エヴァクエ!

 

 

・・・あるところに、アスカ姫というそれはそれはおてんばな姫が・・・・・、

 

グエッ

 

で、ではなくて、それはそれは綺麗で美しく、何をやらせても一番、まさに現代によみがえったビーナス!

 

といったような姫がいたそうな。

 

・・・・これだけ誉めたんだから少しは絞めてる首を緩めてくれたって・・・・

 

「まだまだ、こんなもんじゃ足りないわよ!」

 

でも、もう誉め言葉思いつきません。

 

「まったく、ボキャブラリー少ないわね。まあいいわ、今回はこの辺で許してあげる」

 

コツコツコツコツ・・・・

 

 

ふう、行ったか・・・。このように、とてもおてんばな姫様が、

 

ハッ、殺気!

 

・・・・・き、気のせいか。

 

ま、まあ、そんな姫様がおりました。その国の王様は、姫のおてんばさに頭を抱える毎

 

日。って言うか、頭を抱えるどころの騒ぎじゃない。それこそ特A級の問題にランク付け

 

されるような事態にまで追い込まれていた。

 

そこで父親である王は、この国の5本の指に入ると思われるものの中から、3人のお目

 

付けを姫につけた。

 

この三人、訓練校の時からの同期で、三十路トリオ呼ばれ・・・

 

グフッ!!!

 

・・・・失礼しました。訂正します。うら若き29歳と、30代コンビと呼ばれていた。

 

その三人が付いてからは、ほんのちょびっとだけ大人しくなった(3人の内の唯一の男性の力が大き

 

い事は、言うまでもない)ものの、被害はむしろ拡大していた。これはアスカ姫と某ペン

 

ギンの飼い主とマッドの科学者との・・・

 

カッハァッ!!!

 

し、失礼しました。訂正します。某ペンギンの飼い主と超天才科学者との衝突によるも

 

のだった。

 

王は「失策だったかな」と、大臣に洩らす毎日。

 

そしてある朝、王はいつものようにアスカ姫を呼び出したのであった。

 

 

 

第二章             おてんば(すぎる)姫の冒険

 

 

そのいち

 

 

 

「おお、アスカ。あいも変わらず元気そうじゃのう。少しぐらいへこんでおった方が、ワシとしては

 

気が楽なのじゃが

 

「パパ、何か言った?」

 

「えっ、い、いや、何でもないんじゃ。ハハハハハハ・・・」

 

明らかな作り笑い。何か釈然としないものを感じたものの、問い詰めても何となく良

 

い事はないような気がしていたので、そのままにしておく。

 

「ところで、世話役のヒカリ君から聞いたのじゃが、なんでも力試しの旅に出たいとい

 

うことらしいのう?」

 

「そうなのパパ!だって、この城に私よりも強い戦士って、もういないんだもの」

 

明らかに一国の姫から出る言葉ではない事に顔をひきつかせが、何とか平静を装い娘に尋

 

ねる。

 

「ミサト君やリツコ君、リョウジ君がいるではないか」

 

「加持さんはいいの♪・・・・乳牛女にマッド?あの二人はもうすでに人間じゃない

 

ら関係ないの」

 

加持の事は別にしても、的を射ている娘の意見に思わず納得しそうになる。

 

「それもそうか。・・・・いやいや、いかん、いかんぞ!お前は女、しかもこの国の姫

 

なのだぞ!自覚が足りん。怪物が出る外の世界に行くなど絶対に認めん!」

 

顔を真っ赤にしてまくし立てる。

 

「もーいいわよ、パパの分からずや!パパなんか大っ嫌い!

 

がーーーーーん

 

ぷいっと後ろを向くと、どすどすと足音を立てながら階段を降りていった。

 

親ばかのラングレー王は、娘の一言にノックアウトされていた。

 

 

 

彼女は毎日のお勤めである礼拝をしに教会に来ていた・・・・・はずなのだが、

 

「ちょっと聞いてよマユミ!」

 

シスターである、山岸マユミに愚痴をこぼしていた。

 

「・・・・なのよ!だから最後に、だいっきらいって言ってやったの。いい気味だわ」

 

少し困った顔のマユミは、それでもいつものように宥めるような口調になっている。

 

「姫の気持ちも分からないでもないですけど、王の気持ちも分かってあげてくださいね。

 

王は姫のことが心配で心配でたまらないのですよ」

 

少しバツの悪そうなアスカ。

 

「それは、分かってるけど・・・」

 

「それなら、言いすぎたという事も、もう分かってらっしゃるのですね?」

 

「・・・・・・うん」

 

ニッコリと微笑むマユミ。

 

「それなら、今すぐとは申しません。けれど、あとでちゃんと謝りましょうね」

 

それこそ保育園児に言い聞かせるような喋り方だ。

 

「うん」

 

 

 

「とは言ったものの、何かまだ腹の虫が収まらないのよね〜」

 

先程はマユミに言いくるめられたアスカだったが、また一人になって考えると、怒気が

 

こみ上げてくる。

 

「女だからなんだってのよ!だいたい、ミサトやリツコだって、女の身で戦士や魔法使い

 

になってるじゃない」

 

自分の部屋に戻るために階段を上りながら愚痴る。

 

「だいたい心配性すぎるのよね。いつまでも子ども扱いして、私だってもう立派な大人

 

よ。・・・・・そりゃ、ミサトには負けてるかもしれないけど、もしかしたらリツコには・・・・」

 

「姫!」

 

「わっ!!って、ヒカリじゃない。おどかさないでよ、もう。心臓に悪いじゃないの」

 

「『ヒカリじゃない』じゃないですよ、姫。さっきから何度も呼んでるのに気付かない

 

んだから」

 

そこでアスカの眉がつり上がる。

 

「こら、2人の時はアスカって呼ぶ約束でしょ!」

 

あっという表情をすると、ペロッと舌を出した。

 

「ごめ〜ん、そうだったねアスカ」

 

「それと、またパパに告げ口したでしょ!?」

 

そこでヒカリは、アスカの頭に確かにを見たと後日語った。

 

「だ、だってアスカ。この間もふざけて部屋の壁壊しちゃうし、これ以上問題起こした

 

ら、私までしかられちゃうんだもの」

 

アスカの気迫に、思わず本音が出るヒカリ。が、そこで本来の用事を思い出し調子を取り戻す。

 

「そうだ、忘れるところだった。アスカ、部屋の壁、応急処置終わったから。また、壊

 

さないでよ」

 

攻守逆転。これには、アスカも大きくは出られない。先程までの剣幕はどこへやら、急にしおらし

 

くなってしまった。ちなみに彼女、アスカ厚生委員会の委員長をしています(く、苦しい・・・。が、

 

委員長にするにはもうこの手しか・・・・・

 

「わ、分かってるわよ。大丈夫、心配しないで」

 

「ほんとかしら?アスカって、こういうときの約束、守ったためしがないのよね〜」

 

「な、なによ、その目は!大丈夫って言ったら大丈夫なの!」

 

クスクスとヒカリは笑みを洩らした。

 

「はいはい、信じてあげますよ。あっ、そう言えばリツコ様に呼ばれてたんだった。じ

 

ゃ、アスカ。また後でね」

 

おさげを左右に揺らしながら駆けていくヒカリ。

 

(あのマッドに・・・・。ヒカリ、無事に帰ってきてね)

 

アスカは切に願わずにはいられなかった。

 

 

 

自分の部屋に帰ってみると、なるほど、確かに壁にはたくさんの板が打ち付けられてい

 

て、いかにも応急処置といった感じを醸し出していた。

 

「ふう、まあ分かってはいたんだけど、パパからの許しは出なかったか。となると、方

 

法は一つ。抜け出すしかないわね。でも、城門には昼夜を問わず門番が張り付いてるし、裏

 

門も同じ。後は下水だけど・・・・、あそこはパス。臭いがきつすぎるもの」

 

ゴロンとベッドに横になる。

 

「う〜ん、どっかに秘密の抜け道なんかないかなぁ」

 

寝返りを打つ。と、目の前に自分が壊した壁が。

 

「ん、待てよ。たしかあの壁の向こうって、屋根が続いてて・・・・・」

 

ガバっと飛び起きると、自分の部屋のドアを開け外の様子を伺う。

 

・・・・・・誰もいない。

 

「ちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜んす!」

 

にやりと笑うと、ドアを閉め内側から鍵を閉める。

 

「これで少しは時間が稼げるわね」

 

応急処置のされた壁の前まで行くと、目を閉じ精神を統一する。

 

「ふう〜〜〜〜〜〜・・・・」

 

感覚をすべて右手に集める。息を止めて半秒。目を見開くと気合と共にこぶしを当てる。

 

「はあ!!!」

 

ベキッ!

 

非難の声を上げ木の板は四散する。

 

「よしっ!」

 

そこから体を外に出し、屋根の上を駆けていく。突き当りには大木が一本。彼女が小さな

 

頃、良くこの木を登って母にしかられていた。

 

「やった!思ったとおり!」

 

幹をつたい慎重に降りていく。

 

「脱出成功!なんだ、意外と簡単じゃない!」

 

うまく、城から抜け出したアスカ。城を見上げる。見るものすべてに威圧感を与えるような、

 

そんなつくりの彼女の家。良い思い出も、悪い思い出もすべて詰まったホーム。

 

「ごめんなさいパパ。ちゃんと帰ってくるから。待っててね加持さん、とびっきりのレ

 

ディーになって帰ってくるから。じゃ、行って来ます!」

 

「どこへ行かれるのですか、姫?」

 

ビクッ!

 

ゆっくりと振り向くと、そこには仁王立ちしたマユミとヒカリ。

 

「アスカ、壊さないでねっていったでしょう?」

 

ヒカリは笑顔だった。アスカはショックからまだ立ち直れず、口をパクパクしているだけだ。

 

「何でここに?って顔ね。アスカ、何年あなたと一緒にいると思ってるの?あなたの考

 

えると何かお見通しよ!」

 

「わたくしは、ヒカリさんに相談されまして、説得に参りました」

 

ヒカリは完全にアスカの事を把握していた。自分ひとりでは、多分説得は出来ない。下手

 

な人を連れてきても逆効果になるだけ。この城で有無を言わさずアスカを説得できるのは

 

二人、マユミと加持だろう。まあ、けが人を出しても良いならこれにミサトとリツコが加わ

 

るのだが。

 

生憎、絶大な威力を誇る加持は見当たらなかったので、マユミを説得役につれてきたの

 

である。

 

アスカはようやく復活すると手を合わせ頭を下げる。

 

「お願い、ヒカリ、マユミ、ここは見逃して!」

 

「姫。姫がなんと言われようが駄目なものは駄目です。姫は外の恐ろしさを知らないの

 

です。最近はモンスターも多くなってきていると聞きます。怪我をなさらぬ前に帰りましょ

 

う?」

 

「お願い、ね、マユミ。一生のお願い!」

 

「駄目なものは駄目です」

 

「ヒカリ〜、お願いよ〜」

 

アスカの一生懸命さに心を打たれたのだが、敢えてここは鬼に徹するヒカリ。

 

「だ〜め。さ、城に帰りましょう」

 

うつむいてしまうアスカ。少し残酷な気もしたが、意を固めアスカの手を引くためにと数

 

歩近付いた。

 

その時だった。うつむいたアスカがニヤリと笑う。ヒカリの予想を遥

 

かに凌駕する展開へと誘うセリフが、アスカの口から出た。

 

「・・・・ヒカリ、あなたバトランドの戦士宛てに手紙書いてたわねぇ?」

 

その口から洩れたのは悪魔の言葉だった。ヒカリの動きが止まる。

 

「あ、アスカ?なんでそのことを・・・・、だってあれは確かに私が捨て・・・・」

 

「・・・・・私はあなたを一目見たと「わああああああああ!!!!!!!

 

慌ててアスカの口をふさぐ。置いてきぼりのマユミは?マークを頭の上に飛ばしている。

 

「このまま私を城に連れてったら、城にいる人、一人残らずに言いふらす!」

 

ヒカリの顔色が変わる。

 

「そんな・・・。クッ!アスカ、卑怯よ!」

 

「私は手段を選んでらんないのよ」

 

あくまで冷静に言い放つ。

 

「さあ、どうするの?黙ってこのまま私を行かすか、死ぬほど恥ずかしい目にあうか」

 

「ヒカリさん、どうなさったのですか?」

 

わずかな沈黙。何も聞こえない。と、その沈黙をヒカリが破った。

 

「・・・・・・わかったわ」

 

それはアスカを行かせるという意味での肯定だった。

 

「ヒカリさん!!」

 

マユミが驚きの声を上げる。

 

「ただし、条件があるわ。・・・私とマユミさんもついて行きます」

 

「「えっ」」

 

アスカとマユミ。2人の声が綺麗にユニゾンする。

 

今度はアスカが悩む番だった。まさか自分もついてくるなんて言い出すとは思っていな

 

かったので、いい案が思い浮かばない。が、ここで時間を掛けすぎるのは危ない。誰かに

 

見られる前にさっさとここから立ち去らなくてはならないのだ。

 

彼女に迷っている時間は与えられなかった。

 

空を見上げる。快晴だった。旅立ちの日にはもってこいだろう。そんな事を考え

 

彼女は少し可笑しくなった。

 

(何だ、簡単な事じゃない)

 

「もう、分かったわよ!勝手にすれば!」

 

そう言って駆け出す。

 

「そう来なくっちゃ。さあ、行こうマユミさん!」

 

手を引いて駆け出すヒカリ。引かれていくマユミ。

 

「え?えぇ?えええええええ〜〜〜〜〜!!!」

 

ついていけないマユミは、情けない叫び声を上げるしかなかった。

 

駆けながら二人に告げるアスカ。

 

「一つだけ条件があるわ。2人ともこれからは私の事『アスカ』って呼ぶように。いい

 

わね!」

 

そう言うとさらにスピードを上げた。向かうは西にある町、サラン。

 

 

 


(つづく)

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後書きと言う名の反省会

 

あわわわわわわわわわわ・・・・・。

『どうしたんですか?』

S・I君じゃないか。ところで、君をイニシャルで呼ぶ事に何か意味はあるのかなぁ?

『いや、それを僕に聞かれても・・・・・』

そんな事はどうでもいいんだよ!それよりも実験のレポートはやく書かないと!

『グループで一つのレポートだから、書かないって訳にはいかないですからね』

まだ少しも手をつけてない。あぁ、困った困った!

『今までサボってたツケが廻って来たってとこですか』

 

第二章を始めてしまいました。主人公はアスカさんです。

『それにしても幼稚な文ですね』

それには返す言葉も無いですね。まったくその通りです。これから頑張っていきます。

『一歩一歩って事ですね』

そうそう。それから三十路トリオにもご登場願いました。この辺はドラクエの話にはないものです。

『ペンペンの主人はミサトさんなんでしょ?』

彼女意外いないでしょ。ま、彼女とペンペンの絡みはおいおいって事で。にしても、今回のは長くなりそうな雰囲気。ざっと考えても前回の二倍。

『もう少し考えたらどうです?』

いや、本能の赴くままじゃないと書けないと思う。てな訳で、いるかいないか判らないこれを読んでくれている皆様、この次の反省会で会いましょう。では・・・・。




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