暖かな陽の光が春の到来を知らせる午後。

 

 風が灰色の雲をゆっくりと彼方から運んでくる。光の女神がその笑みを失うと、

人々はまだ冷たい大気の存在を感じ足早に歩き始めた。やがてアスファルトの小

径や、屋根、木々と野原を雨粒が叩き始める。

 

 優しい調べと共に。

 

 雨の中。青草の茂る野原の一角。一人の少女が佇んでいた。

 冷たい雨の滴が体温を奪いながら頬を伝っていく。

 葉陰には揚羽蝶が一匹。気まぐれな雨を避け、耐えていた。

 

 微かに微笑んでいるようにも見える少女に、時は暫く立ち止まった。

 

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        緑の街の物語 《Green-town's chronicle》

 

          第一話  風邪と約束  -2016.5-

 

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 ベルの音に、レイは目を覚ました。

 緑地の寝間着が、寝汗で肌にへばりついているのが判る。

 身体を起こすと、激しい悪寒に襲われた。

 

「どうしたの?!」

 開いたドアから顔を覗かせた少年――シンジはそう言って部屋に入ってきた。

「熱、あるじゃないか」

「うん……」

 額に当てられた掌に心地よい冷たさを感じながら、熱い吐息と共に言葉一つ。

「『うん』じゃなくて――冷えるといけないから早く寝て!」

 レイは覚束無い足取りで、シンジに支えて貰いつつベッドへと戻った。

 

 ふわふわした感じ。

 レイは自分の身体の状況をそう評した。

 

 身体の中は燃えるように熱くて、それでいて皮膚は震える程の寒さを感じてい

る。指先に微かな痺れ。熱い息がナイフのように喉を通って行く。

「熱の所為だよ」

 シンジは優しく答えた。それだけで、何となく安心した気持ちになる自分に不

思議な感じを懐く。

「学校……」

 途切れがちな意識の中、レイは言葉を紡ぐ。

「休むといいよ」

 声はまるで彼方から聞こえるように感じた。

「違う……行かないの?」

「ぼくも休むよ」

 ――でも……元気なのに……行かないと、勉強が……。

 それは言葉にならなかった。

 傍にいて貰いたいと願う自分の心に気付く。

 レイは桜色の下唇を噛んだ。

 意を決して口を開いた時、ベルの音がした。インターホーンから聞き慣れた声

がレイの耳に届く。

 シンジがドアを開けた。元気のいいアスカの声が部屋に響いた。

「遅いと思ったら、何やってんのよ――風邪?――あんた莫迦ぁ、今日試験なん

でしょ? いーから、行って来なさい。あたしが看てるから! ほら! 早く!!」

 捲し立てる声が止んだ後、シンジが申し訳なさそうな顔をしてアスカと共にや

ってきた。

「ごめん、出来るだけ早く戻ってくるよ」

「……わたし、大丈夫だから……」

 先程言えなかった言葉。

 シンジは頷くと、横目で睨むアスカを一瞥し玄関へと向かった。

「まったく、何考えてるのかしら」

 シンジの出て行ったドアを見つめ、腰に手を当てながら、アスカが呆れたよう

な口調で言い放った。

「……優しいのも考えものよね」

 眉を顰めていた横顔に穏やかな色が戻っていた。微かに笑むような口元。レイ

はその横顔を茫と眺めている。

「――あ、ごめん。汗かいてるんでしょ? 着替えはどこ?」

 視線に気付いたアスカが微笑みながら言った。優しげな眼差し。

 シンジに似ている。――レイは思った。

 

 空調装置の静かな音が、部屋の空気を微かに震わせていた。

「……いいの?」

 レイは替えの寝間着とシーツを抱えてきたアスカに訊いた。

「ん? あたし? ……ああ、学校ね。いーのよ、一日くらい。それに――」

 珍しくアスカは躊躇するかのように一瞬口ごもった。

「――約束、してたでしょ」

 と照れたように継いだ。

「約束って……あ」

「はいはいはい。部屋も暖まった事だし寝間着とシーツ交換するからね!」

 何か言おうとするレイの言葉を遮るようにアスカが喋り出した。

 その顔は熱のあるレイよりも赤かった。

 

 薬が効いてきたのであろう。往診を終えた医者が帰った後、レイは再び眠り始

めた。

 寝室兼勉強用に割り当てられている部屋は静寂に包まれた。アスカは鞄から本

を取り出すと、時折、レイの様態を確認しつつ読み進んだ。

 本を読み終えた時、時計の針は十二時半を少し回っていた。今日の授業はそろ

そろ終わる頃だ。

「――約束」

 髪を一筋、指先で弄びながら、アスカは四ヶ月前の事を思い出していた。

 

 

 二千十六年一月。

 

 目が覚めた。

 ネルフ本部内特別病棟の一室。自分の呼吸音以外は音らしい音もない病室にア

スカは居た。時計を見ると午後の六時を回っている。右側に見える東向きの窓か

らは、真っ黒な闇がガラスを破って出てきそうな圧迫感を以て鎮座していた。時

間の感覚がずれて来ているのを感じて溜息を一つ吐く。

 関節、筋肉の鈍い痛み。十日前の最終決戦時の無理が祟ったのか、三日前、ゼ

ーレエヴァのダミープラグ代わりに使われていた級友たちの容態を訊かされたシ

ョックの為か。その日の晩からアスカは発熱していた。

「……ホントだったら、今頃歩き回れていた筈なんだけどなぁ……」

 見る影もなく痩せてしまった右手を、掛蒲団から出し動かしてみる。熱も手伝

ってか、まるで力が入らない。

 自嘲気味の笑みが白い顔に浮かぶ。嘗(かつ)ての自分に送る笑み。

「時間は……これからいっぱいあるし……ね」

 腕の力を抜く。白い腕は蒲団に当たり、ぱたんと乾いた音を立てた。

 

 ぱたん、ぱたん、ぱたん。

 蒲団を叩く音が繰り返される。だがその音はアスカの意識には届いていない。

病室のドアをノックする音も、それが開く音も、誰かが近づいてくる事さえも。

「何、してるの?」

「ぃ!」

 レイが入ってきた事に初めて気付いたアスカは、小さく悲鳴を上げそうになっ

た。頬が羞恥と微かな自分への怒りで朱に染まる。

「な、何でもないわ」

 掠れ上擦った、小さなアスカの声。

「身体に障るわ」

 小さな白い手が、アスカの腕を包み込むように掴むと蒲団の中へと戻した。

 以前の彼女なら、振り解いて拒絶したかも知れない。

 今は違った。

「うん……そうね」

 言ってから、心の中に模糊としたものを感じる。もっとよく感じ取ろうとする

と、それは深淵に逃げるように隠れてしまい、置き去りにされた心の地平線で茫

と立ち尽くす自分が残るだけだった。それは時折見舞いに来るシンジの時にも感

じていたものではあったが、ここ三日――レイが来る時に、より強く感じるとい

う事が判ってきていた。

「着替え、持ってきたわ……今、取り替える?」

 アスカは頷いた。レイはベッドの周りのカーテンを閉じ、新しい下着と寝間着

を取り出す。汚れた衣服を脱がせ、汗でべとついた肌を丁寧にタオルで拭き取っ

ていく。

 再び、心の隅を過ぎるもの。

「みんなの容態は……どう?」

 寝間着に袖を通すのを手伝って貰いながらアスカは訊いた。

「鈴原君の意識が戻ったわ、それと――」

 淡々とレイの口から綴られる言葉は、アスカの心に虚しく響いた。

「――そう……」

 細い小さな肩が震えた。心の寒さの所為であった。虚無がゆっくりと伸し掛か

ってくる。怖い。

「シンジは?」

 救いを求めるかのように少女は少年の名を口にした。

「赤木博士の手伝い。新しい医療機器の、データ収集用の被験者をしているわ」

「そう……」

 アスカは俯いた。知らない間に随分と大人びていた、そして殆ど笑わなくなっ

た少年の瞳を思い出す。

「身体、冷えるわ」

 ベッドに寝かせようと、両肩に触れる柔らかな掌の感触。見上げた先には、シ

ンジと同じ優しい瞳があった。

 

 何かがアスカの中で弾けた。

 

「どうして、シンジも……あんたもそんなに強いの?」

 レイの腕に縋る。頬に熱い涙が伝わり出す。嗚咽する声が二人しか居ない病室

内に響いた。

 一瞬、戸惑うかのような表情をした後、レイは何かを思いついたようにベッド

に腰掛けると、アスカの背中に手を回して抱きしめた。心まで冷えないように。

 自分の胸に顔を埋め、泣きじゃくるアスカの髪の毛を優しく撫でながら、静か

に、はっきりとレイは言った。

「強くなんか無い……ただ――」

 抱く手に力を込める。

「絆があるから」

 微かに風が窓を叩く音がする。アスカは少し身を硬くした。昨日、強風が窓を

激しく叩いていた事を思い出す。音が聞こえないように蒲団を被っていた事も。

 天候は日に日に不安定になっていた。贋物の夏が実体を持つ冬と拮抗し、その

凄まじい戦いの成果が、強烈な突風、大雨、落雷をもたらしている。

 再び、今度は強く窓が鳴った。

 アスカは思わず身を震わせた。気が付くとレイにきつく抱きついていた。

 そして――自分が一人きりの夜を恐れていた事を初めて理解した。

「わたしもこんな夜は怖いわ」

 想いを感じ取ったかのようにレイは言った。

「怖くて、寂しくて……どうしようもなかった時もあった。でも、今は平気。わ

たしの事を、考えて、心配してくれる人が何人も居るから。居るのが判ったから、

平気」

 アスカは見舞いに来てくれた人々の顔を思い出していた。

 涙は止まっていた。

 レイの暖かい胸元に埋めていた顔をそっと離す。見上げた先には、心配そうに

見つめる紅い瞳があった。

「わたしじゃ……駄目?」

 微かに不安の混じる声でレイが訊いた。とても暖かい声だった。アスカは首を

振った。笑みがレイの顔に浮かぶ。

「もう寝ないと」

「うん」

「その前に……はい」

「あ」

 手渡されたタオルを見て、アスカは自分の顔がどういう状態か想像し、絶句し

た。慌てて受け取るとゴシゴシと顔を拭く。その傍で青い髪の少女は、天井から

降り注ぐ間接照明の淡い明かりを受けて輝いていた。

 

「おやすみ、惣流さん」

「おやすみ、……レイ」

 そっと掛けられる蒲団。

 明かりが落とされ、部屋は闇に包まれる。相変わらず風は窓を打ち鳴らしてい

たが、もう不安を感じる事はなかった。たとえこのまま世界が闇の中に沈み込ん

だとしても。

 程なく睡魔が、安らかな夢の世界にアスカを誘(いざな)った。

 

 風は止んでいた。

 レイはアスカの寝顔から視線を転じる。

 東向きの窓のカーテンが白く輝いていた。

 その傍に立ち、音を立てないようにそっと開く。

 風が雲を追い散らしたのか、中空に月が浮かんでいた。

 満月に近づきつつある、少し痩せた月。

 

 今では悪夢だったとしか思えない、孤独と不安を感じたあの時の事を回想する。

レイは自分の身体を抱きしめた。心には暖かいものが満ち溢れていた。

 

 ――碇君から教えて貰った絆。惣流さんに伝わったよね?

 

 冷光を浴び、少女はプラチナの彫像と化した。その貌に、優美な月の光さえも

圧する笑みを湛えて。

 

 

 気持ちのいい目覚めだった。

 アスカは熱が下がっているのを知った。昨日の事は夢のようにも思えた。光の

帯がカーテンの隙間から部屋の中に射し込んでいる。窓を開け放てば冷たい、し

かし新鮮な風が肺と心を今以上にすっきりさせてくれるだろう。

 そんな時、ドアをノックする音がした。はい、と答える。昨日よりも力強い声

で。

「おはよう、惣流さ――」

「待って」

 レイの言葉をアスカは遮り、

「――アスカでいいわ」

 と継いだ。

「?」

 ベッドの傍にある椅子に座り小首を傾げるレイ。何故、とでも言いたげに。

「……そう呼んで欲しいの。なんか……他人行儀みたいだから」

 レイはアスカの真摯な眼差しと心を受け止める。

「…………判ったわ、アスカさ――」

「“さん”もなし」

「うん、……アスカ」

 優しい響きを伴って呼ばれた名前は、アスカの心を擽った。

「……あはっ。あははっ」

「……くすっ」

 二人同時に笑った。

「あは、な、何で笑うのよ。あははっ!」

「え? 判らない……。あの、おかしいわ」

「ホントおかしい!」

 笑いは止まらなくなった。お腹の筋肉は引き攣り、肺の中の空気は無くなり、

息も絶え絶えに少女たちは笑う。

「ひぃ、く、苦しい。も、もうやめましょ!」

「で、でも、と、止まらないの」

 

 およそ五分間。少女二人は訳も判らずひたすら笑い続けた。

 

「……疲れたわね」

「……うん」

 アスカはベッドの上で胸を上下させ息を弾ませている。レイもベッドの端に俯

せになって呼吸を整えていた。

「ねえ」

「何?」

「昨日言ってた、心配してくれる人って……シンジ?」

「――ええ」

 吐息にも似た甘い声が返る。

「そっか」

 顔にかかった自慢の髪。

「ちょっと短くしようかな……」

 一筋の髪の毛を指で梳く。

 その仕草を見たレイも、自分の髪に触れた。

「伸ばしてみたら? 似合うと思うわ」

「そう?」

「うん。このあたしが言うのよ」

 アスカの言葉に笑顔で応えながら、そっとその額に手を伸ばす。

「……熱下がったみたいね」

「ええ、もう大丈夫。……大丈夫よ。助かったわ……いつかあんたが熱だしたら

看病してあげるからね」

「お願いするわ。……でも、“大笑い”だけは無しよ」

「もぉ。やだ」

 くすくす笑いが復活しそうになった時、ノックの音がした。

「おはよう。何か笑い声がしたけど……?」

 入ってきたシンジは怪訝そうに訊いた。

「何でもないわ、アスカの熱が下がったから笑っていたの」

 そう答えたレイに、シンジは一瞬困惑した表情をしたが、

「そう……、良かった」

 と安堵の溜息と共に微笑んだ。

「ねぇ、レイ。……あんたも名前で呼んで欲しいと思わない?」

「……………………うん」

 暫く考え込むように俯いた後、レイは返事をした。軽く握った右手は胸元に置

かれている。

「何の話?」

 シンジは二人の少女へ交互に視線をさまよわせた。

「あの、ね。――」

 レイは顔を上げシンジに話し始めた。左手がアスカの右手を握る。アスカはそ

っと握り返した。

 

 

 くすくすくす。

 押し殺したアスカの笑い声が聞こえる。

「どうしたの?」

「あ、起こしちゃった? ごめん」

 笑いながらアスカはレイの傍に来た。

「思い出してたの。あんたとシンジが最初に名前で呼び合った時の事」

 レイの頬がさっと朱に染まった。

「――や……だ」

「照れないの」

 掛蒲団を派手に巻き込みながら背を向けたレイに、アスカは抱きつく。頬が触

れ合った。

「あ……熱、下がったね」

「うん」

「でも、体調崩すなんて珍しいわね」

「雨に打たれたから……」

「は?」

「揚羽蝶が一匹飛んでいたの。追いかけていたら雨が降ってきて、蝶々が葉の陰

に止まって……。葉から落ちる雫が綺麗だったからずっと見ていたの。蝶々も寂

しそうだったから」

「……」

「…………アスカ?」

 とある雰囲気を感じ、レイはアスカを小声で呼んだ。

「…………もしもし、綾波レイさん」

 アスカは暫く黙り込んだ後、低い声で言った。

「あ……はいっ」

「そーんな事で熱出して、あたしとシンジを心配させた訳ですねー」

 少し引き攣った笑みを浮かべながらアスカはレイに体重を掛けていく。

「ご、ごめんなさい……重い」

 レイも笑いながら答える。

「体重は戻ったけど、お・も・い、は余計よっ!」

「お・も・い」

「まーだ、いうかー」

 二人は子猫のように戯れ合う。

 その時、忙しないベルの音がした。

「アスカ、開けてよ。レイの様子はどう?」

 インターホーンからシンジの声がした。

「はいはい、ちょっと待ってね、せっかちな王子様」

 アスカはそう言ってレイから離れる。

 ドアを開けると息を切らせたシンジが立っていた。

「ひょっとして、走ってきたの?」

 学校からここ迄は徒歩五分と言った所であったが、シンジは全力疾走してきた

ようだ。呼吸を整えながら頷く。

「全く……レイなら大丈夫よ、熱も下がったから」

「ホント?」

「そう。ほら」

 ベッドの上でレイがシンジを見ていた。シンジの視線を認めるとこくりと頷い

てみせる。

 シンジは安堵の息を吐いた。

「ありがとう、アスカ」

「あんたの為じゃないわよ。レイはあたしにとっても大事な友達なんだから」

「……そうだったね」

 シンジはレイの傍に行くと、身を起こしたレイの背中に毛布を掛けた。

 

「センセ、早いわ」

 数分してヒカリに支えられるような感じでトウジが入ってきた。

「いやー、凄い走りだったね」

 ケンスケも続く。

「で、どんな様子?」

 ヒカリが真顔で訊いた。

「見てのとーり。熱は下がったから、もうちょっと安静にしていれば、すぐ治る

と思うわ」

 視線がレイに集まった。

「ありがとう」

 レイは、心配して見舞いに来てくれた友人たちに笑顔で応える。

 

「時間はいっぱいあるわ……」

 暖かな五月の空気が忍び込んできた部屋の中、アスカはそっと呟いた。

 

 

 命の囁きが甘い香りとなって立ち上る野原の一角。

 一匹の揚羽蝶が虚空を舞う。やがて近づいてきたもう一匹と空中で輪舞しなが

ら、高く青い空の彼方に吸い込まれるように見えなくなった。

 

 

                第一話 完          (→第二話へ)

 

 

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 後書きです。

 

 以前に書いた「曙光」の後日談です。

 時間的にはラストシーンの一週間ほど前ぐらいです。

 

 途中レイとアスカの会話、凄く時間が掛かりました。

 この二人、なかなか難しいです。

 

 

 それではご縁がありましたら、いつかまた、新作で。

 

 

                        コースケ

 

第二版 1997年6月21日

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          「風邪と約束+α」

 

 

 友人たちが帰った後、レイはシンジに風邪を引いた理由を話した。

 

「……そう」

「ごめんなさい……」

 すっと、シンジの右手が持ち上げられた。レイは目を閉じ肩を竦める。

 

 こつん。

 頭に軽い衝撃。

 

「……お腹すいてる? お粥作ろうか?」

「うん……」

 

 心配させた事への罪悪感と、心配される事への幸福感。

 少女の心はその狭間で揺れ動いていた。

 

 

              完



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