エヴァクエ!

 

ここではない何処か、今ではない何時か(なんかどっかで聞いたことあるような前口上だけど気にしない)。そんな場所での物語。

 

 

第1章 王宮の(似非関西人)戦士

 

そのいち

 

パカパカ〜ン、パカパカ〜ン、パカパカパ〜ン!

 

高らかと鳴るラッパ。何故ラッパが鳴っているかなんて考えちゃ駄目だ。そんな事を考えていると気がついたらおじいちゃんになっちゃうぞ。ありのままを受け入れるって事も人生必要なんだね。さあ、また一つ賢くなったぞ(君はレベルが2になった!)。

冗談はこのくらいにして。

ここは何処か?厳かな雰囲気、床には真っ赤な絨毯、ふちは金の刺繍がしてある。天井には不必要なくらいに大きなシャンデリア。左右を見渡せば親衛隊がずらりと並んでいる。それらに囲まれるようにして、その国、バトランドの名うての戦士が集まっていた。

ここはバトランド城の広間。彼ら戦士は王を待っていた。

 

と横で立っていた一人の兵士が高らかに声を上げた。

「王様のおな〜り〜〜〜〜〜〜」

・・・・おいおい(汗)。

正面の扉の中からゆっくりとバトランド王があらわれた。ひれ伏す一同を見回した後、これまたゆっくりと口を開く。

「よく集まってくれた皆のもの。かしこまらんでも良い、顔を上げい」

皆顔を上げる。

「さて、皆に集まってもらったのは他でもない。この中にも耳にしたものは居るであろう。ここから北東に行ったところにある『イムルの村』での連続子供失踪事件についてじゃ。ちなみにこの名前を付けたのはワシじゃ。どうじゃ、なかなかのものじゃろ?これでもワシはな推理小説には目が無くての、とくに森博○とか京極○彦とか・・・・」

「おっほん!」

隣に立っていた大臣がわざとらしい咳払いをする。

「おっと、すまんすまん。どこまで話したかな?そうじゃ、連続子供失踪事件じゃったな。知っている者も居るとは思うが、最近イムルで子供達が次々に消えると言う事件が起こっておる」

顔をしかめ明らかに嫌悪を示す。

「今日も涙ながらに母親たちがわしに助けを求めて来たのじゃ。この国の次の世代をになう子供を、次々と誘拐していくなどとはふとどきせんばん!お天道様が許してもこのバトランド王が、あっ、ゆるしゃ、しね〜〜〜〜ぜ〜〜〜〜〜〜〜」

ぽん、ぽんぽんぽんぽんぽんぽんぽんぽん、「いよ〜ぉ」、ぽん。

どこからか合いの手が入る。

「うおっほん!!」

先程よりも強めに大臣がまた隣で咳払いをする。

「おっと、また少しそれたようだな。それで諸君等にはこの事件の調査をし、わしに報告するのじゃ。いいか皆のもの、この事件には子供たちの尊い未来が、ひいてはバトランドの未来がかかっているのじゃぞ。心してかかるのじゃ、良いな。では、頼んだぞ」

「「「「「「「「まっかせなさい!!!」」」」」」」」

なんだ、みんなそんなノリなのか(汗)。

 

王は皆が出て行く中で、一人の戦士に声をかけた。

「トウジ、こちらへ」

やっと彼にスポットライトが当ったか。さっきから何度突っ込もうと思ったことか。この厳かな雰囲気の中、何故か一人だけ完全に場違いな服装、黒ジャージを着込んで王の話を舟をこぎながら聞いて(?)いた人物、鈴原トウジが王に呼ばれた。

「王さん、なんでっしゃろか?」

某プロ野球監督のように呼ぶ黒ジャージの青年。イントネーションがどことなくおかしい。関西弁のようで少し違う。なんか無理に関西弁を喋ろうとしているようだ。

「うむ、トウジよ。お主はその若さにしてこのバトランドの戦士長となった男だ。おぬしの活躍、期待しておるぞ」

するとトウジは大きくそらした胸を叩くと、

「まかしとかんかい!そんな事件、ワイにかかればちょちょいのちょいで解決や。ま、大船に乗った気持ちでまっとってーな」

そう言ってのけた。

「う、うむ。頼んだぞ」

完全に気迫負けである。王に背を向けすたすたと歩いていくトウジ。

その背を憂いを持った瞳で見送る。

「頼んだぞ、トウジ」

その呟きは空気に溶け、誰の耳に届くことも無かった。

 

広間を出てそのまま城を出ようとしたトウジだったが、

「お待ちください、トウジ様!」

と言う言葉で歩みを止めた。

「ん、誰や?」

「無礼を承知で申し上げます。私は、イムルより来ましたジーナと言うものです。私の息子を、コウを助けてやってください!私の目の前であの子、急に消えてしまって!」

縋りつくように泣いて頼むジーナ。これにはさすがのトウジも参った。

「なんや、ちょっと落ち着かんかい」

賢明に宥めようとするが、一向に落ち着く気配は無い。「コウは生きてます、私には判るんです。どうか、どうか・・・・」そう言って泣き崩れてしまった。

(困ったもんやな。気持ちは分からんことも無いけど・・・)

これだけ取り乱していては、詳しく事情を聞くことも出来ない。

トウジはジーナの目を覗き込み、なるだけ優しい調子で言う。

「大丈夫や。コウはワイが絶対助け出したる。だからあんたはワイを信じてまっとってくれんか?」

その言葉を聞いたジーナは真っ赤に腫らした目でトウジを見返し、何も言わず黙って深々と頷いた

「よっしゃ、あんさん、どうせ寝てないんやろ?よくゆうやないか、『果報は寝て待て』ってな。おい、そこの」

近くにいた近衛兵を呼びつける。

「はい、なんでしょうか?」

「この人をどっか休めるとこまで連れてったり。ほなな、行って来るから」

その場から立ち去ろうとする。

「あの!・・・これ、使ってください」

取り出したのは薬草と50G。トウジは黙って薬草だけ受け取る。

「あの「コウが帰ってきたら、そっちの金でおもちゃでも買ったりや」

そう言うと、門の方へと歩き出す。

ジーナは黙したまま、深々と頭を下げるだけだった。

 

「あっ、トウジ様。誘拐事件ですね。頑張ってください」

「トウジ、他の戦士様たちはもう行っちまったよ!何とろとろしてんだい!」

「トウジ兄ちゃんだ〜。遊んで〜」

「こら、いけません。トウジ様は大事なようがあるの。すみません、トウジ様。気をつけてくださいましね」

「トウジ、怪我したらいつでも帰ってこい。よく効く、いった〜い薬用意しといてやるから!」

城から出るとすぐこんな感じ。出会う人出会う人すべてに声をかけられる。彼のカリスマぶりが見て取れるというものだ。ところでみんな、なんでジャージを突っ込まないんだろう?慣れてしまっているのだろうか。

「わかっとるって。こんな事件、すぐ解決したるわ」

「おい、トウジ!」

振り向くといつも世話になっている道具屋の親父が立っていた。

「おう、どや景気は?」

「お前がツケのぶんを払ってくれたらぐんぐん上昇するぞ」

「おっちゃん、それだけは堪忍や」

豊かに蓄えた髭を触りながら愉快そうに笑う。

「ハッハッハッハ、お前からの金なんか期待してないよ。ところで、イムルの方まで調査に行くらしいな。ほら、持ってきな」

そう言って薬草の3つ束になったものと、毒消し草を投げてよこす。

「この辺りも、昼夜をとわずモンスターが出るようになっちまったからな。気をつけていけよ」

「すまんな、おっちゃん。借りとくわ」

「ああ、いつでも返しに来い」

男くさい笑顔を見せる。

(ほんま、ええ町や)

そんな思いを胸にその場を後にした。

 

「さて、ほんなら行きますか」

あの後も、防具屋の奥さんから皮の帽子と皮の盾を譲り受け、装備も持ち物も万全といった感じで、イムルの村へ向かおうとしていた。

城下町の出口付近で、

「トウジ様」

という声を聞き、立ち止まる。あれ?さっきと同じ展開。

「あれ、フレアさんやないか。どないしたんや?」

「あの、実は・・・・。夫の、アレクスの行方がわからなくなってしまったんです」

「なんやて!?」

目線を落とし、肩も落としゆっくりと話すフレア。

「この間、『ちょっと行ってくるから』と行って家を出たきりで・・・・。あの、お忙しいのは分かっています。ですが、もし旅先でアレクスを見かけたらぜひ私に知らせて欲しいのです!」

両目に涙をいっぱいにため、懇願するフレア。

トウジはこの夫婦の中むつまじさを知っているし、フレアの手料理もご馳走になっている(まあ、その時凄まじく当てられたというのは可愛げのある話)。そして、彼の性格からして断れる筈がなかった。

「分かった。さすがにワイも王さんの命令やさかいそっち中心ちゅう訳にはいかんけど、もしアレクスを見かけたら絶対フレアさんに知らせに来るわ」

「本当ですか!ありがとうございます、ありがとうございます。お礼は必ずさせていただきます」

「お礼か・・・。そんじゃ、またフレアさんの手料理でも食わせてもらおうかな。3人で」

そのセリフを聞くとフレアはにっこりと微笑んだ。

「はい。たくさんご馳走作らせていただきます」

「やっぱフレアさんはわらっとたほうが綺麗やわ。ほら、そうと決まったらはよう家ん中入って飯の用意せな」

「はい。・・・ではお気をつけて」

 

こうしてバトランド城を後にした。

 

 

「てやぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ザンッ!

小気味良い音とともに目の前の青い物体、スライムが真っ二つになる。

「ふう、これで全部やな」

そう言うと銅の剣を鞘へと収めた。

ここはバトランド城から半日ほど北へといったところ。もう少しいけば、川の下をくぐる洞窟が見えるはずだった。

もともとバトランド城は三方を険しい山々に囲まれ、あまり他国との交流などをせず独自の文化を育て繁栄した国である。交通が不便と言うことは、反面攻め込まれにくいということでもあり、そして逃げ道がないということでもあった。最近はこの世界も人間同士の争いも収まって来たが、新たな恐怖、夜しか出てこなかったモンスターが昼夜をとわずして出現するようになったのだ。

しかし、幸いなことにこの辺りは比較的弱いモンスターしか出ず、トウジ級の腕になるとちょっとやそっとではやられることはない。

「にしても、この辺りまでバブルスライムが出るとはなぁ。こりゃ王さんに報告せんとならんわ」

と目の前に大きなミミズ、大ミミズが現れた。

「今度は大ミミズかいな。こいつは耐久力があるさかい、気をつけんと」

鞘から剣を抜く前に、大ミミズはその巨体を生かし体当りを仕掛けてくる。かわしきれずに吹っ飛ぶトウジ。

「グワッ!!」

背中から叩きつけられる。

「っつ、やるやないか。今度はこっちのばんやで!」

鞘から銅の剣を引き抜くと一気に駆け出す。迎え撃つ大ミミズ。

「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ブシュ。

なんと無謀な。迎え撃ってどうする気だったんだ?あっけなく崩れ落ちる大ミミズ。返り血を浴び、腰を擦りながらトウジは呟く。

「いたたた・・・。ワイも腕、落ちたな」

何言ってんだか。

 

 

「なんや、いつ見てもけったいな洞窟やな」

川の手前にすべてを飲み込むようにぽっかりと口をあけたたずむ洞窟。

「しまったなぁ、だいぶ日が傾いてもうた」

夜はモンスターが活発になるので、なるべくなら日が出ているうちにイムルにつきたかったトウジ。が、出発が遅れ、モンスターの増加のせいで足止めをくらい、ここにつくともう日も落ちかけている時刻となってしまっていた。

「さっさと渡ってまうか」

地獄のそこにでも繋がっていそうなその洞窟に、一歩一歩足を進めていった。

 

「かぁ〜〜〜、くろ〜てじめじめしとって、まったく何度きても好かんわ」

階段を下りると一本道が北へと続いていく。二つに道が分かれるところでトウジはボソッと呟く。

「ったく。まあ、この辺でそろそろ・・・」

と、出てきたのは大きなクワガタ、はさみくわがたと、切り株がモンスター化したもの、切り株お化けが現れた。

「やっぱりか。ま、ええわ。さくっと倒して次いこか」

銅の剣を構え、ぺロッと舌で唇をなめる。

先に動いたのは意外にも切り株お化けだった。自分の根っこを蔓のように伸ばし足を絡めとろうとする。

「あまいわ!」

その攻撃を読んでいたトウジ。バックステップでそれをかわすと、一気に間合いを詰め、切り株お化けに真上から剣を突き立てる。

ギャアアア・・・

断末魔を残し泡のように消える。それを見たはさみくわがたは、仇とばかりに自慢のはさみで攻撃を仕掛けてくる。

「せっかちなやっちゃなぁ」

半身をずらしてまさに紙一重で交わし、背中を縦に一文字に切り捨てる。

「悪いな。まだ死ぬわけにはいかんのや」

鞘に収めながら消えたモンスターに向かってそう言った。

 

少し行くと湖が見え、その先に一人の戦士が見える。

「おっ、タリムやないか」

「トウジ、じゃなくて、戦士長」

「トウジでええて、王さんが居るわけでもないや」

「ああ。で、トウジはこれからリムルへ向かうのか?随分ゆっくりだな。もう皆すでに着いているぞ」

「まあ、ちょっと色々あってな。で、タリムは?」

「俺はこれから王のところに報告に戻るところさ。・・・トウジ、戦士長の座はお前に譲ったが、今回の事件は俺が先に解決させてもらうぞ」

瞳に決意の炎を灯らせ高らにそう宣言する。

「望むところや、ワイもそう簡単には引かへんからな」

「じゃ、またな!」

「おう、スライムに押しつぶされんよう気いつけえや!」

走り去るタリムの背を見送ると、トウジもイムルへと向う。

(ワイもウカウカしとれんちゅうことか)

思いとは裏腹に、足取りは軽い。

 

洞窟を抜け、進路を北東に向ける。

辺りは闇を纏い、すでに夜の帳が下りていた。先程、エアラットの団体様と格闘しており、夜ということもあって、かなりの傷を負っていた。

しばらく歩くと目の前に見えるはイムルの村。

「ふぅ〜、やっとついたわ」

安堵の息を洩らす。

 

 

イムルの村に着くと一軒の民家に向う。玄関の前で立ち止まると、小さく二回ノック。すると中から、

「は〜い」

というかわいらしい声が聞こえてきた。トウジはノブに手を掛けドアを開ける。

「おう、ナツミ!元気しとったか?」

「トウジ!どうしたの?あ〜、まただっさいジャージ鎧の下に着てる!あっ、分かった!みんなが消えちゃってる事件を調べに来たんでしょ?」

「何度ゆうたら分かるんや、お兄ちゃんと呼べゆうてるやろ。それにな、こんな時間まで起きててええんか?体の調子は?」

「トウジは心配性だなぁ。大丈夫だよ。先生がまだ学校だから待ってるの。あ、でももうこんな時間だし、そろそろ寝ようかな」

「それがええわ、先生はまだ学校なんやな。じゃあ、わいはちょっとあいさつに行ってくるさかい、戸締りきちんとせえや」

「分かってるって。トウジこそ先生に迷惑掛けちゃ駄目だよ」

「わぁっとるわい、じゃな、おやすみ」

「うん、おやすみ」

 

少しここで補足しようと思う。彼らはお判りの通り兄妹である。両親を幼い頃になくし、バトランドの城下町で2人で何とかやってきた。が、ナツミは胸に病を持ち何かと世話をしなければならないのだが、トウジは戦士長という位になり、ナツミの面倒がこれまでのように見られなくなったことから、両親の友人であるこの村の学校の校長にナツミを預け面倒を見てもらっているのである。

もともと校長夫妻に子供はなく、以前から何かと世話になっており面識がないわけでもなかったので、すんなりとOKを出してもらえていた。

胸の病気のせいで、学校にはなかなか行けないものの、友達もたくさん出来たようで、トウジはナツミの幸せそうな笑顔を見るたびに、こちらへやってよかったなぁと思うのである。

自分の寂しさは胸に隠して。

 

学校とは言っても、お世辞にも立派とは言いがたい、一階建ての言ってしまえば貧相な建物だった。

門をくぐり、そのまま校長がいるであろう職員室に入っていく。そこには校長ともう一人、唯一の先生であるリンスがお茶をしていた。

「おばんですぅ」

「おお、トウジ君!久しぶりだなぁ。ナツミちゃんの誕生日以来じゃないか」

「ども、ご無沙汰してます。ナツミがいっつもお世話になって」

「気にすることはないよ。もうナツミちゃんには会ったのかな?」

「はい、顔は出してきました」

「そうかそうか、喜んでいただろ。ところでもう日が暮れているのにここまでわざわざ来たということは、君も子供たちのことで来てくれたのかい?」

「はい、そうなんですわ」

表情を曇らせる校長。

「そうか。実は私たちも今そのことを話していたんだよ」

そう言って視線をリンスに向ける。彼女はナツミの担任ということもあって、トウジとは何度か顔を合わせている。

「ええ、そうなんです。突然ふっと消えてしまうらしくて。子供達が次々と行方不明になって、教室から一人また一人と減っていって、もう私どうしたらいいのか・・・・」

言葉を詰まらせるリンス。

「先生、最近子供等を見とっていつもと違うことはなかったでっしゃろか?」

2人とも小首をかしげる。

「それなんだがね、最近子供達が何か私たちに隠し事をしているようなんだよ」

今度はトウジが首をかしげる。

「隠し事?そんなもん、いつの時代にも子供が隠し事をするちゅうのは当たり前やないやろか?」

その疑問にリンスが答える。

「そうなんですけど。今回のは私たちにも見当がつかないんです。私も長いことこの職業をやってますし、校長先生なんかはもう30年以上ものベテランなんです。子供達が隠し事をしたって、大体はわかちゃうんです」

「なるほど」

「けど、何故か今回のことは、みんな口が堅いって言うか、悟られないようにしているって言う感じがあるんです。で、今もその話をしていて、もしかしたら事件と何か関係があるんじゃないかなって」

「隠し事か・・・・・・」

トウジはない頭を絞って考え込むのだが、如何せん彼が推理するには何分情報が少なすぎた。

 

そのまま無意味な時が過ぎていく。

と、その空気に耐えかねてか校長が声を掛けた。

「トウジ君。いくら考え込んでも今のところ結論が出ることはないようだ。どうだね、今日はうちに泊まっていっては?ナツミちゃんも喜ぶ」

トウジはナツミという言葉に多分に反応する。どうやら少しシスコンの気があるようだ。

「ほんならそうさせてもらおかな」

「そうしなさい。私もそうしてくれると安心だよ。最近はこの辺りも物騒になったものだから。つい昨日も泥棒が一人つかまってね」

初耳だ。

「泥棒?」

「そうなんですよ。パンを盗もうとして捕まったんですけど、その人記憶をなくしているらしくて・・・。立派な大人なんですけど、言動が子供なんです。確か名前は覚えていたらしくて、ええと、なんて言ったかしら・・・・」

突然職員室のドアが開き男の子が一人入ってくる。

「そのおじちゃんの名前、アレクスだよ!アレクスは僕らの友達なんだ!」

「ケン君!?どうしたのこんな時間に?」

ケンと呼ばれた少年は少し照れながら答えた。

「先生こんばんは。あのね、リコーダーが宿題になってたでしょ?でもね、僕リコーダー学校に忘れちゃったから、取りに来たの」

「そう。もう暗いわ、先生が送っていってあげるから一緒に帰りましょうか?」

「うん!」

元気よく答える。

「ちょ、ちょっと待ってんか?」

出て行こうとする二人を止め、ケンと視線を合わせるためにかがんで肩をつかんだ。

「なあ、ぼうず。ほんとにそのおじちゃんの名前アレクスゆうんか?」

ケンはニッコリと笑うと大きく頷いた。

「そうだよ。だって昨日だって一緒に遊んだんだよ。秘密のとこ教えて・・・・」

そこで慌てて口元を押さえる。トウジは眉をひそめたが、もうそれどころではなかった。

「先生!牢屋はどこにあるんですか!」

「それなら武具屋の隣にある階段をおりるとあるが・・・・・」

「おおきに!」

それだけ言うともう駆け出していた。



    (つづく)

 

 

後書きと言う名の反省会

 

どうも、初めまして。新人中の新人、「GURE」という者です。

『どうもじゃないですよ、いきなりこんなの投稿して』

おや?主人公のS君じゃないか。当分出番がないからってこんなとこに出てきたのかい?

『それもありますけど、今回は注意しに来ました。初小説、初投稿がエヴァ+ドラクエ4のパロディで、しかも長編。何考えてんですか!』

ふむ、やっぱり?でも、急に創作意欲ってのが出てきて、書き始めたら意外にはまって、気がついたら後には引けないとこまで来てたものだから、つい出来心で・・・。そしたら管理人さんが快く引き受けて下さったので。

『出来心って・・・。だいたいパソコン初心者で、HTMLとか圧縮とか名前だけでやり方全然知らないのに。管理人さんにご迷惑でしょ!』

判っています。誰か心の広い方、僕に教えて下さい。

『自分で勉強しなさい』

だって、バイトとかカテキョとかが・・・・。

『学生の本分の勉強は?』

さてこの話、基本的にシリアスにしようかなと思ってます。オールキャストですが、肝心のエヴァの扱いが決まってなくて、思案中です。

で、感想。下手だ。まとまりがない。戦闘シーンにもっと迫力を。ボキャブラリーが少ない。などなど。

『判っていて投稿したの。その根性だけは認めるよ』

ありがとう。取り敢えずちょっとずつ見せれる物にしていきたいなというのが願いです。う〜ん、後書きが長いな。

『誰も読んでないって』

それもそうか。最後に、もし居れば、ここまで読んでくださったあなた、本当にありがとうございます。これからも見捨てずに大らかな目で見てやって下さい。管理人様、このような有名サイトにこんな作品を載せていただきありがとうございました。

でわでわ・・・

『で、勉強は?』

 




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