「EVAはなれるわーるど」第1話

“変な八百屋”がんざんち




『 雪、這い出したあと 』



『予告』


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常夏の第参新東京市に雪が降る。


埋もれる街、ふるえる人々。


2万メートル上空の使徒にEVAは、はたしてどう立ち向かうのか?


今,第参芦の湖に初号機が舞う!!


次回、「雪、這いだしたあと」


さーて、次回もサービス、サービスぅ


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ミサトのマンション・・・午後11時
『ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・』
アスカ「よく、降るわねぇぇ。」
シンジ「おかげで、蒸し暑いよねぇ。」
ミサト「もう寝なさいよぉ。あしたも学校でしょ?」
シンジ&アスカ「はぁぁぁい。」

同時刻、レイの部屋
『ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・』
レイ 「・・・・暑い・・・・。」

『ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・』
 その日,第参新東京市を襲った豪雨は、皆が寝静まったころ、いつしか白いものに
変わっていた。そして翌朝。

アスカ「なによ、これぇ。」
あたり一面の銀世界が広がっていた。積雪は現在1m。しかもまだまだやむ気配すら
ない。
シンジ「わぁぁ、すごいやぁ。」
ミサト「これは、いったいどうなってんの?夢でも見てるの?」
アスカ「雪、雪なのねこれが。初めてみたわぁ。」
シンジ「僕だって初めてだよ。」
シンジとアスカは初めてみる雪にひとしきり感動していた。そして、
シンジ&アスカ「さ、さ、さぶぅーーいぃぃぃぃ。」
はじめて「冬物」がないことに気がつく。あわてて着るものを探す二人。何枚か重ね着
をした上に体育のジャージを着込むがとても耐えきれない。ふたりともしかたなく、
頭から毛布をかぶる。
一方、ミサトはというと、ネルフの制服を着込んでその上から布団をかぶっている。
三人ともひどくなさけない。
エアコンは製造以来はじめて“暖房”の機能を作動させられた。それも全開で。
ミサト「こりゃぁ、しらふじゃやってられないわ。」
と、何やら強そうな酒をあおる。
アスカ「ミサトぉ、ずるいよ、あたしたちはどうすんのよ。」
ミサト「このままじゃだめだわ。とにかくネルフ本部に逃げ込みましょぅ。」

あれから1時間、三人は一番近いジオフロントへの入り口を掘り起こしていた。
アスカ「あたし、もう、だめ・・・眠いの。」
シンジ「しかりしてよ、アスカ、寝ちゃだめだ、寝ちゃだめだ、寝ちゃだめだ・・・」
アスカのほっぺをぴしゃぴしゃと叩いて何とか起こそうとするシンジ。
ミサト「もう一息よ、二人とも頑張って・・・わぁぁ。」
足元の雪が重みでどっと崩れて、3人はやっとの事で本部への入り口にたどり着いた。
アスカ「いったぁぁ。」
シンジ「アスカ、大丈夫?」
アスカ「・・っっ、ああ、このばかシン!!さっきはよくも引っぱたいてくれたはね。」
    
『ぱんっ』

シンジ「・・・こんなの・・・ひどいよ(T.T手)
かくして3人は辛くもネルフ本部に逃げ込むことができた。

そいでもってネルフ本部、発令所
冬月 「こんこともあろうかと思って用意しておいた甲斐があったよ。」
冬月の命令で倉庫をあけられた。そしてネルフ職員全員に、背中に大きくネルフの
マークを染め抜いた「どてら」が支給された。足をお湯をはったタライに突っ込んで
人心地ついたゲンドウは、眼鏡を曇らせつつ、つとめて何食わぬ顔で
ゲンドウ「状況は?」
シゲル 「はいっ。現在、気温マイナス15度、依然下降中。寒波はこの
第参新東京市 を中心に半径10kmに限ってのことのようです。」
冬月 「このようなばかげたことができるのは・・・。」
ゲンドウ「ああ。使徒に違いない。索敵を急げ。おそらくは寒気の中心に
奴はいる。」
程なく第参芦ノ湖上空2万メートルの地点に正体不明の影をレーダーが
捕らえた。
マコト「識別はターン『青』。間違いありません。使徒です。」
超望遠レンズで捕らえられた使徒の姿を一目見た人々は、
一同 「まるで”風神”だ。」
そう、人型の使徒が雲のような台座に立ち、背中は大きな袋のようにふくらみ、
右の脇から冷気の噴射口らしきものが伸びて雪まじりの突風を吐き出していた。

ミサト「直ちに迎撃します。EVA発進用意、シンジ君、アスカ。」
シンジ「あの、綾波はどうしたんですか?」
アスカ「そうよ、非常招集でしょ。」
リツコ「それが、連絡がとれないのよ。」
シンジ「ええ?」
リツコ「レイの携帯は鳴っているのだけれど、出ないのよ。着信地点はレイの部屋
    だから、いるはずなんだけれど。」
ミサト「困ったわね。あの娘が黙ってどこかに行くはずないし。」
リツコ「いま、マヤが見に行ってくれているわ。」
ミサト「しかたない、二人で出撃して。」
アスカ「しょうがないわね。」
シンジ「綾波・・・だいじょうぶかなぁ。」

ケージから、初号機と弐号機がリフトでリニアシューター発進口に上がってくる。
ミサト「いいわね、地上に出てポジトロンスナイパーライフルによる超長距離射撃
    で使徒を攻撃。いいわね?」
シンジ&アスカ「了解。」
マコト「葛城三佐、発進口が、開きません。」
ミサト「なんでよ?」
シゲル「どうやら積雪により、開口部が凍結している模様です。」
ミサト「何とかなんないの?」
マコト「今,散水で雪を溶解中・・・・あ、開口確認。」
『どさどさどさ・・・』
初号機と弐号機の上に大量の雪が降ってくる。
アスカ「うううううっ。さいってぇーーーっ。」
ミサト「発進っ。」
一気に射出される初号機と弐号機。ニ体のEVAはほどなく銀世界の市街へとたどり
着いた。
シンジ「すごい、町中真っ白だ、結構きれいだなぁ。」
アスカ「あんた、ばかぁ?『過ぎたるは、お呼びじゃない』って言うでしょ。」
シンジ「わかってるよ。」
やはり、リフトに乗ってポジトロンスナイパーライフルが上がってくる。受取る
初号機と弐号機。
2体のEVAがポジトロンスナイパーライフルを構える。
オペレーターが、発射の準備を告げる。
「加速器同調スタート、電圧上昇中、強制収束機作動、薬室内圧力最大、最終安全装置
 解除、全て発射位置。」
ミサト「てっ。!!」
アスカ「いけぇ。」
シンジ「くっ。」

『ちゅぃぃぃぃぃぃぃん、どどぉぉぉぉぉぉぉぉぉん』

二銚のポジトロンスナイパーライフルが火を吹く。
雲を貫き,使徒に向かう2個の陽電子のかたまり。
しかし激しい雪嵐と厚い雲を突き抜けた時点で、陽電子弾のエネルギーは2割は失わ
れていた。そして使徒はATフィールドで難無くそれを防いでしまう。

『きぃぃぃぃぃん』

シゲル「だめです。この距離では悪天候にはばまれて、敵ATフィールドを貫通する
    にはエネルギーがたりません。」
マコト「しかし、出力は最大です。もぅ、これ以上は・・・。」
マヤ 「銃身、冷却終了、再加圧開始、次弾発射まで10秒。」
ミサト「あきらめないで、アスカ、シンジ君、いくわよ。」
シンジ&アスカ「了解。」
ミサト「てっ。!!」

『ちゅぃぃぃぃぃぃぃん、どどぉぉぉぉぉぉぉぉぉん』

だが,結果は同じであった。
マコト「だめです。使徒、健在です。」
それから数度ポジトロンスナイパーライフルが発射される。
シゲル「EVA両機、ライフル残弾ゼロ。」
マコト「どうします?葛城三佐。」
ミサト「しかたない,一時撤退。」
アスカ「えーーっ?まだ一発もまともに当たってないわよ。」
ミサト「このままじゃ何発撃ったっておんなじよ、速やかに撤退。いいわね?」
シンジ&アスカ「了解。」
しぶしぶ引き下がるアスカ。初号機と弐号機はリフトで帰還する。

ミサト「超長距離射撃は無理か・・・。となるとやっぱり。」
リツコ「近接戦闘しかないわね。」
ミサト「これはちょっち厄介だわ。EVAを空中まで運ぶ手だては?」
マコト「この天候ではキャリアーの飛行は無理ですね。」
ミサト「うーーん、打つ手無しか・・・。」
リツコ「作戦が必要ね。」
と、そこへアスカとシンジが入ってくる。
アスカ「ああーーっもう最低っ。ねぇ、ミサト何とかなんないの?」
ミサト「今作戦を立案中よ、少し待って。」
シンジ「あの・・・ところで綾波は?。」
リツコ「レイは医務室よ。」
シンジ「えぇっ。綾波どうかしたんですか?。」

医務室。
レイ 「クシュン」
マヤ 「38度5分。完璧に風邪ですね。私が駆けつけたときにはベッドで
ふるえていました。」
シンジ「綾波、大丈夫かい?。しかし、いくら寒いからって。」
レイ 「寝苦しかったから、窓、開けて寝てた。」
シンジ「・・・そぅ。」
マヤ 「しかし困りましたね、またすぐにも出動化もしれないのに。」
レイ 「クシュン」
熱で上気して、焦点の定まらない目を少しうるませているレイを見ていて、シンジは
なぜかどぎまぎしていた。
シンジ(なんか・・・・・いいなぁ。)
をいをい、何考えてんだこんなときに。

そいでもって1時間後中央作戦室にて
リツコ「作戦が決まったわ。」
アスカ「どうやって撃ち落とすのよ?」
ミサト「いいえ、こっちから出向いてたたきのめすのよ。」
シンジ&アスカ「??」
ミサト「氷結した第参芦ノ湖の上でEVA2体が電磁ネットを広げて、
ATフィールドを展開します。そしてその上で残りのEVA
がATフィールドを展開してジャンプ。これを繰り返して
反発磁力とATフィールドでEVAを高度2万メートルまで
押し上げて、一撃離脱で使徒を倒します。」
アスカ「えぇーーーっ。マジ?」
ミサト「大マジよ。ポジトロンライフルでの狙撃は吹雪のため、ほぼ
不可能。結局相手の懐に飛び込んでの近接戦闘、あとはいつもと
同じね。」
ゲンドウ「零号機パイロットの容体は?。」(少しぬるくなってきたな。)
リツコ「解熱剤を投与。作戦までにはとりあえず熱は下がるでしょう。」
ゲンドウ「なら、問題はない。」
リツコ「では、以上の作戦をこれより『 芦ノ湖トランポリン作戦 』と呼称
    します。」
立案者のリツコが胸を張って高らかに宣言した。
声も無い一同、
リツコ「どうしたの?何か変?」

2時間後氷結した第参芦ノ湖湖畔
『 芦ノ湖トランポリン作戦 』の準備は困難を極めた。適当な
変電設備の確保。アンビリカルケーブルの延長。そして簡易現地司令室の
設営。テントは豪雪でつぶされるため結局EVAの手で巨大な「かまくら」
が作られた。そして、作戦各担当の選出・・・・・。

アスカ「あたしはいやよ。こういうマヌケなのはシンジの方がお似合いよ。」
アスカ(あたしが高いとこ苦手だってばかシンジにだけは知られるわけにゃい
かないもんね。)
リツコ「確かに運動神経はアスカの方が上だけどシンクロ率ではシンジくんの
方が期待できるものね。」
シンジ(結局、よごれ役はいつも僕なんだ・・・・・。)
というわけでオフェンスはシンジ、バックアップはアスカとレイに決まった。
シンジ「綾波だいじょうぶかい?。」
レイ 「ずびっ(はなをすすっている。)なんとか。
解熱剤で37度近くまでは熱が下がったが、薬のせいでなんとなく頭がぼぉっ
としているレイであった。焦点が合わないうるんだ瞳を見てまたまたシンジは
シンジ(いい・・・・・かもしんない。)
をいをい。この非常時に・・・

そしていよいよ作戦は開始された。
マコト「作戦もスタートです。」
ミサト「いいわよ、シンジ君、はじめて。」
シンジ「はっはい。」
初号機が弐号機と零号機のげた電磁ネットの上でぴょんぴょんやりはじめる。
そして弾みをつけて大きくジャンプする。アンビリカルケーブルをなびかせつつ
初号機が宙に舞う。
シンジ「はっ。」
落下してくる初号機。見事にネットから外れて湖面に激突する。

『どがしゃぁぁぁぁぁん』

アスカ「何やってんのよ、どじなんだから・・・。」
シンジ「・・・・ごめん。」
リツコ「気をつけて。一応計算では氷の厚さは十分だけど、不要な衝撃は与えない
    でね。」
シンジ「は、はい。」
それから2回、初号機は電磁ネットからはずれて氷結した湖面にひっくり返る。
最後にはアスカの弐号機にげしげし蹴りを入れられた。
しかし、5回目にはこつをおぼえて、順調に高度を上げていった。そして
シンジ「うわぁぁ、た、高い・・・。」
ミサト「我慢なさい、おっとこのこでしょ?」
シンジ「現在の高度 2万1千メートル。使徒を肉眼で確認。次のジャンプから
攻撃に移ります。」
初号機の武装はソニックグレイブ とバレットガンのみである。使徒と同じ高度を
保てるのはせいぜい10秒。その間にバーニアをうまく使って接近して、
攻撃をかけて下降する。

『びょょーーーーーーーーーーん』 (飛び上がる音)

シンジ「このぉぉぉ、あたれぇぇぇぇ。」

『ドガガガガガガガガガガガカッ』 (ライフルの一斉射)

『ひゅーーーーーーーーーーーっ』 (落ちていく音)

使徒もシンジの攻撃をかわして逃げる。どうやら吹雪を起こす以外の能力は
ないらしい。逃げる使徒を追って下では零号機と弐号機が電磁ネットを持って
どたばたと走り回る。
アスカ「はぁはぁ、こりゃけっこうきついわ。」
レイ 「弐号機、もっと着地点は左よ。 ずびっ。」
アスカ「何いってんのよ。右よ、右。」
とかいって初号機を受け損ないそうになる。正直言って連携が悪い。
シンジ「ライフルの弾も残り少ない。どうする?ああっ。」
使徒が新たな攻撃に出た。寒気の噴射口に白い氷の塊ができはじめる。それはみる
みる伸びて氷の槍へと変わる。

『ばしゅっ』

氷の槍が射出される。
シンジ「うわっ。」
姿勢制御バーニアを使ってかろうじて避ける初号機。しかし自由落下状態では避け
きれない。使徒は次々と氷の槍を発射してくる。そして、ついに

『がしぃぃぃぃん』

氷の槍が初号機の右手のパレットライフルに命中する。
シンジ「ああ、ライフルが。」
アスカ「なにやってんのよ。下にいるあたし達のことも少しは考えなさいよ。」
下降を開始する初号機。
シンジ「よぅし。いちかばちかだ。」
弐号機と零号機が広げる電磁ネットがぐんぐん大きくなる。
シンジ「でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぃ。」
ひときわ高くけり上げて初号機が上昇を開始する。
ミサト「ああ、そんなに高く飛んだら・・・飛び越えちゃうじゃないの。」
リツコ「シンジ君は上を取る気だわ。」
初号機は使徒より更に千mほど上に到達した。その右手には背中から回された
アンビリカルケーブルが輪になって束ねられていた。
シンジ「ええええいっ。」
初号機は投げ縄のようにそのアンビリカルケーブルを使徒に放つ。からみつく
ケーブル。初号機はケーブルを手繰りよせて、ついに使徒に組み付いた。アンビリ
カルケーブルがピーンと伸びる。
アスカ「あれ、落ちてこない。」
シンジ「綾波、アスカ、引っ張って。」
レイ 「了解っ。」
アスカ「なるほど、あんたにしては上出来よ。せーのー」
零号機と弐号機が初号機のケーブルを引っ張る。使徒もさすがに激しく抵抗して
いたが、初号機が空に向けてバーニアを一斉に吹かすとバランスを
崩して落下をはじめた。

『ひゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるっ』

しかし、真下には零号機と弐号機がいたのだった。
アスカ「こ、このばかシンジ、下にはあたしたちがいるのよっ。」
レイ 「問題無いわ。このまま、近接戦闘に持ち込みます。」
アスカ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ。こぉなぁいでぇぇぇぇぇぇぇぇっ。」

『どっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん』

使徒と初号機は電磁ネットを突き破り、それまでEVA2体で走り回ったため
ヒビだらけになった湖面の氷をも突き破って零号機、弐号機もろともに水没した。
レイ 「早く、とどめを。」
アスカ「わかってるわょ。」
ア&シ&レ「でぇぇぇぇぇぇぇい。」
EVA3機は3方からプログナイフで使徒のコアを串刺しにしつつ湖面に
躍り出る。しかし使徒は最期の力を使って第参芦ノ湖を湖底まで凍らせた。

『ぴきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん』

再び静けさを取り戻した第参芦ノ湖。その凍った表面にはコアを串刺し
にされて絶命している使徒と、それを支えるような格好でプログナイフを
突き上げている EVA3体が閉じ込められた巨大な氷の柱がまるで
オブジェのように夕日を浴びて立っていた。

シンジ「さっ寒い。」
アスカ「もぉぉぉ。早く出してよぉ。」
レイ 「ヘーーーークシュン。」

3人が、削岩機で氷を割りつつエントリープラグから救出されたのは、それから
2時間後のことであった。

そして、翌日。

アスカ&シンジ「へーーーーーくしょーーんっ。」
見事なユニゾンで二人のくしゃみがミサトのマンションに響きわたる。
リビングに二つの布団が敷かれてシンジとアスカが、仲良く氷嚢を頭にのせて
寝ている。傍らにはレイがすわっている。
アスカ「んもぅ、ほんとにシンジは・・・・○×△□:*@・・・・。」(シンジ
への悪口雑言)
シンジ「・・・ごめん。」
アスカ「大体なんでこのあたしの上に落ちてくるのよ。 げほげほ。」
シンジ「だってしかたないじゃないか。あの場合。げほげほ。」
アスカ「男のくせに言い訳なんか見苦しいわょ。大体・・・へーーくしょん。」
レイ 「興奮すると、良くないわ。」
アスカ「なぁんでファーストの風邪は治っちゃってるのよ。まったくもぅ。」
レイ 「走りまわって、汗、かいたから。」
アスカ「本当に走ったのは零号機じゃないのよぉまったく。」
レイ 「薬、もう一服、飲む?」
アスカ「いらないわよ。ぷんぷん。あぁぁ気分悪い。頭痛い。もぅ最低。」
耳元でアスカのため口が炸裂する。
シンジ「ううう、熱、上がりそう。」
その時、レイがごく自然にシンジのおでこに自分のおでこをくっつけてきた。
レイの目が自分の目を覗きこんでいるような気がした。鼻息がかかる。
シンジ「!!」*^_^*
アスカ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ。
    なっ何やってるのよ、あんたたちっ。」
レイ 「熱、計ってる。」
やっとおでこをはなしたレイがいつもの口調で答える。しかし、なんとなく
顔がほてっているのは気のせいだろうか?
一方シンジのほうはというと
シンジ「生きててよかった。」
レイ 「ゆっくり寝てて。」
アスカが布団を跳ねのけてがばっと立ち上がる。
アスカ「あ、あ、ああんた・・・・ば・・・・・(((。o゚))))((((゚o。)))」
いつもの一言を言おうとして、ふっと立ち眩みに襲われるアスカ。そのままアスカは
幸せの余韻を噛み締めるシンジの頭にヘッドバットを食らわせる。

『ごいん!!』

アスカ「・・・きゅう(@_@)」
気絶したアスカを布団に戻すレイ。もちろんシンジも目を回している。
シンジ「ふにゃぁ(*_*) 」
そして、こぶのできたシンジのおでこに、そっとキスをする。
レイ 「ゆっくり寝てて。」

 常夏の第参新東京市は、昨日の寒波もおさまり今日も暑くなりそうだった。
だが、この一角だけは春の陽気であった。

                     完

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