「とても清らかな遠い思いで、」

 

 

 

「人間は増えても誰にも規制されない、」

「だからと言って君が殺してもいい理由にはならないだろ!」

周囲は地獄の様な世界で覆われている、

 

「あなたが動物を殺すのと同じ様に、私があなた達人間を殺すの、」

「そんな事が許されるわけないだろ!」

無数の死体、子供も老人も、男も女性もバラバラ死体になっている、

 

「許す?誰に許しを乞う必要があるの?」

「君がやってる事は殺人で、人間社会で許される行為ではない!」

暗い脂ぎった雨が冷たいコンクリートとアスファルトの上を流れる、

 

「許してもらわなくて結構よ。私達の世界では人間を殺す事が正義なのよ、」

「君は人間だろ!レイ!」

二人の周囲は数メートルに上る炎が取り囲んでいる、

 

「ううん、、私は人間である前に、、動物、地球の一部なの、自然の一部なのよ、」

「言い訳だよ!そんな言葉にはごまかされないよ!」

爆破された瓦礫の山の上で二人は立っている、

 

「じゃぁ、あなたは自分の行動を何で判断してるの、シンジ君?」

「ぼ、、、僕は、、」

特殊スーツを着たシンジが全裸で存在してるだけのレイに銃を向ける、

 

「あなただって迷ってるはず、、ほら、、あなたの心の奥で、純粋な汚れていない部分が叫んでる、、、」

「迷ってなんかいないさ、、」

シンジは異常な汗をかいている、炎の為ではなく、レイの冷たい瞳に感じる恐怖感の為に、

 

「嘘、、あなたは私と同じ、、同じ言葉を理解できる。だから私には分るの、あなたの心が叫んでる事を、」

「迷ってなんかいないよ!」

叫ぶシンジは夜の暗闇に汗にまみれた表情を浮かべる、その後ろで何度も爆破音が鳴る、

 

「じゃぁ、すぐにその引鉄を引きなさいよ、私をすぐに殺しなさいよ、」

「君は指名手配されている。生きたまま逮捕する!」

レイの変わらない表情とは反対に、シンジは震える指と体を必死に自分で押さえつける、

 

「まだ、逮捕されるわけにはいかないの、、、、、まだ、目的は達成されていないわ、」

「逃げると撃つよ!」

サイレンの音が二人を囲み、赤い人間の危険信号を煽る光がシンジとレイを包む、

 

「それじゃぁ、シンジ君、、またね、」

「近寄るな、、、、近寄る、、、、」

震えたまま銃を構えるシンジの方にレイは歩きはじめる、

 

「シンジ君、、、、待ってるわ、」

「な、、何を、、、」

引鉄を引けないシンジの目の前に立つレイ。そしてシンジの鼻先まで近ずき、シンジの瞳を覗き込む、

 

「私を助けてね、、シンジ君、、」

「レイ、、、うぐ、、」

シンジの唇にレイの唇が重なる、

 

「シンジ!離れて!」

後ろからシンジと同じ歳ぐらいの少女が叫ぶ、

そしてすぐさま片膝を地面につき両手に握った銃の照準を合わせる、

「アスカ!」

「シンジ、離れて!」

シンジは体を大きく後方に倒す、その瞬間レイに向けてアスカが発砲する、

銃声が響くなか、目標のレイは一瞬で移動する、

「ど、、どこに、」

「アスカ、上だ!」

「え!!」

レイは地上数メートルの高さに飛びあがっていた、

そして赤い瞳の先に存在するアスカに向けて光の矢を放つ、

「キャァァァ!!」

「アスカ!!」

シンジは瞬時にアスカに向けて降ってくる光の矢に照準を合わせる、

高速で落ちる光の矢、

その矢を同じ高速でシンジは撃ちぬく、

シンジの銃から発射された弾丸が光の矢を粉々に砕く、

天才、そう言われたシンジのみができる、人間離れしたシューティングだった、

「アスカ!大丈夫!!」

シンジは倒れたアスカの元に走り込む、

そして、、

シンジは派手な音と共に頬をひっぱたかれる、

「何するんだよアスカ!」

「馬鹿、アタシのことよりレイを追いなさい!」

「レイ、、、」

そう視線を上空に移した時にはすでにレイの姿はなかった、、、

「レイ、、、、、何故、、、、、」

シンジは改めて周囲を見渡す、

 

暗く星など一つも無い空、

その空から無数に降り注ぐ弱酸性雨、

その雨が濡らす、爆破されたビルの跡、

そしてその下と周囲は無数の死体、

その死体は暗くて見えないが、真っ赤な血の海に浸っているのだろう、

血の海を浄化するかのごとく、至る場所で炎が上がり、小さな爆発が続く、

シンジの目に映った世界は、、、、

天国なのか地獄なのか、、、、

すでに判断できる心を無くしてるシンジだった、、

 

 

 

 

 

 

 

 

「死者65名、重軽傷者205名、コルソデパートはバーゲンの最中で、その一階の数カ所で同時に爆破が起こったものと思われます。使用された爆破物は時限式の物で、ニトログリセリンを含んだ、、、、、」

カーテンをしめ切った部屋に昨日起こった事件のスライドフォトがスクリーンに映し出される。

次々と映し出される映像はどれも目を覆いたくなるスライドフォトだった、

「首謀者は、、、、、レイ。綾波 レイと呼ばれる人物と推測されます。」

青い髪、赤い瞳、白く透通った肌、小さな唇にはあまり血の通っていない感じがする、

一番後ろでスクリーンいっぱいに広がるレイの顔を、シンジとアスカは見ている、

今更見なくても充分知っている顔、映し出された無表情な顔以外に、

笑顔も、怒った顔も、泣いた顔も、、、、そしてシンジを愛してた頃の顔も、

アスカとレイは知っていた、

「、、、、今回はレイを首謀者とするテロ組織“ネルフ”の犯行と判断し、、、、、」

(ネルフか、、、、、)

シンジは心の中で呟いた、

 

ネルフ、、、ここ数年突然現れた組織、近代科学と恐るべき組織力を持ち、人間社会を否定する組織、

指導者、“G”と呼ばれる謎の人物が結成したテロ行為を行なう組織、、、、

綾波 レイが属すると思われる謎の組織、思想や理念を公にせず、どの政府、宗教ともつながらない組織、

そして、シンジ達が帰属する“ESSP”の当面の敵、それが“ネルフ”だった。

 

シンジはまだあの時と同じ特殊スーツに身を包み、汚れも汗も流さないまま、床に座り膝を抱えながらスクリーンに浮かぶレイのフォトスライドを眺めている、

「ねぇ、、シンジ、」

同じ特殊スーツを着たまま横に座るアスカが小声で話す、

「なに、アスカ、」

「レイと、、、、話した?」

「、、、、、うん、、」

「、、、、、そう、、」

たったそれだけの会話だったが、二人の気持ちは言葉などでは表せないほど、互いに理解していた。

そして状況結果が終わり、部屋の蛍光灯がつき、シンジ達のチームを指揮する“ESSP”隊長、

リュックが最後に話す。

「以上が2時間前に起きた事件の報告だ。今のところ次の動きにつながる様な情報は入っていない。

明日、十一時よりネルフへの特別対策会議をここでやる。それに全員参加してもらう。それまでは、

各自自宅にていつでも出動できるよう待機だ、あとシンジ、アスカ、二人はこの場に残れ、以上。」

シンジとアスカ以外のメンバーはその言葉と同時に部屋から出て行く。

誰もが悲惨な事件の始まりに、険しい表情を浮かべていた。

 

「何故撃たなかった、」

「、、、すみません、」

「私が聞いてるのは謝罪の言葉ではない。理由だ、」

「、、、、、、撃てませんでした、」

「アスカを守る為には通常の訓練以上の射撃と俊敏性をみせても、昔の女は撃てないか、」

「、、、、、、、、、、、、」

「お前が撃たなかった為に、これから何十人、いや何百人もの命が失われるかもしれない、」

「、、、、、、、、でも、」

「お前一人が撃たなかった為に、悲劇が、哀しみが世界を覆うかもしれない、」

「、、、、、、リュック、僕は、」

「シンジ!お前はなんだ!いってみろ!お前は“ESSP”の一員で、特殊チームの一員として市民を守る兵士ではないのか!シンジ、答えろ!」

リュックは大声で叫ぶ、

普段もの静かな隊長といった印象があるだけに、横で立っているアスカは多少驚いた、

「いいか、お前の優しさがこれから起こる何百人の哀しみを生むかもしれないんだぞ!シンジ!」

「、、、、すみません、、」

シンジは黙って俯いていた、

普段、信頼するリュックからの厳しい叱責に、シンジはただ黙って俯いていた、

「、、、、、、まぁ、いい。お前と綾波の関係は俺とアスカしか知らない。いや、他の隊員には知られるわけにはいかない、、、、。シンジ、もう一度思い出せ、お前が何故このチームに選ばれたのか、何故自分が銃を握る様になったのか、、その理由を思い出せ。」

「、、、はい、」

「話しはそれだけだ。俺が言いたい事は分ってくれるな、」

「はい。」

「シンジ、辛いのは良くわかるが、俺達はチームだ。おまえ一人でも正常な機能をしなければ、チーム全体が崩壊し、全員が死亡するかもしれない。そして、俺達の失敗は、一般市民への被害が拡大することを意味する。頼むぞ、、、、、シンジ、」

「はい。解りました。」

シンジはやっとリュックの瞳を見て答える、

その言葉に納得したリュックはシンジの肩を軽く叩いて去って行く、

「あ、、あの、アタシは?」

何も言われず、ただ立っていたアスカが質問する、

「あぁ、、アスカは、、、、後を頼むよ、」

「そ、、それだけ?」

「そうだ、それだけ。じゃ明日遅刻するなよ、」

リュックは笑いながら部屋を出て行った、

「冗談じゃないわよ!何でアタシがシンジのメンタルケァしなくちゃいけないのよ!」

アスカが怒りながらシンジを見る、

「はは、、大丈夫だよ。僕は一人で大丈夫だから、、」

「当然よ!当然!さっさと一人で帰りなさいよ!」

「うん、、それじゃ、また明日ね、」

時計は夜中の1時を回っている、

「ねぇ、、、」

「なに、アスカ、」

「あんた、まさかこの夜中にアタシ一人で帰れって言うんじゃないでしょうね、」

「僕に一人で帰れって、今言ったじゃないか、」

「馬鹿!こんな夜中なんだから送ってくのが常識でしょ!常識!」

「もう、、、めちゃくちゃな理論だな、、、、」

「なんか言った!シンジ!」

「はいはい、、、、送らさせてもらいますよ、女王様、」

シンジは少し笑いを浮かべて、怒った表情のアスカと一緒に部屋を出て行く、

その表情が単なる照れ隠しだってこともシンジにはわかっていた、

そして、シンジがとても哀しんでることをアスカも理解していた、、

 

 

 

 

 

 

 

シンジはアスカを乗せて走る、

暗い高速道を、

人工的な光だけで照らされた、闇から逃げる道標を感じながら、

シンジのバイクはエンジン音をたてて走る、

アスカはヴィンテージタイプのヘルメットで長い栗色の髪をなびかせる、

表情は隠れていないので風が直接肌に刺さる、

その風の槍を避けるため、革ジャンを着てるシンジの背中に顔を埋める、

シンジはそんなアスカを背中に感じながら、ノーヘルで走る、

ゴーグルだけつけ、分厚い運転用のグローブでアクセルとクラッチを捜査し、

黒いブーツでブレーキを調整しながら、風を切る、いや、風自体になりたくて走る、

人工的な匂いしかしないこの街で、風だけが唯一真実だと思っている、

「じゃぁ、また明日ね、」

シンジはマンションの入り口でアスカを降ろす、

「うん、、、、」

アスカはゴーグルをしたまま、エンジンを止めずにバイクにまたがるシンジを見る、

「どうしたの、なんか元気ないね、」

「シンジさぁ、、」

視線を外し、恥ずかしそうに話す、

「なに?」

「、、アタシ、、カレー多く作り過ぎたんだ、、」

「そう、カレーは煮込めば日保ちするからいいよね、」

「、、、、だからね、、」

「いいなぁ、、僕も家に帰ったらレトルトカレー食べようかなぁ、、、」

「、、、、、、だから、、」

「じゃぁ、またね、」

「食べに来いって言ってんのよ!!!」

アスカはあまりに鈍感なシンジに一気に切れ、シンジの胸座を掴んで叫ぶ、

「え、、、、え、でも、、、」

「なによ、あんたアタシの料理は食えないっていうの!!」

「そ、そんな、、ことは、、」

「ほら、早く来なさいよ!もう2時よ、」

「う、、うん、、、、」

シンジは焦りながらも、バイクのエンジンを止める、

その瞬間、バイクが死んだ様な哀しい気持ちになる、

シンジは、冷えていく鉄の塊をじっと眺め続けた、

 

 

 

「ほら、、、」

「ありがとう、、」

二人は暖房が入った部屋でアスカが作ったカレーを食べる、

シンジもアスカも無言で食べる、

音楽もなく、、、、テレビもなく、、、ただ、黙って食べる、、

先に二人ともシャワーを浴びてるので、髪の毛は濡れたままだ、

シンジの毛先から時々、水が滴り落ちる、

「、、、、、美味しい?」

「、、、、、うん、、」

「こうやって二人で食べるの、久しぶりね、、」

「そうだね、、いつ以来だろう、、」

「あの時、以来よ、、、」

あの時、、、その言葉がいつを指してるのか、シンジには分っていた、

始めてアスカを抱いた日、、

その時もこうやって二人で静かに、言葉少なく食事してたんだよな、、

あれ、、あの時もカレーだったかなぁ、、覚えて無いや、、、

憶えてるのは、、

アスカの瞳、、始めて見た女性としての瞳、

アスカの声、、とても普段からは想像できない、不思議な声だった、

アスカの涙、、僕に何を求めてるのかわからなくて、とても苦しかった、、

そして、行為の後、僕はとても苦しかった事、、

性欲だけで抱いた、、アスカを抱いたんだ、、

本当は違う人を思いながら抱いた、、、

だから僕も、泣いてた、

アスカもきっと分っていたのだろう、、

だから二人で泣いた、、、あの時を思い出してる僕は、また同じ空間にいる、、

 

そして、シンジはいつのまにかまたアスカと二人でベットにいた、

自分の意志なのか、それとも、アスカの意志なのか、、そんなことはどうでもよかった、

ただ、、自分を慰めて欲しい、自分の哀しみを知っている女性に慰めてもらいたかった、

それだけでアスカを抱いてるのかも、

そう思いながらシンジはアスカを抱いていた、、

「あぁ、、、シンジ、、、シンジ、、、」

「、、、、なに、、」

シンジはアスカの胸から顔を上げる、

「シンジ、、、う、、うん、、何思ってる、、、、」

「、、、アスカのこと、、、」

アスカは普段の表情ではないが、意識ははっきりしている様だ、

「ふふ、、、、嘘、、、、、レイのことでしょ、」

「そんなことは、」

「いいのよ、、シンジ、、無理しなくて、、、、」

「無理してなんかないよ、、、」

シンジは嘘を必死に言葉に変える、

「いいの、、、、、でも、、いつか、、ネルフのこと、、レイのこと、、、真実がすべてわかったら、、」

「分ったら、、、」

「、、、、さぁ、、どうなるのかな、、私も自分の気持ちわからなくなってきちゃった、、、、」

「アスカ、、、」

「でも、、、でも、、、アタシは今、、、シンジに抱かれたい、、、そうしないと、シンジ、、、何処か遠く

へ消えてしまう気がするの、、、、レイや、ママやパパみたく、、、、、、」

「アスカ、僕は大丈夫だよ、、」

「お願い、、、一人にしないでね、、、シンジ、、」

アスカは泣きながらシンジを自分の腕に包み込む、

シンジは瞳を閉じることなく、だまってアスカの体を見つめ続けた、、

暗く、寒い夜、、グランブルーの様に染まるベットに二人は沈んでいた、、

 

 

 

 

 

 

 

 

トゥル、、、、、、、

暗い灰色だけの空、人工的に貼った空中フィルターはオゾン層が破壊された今、太陽は人殺しの光を放つ存在になった。人間が科学の力で地球を覆ったのが10年以上も前の話しだが、特殊フィルターで覆いつくせるほど地球は小さくなかった。科学の力で、この10年間、オゾン層と同じ働きをするフィルターで

覆えたのは地球上の3分の1程度だった。それ以外の地域の人間は覆われた大都市に移動するか、その場所に残りガンなどで死んでいくだけだった。だが、、、、

意外な事に大勢の人間が覆われない地域での死を望んだ、、、

大勢の人達が、大都市で生き永らえるよりも、自然の中で死んでいくことを望んだ、

それが自然死でなくとも、、汚れ切った人工的な灰色の空の下で生きるより、

地球が青いうちに死ぬことを望んだ、、、

 

そんな大都市のあるマンション、その一室にアスカとシンジはいる、、

その小さな部屋で時計の時間だけが朝だということを知らせる、

そして、朝7時ごろ、、、電話のベルが鳴っていた、

 

「はぁぃ、、、うん、、、、あぁ、、ヒカリ、、」

アスカは腕だけ出して電話をとり、布団の中で話しをする、

「もしもし、アスカ、ごめんね朝から、眠っていた?」

「ううん、、今起きようとしたところ、どうしたの?」

「あのね、、アスカ、、聞きずらいんだけど、、その、、、」

「なによ、ヒカリらしくないわね、」

「その、、、碇君、、、、そこに、いる?」

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、」

アスカは無言で首だけ布団から出す。そして、ベットの端で猫の様に丸まって眠っているシンジを見る、

「ア、、アスカ、、あの、疑ってるとかじゃなくって、、ね、、アスカ、、」

「居るわよ、横に、」

「そ、、そう、、、」

「シンジに何か様なの?」

「ううん、、私じゃなくて、、鈴原と相田君が、、」

「あの二人が用があるの?」

「うん、昨夜遅くまで連絡したらしいんだけど、それで、もしかしたら、」

「アタシの所にいるんじゃないかって、」

「ごめんね、なんだかとっても急いでたみたいだし、、」

「そう、急用ならしかたないわね、それで、、相田の家に連絡させればいいの?」

「ううん、、、ここにいるのよ、二人とも、、、、今代わるね、」

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、」

「もしもし、総流か、わいや、鈴原や、、シンジに代わってくれんへんか、」

「、、、、、、、、、、、、」

「もしもし、、聞こえてるんやろ、、シンジに急用なんや、」

「、、、、、、、、、、、、最低だわ、、」

「はぁ、、なんやて、」

「朝からあんたの声聞くなんて、、、、最低の一日の始まりだわ、、」

「なんやと!!」

「、、、、ちょっと待って、、」

アスカは明らかに不機嫌そうな目つきで、丸まったままのシンジの頭を枕で叩く、

「ううん、、、なんだよ、、、アスカ、、痛いなぁ、、」

「あんたの馬鹿友達からよ、」

そう言ってアスカはシンジに受話器を渡して、ベットから出て行く、

シンジは何故アスカがそこまで不機嫌なのかわからないまま取り合えず電話にでる、

「もしもし、、」

「シンジ!!おまえなぁ、少しはあの女教育しろ!」

「、、、、なんだよ、、朝から、、」

「なんだよじゃあらへん!!あの女、もう少しなぁ、、」

「まぁまぁ、トウジもそう怒らないで、、」

「あぁ、、そんな怒ってる場合じゃなかったんだ、、シンジおまえ今すぐケンスケの家まで来い!」

「来いっていきなり言われても、、、トウジもケンスケ、東京に戻ってるの?」

「あぁ、実はなぁ、極秘で帰国してるんだ、、、」

「極秘?」

「そうや、、詳しいことは今は言えない。ケンスケの部屋で待っとるさかい、早く来い!」

「いきなりそんな事いわれても、、」

「大事な話しがあるんだ、、頼むシンジ、、」

頼む、その一言が何故かシンジの心の引っかかった、

「分ったよ、、でも十一時からミーティングだから、その会議が終わってから行くよ、」

「そうか、、頼むシンジ、できるだけ早く来てくれ、」

「う、うん、、」

「それじゃぁ頼むぞ、」

そう言って電話は一方的に切れた、

シンジは何か嫌な予感がしたが、取り合えず先に女王様のご機嫌を直しにベットから出た、

 

そしてシンジ達の一日が始まった、

だが、シンジとアスカは十一時の会議に参加はできなかった、、

都内のあるマンションの一室で爆発が起き、その現場に向かう事になったのだ、

そのマンションの住民の名前は、“相田ケンスケ”だった、、、、、

 

 

第二話へ続く



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