時間が迫っている、誰かが叫んだ、

死と地獄が直結してるレールに乗った、

乳母車の列車は時速350kmで突っ走る、

今まで幾つの魂を轢殺したのか、もう忘れたけど、

時間が終わるまで、止まる事はできない、

苦しみの中、生まれた?それがどうしたの?

確か大雪の夜に生まれた記憶がある、

ママに脅されながら生きてきて、

これからは人間全てに脅迫される、

苦しんで、泣き叫んで、自分で命を絶っても、

天国で神様に脅かされる、、、

戒律を守らない奴らは、みんな地獄へ突き落とす、

血で染まった剣を降り回し、神様は叫んだ、

 

時間が迫っている、そうアタシは叫んだ、

また人間に生まれ変わるなんて最悪だ、

自ら命を絶ったアタシなのに、また生まれるの?

今度は誰の子供?またパパに犯されるの?

兵士が村を襲った時に感じるのは、

自分の神様の正当性と悪魔の純粋さ、

逃げる母親を背中から突き刺した軍人は、

白い世界で英雄になれる、そう信じている、、

また神様に脅かされた、、

異教徒達を殲滅する事も信仰だと、

言葉を受け入れないお前は、地獄行きだと、

脂ぎった脂肪だらけの体を振るわせて叫んだ、

でもアタシは知ってる、

以外と地獄こそ、人間らしく生きていられるって事を、

地獄で苦しんでる方が、生きてるより素晴らしいって事も、

アタシは知ってる、、

知ってるんだ、、、

 

 

 

 

「、、、で、レイ、何を知ってるの?」

「え、、」

顔を上げるとミサトの怒りの表情があった、

「今は確かに授業中じゃないけどね、レイ、、、自由時間でもないのよ、」

顔は笑っているが、明かに額に血管が浮いている、

「え、、えぇ、、」

焦って答えるレイ、

「貴重な公害問題のフィルムを見て、現代の核廃棄物問題を考える時間なのよ、」

「は、、はい、、充分承知してます、、」

「だったら、提出するレポート用紙に作詞なんてするな!!」

ミサトの言葉と同時に、レイの頭には拳骨が落ちてきた、

 

 

 

 

 

 

Nothing like the Moon

Episode 3

 

 

 

 

 

 

 

「痛ったぁ、、、」

レイは頭を抑えながら部屋から出た、

「レイ、大丈夫、、、」

マナが心配そうに駆け寄る、

「うん、、大丈夫、、」

「酷いわよね、レイは病人なのに、、ミサト先生見損なったわ、」

マナはレイが本当に病人だと思い込んだままであった、

「マナ、落書きしてたレイが悪いんだから、ミサトに怒るのは筋違いよ、」

アスカは冷静に話す、

「でも、アスカ、、、」

「いいのよ、、マナ、、ごほ、、ごほ、、」

レイはわざとらしく咳き込む、その仕草をアスカは覚めた目で見つめる、

「たいした事ないわよ、あれぐらい、、、、ね、アスカ、」

「、、、、、、そうね、、、あれぐらいじゃね、、、」

アスカはレイの言葉に暗黙の了解込めて答えた、

「うん、、、あれ位じゃね、、、、」

ヒカリとマナは多少解らない二人の会話に不思議そうな表情でいる、

だが、アスカとレイの脳裏には、日頃の教師でないミサトの姿があった、、

 

ネルフ、、、国連機関だが非公開組織である、

その理由は“各国で選ばれた人間だけが極秘に帰属できる組織である、”

というだけで無く、体力、知力、判断力、精神力、それ以外の能力を持つ

つまり、残酷さ、冷酷さ、人間を殺す事を当然とする思考、国家間での

正義の優劣、人権の比重、利益の配分、それらを冷静に判断できる人間、

そんな犯罪者よりも始末の悪い人間の集団、、、、

それが、ネルフを非公開にする理由だった、

そして当然の如く、ネルフの訓練は厳しくもあり、残酷でもあり、

同時に人間としての人格、人権を剥奪された状態で行われた、、

レイ、アスカ、シンジは正規隊員として扱われていないが、訓練は

同じ内容の物だった。当然、肉体的にも精神的にも崩壊寸前まで負

い込まれ、その上で更なる拷問が待っている。そんな訓練を1日、

数時間行うアスカ、レイにとっては、拳骨程度、なんでもなかった、、

「そうよ、、、大した事ないわよね、、ごほ、、ごほ、、、」

大袈裟に咳込むレイと、薄笑いを浮かべたアスカは二人肩を並べ歩き出す、

残されたマナとヒカリには不思議な感じだった、、

 

「ところで、レイ、あんた何時までそのマスクつけてるの?」

「う〜ん、、できれば修学旅行終わるまでは、」

「、、、、、あんたね、昔のヤンキーじゃないんだから、」

「仕方ないじゃない、、、」

「何が?」

「風邪でも引いてるって云わないと、、、夜、、、襲われるに決まってる、」

「、、、、、、、、誰に?」

「マナに、、」

一瞬、アスカは言葉を飲み込み、沈黙する、

「、、、、、、まさか、、マナ、本当に、、」

「体を求めてきたりはしないけど、、、抱き付いてきたりするのよ、、」

「やっぱり、カオルと同化したのが間違いだったのね、、」

「え、何か理由があるの?」

「う〜ん、、確実とは云わないけど、かなりの確率でね、、」

言葉を濁す様にアスカが先に歩き出す、

その後ろを多少むっとしたレイが負う、

「ちょっと、、どうしてそこで終わるのよ、」

「、、、、、別に?」

「アタシ何度も聞いてるのに、どうして答えてくれないのよ!

あの時のこと、、カオルがマナの体と同化した事って、、、どうして?」

「カオルと同じバンドにいるんでしょ、、本人に聞けば?」

「流石にアタシもそこまで聞けないわよ、、だって、、、」

「、、、、、、、、、、知らない方がいいのよ、、」

「そんなのずるいよ、アスカも碇君も知ってるんでしょ、カオルのこと、」

「アタシ達も全てを知ってる訳じゃないわ、、、、ただ、、」

「、、、ただ、、」

「全てが始まった時、カオルは舞い降りてきた、、、、そして、、多分、、

全てが終わる時、、、カオルは再び飛び去って行くと想うの、、、

誰にも理解されない、、、孤独な気持ちを持ったまま、、、一人でね、、、、」

アスカは遠くに見える、透明な海を見る、、

恐らく水質がとても綺麗で汚染されていない為だろう、

浅い場所の海底は遠くからでも見える、

そんな無数の水の塊が揺れ動く神秘的な海を眺めながら、アスカは呟く、、、

「カオルは、、、、実在を持たない生物なのよ、、、」

「、、、、、、実在を持たない?」

「そう、、、意志や思惟だけで構成されてるの、」

「、、、、、、、、、、、、、、、なにそれ?」

「辞書で調べなさい。高校生なんだから、、、」

悲しそうな笑みを浮かべたアスカは、困惑するレイを残し去って行った、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「碇君、、あのカメラマンと知り合いなの?」

軽薄そうな同級生がシンジに話しかける、

「え、、カメラマン?」

「ほら、金髪で、綺麗な顔したアタシ達と同じ歳くらいの、、」

シンジは昼食を取っていた、

友達と呼べるほどの仲間はいないが、多少の生徒は神秘的なシンジを受け入れる。

他の男子生徒にはない不思議な希薄さ、生命の儚さ、虚ろな瞳、、、

それに反する様にしまった筋肉、それでいて細い体型、

誰もがシンジを受け入れる事はないが、感性が近い生徒はシンジを受け入れる、

当然、軽音楽部の仲間もいる為、シンジの交友関係はそれなりに存在していた、

そんな仲間と昼食を取っているところへ、所謂派手好きで口から生まれたのでは

と思える程軽薄な会話をする少女の集団が押し寄せていた、

「あぁ、、、カオル君のこと?」

「カオルって名前なの?名字は、名字、」

「え、、渚だけど、、、」

「そうなんだ、、、ねぇねぇ、、紹介してよ、アタシ達も、」

「カオル君に?」

「うん、、だってあんなに美形の人と一緒にいるのに、知り合いに成れないなんて、

そんなの悲しいじゃない。折角の修学旅行なんだから、楽しみたいじゃない、」

「はぁ、、別にいいけど、、」

シンジが呆れた表情を浮かべるのと同時に、軽音楽部の仲間も嫌そうな表情

を浮かべる。もっとも、シンジは何処かの部族かと思える化粧とサインペン

で塗った様な黒肌に嫌気がさしてたわけでなく、彼らの生物としての匂いが

気に入らなかった為だ。

(どうしたら、こんなに臭くなれるんだ、、、、心が腐ってるからか、、)

シンジは死臭にも似た腐敗した匂いに顔を歪めた、

「ねぇ、ねぇ、碇君、碇君のグループって女の子いないんでしょ、

あの人紹介してくれたら、アタシの知ってる子のグループ紹介するわよ、」

「、、、、、、遠慮しとくよ、」

「ええ〜、じゃぁ、じゃぁ、今晩アタシ達とどう?良い薬あるんだよ、」

「別に、、薬よりトリップする方法知ってるからいいよ、、、、

それより、カオル君は後で紹介するから、、」

「ホント!ホントに、じゃぁ、今晩部屋で待ってるって伝えてね、」

「あぁ、、でも行くかどうかは知らないよ、」

「大丈夫よ、ナイスバディーの美少女がグループで待ってるんだから、

サービス満点よって、必ず伝えてね、」

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、あぁ、、約束するよ、」

一応会話はこれで終わったが、実際は周囲で数人が同時に話す為、シンジは

全て意識外の言葉、生物として判断し、無視していた。

「シンジ、、、紹介するの?カオルのこと?」

「うん、、一応約束だからね、、」

「律儀だね、、、」

「まぁ、、伝えるだけは伝えるよ、、後はカオル君次第だよ、」

「そうだな、、まぁ、カオルが行くとは思えないけどな、」

「はは、、、でもカオル君の事だから解らないよ、」

「そうだな、意外とゲテモノ趣味だったりしてな、」

苦笑いを浮かべシンジは昼食を進める、

「そう言えば、、シンジ、知ってるか?」

「何を、」

「九条 ゆき達、アスカの事、、、狙ってるらしいぜ、、」

「、、、、、、、、そう、」

「そうって、お前、、あいつがお前の恋人気取ってた時期があったろ、」

「向こうが勝手に気取ってただけだよ、」

「ところが、本人はそう思ってないようだぞ。おまけに、自分がシンジに

冷たくされたのはアスカの看護があったからだと思ってる。当然、アスカ

にシンジを取られた恨みも持っている。」

「、、、、、、、、、、、、、」

無言でコーヒーとサンドウィッチを頬張るシンジ、

「同じ軽音楽部として忠告しとくぜ、、アスカからあまり離れない方がいいぜ、

九条達のグループ、結構危ない連中多いからな、、、

こないだ、男子トイレに全裸で縛られて放置されてた三年生の女子がいたろ、、

あれも九条達の仕業だ、、連中自分達が楽しむ為ならリンチも拷問も当然の様に

やるからな、、、、兎に角、アスカを一人にしない様にした方がいいぞ、、、、」

「ありがとう、、でも大丈夫だよ、アスカにはレイとマナがついてるから、」

「そうかい、、ならいいけど、注意はしといた方がいいぜ、」

「うん、、、僕達は何時も注意してる、、どんな時もね、、、、、」

シンジは口に入れたサンドウィッチを冷めたコーヒーで流し込む、

自嘲的な笑みを浮かべながら同じく昼食をとっていたアスカに視線を移す、

そして、九条達グループの方も確認を取る、

「大丈夫だよ、、連中なんて可愛いものさ、、、」

笑いながらシンジは呟いた、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「酷い話しさ、、、、」

「何が、」

レイとカオルは全員が昼食を取っている場所の側にある、小さな資料館にいた。

錆びれた建物には人気も無く、電気もついていない為か日中とは思えない暗さ

が支配している。そんな中、同じ長椅子に座ってはいるが、カオルとレイは

視線を合わす事無く、互いに反対の壁を見ながら資料の写真、文献、記録など

を見ている。

「企業が垂れ流した化学薬品と病気の因果関係は認定されずだって、、」

「水俣病の事?」

「いいや、、水俣病は企業公害として認定されてる。それ以外にもね多くあるんだよ、

同じ様な公害がね、、、でも、最近のは殆どは企業側の責任が問われていない。」

「、、、、、、どうして?」

「簡単なことさ。企業の責任が認められれば、莫大な損害賠償金が動く。その企業

と政治家が絡んでいれば、当然政治家にも影響が及ぶ。だから裁判官を脅してでも

政治家は事実を隠ぺいし、買収された科学者が病気との因果を否定した結果を偽造

する。政治家と科学者に払う金額なんて被害にあった人達に払う金額を考えれば安い

もんだからね。」

「いつの時代も金が物を言うわけね。」

マスクを顎にずらし、タバコをふかすレイは皮肉を込めて云う、

「まあね、、、ところがさっき見たビデオ覚えてる?」

「え、、、何時の、」

「君がミサトさんに怒られた時に見てたビデオ、」

「、、、、、、、、、、、、、、、覚えてないわよ、」

レイは多少ムッとしながら答える、

「はは、、やっぱりな。あのビデオの中で企業側の弁護士が被害にあった住民達と討論

するシーンがあるんだけど、、一般人は感情だけで企業を責めたてるんだけど、弁護士

は言葉巧みに、一見聞くと非人道的な行為も法律的根拠を持ち出して当然の様に主張

する。あたかも自分の意見が法律の様にね、、、、ま、実際弁護士だから法律に添った

回答をしてるんだけど、僕には法律に添っていても実に滑稽に見えるんだよ、」

「弁護士の意見が無理やり真実を曲げてるって事に?」

「いや、、そんな事は思わない。住民だって感情だけで話してるわけだから、、、

僕が滑稽に思えるのは、必死に主張する人間の姿だよ、」

「主張する人間の姿?」

「そう、常識、証拠、理論、法律、そんな言葉で叫んでる連中ほど腹黒い、

真実を隠ぺいしてる、現実を曲げて見ている。そんな連中こそ必死に主張

する。その主張が正しい事を証明する為に法律を勝手に解釈してね、、、

よほど感情的に叫んでる人間の方が生物的さ、、、」

カオルは死んで行く猫の姿、腐った魚が無数に浮かぶ河川、

そして、奇形となった子供や老人が裁判所の前で叫ぶ写真を見ている、

「、、、、、、、、、嫌な見方ね、」

「でも、真実さ。人間は主張する事で暴力を避けてきた。いわゆる討論ってやつさ、

でも討論の結果では真実は決められない。どんな討論や言葉も嘘や買収が混ざっている、

どんなにキレイ事を言っても河川は汚染され、その影響で死んでる人間がいるって

事実は変えられないんだよ。なのに、、、この理論や法律を重視して、スーツに身を

まとった連中は、、、、そんな苦痛を他人事としか判断できない、、、」

「それが、人間社会の全てじゃないわよ、、」

「そうかなぁ、、僕には全てに思えるんだよ。科学的証明を崇拝した人間は、

勝手に持論を主張して、自分の経験した小さな範囲内での出来事で、レベル

の低い主張を繰り返す。主張してる人間こそ、、、僕は無意味な生物に思える、」

「何言ってるのよ、人間が自己意志を表明できなかったら終わりじゃない、」

「、、、、、、、本当に終わると思うかい?」

カオルが唐突に振返る、

そして同じ紅い瞳を持った者同士、見つめあう、

その瞳が何を語りたいのか、レイには理解できない、

「人間は何時の時代でも主張する人物がいた、、、

神の声を聞いたといって、、、国家元首として、、、企業の代表者として、、

文化の先導者として、、、アーティストとして、、、軍人として、、、

あらゆる時代に、あらゆる人間が権利や正当性を叫んだ、、、、、」

「そのお陰で今、アタシ達は生きていられるのよ、

自己意志を表明することが間違いだなんて、、、そんなことないわよ、」

「自己の正当性を叫び、それに共感した人間達が築いてきた歴史は、、

人類の記して来た歴史は、、、それほど素晴らしい物かい?

僕にはとてもそうは思えない。この資料館を見ても、今までの世界史を見ても、

僕には、、僕には絶対に権利を主張する人間が築いてきた世界が素晴らしいなんて、

絶対に思えない、、、思いたくなんかないよ、、、、僕は、、、、、」

カオルは無表情のままだが、どこか厭世的な瞳をしている、、

レイとは違った意味で深い赤の瞳を持った少年に、

何故だか解らないが生命の虚しさを感じる、、

「何時の世界でも、社会を引率しようと思う連中がいる、

どんなに表面的に綺麗な言葉を使っても、腹の中は真っ黒なんだよ、

政治家も、武士も、王様も貴族も、寺院も教会も、、、

自分達に都合の良い、自分達が生き延びるのに都合の良い集団にしようと、

愚かな群集を扇動しようとしてる、、、、、

その結果が戦争さ、、、」

「でも、人権や権利を叫んだ人もいるんでしょ、」

「そう、、、レイ、、、それこそ問題なんだよ、、」

「はぁ?、、、問題、、まさか“叫んだ人間を云え”だなんて言わないでしょうね、、、

  1. アタシ、、、世界史は取ってないから、、知らないよ、、、」

「レイ、、、1789年の人権宣言なんて今更どうでもいいよ、、

ロックの市民政府二論を読んでもレイには解らない事ぐらい知ってるよ、」

「、、、、、、、、、、、、、、、、、悪かったわね、、頭悪くて、」

ムッとした表情でレイは新たなタバコに火を付ける、

「風邪ひいてるのに、タバコを吸うのは良くないよ、」

「風邪を長引かそうとしてるの!」

「そう、、、じゃぁ、、話しを続けるよ、

15世紀のオランダ、16世紀のイギリス、17世紀のフランス、アメリカ、、

民主主義や人権を叫んで戦争が始まった、、、その時流れた大量の血が今の民主

主義の基礎を築いている。民主革命が起こらない国もあり、独裁者が専制政治

を行ったり、社会主義を叫んだ国もあったが、独裁者は革命に倒れ、共産圏は

20世紀の後半に滅び、殆どが資本主義国へと変化した、、、、」

「だから、、人権や民主主義は大切なのよ、」

「そうだ、、、大切なんだ、、、、人間にはね、」

「、、、、なによ、、その“人間にはね、”って?」

「その言葉通りさ、、、、人間には都合が良いのさ、人権や民主主義はね、

どんなに公害で産業廃棄物を海に流しても、海は人間に主張しない、

どんなに過疎地に放射能廃棄物を埋めても、土地は人間を訴えない、

どんなにオゾンや二酸化炭素を排出しても、大気は人間に文句を言わない、

人間は権利と主張する、、娯楽や欲望や快楽の為に、、

自分にとって都合の良い主張を繰り返し、、地球や他の生物を絶滅させる、

はは、、、当然だよね、民主主義って人間の為だけに存在してるんだもんね、」

「、、、、、、、、、、、、、、、、まぁ、、ね、」

「人間にとっては裁判や、法廷や国会、世界人権宣言だの、子供の人権とか

叫び主張する事はできる。でも、、地球や自然、他の動物達は殺されるだけ、、

実に不都合だと思わないかい、、、」

「人権や民主主義は自然を破壊してるんじゃないわ、」

「そう、、人間はそう思う。だが、、、、、、自然や地球はそう思わない、」

カオルの表情が一変する、

まるでレイという人間に怒りを込めているかのごとく、

人間じゃない生物を代表して、人間を殺す意志をこめて話す動物の様に、、

カオルの瞳には得体の知れない殺意が篭っている、

「だ、、、だったら、、どうだっていうのよ、」

「レイ、、、越智里美や如月が、、そんな側の生物だとしたら、、、

君は彼らを殺るべきだと云い切れるかい?」

「、、、、、、、、、、、、、、」

「彼らが、、まったく君達が信仰している神様と違う神様が創造した生物

だとしたら、、、、レイ、君は彼らを殺す権利を持ってるのかい?」

「、、、、、、、、、、、、な、、何云ってるの?」

「彼らが地球の意志に元ずいて、今、人権だとか騒いでる人間を殺し、

人間を単なる生物へと戻す、、、神の御子だとしたら、、、、どうする?」

「そ、、そんな事あるわけないじゃない、、、」

「余りにも生命への執着と枯渇しえない欲望が生み出した“主義”という思惟、思考

に言語の塔を構築した人間という生命体、、、その生命体が歴史に埋没させてきた“刹那

な本能“とい名の希望が啓蒙した生物が実存世界以外の観念世界がら襲ってきたら、、、

レイ、、君はどうする?」

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、」

「どうする、、、レイ?」

レイは答えない、

だが、カオルの瞳はレイを突き刺し、脳裏に焼き付く、

タバコが灰化し、口元から落ちる、、

その時の灰がまるで自分達の住む世界の様にもろく床上で崩れた、、

「どうする、レイ?」

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、とりあえず、、」

「“とりあえず”?」

「、、、、、、、カオルの言葉を文章にして、、辞書を引きながら理解する方が先ね、」

顎にしていたマスクで再び鼻と口を覆ったレイは、

苦笑いを浮かべた、、

 

 

第十七話へ続く



Rudyさんの部屋に戻る/投稿小説の部屋に戻る
inserted by FC2 system