『仕組まれた女神』 −第一部−

くらしろ


 

今は昔...。

後の世の人々が「戦国時代」と呼ぶ世の物語である。

各地の領主は我こそはこの国の支配者にならんと、血で血を洗う争いを繰り広げてい

た。そんな時代の闇部に活躍した者達がいる。

彼等は忍びの者、忍者と呼ばれていた。

 

そしてここに、遥か西の大陸より渡って来た忍者がいる。

長い栗毛の髪を靡かせ、青き瞳を真紅の仮面で隠した少女である。

彼女の名前は、惣流・アスカ・ラングレーと言った。

彼女はこの国で知り合った碇シンジと言う一人の少年と、綾波レイと言う一人の少女

と共に旅を続けていた。

彼女達の目的は誰も知らない。

ただ、悪ある所に颯爽と現われ、疾風の如く去って行く。

そして、彼女はこう名乗る...。

 

     「アス影参上!!」

 

 

   #1

 

寂しげな山道を歩く三つのの影がある。

 

「え〜!! 道が分からなくなったぁ〜!!」

先頭を歩く栗毛の少女が急に立ち止まり、素頓狂な声をあげる。

その装束は忍者と呼ばれる者のものである。

そして、彼女の顔にはその瞳を隠すかの如く真紅の仮面が纏われていた。

彼女の名は惣流・アスカ・ラングレー。

またの名を仮面の忍者・アス影と名乗っていた。

彼女は長い髪を靡かせ、後ろにいる二人を振り返る。

そこには、彼女と旅を伴にする彼女と同年代の少年と少女がいた。

 

「シンジ、どう言う事よ!」

シンジと呼ばれた少年は俯いて答える。

「ゴ、ゴメン...。」

「ゴメンじゃ、分からないでしょう!」

彼女は手を腰に当て、なおも彼に詰問する。

「ゴメン...。」

「そうやって、すぐに謝って! アンタ、本当に悪いと思ってるの!?」

「うん。」

「そう思うんだったら、

 さっさと元の街道に戻る方法を見つけなさいよ〜!!」

「...ゴメン。」

「ほら〜、またすぐに謝る。 

 大体シンジは、...え〜っと、何だっけ...そう!

 大体シンジは根本的に、財閥的すぎるのよ!!」

「...内罰的...、でござる。」

シンジの隣にいた赤い瞳が印象的な少女、綾波レイがポツリと呟いた。

彼女は感情を押し殺しているのだろうか、その声はとても冷めて聞こえる。

だが、アスカの反応は烈火の如く熱いものであった。

「...うっさいわねぇ、綾影!

 こんな難しい日本語なんて、ドイツ忍者にはどうでもいいのよ!」

「それなら、最初から使わなければいいわ...、でござる。」

その少女は徹底的に冷静である。

「アスカ...、綾波のその呼び方、どうにかならないの?」

今度は、シンジが横槍を入れる番である。

「どうしてよ、シンジ。」

アスカはシンジに突っ掛かるのが癖であるようだ。

話題を振られている少女は何も答えようとしない。 いや、アスカのために答える機

会を与えて貰えていないと言った方が妥当であろうか。

 

「だって、何で、綾波が綾影になるんだよ?」

「アンタ、バカ〜!? レイ影じゃ語呂が悪いでしょっ!!」

「そう言う問題じゃなくて...。」

「じゃあ、どう言う問題な訳?」

「...だから、どうして綾波が『綾影』になるのか...。」

シンジの語尾は消え入りそうである。

一方、アスカの方は呆れ顔でシンジに言葉を浴びせる。

レイはレイで二人の会話を何も言わずに、ただ聞いているだけである。

三人の置かれた関係がよく分かる瞬間であった。

「分かったわ!

 このドイツからやって来た仮面の天才美少女忍者、アス影様がバカシンジにも分か

 るように、説明してあげるわ!」

「...。」

シンジは自慢気に話すアスカに何か返答しようとするが、どうせ返って来るのは自分

に対する罵倒であるので、何も言わずにいた。

「いいこと、シンジ。

 私、惣流・アスカ・ラングレーは選ばれたエリートドイツ忍者、仮面の忍者アス

 影って事は分かってるわよねぇ。」

「...うん。」

「それで、私に引っ付いて旅をしているのがアンタとこの人形女。」

「アスカ、綾波をそう言うのは良くないと思うよ...。」

「うっさい! 話しの腰を折らないで!」

(突っ込むんじゃなかった...。)

シンジは心の中で後悔するだけにした。

「で、ドイツ忍者のアス影の仲間だから、彼女は綾影...、分かった?」

「分かったって...。」

「ええ〜!! 私がこんなに親切丁寧な説明をしてあげたのに、まだ分からない

 の!? ...これは、処置無しのバカだわ!」

「アスカ...。」

シンジは納得行かないと言った心境であるが、アスカにこれ以上言っても、話しが何

の進展も見せないと言う事は経験的に理解していた。

「シンジ、まだ納得行かないって様子だわね!」

そんなシンジの心を見透かすように、アスカが攻撃的に言葉を続ける。

「...。」

「黙ってちゃ何も分かんないわ!」

「...。」

「ンモゥ! アンタ男でしょう!?

 何か言いたいのなら、さっさと言いなさいよ!!」

アスカの額には怒筋が入っている事を感づいたシンジは、心に秘めていた言葉を口に

出そうと決意した。

「じゃ、じゃあ、言うよ...。」

「ああ、聞いてあげるわ!!」

「あ、綾波が綾影なのは分かったよ...。 でも...。」

「でも、何よ!?」

「ど、どうして、綾波が『ござる』って言ってるんだよ?」

 

「ア〜ン〜タ〜ブゥクァア〜〜〜〜〜〜!!」

 

シンジはアスカの次に取る事を粗方予想していた。

そして、事実その通りになっていた。

だが、アスカの怒鳴り声が山々に谺(こだま)する事までは予想していなかったよう

だ。

そして、シンジが耳を塞ぐ間もなく、その谺が次々にシンジの鼓膜に届いて来る。

「アスカ、そこまで大声を上げなくても...。」

漸く、耳を塞ぐことができたシンジであったが、なおもアスカの罵声が続く。

「だって、バカにバカって言って何が悪いのよ!?」

アスカは相変わらず、腰に手を当てて口を尖らせている。

「じゃ、じゃあ、僕の質問に答えてよ。」

「本当にバカなんだから...、シンジは!

 いいこと、綾影はさっき言った通り私の仲間。 そこまでは分かったわね!?」

「う...、うん...。」

シンジは取り敢えず頷く。

「と言う事で、仮面の忍者の仲間なんだから、

 綾影は白影さん言葉で話さなきゃならないの。分かった、バカシンジ!?」

「って、アスカ。 白影さんって何なんだよ!?」

「碇君、気にしちゃだめよ...、でござる。」

レイが徐に口を開く。

「あ、綾波まで...。」

「問題ないわ...、でござる。」

シンジは最後の砦と思っていたレイにまで彼の理解できない事を言われて、もはやど

うしようもないと言った様子である。

「碇君、細かい事は気にしない方がいいわ...、でござる。」

レイは慰めとも採れるような、採れないような事を言っている。

「...。」

シンジは言い返す気力まで失っていた。

「そうそう、シンジ。

 人間、細かい事まで気にしてちゃ、体が持たないわよ!

 前向きに行きましょう!!」

アスカの脳天気な言葉に、シンジはもはや何を言っても無駄だと言う事を悟った。

いや、寧ろ、このままアスカの罵声を聞き続けていたら、本当に体が持たないような

気がした。

「...、もういいよ...。」

シンジはこの事について今後一切追及しないことを、心に誓うのであった。

 

 

   #2

 

「どう、シンジ。 分かった?」

相変わらず、アスカ達一行は山道を彷徨っている。

「確か、この方角で間違い無いと思うんだけど...。」

「さっきから何回もその台詞聞いてるわよ!」

実の所、シンジがこの台詞を言うのは12回目であった。

ただし、シンジがその回数を覚えているかは定かではない。

「そんな...。 じゃあ、アスカが地図を見てよ...。」

シンジは歩くのに疲れたのか、それとも、アスカに罵られるのに疲れたのか、彼女に

『抜け道もこれでバッチリ! サルでも分かる松代地図(改訂版)』差し出す。

「あんた、バカァ!?

 何でリーダーの私がそんな面倒臭い事しなきゃなんないのよ!」

シンジはそんな相変わらず身勝手なアスカに堪忍袋の緒が切れたのか、ついには不満

を漏らす。

「だいたい、今度の松代行きもアスカが言い出した事じゃないか。」

「そ、そうだったかしら...?」

シンジの態度を感じ取ったのか、アスカは異様に神妙な態度になった。

シンジはここぞとばかりに捲し立てる。

「アスカが松代においしいお汁粉屋さんができたから行きたいって言ったからじゃな

 いか。」

「そ、それはね、美味しいお汁粉でも食べてチームの親睦を深めると言う、私の思い

 遣りなのよ!」

やや動揺しているアスカ。 その動揺をシンジがさらに突く。

「お汁粉屋さんなら、どこにでもあるじゃないか...。」

「そ、それは松代の方が美味しいに決まっているからよ!

 それに、綾影だって行きたそうだったし...。」

アスカはレイに助けを求めようとするが、レイから帰って来たのはアスカの期待する

ものとは正反対な言葉であった。

「私は何も言ってないわ...でござる。」

もっとも、レイの性格を考えれば、容易に想像できる反応であったが、今のアスカに

はそのような器用な事ができるはずもなかった。

シンジは攻撃の手を緩めない。

「それに、宿代が勿体ないから、近道しようって言ったのもアスカだよ。」

「と、とにかく来ちゃったものはしょうがないじゃない! 松代に行くだけよ!!」

しかし、アスカもアスカである。 すっかり開き直る。

「だから、僕達その途中で道に迷ってるんじゃないか...。」

「っもう、シンジ! あんた男でしょ!

 男だったら、いちいちそんな細かい事を言わないの!」

開き直ったアスカに敵はいない。 やがて、アスカは反撃に転じる。

こうなれば、シンジになす術はなくなる。

「...本当にアスカは都合がいいんだから...。」

シンジは渋々承諾するしかなかった。

「何か言った!?

 ...んもう、分かったわよ! 私が地図を見る!」

そんなシンジの態度に責任を感じたのか、それとも、彼女のプライドが許さなかった

のか、地図をシンジからひったくるアスカ。 しげしげとそれを眺める。

「...ふむふむ...、

 この辻からこう入ったから迷っちゃったのね...。

 なるほど...、分かったわ! こう行けばいいのね!

 シンジ、綾影、私について来るのよ!!」

突如、自信満々になる。

しかし、こう言う状態のアスカ程危険なものはない事をレイは、いや、シンジも経験

的に知っていた。

しかし、同時にシンジはここで突っ込みを入れると、アスカの罵声が返って来る事も

知っていたのである。

「アス影殿に任した方がもっと危険なような気がする...、でござる。」

レイがシンジの心境を察したのか、シンジに囁く。

「僕もそう思う...。」

シンジもレイにそう返答した。

そんな二人の心配を他所に、ずんずん歩き出すアスカ。

もう誰もアスカの行動を止める事はできない。

シンジ達は仕方無くついて行くしか術はなかった。

いや、アスカの行動について行かざるを得なかったのである。

 

 

...数時間後

シンジ達の心配が現実のものとなる。

と言うより、これは十分に予想されうる結果であった。

「...おかしいわねぇ...。

 これで元の道に出られるはずなんだけど...。」

「アスカ、その台詞、13回目だよ...。」

「14回目...、でござる。」

レイが即座に訂正を入れる。

しかし、彼女のこの訂正も間違いである。

正確にはアスカのこの台詞は16回目であった。

「アスカ〜、もう日が暮れちゃうよ。」 

シンジが不安を募らせる。 しかし、彼の言う事ももっともであった。

確かに、陽は西の空に傾いて来ている。

烏の鳴き声が一層、シンジの言葉を寂しいものに引き立たせた。

「うっさいわね〜! そんな事は分かってるわよ!」

シンジの不安など一向にお構い無しにアスカは強気である。

「それに、お腹も空いたし...。」

対称的にシンジは益々弱気になって行く。

「アンタ、バカァ〜!

 ドイツ忍者はね、ちょっとの空腹ぐらい我慢するものなのよ!

 綾影を見てみなさい!

 さっきから、顔色変えずについて来ているじゃないの!」

アスカは訳の分からない理屈を捍ねている。

しかし、確かにさっきから黙々とアスカについて歩いて来ているレイ。

しかし、レイの口の周りには、白い粉が付いている。

シンジはそれを見逃さなかった。  

「あ、綾波。 もしかして非常食のかき餅食べちゃったの?」

コクリと頷くレイ

血相を変えるアスカ。

「え〜、綾影! 何て事するのよ!」

「問題無いわ...私、肉嫌いだから...でござる。」

「綾波、そう言う問題じゃないだろ!」

シンジは辛うじてこの言葉を言うのがやっとであった。

やがて、脱力してその場に座り込んでしまうシンジ。

「綾影、何て事するのよ...。」

アスカは、呆然と立ち尽くしたままだ。

一方、レイはさり気なくシンジに寄り添うように体育座り。

これぞ、ドイツ忍法「さり気なく摺り寄りの術」だ。

  

「...もう疲れた!

 日も暮れて来た事だし、今夜はここで野宿よ! 野宿!」

アスカは開き直ったのか、決断を下す。

「アスカ、野宿って!?」

アスカの意外な言葉に思わず、自分の耳を疑うシンジ。

「決まってるじゃない! 野宿とは『露天に宿る事』よ!!」

アスカは最近覚えた二字熟語をシンジに自慢気に説明した。

「そうじゃなくて、何で野宿しなくちゃならないか聞いてるんだよ〜。」

確かに、シンジがアスカに聞きたいのはそんな説明でない事は明白である。

しかし、アスカはそんなシンジの意図を一向に解す事なく、自分の語彙力を自慢し続

ける。

「いいこと、シンジ。『露天』とは屋根の無い場所、つまり、屋外の事よ!」

「アスカ、そう言う事じゃなくて...。」

「じゃあ、どう言う事よ!?」

「だって、ここで野宿なんて...。」

シンジもそんなアスカの返答は場違いである事は重々承知している。

しかし、ここでアスカに口答えする事は更に自分の立場を危うくする事と、もっとよ

く分かっていた。 そして、それが現実のものとなった。

「あんた、バカァ!?

 じゃあ、どうやって泊まるトコを見つけるのよ!」

斯くして、シンジが選んだ行動はまずアスカに逆らわない事、そして...

「そんなこと言ったって...。

 ...夜は寒いし...風邪ひいちゃうよ...」 

内へ内へ、深く深〜く入って行く...これしか彼の逃げ道が存在しなかった事は容

易に想像のつく事でった。

そんなシンジの心境を一向に理解できないアスカの行動もお約束通りのものであった。

「シンジ、何ぶつぶつ言ってるのよ!

 ...あっ、綾影! シンジに馴れ馴れしく摺り寄らないでくれる!!」

アスカはシンジの行動より、レイの行動の方が実は気に掛かっていたようである。

だが、この心理戦に関しては、レイの方がアスカより一枚上手であった。

と言うよりは、レイの行動力がアスカの判断力に勝っていると言った方が適確であろ

うか。

「ちょっと、綾影! 聞いているの!?」 

アスカも負けじとレイとシンジの間に割り込もうとする。

その時、アスカを突き飛ばして突然立ち上がるレイ。

 

「人の感じがする...、でござる。 ...呼んでる...、でござる。」

そのまま森の奥に走って行く。

「ちょっと、綾影! 突然何するのよ!!」

呆気に取られるアスカ。

「あ、綾波! どうしたんだよ!」

シンジもレイの突然の行動に反応できない。

そんな二人の言葉にも耳を貸さず、走り去って行くレイ。

「ちょっと〜、綾影! どこへ行くのよ!!」

「あ、綾波〜!!」

レイを追って行くアスカとシンジ。

「綾波〜! 待ってよ〜!!」

「綾影〜! リーダーは私よ! 私の言う事に従いなさいよ!!」

 

夕闇迫る森の中に動く一つと、二つの影。

と、突如として前の影の動きが止まった。

 

「はぁはぁはぁ。 綾波、一体何があったんだよ?」

息を切らせてシンジがレイの背中に向かって叫ぶ。

レイはアスカとシンジの遥か先にいた。

「ちょっと、綾影! リーダーの私の言う事を聞けないって言うの!!」

アスカは取り敢えず、リーダーとしての威厳を保とうしている。

ようやくレイに追い付いたアスカ達。

レイは崖の上に立っていた。

 

「あれを見て...、でござる。」

レイが崖の下を指差した。

「あ、あれは...。」

「ラッキィ〜! 村があるじゃん!!」

突然アスカの声が明るくなる。

...レイの指差す先には、民家の集落が見えた。

ただし、集落と言っても森の中に佇む小さな村と言った類いの物であった。

いずれにせよ、アスカ達は人の住んでいる所を見つけたのである。

「よ〜し! 今夜はあの村に泊まりましょう!!」

急に元気な声になるアスカ。 ...現金なものである。

「...よかった...。 野宿しないで済んで...。」

シンジは半泣きの状態で喜んでいる。

 

「そうと決まれば、シンジ、綾影、降りるわよ!」

アスカはそう言うや否や崖をひょいひょいと飛び降りて行く。

後を続いて、レイも飛び降りて行く。

二人の唐突な行動について行けないシンジ。

「アスカ、綾波、待ってよ!」

そんなシンジの言葉が二人に届いている様子はなかった。

 

「た、高いよぅ〜...。」

シンジは下を覗き見る。

吹き上げる風が顔を撫でる。

そして、豆粒の様になってしまった赤い影と白い影。

 

「逃げちゃダメダ、逃げちゃダメダ...。」

譫言のように呟く。

「逃げちゃダメダ!!」

意を決したのか、それとも開き直ったのか、宙に一歩を踏み出す。

シンジの体が重力に引かれる。 右足が岩場に着く。 そして、足を蹴り上げる。

人間やれば何とかなるものである。

...とシンジが思ったか思わなかったか知らないが、現実はそう甘くない。

シンジの左足が岩を踏み外す。

「あっ!」

こう声を上げるが後の祭りである。

そのまま彼の体は重力に引かれて、崖を一気に転がり落ちてしまう。

「やっぱり、こうなるんじゃないかと思ってたんだよ〜!」

転がりながらも、泣き言を言うシンジ。

...ある意味、彼も器用である。

 

 

ひゅるるるるるる......ずし〜ん。

 

惨めにも地面に衝突するシンジ。 そこに、華麗に着地するアスカとレイ。

「シンジ、『忍法坂落とし』、ずいぶん上達したじゃないの。」

「碇君、かっこいいわ...、でござる。」

なぜか、アスカとレイに誉められてしまうシンジ。

ただし、この台詞が称賛のものであるのかは定かではない。

だが、シンジを気遣う言葉でない事は確かであった。

忍者の世界の掟は厳しいものである。

「...もういやだ...。」

 

無様...、今のシンジを的確に表現する言葉はまさにこれであった。

 

 

                          <続く>

 



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