Days

by JUN


Fifth Day

 

天に昇る白き月と黒き月

赤き帯を纏う赤き星

生命の息吹の感じられない

生と死の交わった惑星

 

 

空を見上げる少年がいた

 

 

「あの日」より既に5日

少年は様々な廃墟を渡り歩き

「かつて」を思い起こし

己と関わった様々な人間を思い起こしていた

 

第三新東京市に来て、否、生まれて初めて出来た2人の友

親友と呼べた2人の友

 

自分の居たクラスの委員長、自分の親友の一人に淡い恋をしていた

心優しき少女

 

転校生、スパイ、初めての恋とキスを教えてくれた

活発な少女

 

陽気で快活、自分の保護者であり、慕っていた

姉と呼べる女

 

戦友、クラスメート、同居人、恐らくは自分が恋をしていたであろう少女

元気で我侭な少女

 

様々な人々と巡り会った

その思い出の中で自分は

 

時には笑い

時には泣き

時には怒り

時には悲しみ

 

最後に「無」となり「壊れた」

 

そして

 

彼らを壊した

 

彼らの、ヒトの持つA・Tフィールド

 

「器」を支える「殻」を溶かして

 

 

少年の知らぬ事であろうが

「ソレ」はゼーレの老人達

「狂信者」に仕組まれた事であった

 

 

「虚無の心」

 

 

全てを受容れぬ脆く強靭なA・Tフィールド

その心が暴走した時

その心は反(アンチ)A・Tフィールドを生み出す

 

辛さ

悲しみ

恐怖

驚愕

 

これらが心の許容範囲を越えた時

ヒトは「忘れる」という行動をする事で己の心を守る

 

後に残るは安堵と快楽

 

辛い事・悲しい事・恐い事・驚いた事

心を蝕むあらゆる感情

これらを忘れる事が出来れば

一体どれほどの心の安定と安らぎを得ることが出来るのだろうか

 

それを得んとするが為の

 

「人類補完計画」

 

「鍵」となった少年

 

 

 

己を『罪人』と称する少年は

この世界で何を思うのか

 

「くくくっ、あはははははは

あはははははははははは

 

 

神のみぞ知る


(つづく)



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