【エヴァンゲリオン幻戦記】

 

 

これまでのあらすじっ!

ゼーレの新型人形キリエと戦ったエヴァはあっさり逃走…情けないわね、それでも男なの?ま、それはさておきエヴァの受けたダメージはシンジとレイ、特にシンジに押し付け…やっぱり腹立つわね、むかむか。とりあえずレイはそんなシンジを守ろうとしたんだけどいろいろと行き違いがあってなんとマユミを撃っちゃったの。レイがマユミを射殺したって思ったシンジはとどめをさされたって感じで心身共にノックダウン。実際はマユミはかすり傷だったんだけど二人して…はぁ、暗いわねぇ。

 

 

 

 

 

ミサトが指揮所と定めた車の中。日向さんとミサトが向かい合っている。近くにいるのは車の外で有線通信の管制を行っているヒカリだけだ。

「…それで敵さんの配置は?」

戦場の図面などはない。レーダーでも使えればリアルタイムで表示する機器とか使うんだろうけど、今できるのは有線通話で随時報告される内容を確認するのみ。どのみち辺りの地形や兵力の配置はミサトの頭の中に入っているし、余計な機器は場所の邪魔ってことね。

「二手に分かれて玄関と裏口からいらっしゃるようです」

ミサトの頭の中で赤い大きな三角形が二つ現われ松代の上下から迫ってくる。

「そりはそりは…じゃあせいぜい歓迎してあげましょう」

「了解…撃ち方始め」

盛大に爆発音が上がった。

 

 

 

 

 

【第八幕 晴れ間】

 

 

 

 
 
 
 

とはいえ、戦闘そのものは割と地味だったりする。

もともと機械と人間では性能に差がありすぎるもんね。まして味方の大部分は松代の自警団。武器を扱う訓練は積んでいるものの、普段はただの一般人、素人である。

基本的な戦術としては城壁に隠れて敵の注意がそれた時に銃撃。敵の反撃がきたら隠れる。無論、これで倒せるとは思っていない。せいぜい敵を射撃で誘導できればよし。そして誘導した先で地雷で吹き飛ばす。敵がホバイクなどに乗っていなければ辺り一帯を地雷原にするんだけど生憎敵は宙に浮いているのでこちらも対応した移動式の浮遊地雷や有線点火式の爆弾等にたよるしかない。爆薬には当然数に限界があるけど攻めてきている兵力を鑑みればどうにかなるかなって所。ただし…

「…まずいですね。北門の方に装甲車が来てます」

いつつも日向さんの口調には焦りは見られない。伊達に長年ミサトの補佐をやっていないということかしら。

「…数は?」

「2台です」

「地雷は?」

「人形相手で精一杯ですからね。装甲車に回すとなると…」

ホバイクに乗っている人形を吹き飛ばすのとは訳が違う。装甲車を破壊しようと思えば相当数の量が必要になるだろう。そして装甲車にかかりっきりになっている間他の人形たちはフリーになってしまう。

「…加持は?」

「今、北門側に向かっています」

「任せるわ」

 

 

 

北門側の戦場にたどりついた加持さんは隊員に声をかけた。

「とりあえず2台か」

人形の中で停止している装甲車を見つめる。

「今ん所はおとなしゅうしとるりますが、いつ突っ込んでくるやらわかったもんやありゃしません」

隊員はそう言って軽機関銃を肩に担ぎなおした。

「…で、葛城は?」

「任せる、言うてます」

「やれやれ相変わらず人使いの荒い奴だな」

苦笑する加持さん。装甲服のヘルメットを下ろすとバズーカを持ち上げる。

「援護します

「いらないよ。それより人形の方を頼む」

 

 
 
 
 
 

「…失礼します」

振り向いたミサトと日向さんの視線の先にシンジが立っていた。

「大丈夫なの?」

聞くまでもなく顔色の悪いシンジ。

「いえ。ですからここで使ってもらえないかと思って」

確かに五体満足ならシンジのいるべき場所はここではなく最前線だろう。今もマントはつけているが、ライフルは持ってきていない。どうやら持ってくる余力がなかったようね。

「そう日向君、彼と交代して。前線の指揮をお願いするわね

「はいシンジ君こっち

日向さんはシンジに機器の簡単なレクチャーを行う。

「変化があったら随時隊長に報告してくれ。わからない所は隊長に押し付ければいいから」

「わかりました」

「ちょっとちょっと」

引継が終わると日向さんは前線に出ていく。日向さんの座っていた場所に代わりに座ったシンジがモニターを見る。

「レイは?」

「…知りません」

「そ。…洞木さん?」

ミサトが呼びかけると外からヒカリが顔を覗かせた。

「はい、なんでしょうか?」

「悪いけど珈琲二つお願い。その間くらい通信は私が見るわ。ま、今のうちにね」

「あ、はい」

ヒカリの足音と気配が遠ざかっていく。それが完全に消えるミサトはシンジの方を見。シンジは気付かずに機器の操作に集中している。

ぽりぽりと頭をかくミサト。そしておもむろに口を開いた

「…エヴァのせいだなんて誰も思っていないわよ」

「え?」

シンジはミサトに顔を向ける。

ミサトは見慣れない眼鏡をかけて自分の担当のモニターをにらんでいる。普段は見せない硬い表情だ。

「ゼーレがここをせめてきた理由…たまたまあっちの作戦の予定時期にあなたたちがでくわしただけ。ま、迎撃準備を整える時間稼ぎをしてくれたのにはお礼を言ってもいいけどね」

「………」

「ゼーレはいるかどうかもわからない相手に部隊を動かしたりしないわ。所詮機械なんだから無駄なことは一切しない」

淡々と事実だけを述べる口調はシンジに彼女の親友を思い出させる。

「…」

だけど…

「だからこれはあたしたちの戦い。けんかを売られたからには買うし、買ったからには必ず勝つ。なによりみすみすここをくれてやるなんてのはあたしの矜持が許さないの。だからあたしはあたしの悪知恵の及ぶ限り全力で戦うだけ。そこには神だかなんだかわからないスーパーヒーローの出る幕なんてないの。そんなのに頼って勝ったって意味ないわ」

そう言い切ったミサトの顔はやはり武人のものだった。

「…はい」

 

 

 

 

 

加持さんのとった行動は慣れているはずの隊員達すら驚かせた。

「ちょっ正面から!?」

なにげなく装甲車の正面に歩いていく加持さん。

さすがに装甲車が反応して機銃を向ける。

「あかん!!」

機銃が加持さんに向かって発射された。瞬時に銃弾と土煙で加持さんが覆われる。もっともすでにそのとき加持さんはそこにいなかった。

「速い!」

重い装甲服を来ているにも関わらず瞬時に間合いを詰める加持さん。装甲車の正面装甲を蹴ると装甲車の真上に跳ぶ。そのまま装甲車に着地するとすかさずバズーカを密着させてトリガーを引いた。

 

 

 
 
 
 

「死者が出ました」

ヒカリが暗い声で報告した。

「誰?」

ミサトの口調に変化はない。戦死したのは隊員ではない。隊員ならヒカリは最初から個人名で報告するだろう。

「一宮班の島田さんの銃が暴発。あと、補助班の西村さんが操作中の補給車に流れ弾が当たって爆発。重傷者多数出ています

「そう」

ミサトは眉間にわずかに皺を寄せた。

人間である以上ミスは起きる。予期せぬ突発事もだ。ミサトはそういったものも考慮して指揮を執らなければならない。

 

 

 
 
 
 
 
 

「包帯持ってきて!!」

「おい!痛み止めはどこだ!!」

避難所となっている村の集会所には女子供が避難しているが、それだけではなく怪我人も次々と運び込まれてくる。といっても軽傷なら応急手当をしただけで男達はすぐに戦場へ戻って行く。ここに残っているのは動けない重傷者だけだ。それでも冬月さん達の治療を受けることができただけ彼らは幸運である。そんな中マユミも包帯を運んだり応急手当をしたりと手伝いに追われていた。

「ふぅ」

ちょっと手が空いた隙に一息いれる。集会所の中をざっと見回してみる。座っているのは子供や老人ばかりだ。動ける者はマユミのように手伝いに駆り出されている。集会所の外でも消火のために水を運んだり、弾薬を運んだり、直接戦いには参加しなくてもやることはいくらでもある。しばらく前に冬月さんの家に戻る機会があったのでシンジの病室をのぞいてみたらもぬけの空だった。「指揮所に行く」とメモがあったので心配することはないとは思うが、あの容態で戦闘の手伝いに行くということが賢明なのか無謀なのかマユミには判断がつきかねていた。

「そういえば…」

もう一人の顔を見ていないのに気づく。あらためて集会所の中を見回すマユミ。隠していない限りあの容貌はすぐに目に付くのだがいるような気配は無い。ということは…

「!!」

 

 
 
 
 
 
 
 

 

 

(こりゃ超過勤務だな)

装甲車の残骸の上で思う加持さん。

真上からの零距離射撃で装甲車を破壊した加持さんだったが、もう一台からの銃撃でバズーカを失うことになった。あらためて武器を取りに戻る余裕はない。その結果、加持さんのとった行動は…

 
 
 
 
 
 

「なんちゅうこっちゃねん、素手で…」

隊員達が唖然と見守る中ももう一台の装甲車に取り付いた加持さんは右腕を振り上げると渾身の力を込めて叩きつけた。衝撃にも構わず再び腕を振り上げると叩き付ける。

すさまじい音響が数度続くうちに装甲車の上部砲塔のフォルムが変形し、一同がその音に慣れる頃には装甲車は物言わぬ残骸と化していた。

 
 
 
 
 

 

装甲車に突き刺さった右腕を引き抜く加持さん。

さすがに装甲服にも無理があったらしく所々亀裂が入っている。右腕の動きも多少ぎこちない。とはいえ…

(とりあえず仕事は果たした。後は人形たちの攻撃をかわしつつ味方の陣営にたどり着けばよしだな)

「よっと」

装甲車を飛び降り無難に着地する加持さん。どうやら人形達もまださほどは集まっていない様だ。これ幸いと駆け出す加持さん。だが、その瞬間、周囲の空間が、燃え上がった。

「!?」

 

 

 

 

 

 

EVANGELION ILLUSION

STAGE08: AWEAKEN

 

 

 

 

 
 
 
 
 

「あ、やまぎ…」

「ごめんなさい!」

そういって指揮車に跳び込んできたのはマユミだった。

「すみません失礼します!!」

「へ?」

「?」

マユミは中を見回しシンジを見つけると駆け寄った。

「どうしてこんな所にいるんですか!?」

「…え?」

質問の意味が分からないシンジ。

「いや…手伝いを…」

「どうして放っておくんですか?」

「え?」

「それとももう綾波さんのことはどうでもいいんですか?」

「ちょ、ちょっと待って。まず、綾波がどうしたの?」

「まだ避難していません」

「だから?」

「!」

かっとなるマユミ。

「こんな状況になっても彼女が出てこないなんておかしいと思わないんですか!?」

自分でもこんなに大声が出せるとは思わなかった。だが、そう言ったことを考えるよりも早く言葉が次々と口から出ていく。

「綾波は…状況が変わったら動くよ…綾波はしっかりしてるから」

「違います!本当はあなただってわかっているんでしょう!?なのにどうして放っておくんですか!?」

「君は…」

「………」

「いや…違う。所詮僕には綾波のことなんかこれっぽっちもわかっちゃ…」

「!!」

 

パシーン!!

 

「…山岸…さん?」

頬をおさえてマユミを見上げるシンジ。

「意気地なし!!」

マユミはそう叫んでそのまま駆け出す。

思わずシンジはそれを引き止めようとする。

だが、その二人をヒカリの声が止めた。

「加持さんが!!」
 
 
 
 
 
 
 
 

 

「北側の敵が加持さんを包囲しつつあります!それに呼応して南門側の敵も移動を開始しています。日向さんからひとまず移動中の敵に砲撃を加えて集結を阻止すると連絡がありました。すぐに他の部隊にも…」

「洞木さん、敵がせっかく固まろうとしてるのを邪魔してどうするの?」

「!?」

思わずミサトを振り返るヒカリ。シンジとマユミも同様にミサトを見る。

ミサトは冷静な様子で眼鏡を直すと続けた。

「移動する敵の後背へ距離を取って攻撃を加えつつこちらも部隊を移動。敵が加持の所に集まったら一斉射撃。集中砲火で一気に叩くわよ」

隊長!?」

「わかっているはずよ洞木さん」

「しかし!」

「早く命令を伝達してちょうだい」

あくまで冷静にそして感情の消えた声で告げるミサト。ヒカリは通信機の前で途方に暮れる。その時、声が上がった。

「待って下さい!」

 

 

 

 

マユミに頬をはたかれ一瞬放心状態になるシンジ。だが、混濁していた精神は逆に正常に働き始めることとなった。そしてヒカリの報告を聞いた瞬間にその悟性は自分を取り戻していた。

ミサトがしたのと同じように現状の打開策を考えるシンジ。だが、シンジが出した結論はミサトと同じ方法だった。現状でこれ以外に取りうる方策はない。なんとしても村は守らなければならないのだ。その為には加持さんを犠牲にする他はない。なによりミサトは口に出さなかったがもうすでに手遅れなのだ。どのみち加持さんは助からない。

ミサトはきっと勝利した後、深い傷を負うだろう。もう二度と幸せにはなれないほどに。しかしそうするしかない。

そうする以外に方法はない。

(…だけど)

だけど、シンジはたった一つだけそれを回避する方法を知っていた。

 

 

 

「ミサトさん、待って下さい」

すっと立ち上がってシンジが口を開いた。ヒカリは救いを求めるようにシンジを見る。一方のマユミは急に様子の変わったシンジをきょとんと見つめている。

ミサトはゆっくりと向き直るとシンジに視線を向けた。シンジは落ち着くために深く息を吸い込む。

「今の命令の伝達を15分、いいえ10分待って下さい」

「…そうすべき理由がないわ」

そう告げるミサトの目を眼鏡越しに見据えるシンジ。

「いいえ、ミサトさんにはあるはずです、十分な理由が」

「………」

シンジはそこで一度息を吐いて気を落ち着ける。そして吐き出すように言った。

「…いいじゃないですか何にたよったって。目的のためには手段を選ばないってそういうことでしょう?大事なもののためにはつまらないことにこだわってちゃだめなんです。最後には、願いをかなえるためには、自分の力で戦わなくちゃいけないってことに変わりはないんです。自分自身でやらなくちゃ何も変わらないといってことは同じなんです。だったらそのためには神でも悪魔でも何だろうと利用すればいいじゃないですか!」

「………」

「それに僕は、僕は…そんなミサトさん見たくありません」

ぎゅっと拳を握るシンジ。

「…」

「…」

ミサトはうつむくと眼鏡を取る。

「…10分か。ま、そのくらい持ちこたえるだけの意地はあるわね。こんな私にも」

「ミサトさん」

ミサトは顔を上げると言った。

「さぁ秒読み開始よ。行きなさいシンジ君!」

にっと笑うミサト。シンジの顔が輝く。

「はいっ!!」

 

 

「山岸さん」

ミサトは駆け出ていったシンジを唖然と見送るマユミに声をかけた。

「あ、はっはい!すみませんお邪魔をして!」

今ごろになって自分のしたことに気づいて慌てふためくマユミ。何度も頭を下げ、どこで息継ぎしているのかと思うほど謝罪の言葉を続ける。

ミサトは笑いを堪えながら声をかけた。

「いいえ助かったわ。ありがと」

「はい?」

首を傾げるマユミを見て、くすっと笑うミサト。

(…ま、ああいうときは一発ひっぱたくのが一番なのよ)

 
 
 
 
 

 

「加持リョウジですね?」

その少女が現れても加持さんは驚かなかった。他にこれだけのことをできるのはあの少年くらいのものだろう。炎は加持さんをとりまくように燃え上がっている。

「…お嬢さん、人に名前を聞く時はまず自分からって習わなかったかい?」

軽口を返す加持さん。ヘルメットと立ち上る炎越しのくぐもった声だがこの少女ならたやすく聞き取るだろう。

少女は少し考えるような素振りを見せると口を開いた。

「私はCODE:ANGEL−3、キリエです」

まさか答えるとは思わなかったので少し驚く加持さん。

(案外素直な子なのかな?)

「質問を繰り返します。Sナンバー8210617加持リョウジですね?」

「………お嬢さん、滅多なことを言わないでもらおうか」

加持さんの声に硬いものが混じる。

「風間リョウジが貴方と話をしたいそうです」

「風間…リョウジ?」

遠い記憶を探る加持さん。

「…あの風間か!?」

その名前を思い出した瞬間怒涛の如くたくさんの記憶が蘇っていく。

(風間…風間リョウジ)

それは懐かしくて苦い。

「………」

「…なるほど、お前さんはよりにもよってそっちについたってわけか」

加持さんの声に笑みが戻る。といっても苦笑いといった類のものだけど。

「貴方はなぜそこにいるのですか?」

キリエが抑揚の無い声で答える。おそらく風間からの通信をそのまま代弁しているのだろうと加持さんは推測する。

「なんとも哲学的な質問だな」

「風間の質問に答えなさい」

わずかに苛立ちを込めた声でキリエが問い返した。

「おいおい風間、純情な女の子をもてあそぶんじゃないぞ」

「!!」

手を振り上げるキリエ。だが途中で動作を止めた。おそらくは風間からの指示だろう。

「加持リョウジ。風間は貴方の助力を必要としています」

「なんだって?」

「自分のもとに来るように風間は要請しています」

「…悪い冗談だ」

「無論風間は本気です」

「俺にゼーレの側に回れというのか風間?」

「………」

「俺が本気でそんなことを考えると思うのか、お前は?」

 

 

 
 
 
 
 
 
 

冬月の家まで全力疾走したシンジは息も絶え絶えになりながらも家に飛び込むとレイがいるはずの部屋まで走った。

「綾波!!そこにいるの綾波!?」

ドアを開け放ったシンジの問いにか細い声が返ってきた。

「い…かり…くん?」

 

 

ベッドの上で無表情にただ座りつづけていた少女。

だが、シンジが近づくにつれその顔がほころんでいく。

シンジはベッドの前の床に手をついてどうにか息を整えると言った。

「ごめん綾波。僕は綾波に謝らなくちゃいけない。いつも、いつも僕は綾波に助けてもらっている事がわかっているのに…僕は!!」

レイはゆっくりと首を振る。

「いい…碇君はちゃんとまた来てくれた。碇君はいつも必ず最後には…」

(…どんなに長い間避けられても…信じて待っていれば…そう必ず最後には碇君は…)

微笑むレイ。

「綾波」

「…」

「加持さんが危ない」

「…」

「ミサトさんでも長くはもたせられない」

コクリ

シンジの意図を理解してうなずくレイ。

「だから…」

シンジは手をレイの前に伸ばした。

「…」

レイは心からの喜びと共にその手を取る。

「行こう綾波」

「ええ」

一瞬の後、閃光が辺りを染めた。

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「…断る」

加持さんはきっぱりと言った。

「今更俺みたいな根無し草に用はないはずだ」

「…風間は貴方を必要としています」

「お嬢さん、人の話を聞いているかい?」

「…強制連行します」

「おいおい…」

苦笑する加持さん。

(…こりゃ筋金入りだな)

「女性の誘いを断るのは不本意だが、今日の所は遠慮させてもらうよ…ぐっ!!」

加持さんの体が炎に包まれる。咄嗟にその場を離れようとしたが突然身動きが取れなくなる。

(この子の力、か?)

炎を放つ力だけでなく、念動力もある程度は使えるらしい。メインで戦闘に用いていない所を見るとさほど強力ではないみたいだけど、それでも普通の人間に対してはすごい脅威よね。

「抵抗は無意味です。どのみち貴方は中枢部のみ無事ならボディは再生できる」

「か、過激だな最近の女の子は…」

念動力に押え込まれ加持さんは身動きひとつできず、炎は着実に抵抗力を削いでいく。たとえこの二つがなくとも既に周囲はかなりの数の人形に包囲されている。加持さんでももはや突破は不可能だろう。不可能なんだけど…

 

(スーパーヒーローならピンチの時に颯爽と現れるくらいのことはしてくれてもいいんじゃないのかい?)

 

ふとそんなことを思う。無論、それは幻想だ。そんな都合のいいことはありえない。現実に加持さんには生命の危険が迫っている。

(やれやれここまでか)

装甲服はなんとか高熱に耐えているが限界も近い。さっき無理したせいで破損した個所が裂けたら一気に炎上することだろう。そうなったらさすがの加持さんも助からない。

(まぁちょっと残念かな)

この状況下で加持さんが思ったのはそんな感想だった。

(もしかすると、これから面白いことになるかも知れないんだがな…)

 

 

ゴォォォォッ!

突如風が逆巻くと加持さんの身を覆っていた炎をかき消した。

「これは!?」

目の前で起こったことが信じられないキリエ。

「そこまでにしてもらおう」

声の方を振り返るキリエ。

「!?」

そこに、あの少年がいた。

 

 

 

 
 
 
 
 

ゆっくりと彼は歩み出る。周囲の人形達など端から視界の外である。

「…風間、とか言ったな。残念だが加持さん…じゃない加持は生憎僕の手下Aに決定済みだ。ついでに使用後はミサトにくれてやる予定だからな。後から出てきてちょっかいをかけるのはやめてもらおう」

「おいおい俺はパシリか?」

ゆっくりと体を起こしながら答える加持さん。装甲服の装甲の薄い関節部のほとんどが機能を失っているがかろうじて動くことはできる。

「文句あるのか?それにしても…情けない格好だな加持。ええ?」

ヘルメットを脱ぎ捨てる加持さんに追い討ちを掛けるエヴァ。

「生憎と王子様がダウンしてたんでな。しがない身で頑張ってみたわけだ」

「人の心配できる身か?ふん、まぁいい。僕の方なら心配無用。バージョンアップした」

「バージョン?なんだ?」

加持さんは各所のロックを外すともはやガラクタとなった装甲服を脱いでいく。

「これまではどうしてもシンジが拒絶していたからな。おかげでいろいろと負荷がかかっていたんです…いたんだが、今回はシンジも完全に受け入れているからな。ただでさえ完璧な僕が更に100%パーフェクトな状態だ」

「ほう」

「力の程を見せてやろう…うなれ嵐!轟け雷鳴!」

エヴァが腕を振り上げる。

「カミナリ…どっかぁぁぁぁーん!!

ドォォォォォーン!!!

「!?」

閃光と共に耳をつんざくような轟音が辺りを覆った。

 
 
 
 

「雷撃、か?」

それらが収まった後にはクレーター状の地面がのこっていた。クレーターは黒く焼け焦げぶすぶすと煙を上げている。そして、そのクレーターはキリエの手前50cmほどの所に穿たれていた。

「!?」

事態を認識して思わず後ずさるキリエ。

「ふふん、どうだ?今のはわざと外してやったが、次は外さないぞ。君子の様に心の広い僕だがさすがにあれだけやられたから今回はちょっと怒ってるからな。ぎったんぎったんのけちょんけちょんにしてやる。頭を下げて謝るなら今のうちだぞ?」

「…どこが君子なんだ?それじゃめっきり悪役だろ」

「そんなことはどうでもいい。僕はこれからこの女に礼儀をたたき込むとするが…お前一人位なら余分に力場を作ってガードできる。雑魚は任せるぞ」

装甲服を脱ぎ終わり身軽になった加持さんが答える。

「…任せてもらいましょう」

「なら行くぞ!!」

エヴァが地を蹴ると同時にその場から跳ぶキリエ。直後、キリエのいた空間を衝撃波が襲った。衝撃波に伴う風圧でなびく髪をそのままに走り出す。かなりの高速だがエヴァはしっかりとついてくる。

エヴァが地面を蹴るのと同時に加持さんもまた走り出した。

人形の一体にナイフを叩き込むとライフルを奪い取りそのまま周囲の人形をなぎ払う。

人形達も応戦するがエヴァの言う所の力場に阻まれ加持さんには届かない。

 

走りながら火炎を放つキリエ。だが先日と異なりその火炎は一片たりともエヴァには届いていない。

ゴゥッ

ピキィィィィィーン!

業火はことごとくエヴァの眼前で阻まれる。その都度現れる赤い八角形の発光現象が抵抗の存在を示すがそれがなんなのかキリエにはわからない。ただ、今の自分の攻撃では決してその障壁を突破できないことは理解出来た。

(ATフィールド展開)

(目標補足…攻撃します)

「いっくぞぉぉ!!」

エヴァの右腕に光が集まりエヴァの腕のモーションと共に放たれる。

「ぶわぁくはつ、どっかぁぁん!!」

ドォォォォーン!!

 

 

 

『出た!出おった!!隊長!ありゃ間違いなく“奴”や!!』

スピーカから興奮した部下の声が聞こえた瞬間ミサトは戦局が決したことを悟った。

「洞木さん、さっきの命令大急ぎで伝達して。今度は文句無いわね?」

「はいっ!」

通信機に向かって興奮ぎみに話すヒカリを見ながらミサトはぼそっと付け足した。

「そうそう、ついでだからみんなに言っていいわよ、『エヴァが助けにきたぞ』ってね」

「わかりましたっ!」

興奮しているヒカリは今の指示にどれだけ凶悪な意味が込められているのか理解していない。

(スーパーヒーローならこのぐらいなんでもないでしょん?)

ミサトはヘッドセットを取るとエヴァの戦いを見物すべく外へ出る。

「隊長!?」

「だいじょーぶだいじょーぶ、戦いはもう終わったようなもんだから」

 

 

 

シールド。発火。火種は敵の障壁で呆気なく飛び散る。

「こら女!身の程を知るのも実力のうちだぞ!!」

敵の反撃、直撃は回避。衝撃波、シールド、かろうじて防御、余波がバイザーを砕く。

(ピンクの瞳?)

視界の端にキリエの顔を捉える加持さん。自分のグリーンの瞳とは違うが、やはり瞳の色は人とは違うのか。

キリエは顔がさらされたことで恐怖を堪えられなくなったのか助けを呼ぶ。

「助けて下さい風間!!」

だが、風間からの指示はない。ならば自分は戦いつづけなければならない。

「…もういいかげんにしたらどうだ?」

すぐ間近で声がした。一瞬の隙に距離を詰められたらしい。

「くっ」

飛びのきざま再び発火。

「…攻撃位置予測、回避」

冷静な口調でエヴァは火炎をかわし、同時に攻撃を放った。

 

 

 

「…スピード、オフェンス、ディフェンス、ありとあらゆる面において前回の交戦時のデータを上回っている」

風間は暗い部屋で一人呟く。モニター脇のランプの点滅がキリエからのコールが繰り返されていることを示すが、風間は反応を示さない。

「一面的なデータのみではとらえられない存在ということか?」

戦局は少年の圧倒的優位で推移している。むしろ手加減すらされている様子だ。現状のキリエのスペックでは引き分けに持ち込むことすら困難だろう。

「…一度態勢を立て直す必要があるな。ゼーレも反対はすまい」

 
 
 
 
 
 
 

 

「!!…わかりました風間!」

ようやく待ち望んでいた指示を得られたキリエの顔が輝く。

「何?」

キリエはエヴァに背を向けると走り出した。

「逃すか!」

追撃にかかるエヴァ。

(別に逃しても…)

「るさいっ!!」

 

「どういうことだ?」

人形の大半を掃討した加持さんが呟く。

(撤退するにしてもエヴァに攻撃をしかけつつ撤退するのが妥当なはずだ)

だが、キリエは逃走のみに専念している。加持さんは相手の逃走ルートを推測する。

(大きくカーブしてはいるがむしろ松代に近づいているのか?)

今のまま走り続けたとするとその先には…

「!?」

 

「まずい!森を守れエヴァ!」

「なに!?」

だが、加持さんの声は逆に一瞬の隙を作ることとなった。

ゴォゥ!!

キリエの手からすさまじい大きさの業火が放たれた。エヴァに対してではなく“森”に。

 

 

炎の規模は尋常ではなかった。一本の樹を瞬時に炭化させると辺りに炎を広げていく。

一方、エヴァの注意が森に向いている間にキリエの姿は小さくなっている。

「あんの女ぁ!!」

怒り心頭に達して地面を蹴るエヴァ。

「待て!!」

加持さんがその前に立ちふさがる。

「どけ加持!」

「今は追撃よりも火を食い止めるのが先だ」

「そんなこと知るか!!僕はあの女にお仕置きをしてやるんだ!!」

「…本気で言ってるのかい?」

「!」

加持さんは少しの間にらみ返すエヴァを見つめると森に走っていった。

「あぁくそっ!!」

だんだんと地団太を踏むエヴァ。

(現状では彼の言う通りね)

(敵はいつでも倒せるよ)

「わかってるよ!!」

 

 
 
 
 

「ひどい…」

マユミの眼前で森が悲鳴を上げていた。

バチバチバチという樹が焼ける音と共に辺りに煙が充満していく。

「水だ!!水をかけろ!!」

「畜生!!なんだってこんなことに!!」

あちこちでばらばらにバケツで水をかけたりしているが焼け石に水といった状態だ。

「ポンプとホースを運んできなさい!川の水を吸い上げて放水するのよ!!それから急いで火災の起こっている区域の周囲の樹を切り倒して!それで延焼を食い止めるしかないわ!!」

冷静な声のした方向に顔を向けるとやはりそこにはミサトがいた。

「本当は爆弾でも使って爆風で吹き飛ばした方が早いんだけど…」

なにかぶつぶつ言っているけど聞かなかったことにしようと思うマユミ。

すぐに人員が配置され樹の伐採が始まり、同時に川からポンプでくみ上げた水の放水が始まる。マユミ自身もバケツリレーに加わる。

(樹があれだけ育つには何十年もかかるのに!!)

どうしようもないこととわかってはいるが切り倒されていく樹を見ると涙が込み上げてくる。

「わわっ!!」

炎に予想以上の勢いがあったのか放水をしていた面々の方から悲鳴が上がる。飛び火した炎が辺りの樹に燃え移った。

「避難しろ!!」

慌てて人々は避難を開始する。その背後からは燃えてはじけた枝やらなにやらが襲いかかる。マユミ達のいる方にも燃えた枝がまっすぐ飛んでくる。

「きゃああっ!」

炎が眼前に迫った瞬間、視界を誰かが覆った。

 
 
 

「こんなところでうろうろしてんじゃないっ!」

怒鳴り声にきょとんとするマユミ。

「え?」

見ると同じように尻餅をついた人やら頭を抱えた人達の手前の地面に燃えた枝やらなにやらが落ちて煙を上げていた。マユミが顔を上げると少年が背を向けて立っていた。マユミに向けた瞳の色は誰かと同じ紅だった。

「ほら腰が抜けてないんだったらさっさと立ち上がって避難する。わかった?」

「は、はい」

「うむ、よろしい」

そういってうなずくとその“少年”はたったったと火事の中心に向かって駆けていった。

 

 

「え?」

「な?」

「あん?」

いきなり辺りが薄暗くなりホースを抱えて消火にかかっていた人々が声を上げた。同時に空を見上げた瞬間、

ばっしゃぁぁーん!!

という音と共に大量の水が人々を打ちえた。

「どわぁぁぁぁ!!」

「なんだぁぁぁっ!?」

 

雨というよりも洪水にでもあったかのようにびしょぬれになった人々が我に返ると辺りの炎は消え、火災は全て鎮火していた。後で彼らは知ることになる。その“雨”が降ったのは森の中でも火災の起きていた一部の限られた空間だけだったということを。

 

 

 
 
 




















<明けて翌朝>

 

「それで結局なんだったの?その水の正体は?」

カップを手にミサトが聞いた。

「大気中の水分とか地下水とかいろいろしたみたいですけど大半は川の水です。なるべく自然な形で火を消したかったみたいですね…あ、どうも」

冬月からカップを受け取るシンジ。

「火を消した水は地面に染み込んで元の所に還るというわけか、彼にしてはずいぶんと手間をかけたもんだな」

加持さんの言葉ににやりと笑うミサト。

「誰かさんがうるさいからじゃないのん?」

加持さんは苦笑しつつシンジに聞いた。

「それでシンジ君の方の具合はどうだ?」

「ええ至って問題ありません。今度はエヴァも手を抜かなかったようです」

「ふーん」

なにやら語尾が上がっているミサト。

(あ、やばい)

いやな予感がするシンジ。

「やっぱりぃ合意の上に融合するってことが大事ってことみたいね。ねぇシンジ君?」

にんまりと笑みを浮かべるミサト。

(あぁ駄目だ。ごたごたが終わってミサトさん絶好調だ)

そう嘆きつつもどこか懐かしさを覚えるシンジ。ひとまずうまくかわそうと口を開く。

「僕は知りませんよ」

そう言ってお茶を口に運ぶ。

「ま、あれだな女性と一つになるときは合意が大事だからな」

「ぶっ!」

思わずお茶を吹き出すシンジ。

「な、なんの話ですか!?」

「もちろんエヴァの話だが?」

そう言ってにんまり笑う加持さん。

「シンちゃんなぁにを想像したのかなぁ?」

「おや、いつの間にかシンジ君からシンちゃんに格上げか?やるなシンジ君」

「だってシンちゃんてばあんたと違ってかわいいもん、ねぇシンちゃん?」

絶好調の二人を前に頭を抱えてさめざめと心で泣くシンジ。

「…とほほ、ここでまでこんな目に遭うとは思わなかった」

「ほほぅ。じゃあ以前にもこんな目にあったことがあるわけねん?」

そう言ってシンジの頭を抱え込むミサト。

「わっミサトさんやめて下さい!」

「あれ?なーに赤くなってんのかなシンちゃん?」

「どうだ葛城の胸のさわり心地は?」

「あ、綾波助けて!!」

進退極まったシンジは唯一の味方に助けを求めた。

「?」

きょとんと首を傾げるレイ。

「…どうかしたの?」

「あああ、そうだった…」

どうやらごたごたが終わって気が抜けているのはシンジ自身も同じらしい。

レイは何事も無かったようにお茶を飲んでいる。

「ははは、葛城君がそんなに楽しそうにしているのを見たのは随分久しぶりな気がするよ」

冬月さんが自分のカップを持って座る。

「えへへ、どうしてだかわかんないけどシンジ君って他人って気がしないんですよ。ついつい遠慮がなくなっちゃって」

「姉弟みたいだぞ葛城」

三人が話している間にどうにかこうにかミサトの腕の中から抜け出すシンジ。

「と、ところで冬月さん、お話というのは?」

シンジが冬月に聞いた。そもそも話があるというので早朝から冬月が四人を集めたのである。

「ああ。実はおもしろい話を聞いてね」

「というと…」

なんでも冬月さんの知り合いから連絡があり(襲撃の事は聞いていたので生きているかどうかを確認したかったらしい)、その際に冬月さんが調査を頼んでいた件の結果を連絡してくれたそうだ。

「それで聞いた話なんだが、なんでも西の方に探し物を見つけたり未来を占ったりしてくれる凄い霊能力者がいるらしくてね。まだ若い巫女らしいがあまりの的中率で噂になっているそうだ」

「………」

「…名前を飛鳥と言うそうだよ」

 
 
 
 
 

 

「それが碇君の探しているアスカなのかどうか確かめに行くの」

「そうなんですか」

うなずくマユミ。

再度勇気を出してコミュニケーションを試みた結果、レイは拍子抜けするほどあっさりと応じてくれた。まぁ相変わらず無表情だが。

そこで『これからどうするんですか?』と聞いた結果である。

まぁ、わかっていたことではある。シンジとレイは目的を持って旅をしている旅人だし、自分は種の行く末を見届けたいという気持ちがある。別れは当然やってくるのだ。それでも…

「ちょっと寂しいですね」

ぽつりと呟く。

「?」

聞こえなかったのか首をかしげるレイ。

マユミは気を取り直すと拳を握った。

「綾波さんもがんばって下さいね」

「…何を?」

「あうっ…何をって、そのいろいろ…とにかくがんばって下さい!!」

ここで引いたら駄目だといわんばかりに詰め寄るマユミ。

「………」

「………」

ふいにレイが微笑んだ。

「え?」

思わず見とれるマユミにレイが言った。

「…ありがとう」

 

微笑みとお礼。ただそれだけなのだがマユミはとてもとても貴重な体験をした気がした。

 

 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 

「じゃあまたな葛城」

そう言うと加持さんは荷物を肩にかけた。

「せいぜいくたばんないようにしなさいよ」

「葛城もな」

加持さんが出ていった扉をほけーっと見つめるミサト。

当然といえば当然の成り行きだ。エヴァに敵が関心をもつことはわかっていた。すでに彼らは松代を発って西に向かっている。そして彼らをフォローする人材は加持さんを置いて他に無い。まして、ゼーレ側の人間が加持さんに目をつけているとあっては…

(ここの安全を考えたら、やばいものは放り出すっきゃないのよね)

そして、ミサトはほとぼりがさめるまで松代の警備をしないわけにはいかない。本当はミサト自身がその目で見たいのだが…

「…腕のいい情報屋でも雇おうかしらねぇ」

そうぼやくとミサトは椅子に横たわって目を閉じた。とりあえずしばらくはのんびりさせてもらえるはずだ。

 

 

 

続劇

 

 

 

 

予告

  

人には相性というものがある。

能力的にははるかに勝っていながら相性が悪いためにあっさりと負けてしまう事もある。

その能力そのものが意味を持たない場合も同じだ。

しかしどれだけ言いつくろっても敗北したという結果に変わりはない。

 

次回、エヴァンゲリオン幻戦記 第九幕 迅雷
 

ちょっと!うちの旦那をどうするつもりよ!?

 




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