死者の道

「いくらか未来が好きになる・2」

 

 

 

遠い声、

遠い夢、

憧れた世界は蒸発したんだ、

どこかに希望があると思っていた、

でも紙芝居の終わりは黒い紙だけだった、

女の子は犯された、悪い大人に、

正義の味方は殺された、残酷な女の子に、

地球が生まれた時から望んだ世界は

こんな死体だらけの山から眺めた世界は、

僕の純粋さを滑稽に見せる、

 

でももうすぐ湖の波が変わる、

裏の世界に全てが変わり僕だけが汚くなる、

世界は平和になる、

子供を売る必要も無い、

ママも僕を殺さない、酔ったまま僕を殴らない、

僕もママを憎まないよ、刺したりしない、

この湖の純粋さが蒼い夢だけにする、

透明に沈むのは恐くはない、

僕が見る表情はどうせ仮面だから気にする事はないよ、

 

ガゼルを食べるライオンの目は綺麗だ、

人を殺した虎の皮は純粋すぎて見つめられない、

老人を食べた狼は、きっと世界で一番の英雄さ、

だから言葉が通じる僕達は、言葉のビルに閉じ込められた、

そのビルの中であまりに他人を憎み、他人を無視した、

他の生物は殺す為だけにいると思う様になった、

少女は金銀で計られ、いつも使い捨てられた、

少年に夢を教える男はみんな偽善者だった、

自分の感情を正当化することで生きる世界に何の意味があるの、

生きてく事だけが正義になった世界で、

世界征服を狙う僕は純粋は悪者じゃなくなった、

 

僕の愛する未来よ、

僕を愛してくれるかい?

僕の愛した夢をもう一度見せてくれるかい?

もう一度僕の好きな言葉で泣かせてくれるかい?

きっと未来が好きになる、

好きになる、

好きになる、

好きになるんだ、、

 

 

 

 

レイの頭には、シンジの歌が流れていた、、

何度も繰り返し、繰り返し歌う、

(あそこのフレーズが好き、、、、、きっと未来が好きになるって叫ぶ瞬間も好き、、、、シンちゃんの声、どうしてあんなに心に突き刺さるんだろう、、、、やっぱり神様だからなの、、、、、シンちゃん、)

レイは目の前で燃え上がる炎を見つめてる、

「レイ、ぼおっとしてないで逃げるわよ、」

「アスカ、レイ、こっちだ!!」

三人は十秒で百発の弾丸が流れる世界を走り抜ける、

さっきまで乗っていた車は炎で包まれ、黒い煙を充満させてる、

どこから来たのかまったく解らないが、走行中の車に弾丸が打ち込まれた。続けて、加持がハンドルを大きく切り、急ブレーキをかける中、弾丸の嵐が車に向けられる。アスカとレイは大きな悲鳴を上げ、一瞬の出来事を理解できずにパニックに陥る。だが、車は防弾処置が施されていて、通常の弾丸では中に乗っている人間に怪我を負わせることはできない。弾丸の嵐を加持は低い姿勢のまま運転を続ける。そして小さな山道、いや獣道とも言えるほどの荒れ果てた道の前で車を止める。

「降りるんだ!」

加持の言葉でアスカもレイも車から飛び降りる、

その数秒後、ロケット式ランチャーから発射されたミサイル弾が打ち込まれる、

そして爆音が響く中、車は大きな炎に包まれる、

爆風に飛ばされたアスカとレイは、乱雑に生い茂る草むらの中で大きな熱の塊をつめる、

どこから現れたのかわからない人間が打ち合う、

アスカ達を襲った側、そしてレイ達を守る側、

いったいなぜ、どれほどの人間が、どれほどの弾丸を打ち合うのか、

命じられた事を忠実に守る、殺し合いに感情を持たない、そして生き残ることだけが勝利、

そんな人間同士が殺し合う、

殺し合う、

殺し続ける、

無意味に、

殺す、

殺す、

殺す、

 

「レイ、アスカ、急ぐんだ!」

加持の言葉で現実に戻る二人は、震える足で、どうやって動かしてるか自分でもわからない中、必死に走る。なぜ自分が走るのか解らないが、この現実から走り去ることだけが今は必要だと判断し、脳からの命令だけで体を動かす。今までに感じた事のない恐怖に捕まらない為に、、、

二人は振返らず走る。

きっと振返り現実を見てしまうと現実に捕まってしまうから、

生きてる自分、人間のとして感情を持っている自分は殺されるかも、

道具としての人間からしてみれば、弱い生き物は生きる価値がないと判断される、

だから、逃げるしかなかった、、

ただ、経験のない恐怖から逃げる、、、

 

「アスカ、レイ、この道を走って逃げろ、」

加持が二人を先に走らせる、

「逃げろって、、」

「この道の先にシンジ君がいる、」

「シンちゃんが!!」

二人の瞳に多少生気が戻る、

「シンジ君達の所まで行けば安心だ、そこまでは振返らず走るんだ、」

「でも、加持さんは、」

レイが加持に不安な瞳を投げかける、

「俺は大丈夫だ、心配するな、すぐに後を追う、」

普段とは違う、何かを心の奥で決断した男の表情にアスカとレイは何かを予感する、

「加持さん、、」

「本当にすぐ来てくれますよね、」

何かが二人をとても不安にする、ホテルを出た時、ミサトが感じた不安と同じ不安が心をよぎる、

「大丈夫、約束するよ、」

そんな二人を安心させる様に微笑みながら言葉をかえす、

「きっとですよ、、、」

レイが小さくつぶやいた瞬間、三人の空間を数発の弾丸と銃声が切り裂く、

瞬時に身をかがめる三人、

「走れ!!」

追って来た恐怖から逃げる為に、シンジの元にたどり着く為、二人は必死に走る、

不安は心の奥に押し込め、感じない体を動かす、

先にあるはずの未来を求めて、

 

 

 

 

                                                

「エヴァンゲリオン、人類が知能を持ち、神という概念を持つようになった時から存在する、最も神に近い人間。神と同じ力を持ちながら、人間と同じ感情を持つ存在。だが、その存在の確認は常に歴史から隠され続けていた。碇一族の手によってね、、、、」

ケイは可笑しくもない内容を笑顔で話す。

「どうして、、、僕が、、、エヴァンゲリオンって、、、、」

シンジはただひたすら混乱している。

数え切れないほどの死体の山、いくらその死骸が巧妙に作られた偽物であっても、全ての世界が赤く染まった草原で話される言葉はシンジの中枢神経を激しく刺激する。

「碇一族はエヴァウィルスが選んだ人間のみで構成される一族。でも、ただエヴァウィルスに選択されてもエヴァンゲリオンの持つ力は備わらないの。エヴァンゲリオン、神と同じ力を手に入れるには更に選ばれなければならないの、」

「選ばれる、、、、、、?」

「そう、この惑星、地球に、ガイアに、」

もうシンジはノーマの言葉を信じる状態にはならなかった、

「、、、、つまり、僕はエヴァウィルスに選ばれ、更に地球に選ばれ、神と同じ力を持つと、、、、」

「そう、シンジ君はこの世界を促進す為に選ばれたの、人間が存続する為にね、」

ノーマの言葉を信じられないシンジだが、どうしても体の奥から響く別の言葉がノーマやカオル、ケイの言葉の信憑性を高める。いや、言葉ではない、何か記号、震動、波動、意志、そんなものが複合された感覚がシンジの中枢神経から脳へ送られる。

「どうして、エヴァウイルスが他の生物、人間に感染したかわかる?」

ノーマはその感触と同じ波長の言葉で喋る。

「、、、、いや、、、、わからない、」

「エヴァウィルスは本来宇宙、地球の意志が常に含まれているの。」

「地球の意志?そんなもの、、、、、、」

「存在するんだよ、シンジ君、」

カオルも同じ波長で話す。

「人間はあまりにも地球を破壊しすぎた。地球が大切にしてきた自然、その自然の節理のなかで生きる生物、そして全てが生態循環のなかで自然に過ぎてきた地球だったが、人間は僅か数百年でその循環システムを破壊した。地球はある程度は許容性を持ち人間に接してきたが、人類は地球にとって悪性のバクテリアでしかなく、地球を侵食する悪性ウィルスでしかない、そう判断したのが一九九九年の出来事だったんだよ。」

「じゃぁ、、、あの二十億人以上の命を奪ったのは、、」

「そう、地球の意志だったんだよ。」

カオルは笑顔もなくただ淡々と答える、

「そんな馬鹿な!いったい何を言ってるんだよ!どうして地球が僕達を否定するんだよ、僕達だって生物じゃないか、生きる権利は他の生物と同等にあるはずじゃないか、」

「権利は主張する対象があって、始めて意味を持つ。人間は地球とは対話できない、」

シンジの言葉を冷静に切り捨てるカオルは言葉を続ける、

「言葉を持ち、知能を持ち、コミュニケーションをお互いに持てる存在同士ならば権利を認め合うこともできる。だが、人間は一部の人種を除き99%の人間が地球とのコミュニケーションの方法を、他の言葉を持たない生物と共存する方法を忘れてしまった。全ての生物の頂点に君臨し、生命をも司ることができると思いこんだ危険な生物、地球は人間をそう判断した、そして、、、、、」

「地球が出した結果は、人間という生物の絶滅だったの。」

遠くで銃声がする、

遠くで爆音がする、

そう気がついたのはこの時からだった、

明らかにいつもの空気じゃない、

やたらと煙硝が含まれた匂いが流れる、

さっきまで歩いていた道から爆発音、銃声が絶え間無く響いてくる、

いったいいつから始まっていたのだろう?

シンジが気がつく以前から続いていた事は間違いなかった、

激しい銃撃がどこかで行なわれている、

人が死んでるのだろうか、、、

殺し合いを、

「シンジ君、君は自分の過去から逃げることを止める為に来たんだよね、」

黙って死骸の上に座っていたケイが立ちあがり、シンジの方に歩きはじめる、

「自分を捨てた父親、自分を残して死んでしまった母親、自分を借金の代わりに異常性欲者に差し出した叔父、そして自分で全てを終わらせるつもりで命を捨てた湖、君は全てから逃げていた、、、」

シンジは銃声が近くに迫ってる事が気になったが、ケイの不思議な言葉の波長に心が揺れる、

「どうして、知ってるの、、、?」

「僕達は全て知ってるんだよ、シンジ君。」

ノーマの肩に手を置き、カオルの方を見ながら話す、

「僕も、ノーマも、カオルも碇一族だからさ、君と同じエヴァウィルスに選ばれた、悲しい生き物なんだよ。」

「僕と、、、、同じ、、、、、?」

「そう、僕達三人は君が世界を進化させる為に仕組まれた存在なんだ。自分たちの意志とは関係無くね、」

「何の事だかわからないよ、、、、、」

「僕達の存在の意味は、君が世界を破壊し、蘇生し、地球と全ての生物の存在の意味を、存在基準を決めるために生きてきただけの無意味な存在なんだよ、、」

「どうして、、、無意味な存在って、」

「君が神様で、僕らは生贄ってことだよ、」

分らなかった、

シンジには全てがわからなかった、

自分がエヴァンゲリオンという神の力を持つ存在、

エヴァウィルスが地球の意志で人間を殺すこと、

自分が生物、地球や宇宙の進化を司れること、

そして、ケイ、ノーマ、カオルが無意味な存在で、

その無意味さは自分が原因だということも、

全てわからなかった、

いや、普通の感覚の人間では理解不可な話しなのかもしれない、

それほど、常識外の話し、非科学的な世界なのかもしれない、

ただ、心の奥から聞こえる言葉は、伝えてくる、

全てが真実で、今こそ全てを無の世界にもどし、有限と無限の境をもう一度作り直す必要があることを、

そしてそれだけが生物、人間が生きるたった一つの道である事を、

その行為を自分が行なわなければならない事を、

強く伝える、強く感じる、

シンジの胸が、

感じる、

 

 

 

 

「ねぇ、アスカ、」

「なによ、」

「アタシ達はシンちゃん達の所までいけるのかなぁ、、、」

「行くしかないでしょ、何としてでも、」

「でも、、、、、」

完全に道筋を見失っていた、

当然銃声のしない方向へと走るだけで、周囲や方位など関係無く走っていた。

「もう、どっちに行ったらいいのかわからないよ、、、、」

「だからって、大人しくしていても救助される状況でもないでしょ、」

確かに銃声からは多少離れた場所にいるようだが、安心は出来ない状態だった。

暗い森林の中を、溢れる不安と押しつぶされそうな恐怖を振り払いながら歩く、

「ねぇ、、、アスカ、」

「なによ、今度は、」

「シンちゃんって、、、、、、神様なのかなぁ、、シンちゃんの歌う世界は全ての終わりを表してたのかなぁ、」

「確かにシンジの歌は生物の生き死にに関する歌が多いわよね、しかも人間だけが終わる世界じゃなくて、生きてる物すべてが死ぬ世界、、、、、」

「死ぬ世界というより、、、、、終わる世界、自発的な終わり、でも死ではない世界、ごく自然に流れる世界、未来は終わり、さらなる未来は単なる過去の繰り返しだと、、、」

「まったく、本当に変わったやつよね、」

「、、、、やっぱり、神様な、」

「それは違うわ、」

アスカは歩みをやめ、レイの言葉を遮るように言葉を発する。

「加持さんの話しを疑うわけじゃないけど、シンジは神様なんかじゃない、」

「でも、シンちゃんが本当にその一族で、エヴァ何とかっていうウィルスを持っていたら、、」

「持っていたから何だって言うの。レイ、シンジの瞳はいつも同じじゃないわ。悲しみもあれば嬉しさも持ってる。確かに、怒りや憎しみの瞳は私達の前では見せないけど、きっと持ってる。シンジが本当に神様ならそんなに感情を持ってはいない。シンジは感情のコントロールを神様みたく冷静にはできないし、冷静に判断できないでいる時のほうが多いわ。」

「でも、それでも、、、」

「そう、加持さんの話しではシンジは神様と同じ力を持っている。全ての生物を滅ぼしたり、進化させたり、新しい宇宙の基準をつくったりできる力を持ってる。でも、シンジは神様じゃない。シンジは人間であり、私が愛した男の子よ。ただ、それだけの男の子よ、」

「アスカ、、、、、」

「大丈夫、シンジは私達の知ってるシンジなはずよ。それ以上でもなければ、それ以下でもないわ。」

レイはアスカの言葉に、自分の疑問をとりあえずは無理やり納得させる。

アスカも自分の言葉に自分の不安を押し込める、

「、、、そうだね、とにかく今はシンちゃんの所に急ごう、」

「そうよ、シンジが神様になるなら、私が女神になって、シンジを導いてあげるわ、」

「導くって、、、、何処に?」

レイは不思議そうにアスカに尋ねる、

「天国の住所にね、」

 

 

 

 

 

「それじゃぁ、行こうか、、、」

ケイは静かにつぶやく、

「行くって、、何処に?」

「天国の住所を聞ける場所にだよ、」

「そんな場所があるの、?」

「あるよ、君は無意識のうちにその場所を選択していたんだよ、」

「選択していた?」

「そう、カオル、行こうよ、もうすぐ時が満ちてくる、」

カオルは悲しい瞳をしている、どうして悲しいのかきっとカオル自身にもわからないのだろう、

宇宙が死ぬ瞬間、すべてが大きな光に包まれて、全てが風に変わる、そして静かに闇に吸い込まれる、

その瞬間が近ずいてることを本能で感じてるにだろう、

その感覚を悲しみと呼ぶのが正しいのか、

それは誰にもわからない、

「そうだな、、、、、、、シンジ君、」

「なに、」

「この草原を抜けると湖があるんだよね、」

「う、うん、そうだけど、、、」

「そこが入り口なんだよ、神様の住所のね、」

「神様の住所?」

シンジにはカオルの言葉ももう理解できないでいた、

「そう、僕達はその湖で未来を判断しなくてはいけない運命なんだ、」

「未来を判断って、、、、わからないよ、カオル君、僕にはもうなんだかわからないよ、」

「心を無くしてはだめだ、シンジ君、君の信じる世界が全てなんだ、君自身で決めなければならないんだ、」

「決めるって、何をだよ、もういいかげんにしてくれ!僕は単なる人間で、ただ歌をうたって、ギターを弾くことしかできない人間なんだよ!」

「それも事実だよ、」

カオルは冷静にシンジの言葉を受け止める、

「僕は神様でもなければ、エヴァウィルスも地球に選ばれた一族も関係無い!ただ、歌って、ギターを弾いてるだけの人間なんだ!これ以上、訳のわからない言葉で僕を責めないでよ!」

シンジは一気に言葉を吐き出す、

確かに自分の知らない出来事を突然突き付けられ、それが真実だと言われても納得はできないだろう、

だが、カオルはあくまでも冷静にシンジの言葉を受け止める、

「シンジ君、僕達の声以外に聞こえてるだろ、」

「、、、、、、、、」

「僕達の言葉をそのまま体の中にいる別の意志が繰り返すだろ、」

「、、、、、、、」

「それが、エヴァンゲリオンだよ、」

「、、、、、、、」

「それが、人間が作った神様という概念を具体化した存在なんだ、」

「、、、、、、、でも、それは、」

「シンジ君、君がどれだけ否定しても、真実はかわらない、、、」

「、、、、、、真実?」

「そう、その真実は君の心にある。だから、僕達三人は生きてきたんだ、」

カオルはケイとノーマの方に歩く、

「行こう、シンジ君。僕達の話しが嘘でも、真実でも、関係無いよ。本当に未来を作るのは君の心だけだ。」

カオルは笑顔でシンジを誘う、

「シンジ君、、、、」

「行こう、僕達は敵でもないし、見方でもない。ただ、君の真実を導き、実感し、消え去る存在なんだ、」

ノーマとケイも笑顔でシンジを誘う、

綺麗な笑顔だ、

何か、全てが終わり、これから新しい世界に行ける様な笑顔でシンジを誘う、

そして、その悟りの境地に到達したような笑顔にシンジの心はひかれる、、、

(僕なんかよりよっぽど神様みたいな笑顔だよ、、、、いや、仏様みたいな表情だよ、、、)

不思議な笑顔、心を落ち着かせる笑顔、何故か死を近くに感じる笑顔、

そんな三人と共に、シンジも一面赤く塗られた草原、無数の死骸の草原に歩み出す、

どうして自分が歩き出したのか、シンジ自身わかっていない、

いや、わからなくていいのかも、

真実は常に理解できないものだから、

絶対に明確されないものだから、

わからない物こそ真実かもしれない、、

 

 

 

 

 

 

「アスカ、なんなのこの世界は、、、、、、、」

「私にわかるわけないでしょ、、、、、」

二人はなんとか草原に出た、

そして、シンジ同様、異常な草原の赤色に心を揺らす。

「こ、、これって、、血なのかなぁ、、」

「こんなに大量の血が何処に存在してるのよ、」

「で、、でも、、、」

レイは赤く染まった草、地面をみつめる。

「まるで、、、、地球の流した血みたい、、、、」

「地球の血?」

アスカは“はぁ〜?”といった表情でレイを見る。

「うん、、、、きっと地球が流した血なんだよ、、、だからこんなに地面も草原の草も赤いんだよ、」

「あんたねぇ、、地球が私達みたく血液を必要としてるわけないでしょ、」

「でも、、シンちゃんが言ってたんだ、地球は生き物で、生物で、きっと一つの意志を持ってるって。そして、いつも地球上の出来事を眺めてる、だから人間はいつか地球に殺されるんだって。」

レイは静かに一面の赤を眺める、

アスカは単なる現象としか捕らえてない様で、草原を突っ切ろうと踏み出す。

「何言ってんだか、、、、、、うわぁ!」

アスカの踏み出した足の下に、小さな男の子の死骸がある、

「いいいいいいやぁ〜〜〜!!!」

草原に綺麗に声が響きわたる、

レイはその死骸から視線をそらさず凝視しているが、言葉は失っている、

(凄い、、、、顔は綺麗なのに、、、、、、心臓が抉り出されてるんだ、、、、、)

冷静に死骸を見れる自分にレイは驚いているが、それ以上にアスカが悲鳴を上げながらレイにしがみつくので、レイは自分の感情を感じてる場合ではなくなった。

「いや!いや!いや!!」

「アスカ落ち着いて、アスカ!」

必死になだめるレイはアスカを抱きしめる、

そして気がつく、

草原に広がる無数の死骸と、背後から迫り来る銃声、そして、草原の先の森林に入っていくシンジとカオルの後ろ姿を。レイは大きく息を吸い力の限り叫ぶ、

「シンちゃん!!!!」

その叫び声はシンジ達に届くと同時に、銃をもった動物たちにも届いた、

 

 

第十八話へ続く



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