅっ!!」

 責め立てるシンジを引き剥がそうと力無くアスカの手が触れるが、快感に焼き尽くされた躰は思うように力が入らず、まるで催促しているかのように頭を撫でるようにしてしまう。
 その動きがますますシンジを嫉妬に駆り立てる。
 噛み付く・・・未だ残る思いやる心が最後の瞬間に手綱を掛け、だがそれでも歯が肌に食い込み跡を残すほどに。

 「いた・・・っ、くっ・・・うあっ?!」

 敏感すぎる肌に苦痛が走る・・・だが、同時に快感の兆しのようなものを感じアスカは怯える。
 シンジの与える全てから快感を紡ぎ出してしまいそうな自分に。

 「や、止めて・・・シンジ・・・」

 だから、引き止める。
 その行動が嫉妬に駆られたシンジを焚き付ける事に気付かずに。

 「嫌だ・・・止めない」
 「そ、そん・・・ああっ!」

 抗議の悲鳴は乳首を摘まれ途切れる。

 「アスカが、他の奴を忘れるまで・・・僕しか見えなくなるまで、止めたりしない!」

 それだけ言うと再び顔を胸に埋めると、滑らかな肌に幾つもキスマークを刻む。
 それが自分のものであると言う印であるかのように幾つも。

 「や・・・駄目、そこま、で・・・っ!」

 胸だけではなく首の付け根や鎖骨付近まで赤い跡を刻まれる。
 終わらない夏に在るこの時代、薄着の少女に僅かな風が悪戯すればその印は衆目に晒される事だろう。
 その事への怯えと期待がアスカの心を震わせた。
 
 「ひぅ・・・やん、そんな、きつ・・・あんっ!」

 手加減しないと言う無情な宣告の通りに扱われていたが、アスカの心は何故か熱いものが溢れかえっていた。
 嫉妬心からであるにせよ、シンジが自分を求めている、狂おしいほどに。
 それがアスカを至福感で満たし、自然に甘えるような喘ぎを上げさせていた。
 そして、そこに僅かに演技を乗せて、アスカはそっとシンジの頭を抱え込むと耳元に囁く。

 「いいよ・・・シンジ、もっと、んっ、して・・・アタシが、狂っちゃう、くらい、に・・・っ!」

 声に微かに混じる喘ぎと、与えられる快感を逸らせないまま跳ね、震える指先が男を誘う女としての言葉を裏切る。
 だがシンジはそれに気付けない。
 悔しさに追い立てられ、アスカの股間へと前触れ無しに手を進める。

 「ひ・・・っ!!」

 処女地に初めて感じる他人の手に悲鳴が漏れ、慌てて押し殺される。
 シンジの手は漏らしでもしたような濡れた感触をとらえた。
 興奮してはいるが未だ慎ましく閉じられた肉の合わせ目。
 そこを掌が繰り返し撫で上げる。

 「はっ!あ、しんっ!は・・・やめ・・・ひんっ!」

 そのたびに跳ね回り悲鳴を上げるアスカが征服感を満たすのか、何度も繰り返しそこを撫でつづける。
 やがて、単純な動きに飽きたのかシンジの手が違う動きを試しはじめた。
 力を入れ押し付け、かと思えばフルフルと横に震わせたり。
 そんな動きをするうち、ぴ、と合わせ目が綻んだ。

 「ひ・・・っっ!!」
 「あ・・・熱い・・・?」

 秘められていた熱い蜜がとくとくと湧き出し、シンジの手を濡らす。
 その源を確かめるためか、それ以上の滴りを塞ぐためか、シンジは包み込むようにアスカの秘所に手を当てた。
 掌に直接触れる粘膜はとても熱く、シンジは火傷でもしてしまうのではないかと感じていた。

 「あ・・・だ、め・・・そこは・・・ゆるし・・・」

 微かに漏れるアスカの声にシンジは顔を上げた。
 上気した貌の中で怯えるように見つめる蒼い瞳。
 シンジの心に達成感が溢れる。

 「アスカ・・・ここはだめなの?」

 演技する余裕も無いままにアスカがこくこくと小さく肯く。

 「そう・・・じゃあ、もっとするよ」

 無情な返事に引き攣るアスカの表情を見下ろしつつ、シンジの手が再び粘膜を撫で上げる。

 「きひぃっ・・・んんっっ!!」

 仰け反りよがるアスカのあられもない姿に征服欲が満たされ・・・そして、更に強くなる。
 シンジは更にアスカを責め立て続けた。

 『や・・・嘘、こんな、こんなの・・・や、あ、アタシ・・・熔けちゃう、狂っちゃう・・・っ!』

 腰がどろどろに熔けて無くなってしまいそうな快感に怯え、アスカは両足でシンジの手を挟みこみ、動きを封じようとする。
 だが、それはますます深くシンジの手を銜え込む事にしかならなかった。
 一層激しくなる快感。

 「いや、や、ああっ!こっ、んなっ!や、だめっ!やあぁぁっっ!!」

 切れ切れに停止を哀願するが、シンジはますます動きを激しくしてアスカの性感を狂わせるばかり。
 一層高く啼かせようと、シンジの唇が責めに加わった。
 揺れる乳房を顔で押え込むと、滑らせるようにして唇に先端を含む。
 刺激に強ばるアスカに満足げに唇を歪め、わざと音を立てて吸い上げる。

 「や、しんじっ!は、はずかっ・・・や、ああっ!」

 頭の中で荒れ狂うピンク色の電流にひいひいとよがり泣きながら、アスカは悶え続けた。
 やがてアスカの視野がちかちかと瞬き、声が一段高くなりはじめたところでシンジが身を起こした。

 「は・・・はぁ、はぁー・・・っ・・・」

 ぐったりと息を喘がせるアスカ。
 と、力無く閉じられていた足が開かれた。

 「シン、ジ?」

 布団が身体の下で歪む。
 同時に覆い被さるシンジの重さ。

 『あ・・・され、ちゃうんだ・・・アタシ・・・』

 心に恐れが走る。
 だが、アスカはそれを表に出さないようにして必死の演技をする。

 「すごく、よかったよ、シン、ジ・・・も、もう、その・・・する、の?
  い、いいよ、アタシもが、がまん、できなく、なっちゃった、し」

 震え途切れる、冷静ならば見透かせる程度の演技。
 しかし、耳に繰り返しアスカの甘い善がり声を注がれて猛り立っているシンジの意識ではそれが解らない。
 だから、シンジの顔が悲しげに歪む。

 「アス、カ・・・っ!」

 感情に任せてシンジが腰を進める。
 だが、ペニスの先端が僅かに秘唇を抉ったところでぬるりと滑って上に逸れた。

 「ひんっ!」

 固く張り詰めた陰核を擦られアスカが甘い悲鳴を漏らす。
 焦りに包まれたシンジは気付かないままに何度か同じ動きを繰り返し、アスカはますます昂ぶった。
 小さな珠を弾かれるたび、背筋を貫いて雷のような電流に打たれる。
 そのたびに意識が飛びそうになるほどに気持ち良いのだ。
 知らず涙がこぼれる・・・と、動きが中断される。

 「・・・?」
 「アスカ・・・」
 「あ、な、なに?シンジ」
 「は、初めてだから、良く、わからないんだ・・・だから、アスカが・・・」

 切なさと悔しさに満ちた告白。
 結局アスカにさせてしまう事に悲しみを覚え涙が滲む。
 だが、シンジは何をアスカに要求しているかを本当には理解していない。

 「え?!そ、そん、な・・・っ!」
 『そんな・・・アタシだって、初めてなのに・・・そんな、こと・・・』

 羞恥に真っ赤に顔が染まる、だがアスカはそこで演じている役を思い出した。

 『でも・・・しなきゃ、シンジにばれちゃう・・・』
 「あ、アスカも、我慢、できないって・・・だから・・・」
 『・・・駄目、しなきゃ!』

 羞恥に震えながら、アスカはおずおずと手を下半身へと伸ばしていく。

 「し、しょ、しょうが、ないわ、ね・・・あた、アタシが、してあげ、る、から・・・
 か、かんしゃ、しなさい、よ・・・」

 怯え、泣きそうになりながらアスカは左手を自らの秘唇に当て・・・そっと、押し開く。
 シンジの視線がピンク色に濡れ光る淫らな場所に注がれるのを感じて気絶してしまいそうなほどの恥かしさに襲われる。
 だが、それを必死に押さえつけ、今度はシンジのいきり立ったものへと右手を伸ばす。

 『あ・・・熱っ?!』

 触れた瞬間、予想だにしない熱さに手が逃げる。

 「あ、アスカ・・・」

 だが、シンジの切ない声に勇気を奮い起こすと再び手を寄せ・・・しっかりと掴む。

 「うあ・・・」

 興奮に霞むシンジの声。
 そっと引き寄せ、再び粘膜に熱い塊が触れる。

 『あ、アタシ・・・こんな、いやらしい格好で・・・自分から・・・こんな、の・・・』

 あまりの惨めさに涙が溢れる。
 それを振り払うと、体重をかけるシンジを導いて自らの膣の奥へと熱い屹立を呑み込んでいった。

 「く・・・っ、んんっ」
 『良かった・・・あんまり、痛くない・・・』

 自分からしている事で比較的スムーズに挿入がなされる。
 だが、何者も入り込んだ事のない膣は愛しい者のペニスではあっても強烈な異物感と圧迫感をもたらす。

 『怖い・・・』

 怯えが揺り返す、だが、

 「うあ・・・すご、いよ・・・あす、かぁ・・・」

 初めての快感に熔け震えるシンジの声がそれを和らげる。
 と、呑み込んでいた塊が半分ほど沈んだ時。

 『?!っ・・・いた・・・痛いっ、イタイ!!』

 処女の証に触れた当たりで痛みが耐え難いほどになった。
 たまらず手が離れる。

 「あす、か?」

 シンジの不思議そうな声。
 はっとなるアスカ。

 『だ・・・駄目、シンジはあたしを処女だと思っていない・・・。
  もし、アタシがはじめてだと知ったら、きっとシンジは止めてしまう。
  ここまで来て・・・こんな事までしたのに・・・そんなの、い・・・や・・・』

 自らに強いてシンジの腰へと腕を廻す。
 催促ととったのか、今度はシンジが主導した。
 シンジのものがアスカの膣内の更に奥深くへと侵入する。
 襲ってくる激しい苦痛に何時の間にか振りまかれていた自らの髪を噛みしめ、アスカは必死の思いで悲鳴を堪えた。

 「く、ひ・・・っ!あ・・・っ、きっ・・・!」
 『き・・・きついや』

 絶息するアスカの悲鳴に気付かないままシンジは一気にアスカへの挿入を試みる。
 一瞬抵抗のようなものを感じたが、シンジはこれといって気にすることなく最後まで押し込んだ。
 ピリという何かが裂ける音がしたと同時にシンジは自分のものがぎゅうぎゅうと締め上げられるのに気付いた。
 それは初めての侵入に対し女体が示した断末魔だったが、そのことに気がついたのはアスカだけだった。

 「あ・・・あ、ああぁ・・・」
 『とうとう、シンジと一つになれたんだ』

 アスカは身体を支配する激痛にぽろぽろと涙をこぼしながらも、自分の上にいるシンジの顔を見上げる。
 包み込まれる感覚に酔っているのか、微かに眉が寄せられ目をつむり震える姿に愛おしさが溢れる。

 『でも・・・』

 文字通り引き裂かれるような秘所の激痛に、

 『い・・イタイよ、シンジ・・・。
  お・・・お願い、シンジ・・・動かないでね』
 
 短い呼吸で痛みを逸らしつつ、アスカは心でそう願っていた。
 
 『アスカ、気持ち良いの?』

 破爪の激痛を堪えるアスカの歪んだ顔が、固く閉じられた瞼が、それを知らないシンジには快感によるものに映った。
 そして、一瞬脳裏によぎる光景。
 アスカが自分以外の男に抱かれ、その身体の下で快楽に悶えているシーン。
 
 「く・・・っ!!」
 
 心臓がきりきりと締め上げられる。
 突き上げる心の痛みにシンジが僅かに身じろぎした。

 「ひっ・・・き・・・っ!!」

 必死で抑えるアスカの唇を割って悲鳴が漏れた。
  
 『もっと・・・聞きたい!
  もっと、アスカを壊したい。
  もっとアスカを狂わせたい・・・僕の手で!』

 シンジはアスカの腰を掴むと2割ほど余されていたペニスを深深とアスカの膣内(なか)へと打ち込んだ。
 
 「ひぎっ!き・・・ひっ・・・あ・・・か、は・・・っ!!」
 『痛い、イタイ!や、駄目、シンジ・・・死んじゃう・・・っ!』

 身体の奥深く、内臓まで貫かれたような苦痛がアスカを襲う。
 苦痛に震えるアスカに斟酌せず、シンジは腰を引いて雁が入り口に引っかかるまで引き戻した。
 
 「うぁ・・・いい・・・すごいよ、あすかぁ・・・」

 柔らかな膣肉に締め上げ擦られる。
 感じる腰の骨が溶けてしまいそうな快感にシンジの声が爛れる。
 もう一度それを味わおうと再び奥まで貫く。

 「く、ひぃっ!・・・ひ、きぃ・・・っ!!」 

 傷口を再び抉られる苦痛。
 無意識に全身の力が篭り、膣内の侵入者をぎりぎりと締め付ける。
 だが、未だ潤いを湛えた粘膜によってそれは更なる快感となってシンジに伝えられてしまう。
 だから、シンジの動きは止まらない、いや、ますます激しくなる。

 「アスカ・・・アスカ・・・っ!」

 抽送のたびに急速に高まる腰の奥の塊。
 それを逸らすためか、ちかちかと白く染まっていく意識のままシンジはアスカの唇を貪った。

 「ふぁ・・・ん、ふんぅ・・・んっ、んんっ!!」

 アスカも僅かなりと苦痛を忘れるためか、口腔を犯すシンジの舌に縋り付き絡み合わせる。
 余りにも激しく淫らなキスに、シンジは上下二つの場所から自分が溶けていくような錯覚を覚えていた。
 無意識に腕がアスカを抱き寄せる。
 アスカも、シンジの腰の律動を止めようと両腕と両足でシンジの身体にきつくしがみつく。
 僅かに動きは制限されるものの、むしろより深くをぐりぐりとこね回されてアスカの意識の苦痛許容量を越えてしまった。

 『あ・・・駄目だ、もう、これ以上抑え、られないっ!』

 あまりにきつい締め付けにシンジの射精への欲求が逃れようの無い上昇気流に乗る。
 その一瞬正気に戻ったシンジがアスカに警告する。

 「だ、だめ、だよ・・・も、もうっ、がまんっ!できっ、ないよ・・・っ!!」

 だが、既に意識が飛びかけているアスカは反応を見せない。
 ただただひたすらにシンジの身体にしがみつくばかりだ。

 「だ、だめだよ、あすっ、か・・・あ、だめっ、あぁっ!うあああぁぁぁぁっっ!!」
 「ひ・・・っ、あつっ!ひいぃんっっ!!」

 アスカを引き剥がそうと不用意に動いたため、シンジはあえなくアスカの膣内で精を放ってしまった。
 どくどくとペニスが痙攣するたび、熱い精液がアスカの膣中(なか)に撒き散らされる。
 その感覚が、アスカの意識を現世に引き戻す。

 『お、わった・・・の・・・?』

 自分に覆い被さり息を喘がせるシンジの体温を感じつつ、アスカは自分の躰の中にも同じ熱さがあるのに気付いた。

 『・・・シンジ・・・』

 その時、余りにもたくさんの感情が入り交じったものがアスカを包み込み・・・。
 アスカは、自分が涙を流しているのに気付いた。

 「あ、あれ・・・?」

 そっと指でなぞる。

 「アタシ・・・泣いてるの?」

 言葉にした瞬間、堰を切ったように溢れ出す涙。
 拭っても止まらない涙にアスカは戸惑う。

 「なんで・・・?なんで、止まんないのよぉ・・・」

 しゃくりあげ始めたアスカに、シンジは慌てた。

 「な、なんで泣いてるの?!アスカ」
 「わ、わかんない・・・」

 いたいけな幼子が悲しみを堪えて泣く様に、アスカは目を擦りつつ涙を零し続けた。
 そんなアスカを見るうち、無意識だろうか・・・シンジは、そっとアスカの髪を撫でていた。
 繰り返し撫でると、アスカの泣き声が瞬く間に鎮まり・・・いつしか静かな啜り泣きになっていった。

 そうやってしばらくの間優しい空気が辺りを覆う。
 微かな啜り泣きに混じって甘えるように喉を鳴らす声が聞こえる。
 
 「ん・・・シン、ジ・・・もう、いいよ・・・」

 静かに伝えるアスカ。

 「もう、いいの?」
 「うん・・・」

 腕を退けシンジを見上げるアスカ。
 目が合う。

 『!!』 

 涙で潤んだ、心の中に何の障壁も持たないまま、素直に感情を表して見上げてくる潤んだ蒼い瞳を見た瞬間、シンジの心に魂そのものを一色に染め抜く愛おしさが荒れ狂った。
 堪えきれないようにアスカにキスをする。
 激しくつたない、だが相手を深く思いやる優しいキス。

 『しん、じ・・・?』

 今までのどのキスとも違うそれにアスカは戸惑う、だが触れ合ううちにアスカの心に温もりが・・・冷え切っていた事も気付いていなかった場所に温もりが灯る。

 「ん・・・んん・・・」

 その優しさに酔いしれながら、このキスは長く、とても長く続いた。
 
 終わったのがいつとも知れないまま、ふと気付けば二人は互いの瞳に相手の瞳を映しあっていた。
 静かな心のまま、シンジがそっと身体を退ける。

 「ん・・・っ」

 シンジのものが抜け落ちる感触にアスカが微かに呻き、魔法が解けた。
 卑俗に意識の戻ったシンジは、アスカの汚れた部分を拭おうと下半身に目を遣り・・・凍り付いた。
 目に映るのはシーツに映える幾つもの赤い徴・・・純潔の証。

 「アスカ?!」

 弾かれたように上げた視線が、謎めいた微笑に迎えられる。

 「な、何故・・・?」

 アスカは答えず、ただ微かな笑みを湛えて見つめ返すばかり。
 シンジは再びアスカの下半身へと目を向ける。
 愛液と血に塗れたそこは痛々しさを醸し出している・・・と、一筋白いものが流れ出した。

 「あ・・・」

 自然に頭がそこへ向かう。
 アスカは動かない、いや、全てを委ねるように微かに肢を開くだけだった。
 立ち上る精液と愛液の入り交じった匂いに一瞬躊躇する。
 だが傷を、痛みを癒したいと願ってシンジは本能的にそこに口付け、そっと舌を這わせた。

 「ふ・・・っ、あ、シンジ・・・」
 『やっぱり・・・ちょっと、生臭いや・・・血と、僕のにおいなんだよね・・・』

 それでもシンジはそこを舐めるのを止めない。
 舌で繰り返し拭い続けるうちに、いつしかそこは潤いを増していた。

 「ん・・・んんっ、ふっ・・・は・・・あっ・・・!」

 頭上から降り注ぐアスカの息遣いも、溢れてくる疼きを堪えるような甘いものに変わっている。

 「アスカ・・・いい?」

 見上げ、尋ねるシンジに顔を真っ赤にすると、恥かしがりながらもコクリと肯く。
 そんな可愛らしい仕草に、シンジの口撫は一層優しさを増した。
 潤う鮮やかな桜色の粘膜にそっとキスを繰り返す。

 「ふんっ・・・は、あ・・・そこ・・・」

 恥かしげな願いに応えて同じ場所を優しく舌先で掬い上げ、襞の一つ一つを柔らかくくすぐる。

 「はっ!・・・い、いいよ・・・シンジ・・・んっ!」

 秘所の上の方に隠れ、震える可愛らしい珠を唇に包み、優しく愛でる。

 「っ!いっ、ひんっ!そ、こっ・・・はっ、ああっ!!」

 為す動きの全てから十二分に快感を汲み上げ、それを自分に伝え返してくれるアスカの素直な痴態にシンジは心を熱く昂ぶらせた・・・先ほどの征服感より遥かに強く。
 余すところ無く唇を這わせ、また快感に跳ねるアスカの腰に合わせていたためシンジの顔は頬まで愛液で塗れている。
 そして、濃く立ち込めるアスカの匂い。
 シンジの欲望は、従わせると言うのではなく、深く一つになりたいと言う欲望は堪えきれないほどになっていた。

 「は、あ・・・アスカぁ・・・」

 股間に顔を埋めたまま、胸の膨らみの向こうに隠れているアスカの名を切なげに呼ぶ。
 その懇願は、優しく頬を撫でる手によって答えられた。
 ゆっくりと手の導きのままに顔を上へとずらしていく。
 途中、その曲線に魅せられてお腹にそっと口付けたり、豊かな胸の膨らみを楽しんでたしなめられたりしながらシンジはアスカの顔を正面から覗き込んだ。

 「・・・アスカ」

 再び名を呼び、そっと唇同士を触れ合わさせる。
 閉じられた瞼が開き、優しくきらめく蒼い瞳が覗いた。

 「シンジ」

 またキス。
 そっと離れたシンジはアスカに尋ねる

 「いい?」

 と。

 アスカは微笑み

 「いいよ・・・何回でも、だけど、今度は、優しくゆっくりして欲しいの・・・」 

 と答える。

 「うん・・・もう二度と、無理矢理になんてしない」

 誓うシンジにこれ以上ないほど優しく微笑むと、アスカはそっと胸に頭を摺り寄せた。
 肌の間に隙間が無くなり、全裸で抱きしめあっているにしては不思議なほどに静かで落ち着いたシンジの鼓動が耳に伝わる。

 「聞こえるよ・・・シンジの、心臓の音・・・」
 「うん・・・」
 「何だか、凄く落ち着いてる・・・」
 「・・・アスカだから、だよ」
 「アタシも・・・」

 そっと胸から離れ、再び見上げる。

 「アタシも、シンジだから・・・」

 はっきりとしない言葉、だが心は確かに伝わったと信じられた。
 アスカが無言で肯くと、シンジは身体の位置をずらし・・・そっと、熱く潤った秘所にペニスの先端を触れさせる。
 ず、と二度目の挿入が裂け目を割るのを感じ、アスカの躰が強ばる。
 不安げなシンジに微笑んで見せ、先を促す。
 シンジはそのまま最後まで意外なほどすんなりと呑み込まれるのを感じた。

 「・・・大丈夫?」
 「うん・・・少しジンジンするけど、動かなければ、大丈夫、だから・・・」

 そのまま互いの身体を固定するように抱きしめあう。
 ふと、互いの息が顔に掛かるのを感じて視線が絡み合う。
 そのまま、吸い寄せられるように唇が重ねられた。
 軽く合わせ、舌先が微かに触れ合ってからそっと離れる。

 「・・・ふふ・・・」
 「?どうしたの、アスカ」
 「これで十回目・・・」

 虚を突かれたようになると、シンジは記憶をさらう。

 「・・・7回目じゃ、無いの?」
 「ううん・・・十回。
  今までの人生でしたキスの回数で・・・シンジとキスした回数」
 「・・・あ・・・」

 悪戯っぽく、そして幸せそうな笑顔でアスカは言葉を続ける。

 「アタシの唇は、シンジ以外を知らないの・・・アタシの躰も、シンジ以外知らないの」
 「・・・っ!」

 シンジの心を苦痛かと見まがう切なさが支配する。
 たまらず腕を廻し、アスカの躰をきつく、きつく抱き締める。
 右手をうなじに、左手を腰に廻して息が止まりそうなほどに強く。

 「は・・・っ!」

 苦しげな、幸せそうな息がアスカの口からシンジの耳に吐き掛けられる。
 激情に震えるシンジの背を繊手がそっと撫でる。
 しばらくそうするうち、シンジが力を抜いた。

 「ふぅ・・・息、止まっちゃうかと思ったじゃない・・・」
 「うん・・・」
 「言ったでしょ、優しくしてって」
 「うん」
 「じゃあ、もう一度」

 その誘いに応えてシンジが再びキスをする。
 今度は深く、飛びつくように差し伸べられた舌をしっかりと絡み合わせて。

 「ん・・・ふっ、んん(ちゅく)ふっ・・・ん」

 輪郭を確かめるように顔を撫でるアスカの手にぞくぞくする甘い戦慄を感じながら、シンジは舌を踊らせる。
 そして、離れる。
 アスカの頬は薔薇色に上気し、蒼い瞳には霞がかかっている。

 「じゅう、いっかいめ・・・」

 熱い息の下、ぽつりと呟く。

 「なのに・・・こんなに、上手くなっちゃうなんて・・・」

 シンジはそんなアスカの可愛らしい姿にくすりと笑うと、首筋に唇を当て徴を刻んだ。

 「んっ・・・もぅ・・・」

 身を震わせると、お返しとばかりにシンジの首筋に吸い付く。
 きつく吸い立てる音が響き・・・満足げな吐息と共に離れる。

 「ん・・・これでおあいこ」

 シンジの首に鮮やかに残る跡。

 「ひどいや、アスカぁ・・・」

 アスカは笑って応えない。
 シンジはお仕置きにと微かに腰を揺する。

 こつん

 「ふぁっ?!」

 アスカの唇から魂が溶けてしまったような声が漏れる。

 「?どうしたの?」
 「あ・・・今、なんか・・・」

 アスカの反応が苦痛でないと知って、シンジの心に好奇心が湧く。
 もう一度繰り返してみる。

 こつん

 「ひ・・・っ?!あ、あ・・・?!」

 呆然と体を震わせるアスカ。
 シンジは、自分のものを締め付ける力が柔らかくほどけ、ざわめいているのに気付いていた。
 動きを止めて様子を伺う。

 「・・・ん・・・ね、ねぇ、シンジ・・・」
 「なに?」
 「その、ね?今の・・・もう、いちど、お願い・・・」

 突かれるのをねだるのが恥かしいのか、アスカは言葉を濁して顔を背ける。
 そんなアスカの顔を抱え正面に向かせる。
 戸惑う瞳を正面から覗き込みながらもう一度、少し大きく。

 こつん!

 「ふっ!・・・あ、は・・・あ・・・っ!」

 快感に潤み、はっとしたように恥じらいの色に染まるのが愛らしい。

 「きもち、いいの?」
 「・・・!」

 恥かしがって答えない・・・それが、答え。
 だからシンジは慎重に、擦らないようにしながらそこ・・・ペニスの先端が当たっている部分を繰り返しこつこつと突つく。

 「つっ!・・・んっ、ふっ!・・・んんっ!!」

 必死で漏れる嬌声を堪えようとするアスカ。
 だが、唇の隙間からは抑えようの無い喘ぎが滑り出てくる。

 「アスカ・・・聞かせて。
  アスカの感じてる声を・・・気持ち良くなっている喘ぎ声を、聞かせてよ」
 「ひっ・・・あ、ああっ・・・しんっ、じぃっ!、は、いいっ!ひぃっ!」

 その言葉が箍を外したのか。
 あからさまな淫声が放たれはじめた。
 ざわめく膣肉に誘われ、シンジのペニスが短いながら抽送を始める。

 「ひ、きっ!・・・あ、ひんっ!い、いいよぉ・・・しんじぃ・・・っ!!」

 苦痛ではなく快感の悲鳴がほとばしるのを聞き、シンジもまた枷が外れていくのを感じていた。
 一振り毎に徐々に大きく、そのたび毎に強くアスカの膣の奥を突き上げていく。

 「あ、はっ!いいっ、いいよぉっ!もっと、そ、こっ!・・・ひっん、つよくぅっ!!」

 快感に爛れきった声で繰り返しねだるアスカ。
 それに応え、柔らかなひだに繰り返しこすり続けられて高まりがせっぱ詰まってきたシンジが、それを堪えつつ腰を振るう。

 「っ・・・く、あす、か・・・あっ!・・・すごっ・・・!」
 「はんっ!あ、ふあっ・・・しんじぃっ・・・しんじぃぃっっ!!」

 余りの快感に押し流されるのを怖れてか、アスカがシンジの唇に縋り付く。
 シンジもまた差し伸ばされた舌を絡め取り、激しくキスに応える。
 キスと言うよりは互いの唇を、舌をしゃぶり合うような淫らな行為。
 それがますます二人を昂ぶらせる。

 「っ、あ、あたっ!あたしっ・・・あ、しんじぃっ・・・あたしっ、も、あうっ!もうっっ!!」
 「は、あ、ぼ、ぼくもっ!く、も、うっ!ああっっ!」

 迫る絶頂に痙攣したシンジの腰が跳ね、迎えるように降りてきた入り口に先端が咥えられ・・・限界が訪れた。

 「は、あ、あすかっ・・・ああっ!あすかああぁぁぁっっ!!」

 ドクン!!

 熱いほとばしりが膣内(なか)の更に奥へと幾度も注がれる。

 「っ!!は、しんじぃっ!!あ、ひぃっ、しんじいぃぃぃぃーーっっっ!!」

 躰の内部が熱い精液に満たされる感覚がアスカを最期まで駆け昇らせる。
 互いの躰にしがみつきながら、打ち続く射精に合わせ繰り返し絶頂を味わう。

 

 やがて、永遠に続くかとも思えた絶頂が終息する。
 
 「は・・・シン、ジ・・・」
 「あす、か・・・」
 
 絶頂に灼き尽くされた掠れゆく意識の中、互いの名を呼ぶと・・・二人はそのまま崩れるようにふとんに沈み込んだ。
 ずれ落ちるようにアスカの上から転がったシンジは、アスカが寝息をたて出したのを微かに認識し、無意識にシーツをかぶると・・・そのまま、眠りに落ちていった。
 
 
 
 チュン、チュン、チュン、チュン、チュン

 雀のさえずる音が聞こえる中、窓から射し込んできた、眩しい日の光に視界をくすぐられシンジは目を覚ました。
 
               
「二人の補完」19話 最終パートへ

 


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ver.-1.00 1998-12/04公開
ご意見・ご感想・誤字情報などは ymcorwin@broadway.or.jp まで!!





 Corwinさんの『二人の補完』第十九話補完外伝「初夜」、公開です。




 いやいや、すごいぞ〜


 何が凄いかって、そりゃあ

  シンジのしゅけべ。


 見事に◎◎っています



…………………会社で18禁小説のコメント書こうなんて思ったのがバカでした

今も後ろを人が通りすぎています

ちゅーじょぉーぴーんち




 さあ、訪問者の皆さん。
『二人の補完』19話後半の










部分を補完したCorwinさんに感想メールを送りましょう!








注)外伝を掲載するにあたり、『二人の補完』作者のけびんさんに内容のご確認を頂いております。



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