そのファイルをMAGIの中から見つけたのは、単なる偶然だったのだろうか?
私は、そのファイルに指定された場所から、一冊のハードカバーの本を見つけ出した。
そして題名、作者および補足者の名前と、裏に書いてある

「NERV書籍部−定価2800円(税別)」

の文字を見たとき、私は軽いめまいとともに、これからすべき事を悟った。



くすぐり新世紀エヴァンゲリオン
第零点七五話 この親にして、この娘あり

作者:鮭





碇ユイ、死亡。
そう、マスコミには報道される出来事。
マスコミのための真実。

しかしそれは、人型汎用決戦兵器人造人間エヴァンゲリオンの…いや、神が人のたまわ
したもう人外の力、その基を作るために人がとおるべき道だったのかもしれない。
子供たちに…これから生き残る人たちのために、未来を残すために。



碇ゲンドウが人工進化研究所ゲヒルン第三分室にこだわったのは他でもない。
そこが最も深く、最も防音に長けていたからだった。
ユイを失ったゲンドウはそこで、ひとりの女性と睦言を繰り返すようになった。
「赤木ナオコ」母である…

しかしそれも、長くは続かなかった。
数年のち、NERVの誇るスーパーコンピュータMAGIが完成するころ、巧妙に仕組まれた少
女、碇ユイの生き写し、クローン、である、綾波レイをつかってこの世から消える事と
なった。

そして、私がゲヒルンに入社をして、母の遺産であるMAGIを解明しようとしていた、そ
の時にあのファイルと本を見つけたのだ。
そして、私は願った、母を超えたいと。
だから、あの男に近づいた。
母との睦言も知っている。
自分が、汚れる事を知りながら…
それでもなお、いや、それだからこそかもしれない。
女としても、母を超えたかったからかもしれない。



人工進化研究所ゲヒルン第三分室。
ゲンドウは、これまでの事を思い出してその白いベッドを見つめている。
その、四本の足には荒縄が括り付けてあり、シーツは乱れ、いかにもここで暴行が行わ
れていたという事を示すものであった。
煙草に火をつける。
そして一気に吸い込むと、ふぅぅと、吐き出す。

「赤木…リツコか」

久しぶりの女。
まだ手をつけていないが、あの気の強さ…まだ男に触れられていないな。
同時入社の葛城くんは、どうやら同じく同時入社の加持とか言う男にやられているよう
だし、何より葛城博士の娘さんというのがいただけない。

「ふっ、今度こそ、今度こそ久しぶりにまともに…」

そのための手も施した。
昔のゲンドウからでは考えられないほど、手を尽くした。
あまりにも赤木ナオコ博士の名声がいろいろな意味で轟いているため、一般企業に就職
できなかった彼女を、半ば強引にゲヒルンに入社させた。
最も、彼女にもその意志があったのだが…

「碇所長、お呼びでしょうか?」

そこに、彼女の声がかかる。
ゲンドウは背を向けたままだ。

「赤木博士、君を呼んだのは他でもない。」

ゲンドウは、背を向けたままの姿勢で煙草を捨て、足でもみ消す。
リツコが近づいてくるのがわかる。
そして、次の瞬間…世界が反転した。



彼が目の前にいる。
私は、碇所長に呼ばれてこの第三分室まで降りてきた。
彼の向こうには、白いシーツのかかった鉄パイプむき出しのベッド。
ああ、母もあそこで…
何気なしにそう思った。
そして、さらに思う、今日こそ、母を超える、と。

「碇所長、お呼びでしょうか?」

彼は背を向けたままだ。
その方が都合がいい。
彼の後ろにそっと近寄る。

「赤木博士、君を呼んだのは他でもない。」

煙草を捨てて、足でもみ消す。
よし、このタイミング。

私は教本通りの位置に手を伸ばす。
そして、彼の体の一部を、指で押した。
脇の下からすっと心持ち下に、前にいった位置。
瞬間、彼はいきなり気を失った。

予定通り…
リツコは口の中でくくっと笑った。



徐々に意識が覚醒してくる。
薄暗い所だな…
目をこすろうとして、両手が拘束されている事に気がつく。

「なっ、」

ジャラ…
金属の鎖が、自分の体を大の字に…いや、両手は挙げている状態だ…にしている。
こっ、この体勢は…まさか…
ゲンドウの額に、一筋の汗が流れる。
この体勢は身に覚えが無いわけではない。
薄暗いながらも、一つだけ灯っている明かりが遮られる。
そこに顔は見えないが、白衣と手に持った赤茶色の本を持った金髪女性が立っていた。

「あっ、赤木博士…これはいったい?」

何の真似だ、と言いかけてゲンドウはその手に持った本の表紙に気がつく。
そして、「だめなのか…もう」などと、某少女みたいな言葉をつく。
その本の表紙に書かれていたのは「死海文書」でも、「裏死海文書」でもなく…



 

 

 




「碇ゲンドウのくすぐり方」
著:碇ユイ
補筆:赤木ナオコ<くすぐりベッドの使用法>




 

 

 

 




「まだこんなものが残っていたとはな…」

ある種、自嘲気味な声を出してゲンドウは上を向いた。
半ば諦めである。

「あら、残っていたのではありませんわ。」

その直上から声が降りかかる。

「別に隠されていたわけではありませんもの?」

といって、裏側の「NERV書籍部−定価2800円(税別)」をみせる。

「出版部の、一番奥の棚。上から5段目、右から15冊目の本を取ってきただけですわ
。」

悪魔のようなささやき。
その途中に、「あら、これもいいわねぇ」などと声が重なる。
そして、ゲンドウはもう一度つぶやく。

「冬月先生、後は頼みます。」

と。





それから数分後…
何もせず、服も着たままでただ放置されるゲンドウ。
しかし、リツコは本を読みながらもちらちらとゲンドウがどうするのか様子を見ていた。
が、茫然自失のようになっているゲンドウを見ていまいち面白くなかったのか、そろそ
ろはじめようと思い立っていた。

「さて、ヤりましょうか?ゲンドウさん?」

その声に、びくっとするゲンドウ。
そのおびえた様子に、満足感を得るリツコ。
ゲンドウの足元の方にまわると、足がつながれた鎖の端が括り付けられているベッドの
柱の部分をキリキリと回す。
仰向けに大の字になっていたゲンドウの足だけが、徐々に持ち上がる。
そして、リツコはおもむろに手をその空間ができたゲンドウの太股の下に入れる。

「やめるなら今のう…くくく…内だ、赤木君…うぬぅ。」

リツコは、服の上からゆっくりとなでていたゲンドウの太股を軽くつねる。

「ゲンドウさん…あなたがなぜ、私を迎えてくださったのか…良く分かってるつもりで
すわ?ですから、私はその御恩にこたえさせていただこうと思いまして…」

目は、こうされたかったんですよね?といっている。
そしてリツコのしなやかな指は、まるでキーボードを叩くように軽く…軽く内腿を掠め
るように徐々に上へ上へとなでていく。

「やっ、止めるんだ…くふぅ…」

その願いが通じたのか、リツコはゲンドウの股間寸前までいっていた指の動きを止める

そして、おもむろに司令服の襟元に手をかけると…


ジジジジジ…

と、襟元から袖口に向けての隠しジッパーを開いていく。
それは、あたかも拘束されたままでもその服を破らずに脱がす事ができるようになって
いた。
いたるところにあるそんな隠しジッパーを的確に開いて、ゲンドウをトランクス一枚と
いう、ほぼ素っ裸といって言い状態に持っていく。
ゲンドウの方はたまったものではない。

「なっ、何だというんだ…この服は?赤木博士、何かしたのか?」

あら?というふうにリツコはあらわになったお腹の肉に指を這わしながら、

「所長のその服をデザインなさったのって、どなたでしたっけ?」

ちなみに所長の服と、後の司令服は同じである。
理由は、後に分かる…だろう?
その言葉にゲンドウは、今は長い眠りに就いている妻の顔を思い出す。
(「よくお似合いですよ」)
とは、この時のためのものだったのだな…
と、自嘲気味に考える…時間も無いようだ。

「はぐぅ…ぎはぁぁ」

リツコのくすぐり攻撃が再開する。
えてして、キーパンチャーの指は細い。
そしてその指がわさわさと隈なくといっていいほど体中を這い回るのだ。

(あら、ほんと。これは面白いわ。)

こんな髭面の男に、何が魅力があるのか…
母を死に至らしめるほどの事なのか?
あの、ユイさんがどうしてこんな男と…
いろいろな疑問が一気に解けた瞬間であり、そして自分の最大の「おもちゃ」を手に入
れた瞬間であった。

 


そうやって、何分か指を這い回らせた後。

「そろそろ、次に移りましょうか?」

と、あごの下から喉仏、その下あたりを指で軽くなでながら真下に見下ろすゲンドウの
顔に問い掛ける。

「あっ、赤木君…いいか…はうぁぁぁ…」
「まだそんな事を言われるのですか?分かりました。こちらも考えがあります。」

といって、ベッドのしたあたりをごそごそとしはじめるリツコ。
何が起こるのか、歯ブラシか?電動肩モミ機か?それとも…と思考を巡らすゲンドウの
その目に映ったのは…

「…紙パック入りの牛乳だと?」
「あら、これはお気に召しませんでしたか?」

と、次に取り出したのは習字用の毛筆である。
今度こそゲンドウには恐るべき、精神破壊兵器の登場であった。
真っ青な顔をしたゲンドウ。
そしてリツコは、取り出した毛筆の先に先ほどの牛乳をつけてゆっくりと、ゆっくりと
ゲンドウのからだの上に文字を書いていく。
それは、彼女の名前であったりはたまたその母親や、男の妻の名前であったりする。

「はぐぐぐぅ…ぎゃはぅふぅふぅうう。」

筆は、元々赤ん坊の軟らかな髪の毛で作る事もあるほど、その先はわさわさとしている

そして、ひたした牛乳で幾分尖ってはいるものの、それを肌の上でちょんちょんとされ
ると…

「い゛い゛い゛い゛…」

ゲンドウはうめくだけだ。
脇腹、へその上、窪みという窪みに牛乳の水溜まりを作っていく。
そして、リツコはゆっくりとその筆を上に上げる。


「お楽しみいただけました?まだ、ご恩はお返しきってないと思いますが…」
「はぁ、はぁ、はぁ…なっ、何を言い出…すのだ。」

完全にくすぐりで息が切れているゲンドウ。
リツコは、もう「あの」碇ゲンドウが目の前でもだえる姿を見て「快感」を得ている。

「もっ、もういいだろう…私を解放したまえ…」

それが無意味だという事がわかっていながらも、ゲンドウはリツコに問い掛ける。
リツコは、ふっ、とさみしげな瞳をする。

「碇所長…いえ、ゲンドウさん…私が、あなたのその心の隙間を埋めて差し上げますわ
。ですから、ユイさんじゃなくて、母さんじゃなくて、私の事を…見ていただけますか
?」


ゲンドウの瞳が、いっそう怯えた光を出す。
怖さに、顎が縦にゆれる。
それを肯定ととったのか、リツコの瞳が、優しさ…失礼…喜びに満ちた光を放つ。
そして、ゆっくりといつのまにか後ろにできた檻にかかっている錠をはずす。













「お行きなさい、私のかわいい…「なぁぁぁごぉぉぉぉ」」












その檻から出てきた無数の小動物…それを猫という…に押しつぶされるリツコ。
ちょっとしたご愛敬だろう。
猫達はいっせいにある一点を目指して、駆け巡る。
ちなみに解説すると、この猫達、丸二日ばかりなにも与えていなかったりする。

ゲンドウに群がった猫は、一斉ににその体にたまっているミルクをなめはじめた。

その瞬間、ゲンドウの中で記憶の片隅の耐震金庫(鎖で厳重に巻いてある)の中に仕舞
い込んだあの懐かしいユイの顔が浮かび、再びあの熱い想いが生まれいずる。




「うっぎゃははははぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁ」

 




そしてフェードアウト…


 

 

 

 

 



「ちょっと、リツコ。」

同期入社の葛城ミサトが話し掛ける。

「最近、やけに司令達ぴりぴりしてない?」
「そうね…そう言えば、サードチルドレンの招集もかかっていたわね。」

なぜぴりぴりしているか、ゲンドウから直接聞いて理由が分かっているリツコは、曖昧
ながらも親友の言葉にあわせる。

「そうなのよ、これがまたかわいい子でさぁ?」

その言葉にリツコがちょっと引く。

「ミサト…あなたってひょっとしてショ…」
「だあぁぁぁ、んなわけないでしょ?」
「そうよね、加持君がいるんだし。」

面白いように顔色を変えるミサト。
その友人の一人百面相を、横目に涙ぐんでいるオペレーターがひとりいる事に気がつく。
かわいそうに…日向君も…
リツコは心の中でそう付け足す。

「でさぁ、こうもぴりぴりしてちゃ疲れがたまっちゃって、いざ使徒がきたときにはな
んだか使い物にならないんじゃないかって思ってね。飲みにいかない?久しぶりに。」
「あら、それもいいわねぇ?でも、私は今日はパス。あの子達を誘ってあげて。」
「なんでよぉ?」
「零号機の修復計画書、ならびに初号機の第12次整備計画書。碇司令がお冠なのよ。


と、リツコは肩を竦めてみせる。
ならしょうがないわね。とミサトも諦めて、オペレータ三人組を飲みに誘うのだが、こ
の三人が翌日ホントに使い物にならなくなってしまっていたのは、何も緊張の所為では
ないだろう。




ドアをノックして零号機の起動実験の行われたケージに入るリツコ。
ゲンドウはベークライトで固められた零号機を見下ろしている。

「…以上が、報告書です。」
「…ん。わかった。」

ゲンドウは終始、リツコとは目を合わせようとしない。
それを幸いに、リツコはゲンドウの真後ろに移動する。
その威圧感にゲンドウの頬に一筋の汗が流れる。

「司令…今日お時間…」
「わっ、わかった、つくる、いや、つくろう…」


リツコの口元がにやりと釣り上がった。

 

 




そして数日後、至高のくすぐり者と最高のくすぐられ者の血をひいた、人類の史上最大
最強の潜在能力を秘めたくすぐり戦士がこの街にやってくることになる。


終わり。


こめんてぃど、ばぁい鮭
「燃え尽きた、燃え尽きたぜ…真っ白によぉ…」


こめんてぃど、ばぁいB口(友情出演)
まぁ、こんなもんでしょう。
でも、これ以上はこいつには無理ですねぇ…
元々お笑いの才能が無いから。
こんなお目汚しでよければ、何か感想を書いてやって下せぇな。
ちったぁ、まともな文章を書くように…成れればいいけどねぇ(ふぅ)
以上です。
追伸
おい鮭、その後ゲンドウのくすぐられ姿のビデオが赤木リツコの名のもとにNERV出版部
より発売されたってネタはどこへ消えたんだ?




中昭のコメント
  「魁作経由Unknwon」さんに頂きました。
  「くすぐり新世紀 外伝」です

  >「ふっ、今度こそ、今度こそ久しぶりにまともに…」
  ・・・まともにしたことあるんですか?

  >私は教本通りの位置に手を伸ばす。
  教本?

  >「だめなのか…もう」などと、某少女みたいな言葉をつく。
  ケリケリケリケリケリ

  >「碇ゲンドウのくすぐり方」
  >著:碇ユイ
  >補筆:赤木ナオコ<くすぐりベッドの使用法>
  >といって、裏側の「NERV書籍部−定価2800円(税別)」をみせる。
  ・・・市販されてたですか。
  自費出版かな。

  >そして自分の最大の「おもちゃ」を手に入れた瞬間であった。
  うーむサダメじゃ




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