「ビリビリに破いた、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾンビが愛を告白する夜、

協会は鐘を13回打ち、

Dr.Martenお揃いのスキンヘッド、

ピカデリーサーカスみたいな夜、

あんたの従兄弟が助けを求めても、

あんたのママが涙を零しても、

素知らぬ顔してアクセル踏み込めば、

ランデヴー、ヴィーナス、ポエム、ギャングディズニー、

Sammy 手にした物はジャックナイフとレモン

Sammy You wanna love in blue、

Sammy 堕落したてのこの街が遊び場

Sammy 君はデリンジャー、、、、、、、、、、

 

 

歌っていた、、

口を小さく開けたレイから流れるメロディー

リュックにはその詩が確かに聞こえた、

そして、地を這うような重低音が自分の心臓に衝撃を与える感覚、

心臓の左心抱に沈殿して行く恐怖感も一緒に感じていた、

 

 

「君が、、、、、、綾波 レイなのか?」

闇の中、複数の照明灯が集中する中心点、

セルリアンブルーに染まった髪を水浸しにして、

紫色に染まった唇を小さく動かしながら、

瞬きを忘れた瞳を半分だけ開き、

魔の象徴である紅い瞳で周囲の空気に嫌な電流を流す、

誰もがその瞳に嫌悪感を表し、

誰もがその瞳が醸し出す空気にしびれていた、

 

「、、、、君が、、、、」

リュックの再度の問いにレイは答える事もなく、

ただ、、、詩の続きを呟いていた、

 

 

明日はきっと雪が降り積もる、

身体を暖めなくちゃいけない、

ピクニックの準備はできてるか?

ソーセージに辛子を塗らなくちゃ、

水玉ワンピースの香り、

彼女は車輪の下で哀しみが空に跳ねかえり、

透通るって事は宇宙に触れる事、

ピカデリーサーカスみたいな夜、、、、

Sammy 手にした物はジャックナイフとレモン

Sammy You wanna love in blue、

Sammy 堕落したてのこの街が遊び場

Sammy 君はデリンジャー、、、、、、、、、、

 

 

 

 

 

無言で銃に弾丸を込める、

レイは上半身裸のまま何も身に付ける事もなく、

淡々と出発の準備を取る、

下半身は黒のブーツと黒基調の迷彩パンツ、

そのパンツにサバイバルナイフを仕舞う、

そのそしてゆっくり見上げた闇色の空、、

レイの濡れた髪の毛の先から、数滴の雫が落ちた、、

 

「じゃぁ、、」

「期待してるよ、レイ、」

「、、、、、、貴方の期待に答えるためじゃないわ、」

「じゃぁ、なんの為だい?」

レイはゆっくり桜木のに進み、後ろから照らす強烈なライトの所為で影と光しか見えない世界の中、野生の紅い瞳をギラギラさせながら呟いた、、、、

「、、、、、、、最後の汚点を消す為よ、、、」

「汚点?」

「そう、、碇 シンジを愛したって事よ、、」

 

小さく、狂人の様に大きく見開いた瞳で周囲を見渡すと、

レイは黒のTシャツを肩に掛けながらシンジ達の待つ闇の地獄へと向かった、

 

 

 

 

 

 

「どうです、ミスター・リュック、綾波 レイは?」

レイが去った数秒後、桜木が薄笑いを浮かべながら話す、

「、、、、、、、、、、、、あれが、オリジナルですか?

Pudding計画の臓器の冷蔵庫達は彼女の細胞から産まれたクローンですよね、」

リュックもさっきまでとは違い、多少の余裕を持って答える、

「そうだ、彼女の細胞核はクローニング作業に使用される特殊赤外線処理によって、

免疫機能をまったく無効にさせる得意な細胞核を持っている、、、、」

「それだけじゃないですよね、、、」

「あぁ、、、世界で最も残酷な細胞も持っている、、、

だが、ミスター・リュック、これだけは僕は自身を持って言えるのですがね、」

「なんですか?」

「最も残酷な物こそ、もっとも美しくもある。つまり、、、、」

「綾波 レイは崇高な美を持つ、神を見た人間が感じる神々しい聖光と同じ程の?」

「あぁ、、同時に悪魔を背中に背負った人間が感じるおぞましい限りの闇もね、、」

2人はそれぞれタバコに火をつけて、一旦テント内の椅子に座る、

「綾波 レイ、、、、、彼女はいった何者なんだ、、、、」

「知らない方がいい、、もしそれを聞いたら、、人間を辞めたくなるかも、、、、」

「はは、、、、僕は碇 シンジを“ESSP”に迎えた時から、いつかこんな日が来ると思ってましたよ。彼とアスカの、実戦中に見せる狂笑を見てるとね、、、、、、」

「そうですか、、ところで、今なら兵士もそれ程残ってませんし、僕を強制連行しても

大丈夫じゃないんですか?」

「いやぁ、始めから連行する気はないですから、」

「いいのですか?一応国際公務員ですよね、“ESSP“って?」

「まぁ、まずいかもしれないですが、僕にとっては知るほうが重要ですからね、」

「何をです?」

「シンジと綾波 レイが衝突する事で何が産まれるのか、、、、、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンジ達は洞窟の前に立っていた、

無限を感じさせる有限の闇は、見る者達を威圧すると同時に何かを助長させる、

そうだ、、、無限の世界こそ真の脅威である事を知る、

奥から聞こえる地響きの叫びが、人間の恐怖心を駆りたて、狂わせていった、、、

「シンジ、、この洞窟に入るの?」

不安げな表情で洞窟を覗くアスカが漏らす、

「うん、、、、この先に、何かが存在するはずだ、」

「でも、、真っ暗じゃない、おまけに地面もぬるぬるしてるし、臭いし、、、」

「じゃぁ、ここで待っていてよ、僕とリツコさんで探索してくるから、」

「ちょ、、ちょっと待ってよ、私も行くわよ、こんな所にいたら襲ってくださいって言ってる様なもんじゃない、それにシンジの勘じゃ、この先にあるんでしょ、エヴァって石が、」

アスカは仕方がないといった感じで、空元気を振るまいながら話す、

「うん、、、ところで、トウジ、本当に石だったの、そのエヴァって物体は、」

シンジは冷静に険しい表情を変えないで質問する、

「あぁ、間違いない、、でもな、シンジ、わいらも色々調べたんだが、単なる花崗岩と何ら変わりも無い普通の石やったんやけどなぁ、、、」

「そうだよ、そんな特別な石だなんて思わなかったけどなぁ、、」

「石じゃないわ、、」

ケンスケの言葉を遮る様に、リツコが話す、

「どういう事です、、」

「エヴァは生命体であり、無であり、空であり、虚でもあり、真でもある。

エヴァは絶望でもあり、希望でもあり、未来であり過去でもある、」

リツコの言葉にアスカは飽きれた表情を浮かべる、

「あんた、、気が狂ったの?」

「あなた程じゃないけどね、」

苦笑しながらリツコが答える、

「つまり、、、、、神にも悪魔にもなれると?」

一方のシンジは、真剣に質問を続ける、

「ううん、、神も悪魔も同じよ、、、どの世界でも神が人間を滅亡させる、

悪魔の力を持って神の意志に反して復活を遂げる人間達、、、神を崇めてるのにね、

エヴァはその不可思議な相反する力を人間が手に入れるための手段でしかないわ、」

「じゃぁ、人類を滅ぼすかもしれないって事ですか?」

「滅ぼすんじゃないわ、未来の可能性を選ぶだけよ、、、、、、、、、、、、

昔は、いわゆる性善説と性悪説が別々に存在していたけれど、結局人間はその両方を持っている。その両方をどの様に導くのか、それを決めるのがエヴァなのよ、」

「導くって、、、、、単なる石が?冗談じゃないわよ!

そんな石にいったい何が出来るっていのよ!」

「だから、単なる石じゃないって言ってるでしょ、」

飽きれた感じでリツコが話す、

「アスカ、、、待とうよ、、、、この道を進めば、、いずれ結果がわかるんだから、」

「、、、、、、、、、、そうね、、」

「じゃぁ、、、行こっ、、、っ!」

 

風の色が変わった、

明らかに、匂いと、危険性の色が変わった、、

そして、シンジが言葉を詰まらせる、

振り向いたまま歩んで来た道のりを、闇で覆われた泥状の湿地帯を見つめる、

その瞳には何も映ってはいないはずなにの、シンジは見つめ続ける、

「シンジ、、」

アスカの問いにも何も答えない、

無言で、身動き一つせずに闇の向こうに存在する何かを見ている、

「シンジ、、敵なの?」

三十秒ほど、、、、シンジは石像の様に動かなかった、

だが、次第に細かく体が震えだし、その震えが全身を覆い始めた、

握り締めた銃口にも体の震えが振動している、

「シンジ、、どうしたのよ、、シンジ!」

「アスカ、、、ごめん、先に行っていてくれる?」

「如何したのよ、戦自の連中なら、、、」

「いや、、、、敵は一人だよ、、、、たった一人で向かってきてる、

でも、、感じるんだ、、異常な程の殺意を、、僕達を殺してやるって気持ちがね、、、

恐ろしい過ぎるほどの憎しみと、残酷さを感じるんだ、、、、」

シンジの顔から冷静さが次第に消え始める、

その替わりに、異常な自分を必死で抑える、一歩間違えれば発狂しそうな自分を必死で制御している苦痛とも快感ともとれる複雑な表情を浮かべる、

「まさか、、、、、、」

アスカも、その表情を意味を理解する、

「そう、、、、レイだよ、」

 

シンジの言葉と同時に、アスカは銃の弾丸を確認し一気に闇に走り出そうとする、

「ダメだよ!」

シンジはアスカを体ごと押さえ、制止させる、

「どうしてよ!シンジがそこまで感じるんだから、本物のレイなんでしょ!」

「あぁ、、間違いないよ、、、」

「じゃぁ、邪魔しないでよ、私のこの手で、、あいつを!」

「ダメだよ、アスカ!アスカは先にこの先にあるエヴァを確認して欲しいんだ!」

「どうしてよ!私じゃレイにかなわないとでも言うの!」

「いや、、、、、僕が殺してあげたいんだ、、、、」

シンジは何時の間にか狂笑から、普段の笑みに戻っていた、

いや、寧ろシンジの笑みは何処か悟りに近い笑顔だった、、

「、、、、、シンジ、、」

アスカはその笑みに言葉を失う、、、

「僕はレイを愛してる、、今でも、、恐らく愛してる、、、、

レイも、、僕を愛してる、、、、だから、、僕達が殺し合わなければいけないんだ、、

僕達、、愛し合った人間同士で、、、、、」

「、、、、、どうして?」

何故かアスカは悲しい気持ちで埋められる、

そんな気持ち、随分昔に捨てたはずなのに、、、、

それでも、シンジの言葉に哀しみを感じていた、、

「それが、、、運命(さだめ)なんだと思うんだ、、、

それが、、あの時、僕達が14歳の時に起こった全てを解明する、唯一の手段なんだよ、」

「わかんない、、、シンジの言ってる事、、解らないよ、、、、シンジ、、、」

「ごめん、、アスカ、、でも、、僕は思うんだ、、

あの事件以来、、父さんと母さんが殺されて、、アスカのお母さんが殺されて以来、

この瞬間、、僕達2人が殺し合う事は、、運命ずけられていた様な気がするんだ、、」

「、、、、、、シンジ、、、」

シンジの異変にアスカも気がついた、

シンジの頬を伝わる、一筋の涙に、、、

笑顔で話すシンジの目尻から、、

綺麗に輝く涙が流れ落ちるのを、、

アスカは不思議な気持ちで見ていた、、

「はは、、、変だね、、何で僕、泣いてるんだろう、、、悲しくは無いのに、、、」

涙を拭きながら、シンジは笑う、、

何が可笑しくて笑うのか?

シンジには、決して解らないまま込み上げる悲しみと笑いを表情に浮かべた、

「運命を感じ過ぎて、、通常の感情をコントロールできないのよ、」

リツコがシンジの前に立つ、

「リツコさん、、、」

「シンジ君、、正直私はネルフの一員だし、これから起こる事を仕組んだ一人でもあるわ、

でも、、、、、もし、貴方が望むなら、レイとの対決も、、アスカとの幸せな日々も、、

お父さんやお母さんと再会する事もできるのよ、、、」

リツコの瞳にもアスカと同じ哀しみが溢れている、

それは、シンジに対する哀れみか、それとも、自分自身への悲しみか、

彼女自身にもわからないが、、

「、、、、、、、僕が、望めばですか、、、」

「そうよ、、ここまで来て、こんな話しをする私を非難するかもしれないけど、、

もし、貴方が望むのならば、、全てを白紙にする方法もあるのよ、、

貴方達が、、14歳の時に戻る方法が、、、エヴァなら可能な方法があるのよ、

もし、、望むのなら、、」

アスカも、トウジも、ケンスケも、何も言わない、

リツコの言葉は、3人にとって余りにも衝撃的な言葉だった、

真実である、虚偽である、どちらかを判断する以前に、

3人はあまりにも切望していた、、、無意識の内に心の奥底で切望していた、

あの時、まだ、シンジとトウジとケンスケが、純粋な少年だった時、

恋人でもなく、幼馴染として未来を迷っていた時期、、

シンジとレイの関係に何かしらの未来を見たがっていた時期、、

そんな希望が刹那にあった日々への帰還を望んでいた、、、

だが、シンジの答えは違っていた、

「もし、、もし、僕が、、レイと戦って、勝って帰ってきたら、、、

その時、その方法を聞きます、、、、今は、、、、運命に従って生きます、」

「そう、、、、解ったわ、」

「一つだけ今、教えてください、」

「なに?」

「この洞窟の先に、、、父さんも、母さんもいるんでしょよね、」

リツコは一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑顔に戻す、

「ええ、、、そうよ、、、、でも、如何して解ったの?」

「そんな風が吹いていたから、、、、、風の色がそんな色をしていたから、、」

シンジの側を、一陣の風が吹き抜ける、

その風に微笑みながら、シンジは歩んで来た道を、闇を眺める、

そして、走り出そうとした瞬間、

 

「待ってシンジ、、」

アスカが後ろから呼び止める、

「なに、、、っ!!」

振りかえったシンジに、アスカの唇が重なる、

そして、そのまま数秒間2人の体が結合したまま流れた、

どんな思いを込めてキスをしてたのか、、

アスカも、シンジも記憶には残らないだろう、、

「それじゃぁ、、、」

闇の奥から流れ出る風は、アスカの髪の毛をシンジの顔に絡ませた、

「最後のキスじゃないわよ、、」

「うん、、、」

泣き出しそうな蒼い瞳をシンジの瞳は見つめている、

「シンジは私を幸せにする義務があるんだから、忘れるんじゃないわよ、」

「うん、、、アスカのこと、、絶対に忘れないよ、、」

茶色い、瞳の奥にある黒い瞳で未来を見つめているシンジ、

「絶対に戻って来て、、、、私をもう一度、、、」

「うん、、戻ってきたら、、僕の方からキスするよ、、、必ず、、」

もう一度、軽くキスをした2人、、

「約束だからね、、、」

「うん、、、、、」

そして、、シンジは歩んで来た闇へ、

アスカ達は未知への闇へ、、

共に歩み始めて行った、、、、、

 

第十五話へ続く

 



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