『仕組まれた女神』 −第六部−

くらしろ


 

   #11

 

「私...、私は...負けない...。 ...そう、私は負けないわ!!」

 

アスカの声が響いた。

その声は幾重にも反響している。

...どうやら、彼女はまた広い空間の中にいるようであった。

 

「シンジ! 綾影!」

アスカは叫ぶ。

その声が反響する。 だが、返事はない。

その時、アスカは自分が横たえられている事に、何かに縛られている事に、そして、目隠

しをされている事に気付いた。

「シンジ、綾影、返事をしなさい!」

アスカは先程の意識の中での出来事と同じように二人を呼ぶ。

だが、その結果は全く同じに繰り返されて行った。

ただ、違うのは、視界が遮られているにも関わらず、多くの人の気配が感じられる事で

ある。 アスカは不自由な目の代わりに、耳を澄ませる。

...低い唸りが聞こえる。

(何の音?)

心の中で訝ってみる。

その唸りは人の声である事に気付くのにさほどの時間は掛からなかった。

(どうして、人が多く集まっているの?)

次の疑問が湧く。

(それに、私はどうして縛られているの? どうして目隠しをされているの?)

次々と疑問がアスカの脳裏に湧き上がって来る。

だが、その問いに対する答えは思い浮かぶはずもない。

ただ、いくつかの記憶の断片が脳裏に蘇る。

 

  月の女神の装束を纏ったレイ...。

  鳥が翼を拡げるように腕を拡げるレイ...。

  邪悪に満ちたレイの微笑み...。

  レイにひれ伏す村人達。

  押し寄せる村人達...。

  狂気に満ちた目...。

  寝台に横たえられた裸体のシンジ...。

  シンジの顔を撫でるレイの手...。

  シンジの首筋に絡み付くレイの腕...。

  接吻を交わすシンジとレイ...。

  そして、月の女神の装束を纏ったもう一人の自分...。

 

やがて、記憶の断片の流れは奔流となってアスカを襲う。

 

  「惣流さん、私の事好き?」

  「ありがとう。惣流さん...。」

  「私のためにその命を頂戴...。」

  「シンジ、綾影、私の声が聞こえないの!?」

  「綾影、何て事をシンジにするのよ!!」

  「これも、私。」

  「私はアス影ではない惣流・アスカ・ラングレー...。」

  「所詮生と死は意識が生み出す自我の存在の証明にしか過ぎないわ。」

  「それは全て表と裏。どちらが表かを決めるのは自分自身。」

  「...私...負けない...。」

 

「止めて! もう分かったわ!!」

アスカはその奔流を遮るように大声を上げる。

自分が正気でいられるように。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ...。」

唸り声が、驚愕の声に変わった。 そして、驚愕の声は喧騒に変わる。

だが、その騒めきの声も再び沈黙の中に溶け込んで行った。

 

何者かがアスカに近づく気配がする。その動きがアスカの前で止まる。

そして、何かがアスカの体に触れた。 どうやら、人の手のようである。

その手は彼女の腰に触れる。

アスカは身を捩ってそれを避けようとする。

だが、戒めにより体の自由が効かない事が分かって、抵抗を止めざるを得なかった。

それは、彼女の胸、首筋、そして、顔へと這い上がって来る。

アスカが抵抗の声を上げようとした時、急に彼女の視界を遮るものがなくなった。

その青い瞳を思いっきり見開いて、視界を網膜に焼き付けようとする。

そうして、自分の置かれている現実が目に飛び込んで来た。

 

ここは岩でできた巨大な空洞である。 どうやら、洞窟であろうか。

松明の明かりであろう揺れる明かりが壁面に反射している。

アスカはそこの台上に横たえられていた。

目を横に転じて、アスカは息を飲む。

そこには邪悪な瞳がアスカを覗き込んでいた。

「...!」

思わず息を飲む。

その瞳はアスカ達を案内してくれた老人のものであった。

しかし、その顔色はまるで屍のように青白いものに変わり果てていた。

そして、その後ろには台上に横たえられているシンジの姿があった。

「シンジ!」

アスカは叫んでみるが、答えは返って来ない。

シンジは瞳を閉じている。 どうやら、気を失ったままであるようだ。

その老人はアスカの声に驚いたのか、逃げるようにアスカの視界から消え去った。

今度は体を捩り、足下の方を見る。

そこには何十もの邪悪な瞳が見えた。

暗闇であるにも関わらず、その瞳は爛々と輝いている。

まるで、獲物を前にした野獣のように。

 

最後に、アスカは首を逆に振る。

そこにはアスカが予想していた光景があった。

そう、そこには月の女神の装束を纏ったレイがいた。

レイはアスカに気付いたのか、微笑みを浮かべる。

アスカは彼女に声を掛けようとしたが、心の中の「もう一人の自分」がそれを制止した。

レイはアスカに微笑み続けている。

だが、その微笑みは彼女の知っているレイのそれではなかった。

アスカは生まれて初めて、本当の恐怖を知ったような気がした。

 

 

   #12

 

村人達の低い声が辺りに響いている。

その声は、何かの詠唱である事をアスカは漸く分かった。

それはあの女神を讚える歌であろうか、とアスカは自問したが、その答えは見つけられな

かった。

なぜなら、その響きはあまりに冷たく、あまりに邪なものであったからであり、そして、

彼女がその歌詞を聞き取るにはあまりにも声がくぐもっていたからである。

アスカはその歌の旋律を聞く事を拒絶したかった。

だが、自由の効かない彼女にはそうする術はない。

その歌は、ただ淡々と、そして強制的にアスカの耳に届き続けていた。

 

それに覆い被さるように澄んだ少女の声がする。

「惣流さん、ありがとう...。」

その声はアスカのすぐ横から聞こえる。

アスカはそこに目を向けるまでもなく、声の主が分かった。

綾波レイである。

さらに、その声は繰り返される。

「惣流さんの命、ありがとう...。」

「ちょっと! それってどう言う意味よ!?」

アスカはレイに一瞥をくれる事もなく、天井を見詰めたままで言った。

「あなたが私に命を貢いでくれる、と言う意味よ。」

アスカの半ば予想した冷たい返答が返って来る。

「ねぇ、綾影、気でも狂ったの!?」

「私は私。いつもの私よ...。」

「嘘! いつもの綾影ならそんな訳の分からない事、言わないわ!」

「そう...、そうかも知れない...。

 でも、私は綾波レイ...、綾波レイと言う意識...。」

「何言ってるのか分からないわ!?」

二人の会話はまるで禅問答のように続く。

「それにね、綾影、いつ私があなたに命をあげるって言ったのよ!」

「言ったわ、私の事を好きって...。」

アスカの脳裏にあの祭りの光景が蘇る。 そして、レイの邪悪な微笑みも。

「ああ、言ったわ!

 でも、命をあなたに上げるって事までは言った覚えはないけど!!」

「そう...。」

「『そう』って、アンタ答えになっていないわよ!」

「そう、惣流さんははっきりとそう言ってなかったかもしれない...。」

「でしょう!!」

アスカはいつものように勝ち誇った言い方をする。

だが、シンジに対していつも罵っている気持ちとは違うと言う事を、アスカ自身にも分

かっていた。 そんなアスカの心の隙間を突いて、レイの言葉が続く。

「確かに...、でも...。」

「でも、何よ!?」

「惣流さんなら分かってくれると思う...。」

「アンタねぇ...。 さっきから、何訳の分からない事言ってるのよ!

 そんな事言ってる暇があったら、さっさとこの縄を解きなさいよ!!」

アスカは虚勢を張る。 だが、それがレイに通じない事は分かっている。

「惣流さん...。 全てを私に任せて...。

 大丈夫、苦しいのはほんの一瞬。 後は楽になれるわ...。

 そして、あなたは私の命となって生き続けるの...。」

「綾影、いい加減にしなさい!

 何で、私があなたのために命を捧げなきゃならないの!?

 それに、アンタの命となって生き続けるってどう言う意味よ!?

 第一、私の命は私だけのもの! 誰のものでもないんだから!!」

「どうしても駄目なの?」

「当ったり前でしょう!?」

「そう...。 じゃあ...。」

「じゃあ、何よ!?」

「じゃあ、碇君なら分かってくれるわ...。」

「ちょ、ちょっと、綾影! アンタ、シンジに!!」

アスカは慌ててレイの方に顔を向けた。レイの後ろ姿が目に入る。

レイはシンジの横たわっている台に歩を進めていた。

「綾影、シンジに何しようとしてるのよ!?」

「心配しないで。 碇君なら私の願いを聞いてくれる。」

アスカの叫びにレイは立ち止まり、後ろ姿のままで答えた。

「そう言う心配をしてるんじゃないでしょう!!」

レイは今度は答えない。 やがて、再び歩き出す。

「綾影!」

「惣流さん、少し待ってて...。

 碇君が終われば、すぐにあなたを楽にしてあげるわ。

 そして、いつまでも碇君と一緒にいられるようにしてあげる...。

 ...私の命の中で...。

 そして、私達三人は一つになるの...。」

「綾影! やめなさいっ!」

アスカの叫びは幾重にも響いていた。

まるで、アスカの魂が彼女の肉体から飛びだして叫んだように...。

 

レイはアスカの願いを聞き入れるはずもなく、シンジに近づいた。

アスカは息を飲んで、レイの後ろ姿を見守る事しかできなかった。

アスカはレイが自分の意識の中でシンジに行った行為を思い出した。

そして、レイはアスカの意識の中の出来事と違わぬ行為をして見せた。

ただし、現実のシンジは衣服を纏っていたが。

 

レイはシンジの体に手を置き、恍惚の表情を浮かべたようにアスカには感じられた。

やがて、その手は蛇のようにシンジの体を這って行く。

シンジの首に、頬に、そして唇に...。

レイの後ろ姿はシンジの頭を抱きかかえる。

そして、レイはシンジの唇に自分の唇を寄せた。

その二つの唇は一つに交わる。

永遠とも思える時間がアスカの中で過ぎて行った。

アスカからはレイの表情は伺い知る事はできない。

だが、彼女にはそれを容易に想像する事ができた。

レイは今恍惚の中でシンジと接吻を交わしているに違いない。

アスカの心の中で、それを否定しようとする叫びが聞こえる。

だが、そこには現実を見詰めようとするもう一つの自我の存在もあった。

アスカの中の二つの自我の存在が再度対峙した。

 

 

  「綾影、どうして? どうして可笑しくなっちゃったの?」

  『彼女は可笑しくなっていないわ。

   彼女は自分の意識の中の一つの思うがままに行動しているだけ。』

  「何とかして、綾影を止めなきゃ!」

  『いいえ、彼女の成すがままにさせなさい。』

  「どうして?」

  『それが彼女自身が決めた事なら、あなたにはそれを止める権利はないわ。』

  「どうして、止めちゃいけないのよ!

   それに、綾影が今やっている事は狂っているわよ!」

  『狂っている? どうして?』

  「私が知ってる綾影じゃない。 綾影ならあんな事しないわ!」

  『じゃあ、彼女があなたが知っている綾波レイでなかったら?』

  「どう言う事?

   私が見間違えるはずないわ! どう見たってあれは綾影よ!」

  『そうね、彼女はあなたといつも一緒にいる綾波レイだわ!』

  「そうでしょう!」

  『でも、ある意味ではあなたの知らない綾波レイでもあるのよ。』

  「あ、綾影は綾影よ!」

  『ほら、そう思っている所から間違いが始まっている。』

  「間違いって...?」

  『分からない? 綾波レイと言う存在は幾つもあるのよ。

   あなたがその存在を認めようとしているのは、仮面の忍者アス影と一緒に旅をする

   綾影と言う綾波レイ。』

  「じゃ、じゃあ、あの綾影は何なのよ?」

  『言ってるでしょう、もう一人の存在の綾波レイ。 綾影じゃない綾波レイよ。』

  「そんなの綾影じゃない!! それに私は認めたくない!!」

  『どうして認めようとしないの? ...碇シンジと接吻を交わしたから?』

  「そんなんじゃないわ!」

  『ほら、また嘘をついて事実を認めようとしない。

   あなた自身は碇シンジと接吻をする綾波レイを否定しているはずよ。』

  「どうしてそんな事が分かるのよ?」

  『それは、私もあなた自身だから。』

  「勝手な事を言わないで! 私はそんな事関係ないんだから!!

   私は綾影を元の綾影に戻したいだけ!!」

  『でも、今あなたが見ている綾波レイが彼女本来の存在だとしたら?』

  「そんなのはどうでもいい事よ!

   私は、私の知っている綾影に戻って欲しいだけなの!」

  『いいえ、彼女も綾波レイと言う存在の一つ。

   現実を素直に受け止めなさい。』

  「いやよ! 絶対にいやよ!

   あんなの、あんな事するのは綾影じゃないもの!!」

  『どうしても認めたくないのね?』

  「アッタリ前でしょう!?」

  『...そう...。』

 

 

レイはいつ果てるともなくシンジと接吻を交わしていた。

 

 

  『分かりました...、もう何も言うことはありません。

   あなたは自分の信じる道を歩みなさい。

   そして、綾波レイをあなたの知っている存在に戻すのです。

   ...私があなたの意識の中に登場する事もこれで最後にします。

   では、今度はあなたがその自我を確固たるものにする番ですね。』

  「...?」

  『あなたは今の綾波レイが狂っていると思っている。

   あなたは今の綾波レイの行動を否定しようと思っている。

   あなたは今の綾波レイをあなたが知っている綾波レイに戻したいと思っている。』

  「そうよ!」

  『でも、どうすればいいか分からない。』

  「そうよ!」

  『簡単な事です。』

  「簡単って!?」

  『あなたが今の綾波レイの今を否定する意識の中に立てばいいのです。』

  「そんな事言ったって分からないわ!?」

  『あなたが彼女を思い、彼女の魂と一つになれば可能です。』

  「全然、分からないわ!?」

  『後はあなたの望むがままに行動をすればよいのです。

   私自身でもあるあなたなら可能なはずです。

   ...では、私は消える事にします。』

  「ちょ、ちょっと待ってよ!!」

 

  『...惣流・アスカ・ラングレーは仮面の忍者アス影と生きて行く事を選んだ。

   そして、そのように生きている。

   ...存在し得るいくつもの選択肢の中からそれを選んで...。

   そして、綾波レイもアス影と旅をする綾影と言う存在を選んだ。

   だが、今の彼女は自らの意志で行動しているかは定かではありません。

   あなたが導けばいいのです。

   彼女が本当に何をしたいのか...。』

  「って、どうして?」

  『最後にこれだけは言っておきます。

   綾波レイは本当に彼女自身が認めた綾波レイではないような気がします。

   あなたにできる事は彼女自身が望む意識を彼女に取り戻してあげる事。

   それが綾波レイと言う少女と共に旅をするあなたに与えられた使命。

   それが正義を愛する仮面の忍者アス影に委ねられた使命。

   それがあなた自身が選んだ運命...。』

  「待って! まだ聞きたい事が!!」

  『お願い、レイを幸せにして...。

   お願い、シンジを幸せにして...。

   そして、私も...、幸せに...、なりたい...。』

 

 

「ちょ、ちょっと、待ってよ!!」

 

アスカの叫び声が再び洞窟に響いた。

村人達の低い声は変わる事なく続いている。

だが、突然レイの動きが凍る。

そして、レイは静かにシンジを寝台の上に再び寝かせた。

レイはシンジの体を、そして顔ををただ見下ろしているだけである。

やがて今度は、シンジの体に変化が起きる。

シンジの瞳は静かに開かれた。

「シンジッ!」

アスカがシンジを呼ぶ。

だがシンジは彼女の呼び掛けに答えない。 ただ天井を見詰めているだけである。

「シンジ、どうしたの? 返事をしなさい!」

アスカは再びシンジを呼ぶ。 だが、結果は同じである。

「シンジ...。」

アスカのシンジを呼ぶ声が小さくなる。

そして、彼女は絶望を覚えた。

 

「...碇君...。」

今度はレイがシンジに語り掛ける。

一瞬の沈黙の後、シンジが口を開く。

「...、あ、綾波...。」

その声は妙に安堵の念が籠っているように思えた。

一方、レイはシンジを慈愛の籠った眼差しで見据え、慈愛の籠った口調で問い掛ける。

「碇君、私の願いを聞いてくれない?」

「綾波、どうしたんだい?」

「碇君、私は碇君とずっと一緒にいたいの。 だから、私の願いを聞いてくれない?」

「綾波、何言ってるんだよ?

 僕は綾波とアスカとこれまでも、そしてこれからもずっと一緒だよ。

 だから、お願いって言う程もないじゃないか。」

「でも碇君、私は約束して欲しいの。 これからずっと私と一緒にいるって。」

「何だ、よく分からないけど約束するよ。 僕はこれからもずっと綾波と...。」

 

「シンジ、騙されないで!」

アスカはこれまで生きて来た中で出来うる限りの大声で叫んだ。

この声がシンジの耳元に届かんと願いつつ。

そして、彼女の願いが叶った。

「アスカ!?」

シンジの返答が聞こえた。

一方、レイはアスカのその声にビクリとし、動きが止まる。

「シンジ、騙されないで! それはいつもの綾影とは違うわ!」

「アスカ、アスカ、いるんだね?」

「そうよ、シンジ! 私はここにいるわ!!」

「アスカ、どこ? どこにいるんだよ!?」

「私はここよ! シンジのすぐ横にいるわ!!」

シンジは首を左右に振ってアスカを探す。

「アスカ、どこにいるんだよ!? 分からないよ!」

「シンジ、私はここよ! ねえ、私の姿が見えないの?」

「分からないよ、アスカ!」

アスカはシンジが必死に首を振りその声の主を探しているのが見て取れる。

だが、シンジにはアスカの姿は見えていないようであった。

いや、彼にはレイ以外の人の姿が見えていなかった。

「シンジ、私が見えなくてもいいわ! でも聞いて!!

 そこにいる綾影は綾影じゃない!!」

「アスカ、どう言う事だよ?」

「いいから聞いて!

 そこにいるのは確かに綾影、いいえ、正確に言うと綾波レイと言う姿をした存在。

 でも、その心はいつもの綾影じゃないわ?」

「アスカ、何を言っているか分からないよ!?」

シンジは困惑の籠った声で叫び返す。

「分からなくてもいいわ! 兎に角、今は私の言う事を信じて!!」

アスカのその声をレイの冷ややかな声が遮る。

「惣流さん、黙ってて。 これは私と碇君の問題よ。」

「何を言ってるのよ!」

「アスカ、綾波、一体どうしたんだよ!?」

シンジの混乱した声が響く。

「碇君、気にしないで。 私に全て任せて。」

「シンジ、今の綾影を信じちゃ駄目!! 綾影は狂ってるわ!!」

「碇君、お願い。」

「シンジ、お願い!」

 

「綾波、アスカ、僕は一体どうしたらいいのか分からないよ!!」

 

シンジの半狂乱の声が二人の言葉を打ち消した。

 

                          <続く>

 



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