銀河の英雄は『アタシに決まってんじゃない!』伝説plus!
自由惑星同盟領イゼルローン要塞。直径六〇キロメートルに及ぶ銀色の球体は、銀河帝国の手によって建造されて以来、三〇年にわたって数千万人に及ぶ同盟軍兵士の血を吸い続けた。その結果、『難攻不落』の代名詞として危険中域に穿たれたせまい回廊に未だ鎮座している。
宇宙歴七九六年五月の末に、アスカ・ラングレー・ソウリュウ少将(当時)率いる第一三艦隊が、通常戦力の半数という寡兵をもって陥落させた。その後は同盟の最前線基地として重要な役割を担っている。
現在、イゼルロ−ン要塞指令官及び駐留艦隊司令官の職には要塞奪取の功労者であり、同盟軍最年少将官、アスカ・ラングレー・ソウリュウ大将がその任に当たっている。先の『アムリッツア星域会戦』での活躍が評価されたためと表向きはなっているが、実際は、必ず最前線になること、首都星系から遠いこと、うまみがないこと……などからベテランには忌諱されたと言うことらしい。人材面での打撃が著しく他に任に堪える人物がいないのも事実だ。
さて、味方からは『魔術師』だの『同盟軍最高の知将』だの敬して遠ざけられ、敵からは『ペテン師』とか『魔女』とかろくな事を言われていない薄幸の提督アスカだが、その美貌と知謀から完璧な女性の代名詞とまで言われている。が、実はそうでもない。
今回は、そんな若き司令官の私生活を支えている少女のお話。
00/08/08修正
銀河英雄伝説は田中芳樹氏の著作物です
yoshiki tanaka (C)1982 徳間書店刊