「思い出せ、不良少年」
「久しぶりだなぁ、」
「どうしてあんたが、ここにいるんだ、、」
シンジの声は暗闇に響く、
「この道を発見したのが私だからな、」
「、、、、発見?」
「あぁ、そうだ。この道、そしてこの奥の扉にこそ涅槃の地、輪廻から解放された魂が永遠の安らぎを得られる場所がある。」
「涅槃の地、、、」
シンジのつぶやきは何処までも闇に消えて行く、だが、どこからか反響がくる、
「お前達俗物的な意識を強く持つ人間は、通常何らかの力が働かなくてはこの道には入れない。」
「あんたなら、解脱した人間として来れたとでも言うのかい?」
「そうだ、」
「冗談じゃない、あんたみたく腐った魂が解脱してるなんて、信じられないよ、」
「だが私はお前の前に立っている。解脱し、真理の道を求め、極めたもの、悟りを持った人間としてな、」
シンジの前に立つゲンドウ、
暗い空間で怒りを含んだ瞳で睨むシンジ、
始めは驚きと怒りで我を忘れそうになったが、異様な空間と感覚、そして、ゲンドウの後ろで大きな椅子に座る老人の存在が、シンジの感情を冷淡なものにする、
「ようこそ、シンジ君。死者の道へやっときてくれたね、」
「、、、、誰ですか?」
「おおよそ推測はできるんじゃないかな?私はアスカ君ともレイ君とも会ってるのだが、、、君とは始めてかもしれないがね、」
「、、、、アスカの心を汚し、レイの心を苦しめた人ですか、、、、」
シンジは現世での記憶を蘇らせる。
「そう、シュラウド研究所の所長、君の父上のゲンドウとは良き親友であり、師でもある、」
「そして、エヴァウィルスで世界を支配しようとしてる人間ですね、シュラウド博士、」
ゲンドウは降りかえりシュラウドを睨む、
「ふふ、、支配という表現は違う、人類を再生し、魂の楽園を現実化しようとしてるのだよ、」
足を大きく組み、椅子の背もたれによりかかり、両手を椅子の手すりに乗せる、
「シンジ君、共に人類の未来を作ろう、、、」
「未来?」
「そうだ、我々神に選ばれた一族で、人類の未来を作ろうではないか、」
話しは数時間前に遡る、
シンジはカオルの運転するオープンカーで果てしない大地を移動していた、
レイは相変わらずカーステレオから流れる音楽に体を預けてる、
アスカはシンジの隣で眠っている、呼吸はないが、、
コバルトブルーの空には雲がない、
太陽の光を遮るものは何も無い、
風にシンジの髪が流れる、
眺める空との会話は永遠に続く、
だが、シンジに答えは生まれない、
(何を望む、、、僕の未来、、、、自分勝手な未来、、、でもそれも僕の幸せの形、、、、それが世界の幸せなの?)
心と空で何度も繰り返す、
幸せ、自分の幸せと世界の幸せ、
自分が望む世界が現実になる、
それがこんなに不安で苦しいなんて、
どうしてなんだろう、
自分勝手な幸せでもいいじゃないか、
アスカが永遠に側にいて、世界には哀しみも無い、苦しみもない、
明るい未来が設定されていて、素敵な生活が続く、、
自分に都合のいい未来、、
僕に都合のいい未来、
そうだなぁ、例えばアスカが僕と幼馴染で、、、、
父さんと母さんがいる暖かい家庭があって、、
アスカと一緒に学校に通って、
友達もそれなりにいて、
レイとカオル君とも素敵な出会いをして、
いろいろな出来事が起こる日常を笑いながら過ごして行く、
そんな普通の生活でいいんだけれど、
それも僕の自分勝手な未来、
いいじゃないか、それを望んでも、
そうだ、そんな世界を望んでもいいんだ、
でも、、昨日の夜のレイの涙の意味は、カオル君の言葉の意味は、、
僕が生きてきて、感じた出来事、
止まらない涙を必死に隠そうとする心、その心が割れる様な苦しみ、
自ら魂を終えることを望み、苦しみから逃げていた日々、
そんな嫌な世界を忘れないで、、、
そう言っているようだった、、
僕の未来は世界の未来じゃない、
でも、僕が望む事が世界になる、、
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、どうしたらいい、、、、
とにかくアスカの魂のある場所に行こう、
アスカの魂のあるある場所、、、死者の道、
その道には多くの魂があるって言ってたなぁ、
行こう、そこへ行って、、、それからどうする?
いや、行けば何かがあるような気がする、
むしろ、僕は死者の道に行く事が運命だった様な気がする、
そんな気がする、、
そんな気がするんだ、、、
シンジはゆっくりと眼を閉じる、
そして死者の道を望む、
その道でアスカと再び出会う事を、、
再びあの暖かい腕で抱きしめられる事を望む、、、
「レイ、そろそろステレオ止めてくれるかい、」
「え〜、どうしてよ、」
カオルは運転しながら、視線はそのままで右手の親指でシンジを指す、
レイが振り向くとシンジは空を見上げ、両手を大きく広げ、目を閉じたまま風を感じている、
「シンちゃん、望みはじめたんだ、、、」
「あぁ、でもまだ未来を決めてはいないみたいだけどね、」
「当然よ、そう簡単に決められないわよ、」
「レイ、もし、シンジ君が楽園を望み、僕達エヴァウィルスに選ばれた者が基準を作る世界になったら、レイはどうする?」
「そうねぇ、、、、楽園で、戦うかもね、、、同士を見つけて、」
「それも全て神様であるエヴァに管理されるかもしれないよ、」
「いいわよ、、、戦って、、、そして、、、死んでやる、」
「死んでも再び楽園に戻されるんだよ、転生して、」
「そしたら、又戦って死ぬだけよ、」
「そう、、、、、、、僕と一緒だね、」
カオルとレイは崩れて行くコバルトブルーの空の先に、暗く、冷たい空気が流れる空間を見つける、
光が届かない、暗い雲の中では綺麗な稲妻が時々見える、
そんな悲しい美しさにひかれる様に、、、
カオルとレイ、シンジとアスカは引き込まれて行った、、
そして、そこが、死者の道の入り口だった、、、
「この先にある扉が見えるかい、、」
シュラウドは自分が座っている椅子の後ろにある大きな扉を指差す、
扉、いや門といった方が良いのかもしれない。木でできた寺院の入り口のような扉、左右に開くと思われる扉は高さ数十メートル、横幅も数十メートルある巨大で、重厚な、見るものを威圧つする黒い門。
何年たてばここまで古くなるのだろう、何年といった単位ではないだろう、おそらくは数億年、いや人間の時間といった単位で計れるものではないものなのかもしれない、、、、
「この扉の先に、人間の魂の楽園、、、、涅槃の地がある、」
無数に描かれた文字と思える模様がある、
意味はわからないが、シンジには感じることができる、
いままで歩んできた生命の苦しみ、哀しみ、憎しみ、欲望、、、
「さすが、エヴァンゲリオンが宿る少年だなぁ、、、この模様の意味がわかるのかい、」
「アスカのマンションの入り口で、、、、」
「よく憶えてるな、」
「忘れませんよ、絶対に。アスカを苦しませた模様と文字ですから、」
「そうか、、だが、真実の文字でもある。人間の心の奥に眠る、深い欲望、深く沈んでいる恐怖、神経を全てかき切る苦痛、、、、誰もが望まない感情を表してる、」
シュラウドはゆっくりと椅子から立ちあがり、そしてシンジに向かって歩く、
ゲンドウもシンジに向かって歩く、
シンジ、ゲンドウ、シュラウド、この三人が直線に並ぶ、
そしてその距離が次第に縮まり、三人は手が届く範囲内に立つ、
その様子をシンジの後ろで黙って見ているレイ、カオル、
門の前で、黙って眺めてるケイとノーマ、
すでに彼らの言葉は三人には届かなかった、
そんな雰囲気が三人を包んでいた、
いや、明らかに何か特殊な壁が三人を隔離していた、
それは、、、神と人間の壁、絶対的な壁の様にも思えた、
「アスカとレイをどうして、、あんな目に合わせたのですか?」
「救うためだよ、」
「救う?」
「あぁ、アスカ君が精神的錯乱状態になったのは確かに薬物のせいもあるが、元々彼女の心、深層心理に蓄積された感情があったからだ。」
「蓄積された感情、、」
「そうだ、アスカ君は君に嫉妬していた。いや、君達の存在に焦りを感じたと言ったほうが正確かな。シンジ君の歌う独特の声、サウンド、詩、そしてバンドとしてステージに上がった時に創造する不思議な空間。それらアスカ君にはできない、どんなにアスカ君が努力しても作れない世界に、嫉妬し、焦り、自分の位置を見失っていた。」
「アスカが、、どうして、」
「アスカ君はシンジ君も知ってる通り、父親の存在をしらない、さらに母親は無理な夢を自分に押し付け勝手に狂ってしまった。たった一人で生きるには、タレント、女優として完璧な地位を持ち、誰にも負けない才能を見せる必要があった。その為に努力をし、他の全てを犠牲にして生きて来た。なのに、シンジ君達は“才能”だけで、一瞬にしてアスカ君と肩を並べるところまで来てしまった。」
「僕らも努力は、、、」
「もちろん、してない、とは言わない。だが、アスカ君はそう思ってはいない。だから、異常なまでに君達を意識していたのだよ。」
「その事と、アスカをあんな状態にした事とどう関係があるんですか、」
「あのままでいけば、アスカ君の心は自我崩壊を起こす寸前だった。だから我々はアスカ君を救ったのだよ、君の力を借りてね、」
「僕の力、、、」
「そうだ、君の歌声は心の奥に眠った感情に触れられる。しかも、心を治癒させる力もある、」
「、、、、エヴァウィルスのせいですか、」
「それもあるが、それだけではない。結果的に君はアスカ君を救い、同時にアスカ君の愛も手に入れた。我々としては良い事をしたつもりだがなぁ、違うかい?」
シンジは黙って言葉を聞く、
シュラウドの言葉はなぜか流れ込む、どんなに否定し、拒絶しようとしても、
シンジの心に流れ込み、それが真実だと思い込ませる、
「、、、、そうかもしれません、、、」
「レイ君の場合もそうだ。彼女は君との出会いで全てが変わった。だが、その前は捨てられたゴミ同然の生活だった。汚れた体、凍えた指で者を盗む、捕まり大人に暴行を加えられ、女だとわかると体を奪われそうになる。そんな社会をたった一人で生き延びていた。奇跡的な確率の中で、毎日生死の境をさまよっていた。そんなある日君と出会い、一緒に死のうとする。だが、死ぬ事は許されなかった。だが、結果的にはそこからレイ君は人間になったと言っても過言ではない。」
「そこから、、人生が回り出したと、」
「そうだ、だが、アスカの出現で、君の心は大きく動いた。レイ君はシンジ君と体の関係はあっても、精神的な太い関係を確認できていなかった。つまり愛という存在を認識できないでいた。アスカ君の心に惹かれるシンジ君の姿を見て、彼女は自分の存在に不安を抱く。再び一人になるのでは、とね。」
「そんなこと、、、、」
「君は中心にいる人物だから気がつかないかもしれないが、レイ君の焦り、不安は確実に深層心理に蓄積されていた事は事実だ。」
シンジはレイの方を降り返る。
距離的にはそれほど離れてはいないが、何か見えない壁で互いに言葉は聞こえない。
「だが、この場合も結果的にはシンジ君が救ったのだよ。我々はレイ君に、自分の存在理由の意味を問うように仕向けた。そして地獄や悪魔といった概念的な物ではない、現実、レイ君の過去の辛さを再認識させた。その結果、レイ君は極度の鬱状態に陥り、自分の存在に強く疑問を持ち、自分の存在を否定しはじめた。だが、シンジ君、君はそんなレイ君を救った。歌声ではなく、体と心で、レイ君の心を共有することで、レイ君を救った。あのままではいつかアスカ君と本当の意味で衝突していたかもしれないレイ君を、君の心が救ったんだよ。」
シンジは思い出す、
あのグランブルーに染まった夜、
レイの言葉を、
うずくまって泣くレイの姿を、
自分の意味を知りたくて、確認したくて震えていたレイを、
優しく抱きしめた夜、
全てがグランブルーだった夜を、、思い出す、
「僕が、、、救ったんですか、、」
「そうだ。結果的には君は救ったんだよ。二人の女性を。」
「でも、、アスカは救えなかった、、」
シンジはアスカの死を思い出す、
流れるアスカの血の感覚を思い出す、
消え行く体温、消えていた瞳のブルー、
あの心を自分の手で切り刻むおぞましい感覚を思い出す、
「いや、君はアスカ君を救えるよ、」
「え、、」
「カオルが言っていただろ。この道、死者の道については、」
「えぇ、アスカの魂を取り戻せると、」
「その通りだ。だが、アスカ君だけを蘇らせるわけにはいかない。」
「どうしてですか、」
「アスカ君の魂は涅槃の地で眠っている。アスカ君だけではない、全ての魂が眠っている。」
「全ての生命がですか、、」
「そうだ、、、だがこの地に入るには扉を開けなくてはならない。我々肉体を持ったものには、この扉を通りぬける事はできないのだよ、」
「じゃぁ、、僕がこの扉を開けたら、、、」
「そうだ、無数の、無限の魂が全て輪廻の道を求め、目覚めてしまう。」
「そして、、、蘇ると、、」
「ここは死者の道の入り口だ。この扉の向こうには、涅槃の地がある。つまり、転生しない魂が、永遠に救われた状態でいる。扉を開ける事は、輪廻転生の道をもう一度作ることになる。」
「、、、、、、、、開ける前に転生するべき地、いままでの地球がなければいけないという事ですか?」
「いや、魂が転生する場所が地球である必要はないが、まぁ地球が無難だろう。問題は今までの人類を作るのか、それとも、別の人類を作るのかだ。」
「、、、、、進化した人類ですか、」
「そうだ、、、、」
「、、、、本当の人類にとっての楽園ですか、」
「そうだ、、、、」
「、、、、素晴らしい未来を作るんですね。転生する魂の為に、」
「我々は神ではない。だが、このまま死者の扉を開け、転生の道を創り、元の世界を創造しても、人類は再び滅びの道を進むことになる。だから、、、我々の手で人類を導くのだ、、、、」
「導く、、、、」
「本当の意味での楽園を創造するのだ。」
シュラウドは両腕を広げ、シンジの前で大きく立つ、、、
まるで自分が全能の神であるかのごとく、、
「そうだ、その通りだ。」
ゲンドウの言葉にシンジは一瞬体を大きく震わす、そして、ゆっくりゲンドウと向きあう。
今まで何も言わず、一言も話さず、何時の間にか椅子に座り、シンジをただ見つめる、いや、睨みつけていたゲンドウだった。ただ、シンジの心を睨みつけている、そんな瞳だった、、
「シンジ、世界は何を望んだと思う、」
シュラウドもシンジがゲンドウを見ている事に気がつく、
「世界が望んだ姿は、未来はなんだと思う、」
ゲンドウは蛇の様なが威圧的にシンジを見下す、
「知らないよ、」
「そんな事だから悟りの境地にも行けず、己の道を他人に左右されるんだ、」
「なんだと!」
「さっき、私の魂が汚れ、解脱など不可能だと言ったな。だが、お前はどうだ、本来エヴァウィルスを持った人間はこの地に来る事が出来るはずなのに、お前はこの扉の前に立つのにカオル君やレイ君の力を得なければ来れないかった。そんなお前が私を批判するなど、、、まったくバカバカしいかぎりだ。」
「っく、、、」
シンジは拳を固め、奥歯を噛み締める、
「まぁ、シンジ君、ゲンドウはゲンドウで思うところがあるのだ。それより、君の意志を聞かせてくれ、」
「僕の意志、、、、」
「そうだ、君の信じる未来を、」
「、、、僕は、、」
シンジは沈黙する、
もう一度頭の中を必死に整理する、
今度はカオルもレイも助けてはくれない、
もちろんノーマの声もケイの声も聞こえない、
完全に孤立した空間、、、、
その中で必死に自分の心を探す、、、
(僕は、、、、何を望むんだ、、僕が信じた未来は、、、、、なんだろう?)
「1999年に人類が絶滅の危機に面した時、ある音楽家の歌が世界中で流れた、、」
シュラウドは広げていた両手を下ろし、シンジの肩にその手を置く、
「その歌は、、、国境もない、戦争もなく、差別もない、そんな世界がいつか来る、、それは夢だと言うが、世界中の人間が夢をみれば、、、それが現実になる、、、、そして平和で幸せな世界がおとずれる、、、」
シンジはその歌をよく知っていた、
シンジの記憶の中にある、最古の歌、、
それがその歌だった、、
「君もよく知ってるだろ、その歌を。世界中の人間が同じ夢を見る、、、そうすれば世界に平和が訪れるのだよ、、、、、、そしてその夢を与えるのが、、、我々エヴァウィルスを持った人間なのだよ。」
よく歌っていた、、、
その歌は物心ついたときから歌っていた、、、
僕にその歌を教えてくれたのは、、、
母さんだ、、、
母さんが、、いつも歌っていた、、、
母さんが、僕に教えてくれたんだ、、、
あの歌を、、
「シンジ君。我々と共に、人類の楽園を創造しよう。それが、本当の未来だ。君は、世界中の人間の未来でもあり、希望でもあるんだ。」
そうなのかなぁ、、
同じ夢を見て、同じ幸せを感じることが未来なんだろうか、、、
哀しみもなく、苦しみもない世界、、
そんな世界が素敵なんだろうか、、
シンジは苦悩する、、
世界を滅ぼしたことも、
未来を選択できないことも、
自分がエヴァンゲリオンとして存在することも、
無の状態からもう一度何かを生出そうとすることも、
全てに苦悩する、、
だが、シュラウドの言葉はシンジの心の奥深くに響く、
その言葉が真実に思える、、、
おそらくエヴァンゲリオンがそう思っているからだろう、、
それが真実なのか、、
それが幸せなのか、
それが未来なのか、、
それが、、、、、、、、
「愚かなやつだ。」
シンジの思考が一瞬止まる。
ゲンドウの空間を裂く様な、吐き捨てる様な言葉が信じの思考を止める、
「すぐに自分の世界に逃げ込む、愚かな人間だ。」
シンジは一段高い所から見下すゲンドウを睨み返す、
「そんな簡単に決められるわけないじゃないか!」
「愚かな、、、そんなに他人の言葉に左右される人間だとは、、情けないやつだ、」
「なんだと!」
「思い出せ、、シンジ。ユイがなぜその歌をよく歌っていたかを、」
「え、、、、、」
「ユイが、お前に伝えたかった事は何なのかを、」
「母さんが、、」
「ユイの言葉がお前の中で生き続けてるはずだ、、、、その言葉を思い出せ、」
「母さんの、、、言葉、、、、」
暗い空間、何もない空間、無限の闇をシンジは見つめる、
そして、、、自分の記憶を蘇らせる、、
思い出す、、
そうだ、レイにも言われたなぁ、、
“思い出して、、、あの頃の気持ちを”って、
カオル君にも言われたなぁ、、同じ様な事を、、
思い出す、、、何をだろう、、
そもそも忘れていたんだろうか、、
始めから知らなかったんじゃないかなぁ、、
、、、、、、、、、、、、
いや、知っている。僕は全てを知っているんだ。
そうだ、母さんのあの言葉、あの言葉こそ未来なんだ!