エヴァクエ!

 

そのさん

 

その頃、アスカ一行はテンペに着いていた。コンビネーションばっちりとはいかないものの、順調にモンスターを倒していった三人は、何とか夜になる前にテンペに到着出来たのだ。

今はちょうど夕食時。どこの家庭でも、お母様方が遊び疲れて帰って来た子供や仕事で汗を流してきた夫に自慢の料理を振舞っていて、どの家からもおいしそうな匂いがしている、ある意味「一番町が活気づく時間帯」である・・・・・はずだった。

「何、ここ?」

アスカの第一声はこれである。

そのセリフに二人は首を傾げた。

「おかしいわね、前来た時はこんなんじゃなかった筈なんだけど・・・」

「はい、わたくしもおつとめで来ため事があるんですけど、もっと、こう・・・賑やかな町でした」

「これのどこが賑やかだっていうよ」

町の人がいないわけではない。が、そこからは生気、生きる気力が感じられなかった。何もかもに疲れ果て、もうどうでもよい、そんな感じだ。

 

右手を見ると、小さな墓地のような場所があり、そこに一人の女性がたたずんでいた。

「あの・・・」

アスカがおずおずと声をかける。

「・・・何かしら。あら、旅の方ね・・・・」

これに答えるのはヒカリ。

「はい。あのう、この町なんか元気ないみたいなんですけど、どうしちゃったんですか?」

「・・・・この町から早く離れた方が良いわ」

それだけを言い残すとその場を去っていった。

「何よあれ!感じ悪いわね」

「ちょっと、アスカ」

袖口を引っ張るヒカリに少しむっとする。

「なによ、ヒカリ!」」

「・・・・これ」

それは一つの墓標だった。そこには、先程の女性が置いていったであろう花がある。そして一枚のプレート。そこにはこう刻んであった。

『我が最愛の娘、ここに眠る』

「先程の方の娘さんでしょうか?」

マユミの質問に、答えるものはいなかった。

 

「それにしてもなんなのかしら?この村の暗さ。尋常じゃないわよ」

三人はとりあえず村を一回りする事にしたのだが、やはりどこもかしこも、どこか影があるような気がする。

「ええ、普通じゃないわね」

得た結論はこれ。

「わたし、ここの神父様とは以前何度かお話した事があるんです。少し寄って行きませんか?」

「そうね、このままこうしていても仕方ないし。アスカそれで良い」

「良いも何も、それしかないじゃない」

それじゃあ駄目だよ!!!

三人が振り向く。どうやら彼女たちへの言葉ではないようだ。

すでに日が落ち、家には火が灯っている。そのうちの一軒から聞こえたようだ。誰と示したわけでもないが、三人は気になり、そっとその家の窓の下まで行く。

「駄目なの、それは、できない」

「どうして!僕たちだけでも遠くへ・・・」

「駄目!私にはお父様と、お母様を残してなんてとても・・・。イーノ分かって・・・」

「ニーナ・・・」

そこで会話が途切れる。

「何、駆け落ちの相談?」

「でも、なにかもっと切羽詰っているような感じですけど」

「ともかく、マユミさんの知り合いの神父様のところに行きましょう」

後ろ髪を惹かれる思いでその場を離れる三人。その家からはもはや声がする事はなかった。

 

「おお、マユミさんではありませんか。お久しぶりです」

「こちらこそ、ご無沙汰しております」

「そちらの方々は?」

「え、ええ、私の知り合いの方々です。それよりも神父様。この町はいったいどうなってしまったのですか?以前来た時は、もっと活気があったように見受けられましたけど」

神父が少し黙る。

「あのう、もし良ければお聞かせ願えませんか?もしかしたら私たち、何か力になれるかも知れません」

ヒカリが一歩前に出て神父に詰め寄る。

「・・・・・・・・実は・・・・・、今から半年ほど前でしょうか、北の祭壇に魔物が住み着くようになったのは」

「魔物!?」

思わずアスカが声を上げた。

「はい。その魔物は村で暴れない代わりに、この町の若い娘を生贄にささげろという要求を出してきたのです。もちろん最初は断りました。この村の腕自慢の戦士や男どもが退治に出かけていったのですが、結果は・・・・。それ以来、仕方なくその要求をのんできたのです」

「なんでサンドハイムの城に助けを求めなかったの!」

アスカは苛立たしげに声を荒げていた。

「もちろん使いは送りました。けれど、その者達も何故か先回りしている魔物にやられてしまい・・・・。そして、今夜また新しい生贄が・・・・」

「ひどい・・・・」

「あんまりですわ」

マユミは口元に手を当てて今にも泣きそうである。

「・・・・ニーナは道具屋の息子のイーノと結婚が決まっていたのです。それが、どうしてこんな事に・・・」

ニーナとイーノ。聞き覚えのある名前にヒカリとマユミは互いに顔を見合わせた。

((さっきの2人だ、あの二人は逃げる相談をしていたのか))

同じ考えにたどり着く2人。

アスカの肩は震えていた。

「・・・・許せない、私絶対に許せない!神父さん、今日なのね、生贄をささげる日ってのは」

「え、ええ。今日、月が真上より人差し指の先ほど傾いた時に、籠に載せて祭壇に供えろと・・・」

「その魔物、私が倒すわ!」

「「アスカ(さん)!!!!」」

驚きの声があがる。

「なによ、このまま見過ごせっての?そんなの私には出来ない。それに北に向かうんだったら、避けて通れないでしょ」

「そりゃそうだけど・・・」

ヒカリはまだ渋っている。

「神父さん、今日の手はずはどうなってるの?」

ショックからは抜けきってないものの、何とか答える神父。

「は、はい、ここで生贄になるものを籠に入れて、この村の男2人で担いで祭壇に・・・・」

「分かった、じゃあ私がその籠の中に入るわ」

「しかし!」

そう言ってマユミを見る。首を振りつつ嘆息するマユミが映った。

「神父様、彼女は言い出したら聞かないんです。それにこう見えても彼女、サンドハイムのどの兵士よりも強いんです。それに私とヒカリさんがサポートに入ります。どうかお任せしてもらえないでしょうか?」

腕を組み、考え込んでしまった。

「・・・・・・・・。分かりました、そこまで言われるのであればお任せします。時間までまだあります。どうでしょう、ニーナの父親、町長の所で待たれては。私が案内しましょう」

三人にもう迷いの目をするものはいなかった。

 

町長に熱烈な歓迎を受け、涙を流しながらお願いされたあと、三人は客室に通された。

「それにしてもマユミが後押ししてくれるとは思わなかったわ」

軽いストレッチをしながら、意外だったという顔で話し掛けた。

「あそこで私が駄目だといっても、アスカさん納得しなかったでしょ。下手をすればこっそり一人で行くという事もありえたから。仕方なかったんです」

ため息をつきながら坦々と答える。

「ハ、ハハハハ。そ、そんなわけないじゃん」

「アスカ、全然説得力ないわよ」

と、ドアが開く。そこには神父さんが立っていた。

「・・・・・皆さん、準備はよろしかったですか?」

「ええ、いつでも良いわ」

「はい、任せて下さい」

「神父様、心配なさらないで下さい。私たちは負けません」

一通り、皆の顔を見回すと、一つ頷く。

「では、お願いします」

 

 

かごを担ぐはヒカリとマユミ。当然中に入っているのは

「ちょっと、もうちょっと静かに歩いてよ!これじゃ酔っちゃうじゃない」

「無茶言わないで、重いんだから」

「し、失礼な!これでも私ピーsよ!」

「それでも私よりも1kg重いわ」

「なに「しーーーーーーーーーーっ!!!2人とも静かに!・・・祭壇が見えてきました」

そこにはこぢんまりとした祭壇が。回りには何も見えない。もしかしたら息を潜めているのかもしれないが、暗くてよくは見えなかった。左右は森。身を隠すには絶好の場所だろう。

無言で階段を上がると二人は籠を置いて村の方へ。が、途中草むらに身を隠す。

 

待つ事五分少々。最初に見えたのは二匹の馬鹿でかい犬のようなモンスターだった。その後ろから、トウジと戦った神官のようなモンスターの肌の違うバージョンが続く。

その魔物が口を開いた。

「暴れ狛犬よ、今日のは上物じゃぞ」

暴れ狛犬と呼ばれたモンスターは犬のようにハッハッハッと息を吐きながらお座りをする。

「そうかそうか、ではさっそく」

開けようとした瞬間、中からアスカが飛び出し先制のけりを入れる。

「グワッ」

吹き飛ぶ神官の魔物。アスカはいつものポーズ、腰に手を当て相手を指差しながら言い放つ。すでに後ろには駆けつけたヒカリとマユミ。

「あんたたちね、生贄を要求してきてる魔物ってのは!私はね、久々に心底頭にきてるの!許さないから、覚悟しなさい!」

吹き飛んだ神官風の魔物が顎を押さえながら起き上がる。

「よくもこのカメレオンマン様にけりを食らわせてくれたなぁ!暴れ狛犬、三人ともやってしまえ!」

言われた暴れ狛犬二匹は姿勢を低くした。

「ヒカリ、マユミ、あの犬っころは任せたわ。私はあのカメレオンマンとかいうのをやる」

2人は異を唱えようとしたのだが、アスカの目を見てそれを止めた。

「わかったわ。アスカ気をつけて」

「少しでもダメージを受けたら、すぐ私を呼んで下さい」

「来るわ」

三人は散開する。

 

暴れ狛犬Aが飛び掛る。それをすんでのところでかわすマユミ。

「マユミさん!ヒャド!」

飛び散る冷気。周囲の温度を下げながら、暴れ狛犬へと向かう冷気の塊。飛び掛った直後で体制を立て直せていない暴れ狛犬に、その氷魔法は牙をむいた。

が、いくらかのダメージを与えるものの、行動不能までのダメージを与える事は出来なかった。目に怒りの炎を灯らせる暴れ狛犬A。

一撃で倒せなかったのはヒカリの誤算だった。

 

避けた直後に尻餅をついて転倒してしまったマユミ。慌てて立ち上がる。見るとヒカリのヒャドを喰らっても、しぶとく立ち上がる暴れ狛犬Aが見えた。マユミの武器、いばらの鞭を握る右手に力がこもる。

「私が、やらなければ!」

ヒカリ憎悪の目を向けている暴れ狛犬Aにマユミは鋭い視線を向けた。

 

「ほう、一人で向かってくるか?いい度胸だな。だが・・・・」

カメレオンマンは、地を蹴った。見てくれに似合わず、この神官風のモンスターもスピードがある。慌てて防御の姿勢をとるアスカ。

「それは無謀というものだ!」

パンチのラッシュ。どうやらこのモンスターも格闘タイプのようだ。防戦一方のアスカ。

「はっはっは!どうしたどうした!?反撃してこないのか!」

(クッ、一つ一つの攻撃が、重い!これじゃ反撃できない)

と、カメレオンマンが大ぶりのパンチを入れようとする。そこを見逃がすはずのないアスカ。

(いまだ!)

半歩前進し、懐に入り込み渾身の力をこめた一撃をお見舞いする。

ゴッ!!!

「っ!!!いった〜!

だが悲鳴をあげたのはアスカの方だった。

 

暴れ狛犬は今だヒカリに視線を向けている。すなわち自分に注意は向けられていない。マユミの目算では、いばらの鞭の射程まで約5歩。決心を固めると暴れ狛犬Aへ向かっていく。

(あと三歩、二歩、一歩、・・・・入った!)

大きく振りかぶり鞭を振るう。

ビシッ!

虚しく地面を殴る音が響いた。華麗なバックステップでマユミの渾身の一撃をかわす。

「そ、そんな・・・。かわされた」

暴れ狛犬Aはここで初めてマユミのほうに顔を向けた。ニタ〜っと笑みを浮かべた顔を。そこで理解する。始めから自分のことを気付いていたんだ、はめられた、と。

呆然と立ちすくむマユミに、鋭い爪のついた前足を振り下ろそうとする暴れ狛犬A。

ルカニッ!マユミさん、今よ!!!」

見ると目の前の暴れ狛犬は腰砕け状態になっている。ヒカリの唱えた防御力ダウンの魔法が効いた証拠だ。マユミはもう一度、大きく振りかぶった右手を、鞭と一緒に振り下ろした。

 

ヒカリはマユミが暴れ狛犬Aを倒すのを見てホッと胸をなでおろす。

「アスカの方は・・・・・」

彼女は忘れていた。マユミが倒したのは一匹。暴れ狛犬は最初に二匹いた事を。草むらに隠れていた暴れ狛犬Bは、ヒカリが自分に背を向けたことを確認すると、身を可能な限り低くして彼女に近付いていく。飛び掛るのはぎりぎりまで待つ、頭は使うためにあるものだ。先程倒された同族に嘲笑を浴びせると、また一歩ヒカリに近付いていった。

そんな事を知る由もないヒカリ。アスカとカメレオンマンとの一対一しか目に映っていない。加勢するかしないか本気で悩んでいた時、マユミの声が聞こえた。

「ヒカリさん、後ろっ!!!

「えっ?」

振り返ると大きく口を開いた暴れ狛犬Bが目に映った。

きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!

・・・・その時の事をヒカリに聞いても、覚えていないと言った。体が勝手に反応したのだと。

鞘に入れて背中に装備している、護身用に持ち歩いている毒牙のナイフを引き抜き、一歩だけ踏み込み投げナイフのように投げつけた。それは吸い込まれるように眉間に突き刺さる。即効性の毒が全身に回り、そのまま生き絶える暴れ狛犬B。

その光景は、マユミにはスローモーションのように見えたと後日話した。

 

「モンスターのなかでも私は特異体質でね、全身を鋼よりも硬くできるのだよ」

真っ赤になった右手を見ながらアスカは呟く。

「だからあんなに攻撃が重かったのか。それにしても反側じゃない!どうしろってのよ」

が、彼女は腹をくくっていた。全身の力を抜き、息を吐き出す。

(実はこの技って成功率高くないのよね〜)

スライムベスに決めた時の事を思い出す。その時のイメージを大事に、右手に力を集める。

あの時の2人のように、カメレオンマンも無防備になったアスカを見て観念したのだと勘違いをした。

「ほう、もう反撃してこないのか?ならばそろそろあの世に送ってやろう」

品の悪い笑みを浮かべながら無用心に近付いてくる。俯いたまま、まだ動かないアスカ。目の前まで来ると、必殺の一撃を繰り出すために右手をゆっくり引く。

「死ねい!」

突然、俯いていたアスカと目が合う。

「その言葉、そっくりあんたに返すわっ!!」

ねじりこむようにして、撃つ。

ドン!

そんな鈍い音があたりに響き渡る。と同時に、カメレオンマンの体が、体液を撒き散らしながら森へと吹き飛ばされていった。あれでは一溜まりもないだろう。そのまま見えなくなる。

「ふう」

額に流れる汗を拭いながら、勝利を友人達と喜ぶべく、一歩、また一歩、歩き出していった。

 

「ホイミ」

腕に酷い青あざが出来ていたのを見つけたマユミは、すぐさま回復魔法をかけた。

「ありがとマユミ。でも、2人だけで良く倒せたわね」

「はい、私たちもビックリです」

ヒカリの顔は青い。

「どうしたのヒカリ?」

覗き込むようにして顔を見るアスカ。

「ん、ううん何でもないの。それよりアスカの方が凄いじゃない!あの必殺技みたいなの、あれなんなの?何か一瞬光ったみたいなんだけど」

「あぁ、あれね。あれは、内にためた気を右手に集めて気合と共に放出してるの。さっきの奴、体が異常に硬かったから。この技はいくら防御力が高くたって関係ないんだ。加地さんの裏技らしいんだけど、お願いして教えてもらったの」

2人が同時に、

((脅したのね))

と思ったのはご愛嬌。

「さて、神父さんに報告してきますか。もうこんな時間だし。あ〜あ、夜更かしはお肌の天敵なのになぁ」

こちらは本当に玉のお肌であるアスカさんが心配そうに呟く。

「何いってるの。元はと言えばアスカが・・・・」

「はいはい、とりあえず帰りましょ♪」

特上の笑顔を見せテンペへと戻っていく。その笑顔を見て何故か頬をピンクに染める2人。

頬に手を当て焦る。

(私ったら、何照れてるの!?私が好きなのはあの戦士様なんだから!・・・・って、私何言ってるの!ふ、ふ、不潔よ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!

そのままゴロゴロ転がっていく。彼女はまだ正常みたいだ。まあ、あれを正常と呼ぶならの話だけど。ん、あれ、マユミ嬢は?

 

 

さて、無駄な努力をしようとして、サランに泊まった三人は、と言えば・・・・、

「えびチュもう一本ついかぁ!」

これはミサト。いいのか、お肌は?

「フフフフフ・・・、さあ、いらっしゃい子猫ちゃん・・・」

り、リツコさん、何を・・・・。

「さ、怖がる事はないから、こっちへおいで」

加地さん、あんたもかい!って言うか、復活していたのね。

 

 

そして夜が明けた。

神父様に報告して、そのまま眠りに付いた三人。朝起きてみると、彼女たちは英雄になっていた。もちろん焦る。何せ、お城を抜け出してきた身、派手な行動は慎みたいのだ。パーティーだ何だと騒いでいるうちに抜け出す事に成功した三人。こっそりと昨日の祭壇をとおって町を出る。

「あ、あなたは」

祭壇のところで昨日墓に手を合わせていた女性を見つけ声をかけてしまったアスカ。が、何のリアクションも返さず、黙ってこちらを見返すばかりの彼女。たまらずヒカリが声をかけた。

「あのー・・・」

「この村を救っていただきありがとうございました」

その言葉には何の感情も込められていない。うわべだけのセリフだという事は誰の目にも明らかだ。

「けれど、何故もう少し早く来てくれなかったのですか?」

「なっ・・・・」

言い返そうとするアスカをマユミが制した。

「こんな事を言うのは筋違いだと言う事は分かっています。けれど言わずには・・・・。村の人たちは大喜びしています。けれど魔物が倒されたところで、私の、娘が帰ってくるわけでは・・・ないんです」

堪えきれず目からは大粒の涙がこぼれる。

「もう、私が生きている理由なんて「馬鹿言わないで!

ハッと顔を上げ、声をしたほうを見る。

「だから死のうっての!?ハン、笑わせるわね。あんた、娘を守るために魔物に立ち向かっていったの?してないんでしょう。娘さんが死んだのはあんたにも責任があるのよ!」

「アスカさん!!」

「・・・・・・・待って」

「ヒカリさん!どうして止めるんですか!あれは言いすぎです、酷すぎます!」

じっとマユミの目を見詰めるヒカリ。そこでハッと思いつくマユミ。

「だから、わたしは・・・」

「だから死ぬって?誰がそんな事望むのよ!あんたはね、娘を見殺しにしたの、その責任を背負って生きてかなきゃ駄目のなの!それはあなたに課せられた義務よ!・・・・その罪が償えるかどうかは分からない。けど、死んで楽になろうなんてそんなの私が許さない!あんたは、娘さんの分まで生きて、そして天国に行った時、そこで謝るの。ごめんなさいって。許してもらえるかはあんた次第。でも、今ここで死んだら絶対許してもらえないわよ!」

いつの間にか彼女の両目からも涙が流れ出ていた。止め処なく、止め処なく・・・・。

 

『あのこの分まで、生きます』

そう言った彼女を残して、三人は進路をフレノ−ルヘと取った。

「あの方、もう大丈夫でしょう」

「そうね」

「まったく、死んで楽になろうなんて甘いのよ」

ぷりぷりと怒るアスカを見て、もう大丈夫かなと思う二人。

そう、この時二人は、アスカのこの旅の目的に対する心境の変化など、少しも感じ取れなかった。


(つづく)

 

後書きと言う名の反省会

 

金欠〜金欠〜僕は金欠〜♪

『何バカやってるんですか?』

やあ主夫のS・I君。いや〜、他の作家さんたちのSSを見るとやっぱり君は主夫が似合うねぇ。

『本当は必要に迫られてなんですけど・・・・・。それはどうでも良いんですよ。まぁ、金欠のほうがよっぽどどうでもいいんですけどね』

そういうなよ。いやね、時間も無いのに中古で本を買いまくってたら、気がついたらバイト代が出る日まで残り10日以上で残金2千円という恐ろしい現実に直面してね。

『毎回言ってますけど、ほんっとうに無計画ですね』

そう誉めるなって。森博嗣さんとか法月倫太郎さんとか清流院流水さんとか・・・・買うものがいっぱいあって、つい・・・。

『でも二千円なら、何とかやりくりできない数字じゃないでしょ?』

そうそう、電話代を払わなくちゃならないから0、いやマイナスだね。

『・・・・・・無様ね』(ゲスト出演)

 

二章そのさんです。命を粗末にしないでと書いたつもりです。

『伝わってないですね』

やっぱり?では改めて。命を大切にして下さい。どんな理由があっても自分で命を絶とうなんて止めて下さい。命のスペアは無いんですよ?やり直しだってききません。自分の人生だからって言う人もいるかもしれません。けれどあなたの人生は、誰かの人生と交差しているのです。大なり小なり影響を与えるのは間違いありません。楽になろうなんて考えないで下さい。死んだら楽になるのですか?誰がそんな事いったんです?

『語りますね』

長いな、つまらないし。いやね、ちょっと最近色々あってね。ネタにするにはちと重過ぎるけど・・・。

まぁ、そんなこんなでちびちび進みます。週一で投稿するつもりで頑張ってます(いきなり失敗しましたが)暇な人、面白くないですが見てやって下さい。では、次の反省会で・・・。




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