Star Children 第一部

「そして、宇宙(おおぞら)に/Fly me to the stars」







フフン、フフーン、フッフン。
いつものように鼻歌を歌いながらオレは廊下を歩いていた。
朝、午前7時18分。
まだ庁舎には誰も来ていない。
その筈だ。
そしてこれから1時間、誰にもじゃまされずに一人オレは瞑想にふける。
しばらく出張が続いていたため中断していたが、これがいつものオレの日課だ。
今回の出張はなかなか実りが多かった。
仕事もまあまあうまくいったし、チャイナドレスのあの娘もかわいかった。
そして何より万里の長城からの遥かな草原の眺めはオレの中の魂に火をつけた。

うん。
今度もいい曲が書けそうだ。

局長室のドアを開ける。
オレの役職は局長補佐。
作戦部戦略兵器管理局には局長補佐はいても局長はいない。
だからオレがこの部屋の主というわけだ。
誰にも邪魔されずに朝の瞑想もできるってものさ。

ガチャ。

そこには、今まで見たことのない女の子がいた。




















第四話


  「科学の時代」






















その朝、局長室に入った青葉が最初に目にしたのは彼女の後ろ姿だった。
青葉に気付いた彼女は振り向いた。
金髪がしなやかにひるがえる。
透き通るような碧い瞳が均整の取れた顔だちにマッチしている。
まさに女神アフロディーテもかくや、と思わせる美女。
しかし、その唇から紡ぎだされたのは、異国語ではなく日本語だった。

「おはようございます。青葉二佐殿ですね。
 セイラ・モーゲンスターンです。
 以後、よろしくお願いします。」

思わず見とれてしまい、返事の言葉が一瞬遅れてから出た。

「...あ、ああ。どうも。お、おはよう。」

今、彼女は青葉の机の上に花を飾っているところだった。

「ごめんなさい。勝手にこんなことして。」
「ああ、いいんだ。いや、どうもありがとう。
 えーっと、今日から配属と言ったね。
 事前に聞いてなかったんだが、どういうことかな。」
「あら、ご存じなかったんですか?」
「ああ。昨日まで北京に出張してたからね。」
「ああ、それで...。
 辞令が出たのは確かに急なことでしたからね。
 昨日付けで局長秘書に任命されました。
 日本にはまだ慣れないのでよろしくお願いします、二佐殿。」

局長秘書。
それが意味することは、つまり青葉の部下、ということである。
局長のポストはこの三年間空席であった。
本来なら青葉が局長を務めるべきなのだが、階級がつりあわないため局長補佐に留められていた。
と言う訳なので、彼女はこの局長室に青葉シゲルと二人っきりで仕事をする事になる。

 『局長補佐とその秘書』
 仕事を共にする二人の間に自然と芽生える愛情...。
 激務の合間に続けられる逢瀬。愛のいとなみ。

そんな妄想にふけるほど青葉シゲルは単純ではなかった。
そしてそんなことではこの要職もつとまらない。

  どこから来たんだ、この娘は?
  こんな美人、日本にいたらオレが知らない筈がないんだが...。

国連極東方面軍に所属する独身女性はみんなチェック済みだった。
その中にこんな美人で、しかも金髪碧眼。もしいれば覚えていない筈はない。

  それにいくらなんでも話が急過ぎる。
  事前にわかっていたら、副総監から一言ぐらいあっても良かった筈だ。
  何か裏でもあるんじゃないか?

一人きりの朝の瞑想は諦めて、自席の端末から検索を始める。
セイラ・モーゲンスターンの名は確かにあった。
欧州総本部から転属。青葉が知らない訳である。
階級は中尉。日本で言う二尉に相当する。
前任地はブリュッセル。
国連欧州軍総監の秘書だった。
国籍はドイツ。
年齢、24才。
公開されている個人データが次々と表示されていった。

  欧州軍総監はミシェル・ド・ブラン中将だったな。
  『ノイモント』の主要メンバーの一人じゃないか。
  しかもこの時期にオレの配下にヨーロッパから転属。
  これで 疑わない方がどうかしてるよ。



「あら、私のこと、調べているのですか?青葉二佐殿。」
「えっ。あ、ああ。」
「興味を持っていただけて光栄ですわ。
 ご希望でしたら、プライベートなデータもお教えしますわよ。」
「あ、いや。日本語が大変上手だね。どこで覚えたの?」
「祖母が日本人でした。」
「クォーターなんだ。」
「ええ。父が亡くなってからはイギリスで祖母に引きとられて育てられましたの。
 実は日本に来たのはこれが初めてなんです。
 お暇がおありでしたら色々ご案内して頂けないでしょうか。」
「ああ、いいよ。
 ちょうどいい、月末に先技研に出張があるから帰りに京都を案内するよ。」
「まあ、うれしい。」

何気ない笑顔。
だが、百万の言葉より威力があった。

  うーん。なんか企んでるにしてはあまりにも見え見え過ぎるな。
  やっぱ、こんな可愛い子を疑うのは良くないな。
  まあ、例え罠だとしても、気をつけていればいいだけのこと。
  据え膳喰わぬは男のなんとやら、だ。

       ( おいおい、喰っちゃうのかい )







二週間後、二人は連れ立って先技研を訪れた。
先技研のプロジェクトについての会議に出席するためである。
先技研は日本政府の一研究組織であって国連の直接管理の対象ではない。
それでもエヴァ・テクノロジーが絡む問題は全て戦略兵器管理局の管轄であった。



「あら、青葉君。久しぶり。
 今日のお連れの方はどなた?新しいガールフレンドかしら?」
「紹介するよ。新しい秘書のセイラ・モーゲンスターン二尉。
 セイラ、こちらが先技研の主任研究員の冬月マヤ博士。」
「ご高名はかねがね耳にしております。ドクトル冬月。」
「はじめまして、セイラさん。」

「悪いんだけどさ、マヤちゃん。ちょっと彼女にここを見学させてやってくれないかな。」
「あら、お安い御用よ。」

マヤはあたりを見回して、ディスプレイに向かっている助手を見つけて声を掛けた。

「サキちゃん。」

いつも通り、明るい返事がすぐに帰ってきた。

「はーい。」
「サキちゃん、こちら青葉さんの新しい秘書のセイラさん。
 ちょっとお仕事を中断して、彼女を案内してくださるかしら。」
「ええ、いいですよ。こんにちは、青葉さん。
 ええっーと、ナイスチューミーチュー、ミス・セイラ。」
「日本語でいいよ、サキちゃん。
 彼女、クォーターでね。日本語もぺらぺらだから。」
「あら、そう。なーんだ。」
「今日は、サキさん。今日はよろしくお願いします。」
「あ、こちらこそ、よろしくね。」

誰とでもすぐに打ち解けることができる。
明るさを身上とする朝霧サキの特技の一つである。

「じゃ、悪いんだけど、ちょっと僕達は話があるんで後は二人で頼んだよ。
 お昼になったら、食堂で落ち合おう。」
「よろしくね、サキちゃん。」
「おまかせください。」

青葉とマヤは奥の会議室に消えていった。
サキはセイラの方に向き直り、

「じゃ、行きましょうか、セイラさん。」
「ええ。お願いします。」

彼女たちも見学コースに向かって歩きはじめた。






マヤの研究室。
コーヒーを飲みながら、三人は話を続けていた。
冬月マヤ、青葉シゲル、そして冬月コウゾウ。

「それで、中国ではなんと...」
「連中の計画は...」
「E2計画、その概要だけでも...」
「エヴァンゲリオンのE。何を意味して...」
「彼女はついこないだ欧州司令部から...」
「碇司令はどうなさるおつもり...」
「オデッセウス計画への影響は...」
「日向さんは...」

彼らが話すべき問題はたくさんあった。







「それで、サキさんは今どんな研究をおこなっているんですの?」

一通り見学を終え、二人は食堂に向かって歩いていた。

「うーん。答え難い質問ね。
 実はまだ半人前だから冬月博士にくっついて、修行中の身なの。
 秘書みたいな雑用もたまにするけど、
 いろいろなプロジェクトで研究のお手伝いをしながら勉強している所。」
 いずれは論文を書いて博士になって、冬月博士みたいになれるといいんだけど...」
「ふーん、そうなんですか。」

話しながら歩いている内にエレベーターにたどり着いた。
食堂はこの研究棟の最上階、17階にある。
しばらく待ってドアが開いた。
エレベーターには先客がいた。

「あら、時田博士。おはようございます。」
「ああ、えーっと、朝霧さん、だったかな、冬月さんとこの。」
「ええ。博士も今回の会議に....?」

オデッセウス計画関連の共同研究で、サキもマヤのお供で度々筑波を訪れている。
いわゆる先技研三銃士の内二人が文字どおり犬猿の仲(時田が犬である)なので、
両者の仲立ちを勤めるマヤがいなければこのプロジェクトはどうなっていた事か、とよく言われる。

「ああ、そうだよ。それで、こちらは?」
「ああ、青葉さんのご友人で、えーっと、セイラさん。」
「青葉君の?ああ。」

新しい彼女か、と失礼な事を言いかけて時田はあやうく止めた。
エレベーターはすぐに14階に到着し、彼はそこで降りていった。

「朝霧さん。今の方は?」
「時田シロウ博士。先技研筑波のボスよ。
 JAシリーズの開発者、と言えばわかるかしら...。」
「あの人が...。」





二人はカフェテリアに着いた。
まだ青葉とマヤは来ていなかった。
いったいなんの話をしてるんだろう、とサキは考えながら、
セイラと一緒にパフェをつつきながら時間をつぶすことにした。

「やっぱりここの研究の花形は、なんといってもS2機関の研究ね。
 特に冬月博士の複相空間理論なんか、とってもエキサイティングね。
 と言っても、私はまだ博士についていくのに精一杯なんだけど。」
「ふくそう?くうかん理論、ですか。」
「ええ。葛城仮説、いわゆるS2理論を定式化することによって導かれた....」

いつのまにか、話は研究の話に移っていく。
サキにとって、セイラはとても話し易い、良い聞き手だった。

「...と言うわけで、複相空間では宇宙が真空中にポッと染み出してきた現象が容易に説明できるの。」
「ふーん。そうなんですか。」
「それでね、ここからが面白いとこなんだけど....」

かなり難しい話をしている筈なのだが、適度に相づちを打ち、強い関心を持って聞いていることを示す。
セイラはわからない事があると必ず聞き返して自分の理解を確認し、時には質問もした。
ある程度物理を学んだ事があるのか、その質問もかなり要領を得ているものだ。

「と言うことは、私達がいるこの宇宙以外にも、別の宇宙があるということですか?」
「うーん。それはイエスでもあり、ノーでもあるんじゃないかしら。
 確かに超空間から確率支配によって宇宙が染み出てくるのだけど、
 並行宇宙が存在しても、『同時に』ということは考えられないわ。」
「でも今のお話だと超空間では時間軸が存在しないのだから、
 すべてが同時に起こっているとも言えるわけでしょう。」
「それはそうなんだけど、同時性を宇宙間に定義できないとその議論は意味を持たないわ。」
「それは、えーっと、そうだ、空間特異点はワームホールを通じてつながっているから、
 そこを通じて我々の宇宙にも干渉する事ができるのではないかしら。」
「やっぱり結論は同じね。特異点を導入した時点で同時性が破綻しているわ。
 結局、同時性の概念は相対論的宇宙では幻想に過ぎないのよ。」
「神様の存在を仮定したらどうなります。
 時空を超越した存在から見れば、全てはクリアになるのでは?」
「ええ、その場合、確かに同時性の事は考えなくても良くなるわ。
 ただ今度は時空の多元性について考えなくてはならないんじゃないかしら...」

現代宇宙理論は哲学を抜きにしては語れないところまで到達している。
超越存在としての『神』は、しばしば議論に出てくるテーマであり、
一部では、神を方程式に表す、という過激な試みもなされていた。

「だから『神』を考えるとどうしても高次元の拡張理論が必要になるわけね。
 これは、まだ今の物理数学では手が届かない領域なのよ。」
「それは...。素人考えではそんなに難しいとも思えないんですが。
 n+1次空間についてn次空間を敷衍する事によって漸化式を組んで解けば....」
「ちょっと待って。そうか、そうなのね。だから....。」
「どうしたのですか、サキさん。」
「いえ、なんでもないの。ちょっと思いついた事があったものだから。
 それでね、セイラさん。あなたの考え方は数学的には正しいんだけど、
 実際には次元漸化式が有意解を持てるのは時間が有限かつ実数の場合に限られるのよ。
 そこで問題なのは、S2理論では時間は複素数で表されるから.....」

話しているうちに、サキ自身の理論に対する理解もいっそう深まっていった。
これまで中途半端にわかっていたような気になっていた部分が明確になり、
頭のどこかから新しい展望まで開けてくる気がした。
別にセイラに何かを教わっている、という訳では全くなく、
むしろセイラの提示した誤りを直していく内に、深い真実にたどり着けるのだ。
理解はすぐに自信に変わり、サキはどんどん研究の話を進めた。
セイラが軍人で、科学者では無いことなど忘れたかのようだ。

「....それで、インフレーション前期には二回目の相転移の時にできたロータキオンが...。」
「あら、ずいぶん熱心に、何を話してるの?」

いつの間にか、話に熱中し過ぎていたようだ。
マヤと青葉がやってきたのにもサキは気付かなかった。

だが、そこには冬月の姿は無かった。
彼は先技研を隠密裏に訪れ、そのまま誰にも悟られることなく帰っていった。





京都に向かう列車の車中。
変装用に髪を黒く染め挙げた男は、どこから見ても壮年に見えた。
学校帰りの高校生で賑わう車内を男はつり革につかまって立ちながら、独語した。

「『ハイリッヘ・ノイモント』だと。
 私の目の黒いうちは、そんな輩に好き勝手させはせん。
 悲劇を二度と繰り返させてなるものか。」

男が若々しく見えるのは、髪の色のせいだけではなかった。
二十数年前のあの時のように、今の彼は気力が充実していた。

「それにしても、碇のヤツ。また何を考えているのやら....」









その日、先技研の午後は各研究チームの研究発表で始まった。

「....このようにミレニアム計画は予定を大幅に上まわるペースで進展しており、
 システムのパフォーマンスも当初見込みより30%程向上すると予測されます。
 我々が新たに考案したアルゴリズムの特徴は....」

先陣を切ったのは当地、先技研第一研究所の花形研究員、冬月マヤである。

「さて続いて、基礎物理学部門の報告をさせていただきます。
 まず、このトランスペアレントをご覧ください。
 細かい議論はここでは省略させていただきますが、これらの式はスーパーソレノイド場、
 以下S2場と呼びますが、そのS2場に働く力学モデルを表しております。
 ご覧のように、S2場の中では『時間』に相当する概念が我々の世界とは大幅に異なっております。
 これは、すなわち....」

マヤとしても、参加者の大半は科学者ではないためできるだけわかりやすく説明しようとしているが、
それにも限界がある。ことに問題が理論物理となるとなおさらである。

「...虚数時間の概念を導入する事によってこの現象はうまく説明でき...」

聞いている方も、どれだけ問題の本質を理解していることやら。

「...従いまして、S2場における粒子崩壊をこのモデルにあてはめますと...」

S2機関のエネルギー供給のメカニズムが解明されたのはつい最近の事である。
サードインパクト後、5年間もの間S2機関は封印されていた。
その後の文明復興に伴うエネルギー資源不足を補うために、封印は解かれた。
かつては夢の永久機関と言われていたが、エネルギー保存の法則は成立していた。

重力・電磁気力・弱い力・強い力。
現宇宙を支配する4つの力。
人類が過去に手に入れたエネルギーは全てこれらの力に基づいていた。
要するに、物質をポテンシャルの高い状態からより安定な状態に変化させることにより、
差額のエネルギーを取り出して利用してきたわけである。
石油や石炭のような化学燃料では、酸化反応によって電磁気力的エネルギーを。
原子力の場合は核の結合力のエネルギーを核分裂反応で取り出しているのである。

E=MC
ご存じ、質量=エネルギーの公式である。
原子力では反応前と反応後の核燃料の質量の差が、得られるエネルギーに相当する。
太陽の中では水素原子4個がヘリウム原子に核融合し、その巨体を支えるエネルギーを得ているが、
その場合、質量欠損は1gの水素にたいしてほんの7mg程度である。
ウランの核分裂にいたっては質量欠損は燃料の0.01%にも満たない。
それでも、化学反応に比べれば膨大な熱量を得る事ができるわけだが、
S2機関はそれを遥かに上まわるエネルギーを生む事ができた。

S2機関では、燃料の全質量をエネルギーに変換する事ができるのである。
原子を素粒子に分解し再構成するのではなく、文字どおり消滅させるのである。
この事実が発表された時、マスコミはS2機関の事を『原子の焼却炉』と形容した。

物質の質量とは何か。
特殊相対性理論でアインシュタインは、運動する物体の質量は増大することを示した。
すなわち質量とは、物体の持つエネルギーの指標なのである。
そのエネルギーは、運動エネルギーであり、重力の位置エネルギーであり、分子の結合エネルギーであり、核の結合エネルギーである。
しかし、静止した、孤立空間に置かれた素粒子でも、まだ質量は持っている。
これが静止質量エネルギーであり、『無』あるいは『真空』に対する『存在』のエネルギーである。
そしてS2機関は、物質を無に返すことにより、膨大な熱量を産み出すのである。

静止質量がすべてエネルギーに変換される現象を、既に人類は他に知っていた。
対消滅がそれである。
電子と陽電子のような正物質と反物質をぶつければ対消滅が起きる。
これを利用した人類最初の実用的(?)な製品がN2爆弾であった。
人類の歴史は戦争の歴史であり、手に入れた力は必ず破壊に使用された。
残念ながら、対消滅も例外ではありえなかった。
反物質は加速器でしか製造できず、超高真空下の磁場キャビティで保存せねばならないため、
製造・保有能力を有する一部の科学先進国で1000発あまりが作られたに過ぎない。
しかしその破壊力は、セカンドインパクト後の世界を危うく滅ぼしかけたのである。

S2機関の場合は燃料は正物質でいい。反物質でも別に構わないが。
言い替えれば、どんな物質であれ質量さえ持っていれば、それを”燃やす”ことができたのである。
1リットルの空気があれば、そこから10の14乗ジュールにも及ぶエネルギーを生むことができる。
この様な事が可能なのは、S2機関の内部にS2場と呼ばれる特殊な力場が存在しているためだった。

スーパーソレノイド理論を最初に唱えたのは、日本の宇宙物理学者であった葛城博士である。
もともと、この理論は大統一理論を越えた物理理論である『超弦理論』をベースとし、
宇宙のすべてを統一的に表現するために拡張された理論であった。
彼の提示したモデルに基づいた予言の内いくつかは、数年後、南極で発見された遺跡で実証された。

S2理論の最も偉大な点は、それが宇宙を始まりから終わりまで記述できる可能性がある、という事につきる。
我々のいる宇宙は、ある時、ある場所で、突然にして生まれた。
いわゆる、ビックバン、である。
虚無が支配する空間に突如として現れた量子論的な特異点は、
内包していた極わずかなエネルギーをきっかけにして成長を開始した。
その過程において幾度も相転移を繰り返し、急激に膨張し、『力』が別れ、秩序が生まれた。
クォークが生まれ、あまたの素粒子を造り、原子ができて、分子になった。
ガスが集まり、銀河になり、恒星が生まれ、惑星を従えた。
分子は反応を繰り返し、アミノ酸が、核酸が、蛋白が、DNAが生成した。
原始の生命のスープからやがて細胞が形作られ、最初の生命となった。
植物が生まれ、動物が生まれ、進化を繰り返し、人類が地上に現れた。
我々は今、こうして作られた世界を生きている。

では宇宙が生まれる前、ビックバンの起きる前、世界はどうなっていたのか。
それを説明するためには、我々の認識を一歩、いや十歩程飛躍させる必要があった。
S2場は最初、真空の相転移を説明するために導入された超次元空間の場だった。
理論の拡張に伴い、S2場もビックバン宇宙を完全に内包した超々空間を表す様になった。
そこにはあらゆる物質が存在せず、また同時にあらゆる物質が存在する。
時間の尺度が定まらず、すべてを確率と偶然が支配する世界。
そしてS2機関の中には明らかにそのような場が存在していた。
S2機関の内部には宇宙が内包されている、と言うこともできた。

「...以上の様にS2理論は宇宙論と密接に結びついており、その点からも本研究の重要性はおわかり頂けると思います。
 S2場を理論的に研究し、S2理論の未知の部分を定式化していくことにより、
 我々はいつか、宇宙の真実を解き明かす事ができるのではないでしょうか。
 そこに、『神』の領域に、人類が到達する日を私は願っても止みません。」

まばらな拍手が講演台を降りるマヤに向けられた。
その音で初めて目覚める者もいる。眠っていた政治家が何人かいたようだ。

マヤに続いて演台に立ったのは第二研究所(筑波)の時田である。
第二研究所は、『重厚長大』と形容されるような研究が売りである。
その代表選手は、世界最初の完全な二足歩行型ロボット、JAシリーズである。
(作注:エヴァはロボットではない。)

「...で、ありまして電磁サーボ機構の改良により新型機の機動性は従来を大幅に上まわりました。
 これまで、第3研究所と共同研究で進めてきたシンクロ実験では、常に機械的遅延が問題になっていたわけですが、
 今回の超伝導コーティングの採用は機械駆動部の静止摩擦係数を極限まで押さえ、
 10ナノセカンド以下の立ち上がり時間を実現しました。
 これでシンクロ時に操縦者が感じる違和感が軽減されるでしょう。」

ここで一息つくと、まばらではあるが拍手も聞こえてきた。
JA計画のような巨大プロジェクトは利権が絡むので政治家の関心も高い。

「従来JAの欠点とされてきました鈍重性は、駆動モーターの遅さが原因でした。
 義手などの人体の補綴を目的とする場合は確かに第3研究所で進めている、
 合成蛋白質を利用した人工筋肉の方が応答が早いので有望です。
 一方でモーターからは人工筋肉では不可能なトルクを得る事ができ、
 将来的に土木、建築など、工業的な利用に今後充分な需要が見込めます。
 まだ耐久性に若干の技術的問題が残されていますが、これも時間の問題で....」

先技研の研究目標の一つは、『人』を造りだすこと、であった。
ゲヒルンあるいはネルフのように、神を模造(コピー)してエヴァを造るのではなく、
『ヒト』を徹底的に分析し、無から『ヒト』の機能を実現する。
これはまさに、『科学』の『神』への挑戦、であった。
『科学の時代』の尖兵たることが先端技術研究所の使命だった。
第一研究所ではミレニアム計画で『ヒト』のソフトウェアを、
第二研究所ではJA計画で『ヒト』のハードウェアを、それぞれ目的にしていた。

「....既にご承知の様に金星探査計画においてJAがすでに利用されておりまして、
 近日中に大きな成果を挙げるであろうと期待されます。
 さらに、火星探査計画も国連宇宙開発機構のほうで現在策定中でありまして、JAも採用される見通しです。
 打ち上げ時期はほぼ2年以内になる予定でして、既に新型機の設計に取り掛かっております。
 この新型機の最大の特徴は熱源でして、旧来の反応炉に換えてS2機関を搭載します。
 これによりまして、可動時間は事実上無制限となり....」

S2機関の生産方法は、インパクト前に既に判明していた。
S2機関は、ある刺激を加える事により、自発的に増殖・分裂するのである。
原理がブラックボックスでも、ゼーレがエヴァに搭載できたのはこのためである。
S2機関を支えるS2場は、生成するとそれ自体のエネルギーにより外的に安定化する。
また内的には、時間軸が不定なのであらゆる事象を同時に内包する事ができる。
そこで、外部刺激によりS2場内部に現象を固定する事によって、制御が可能となるのである。
ただし、人類の科学力ではS2場を自力で構成することはできない。
これまでに判明した限りでは、銀河中心にある大ブラックホールの中心場のエネルギーを持ってしても、
S2場を無から形成するにははるかに及ばない。
人類は既存のS2機関から別のS2機関を複製することはできたが、
最初のS2機関の発生に関しては、以前仮説の域を出ていなかった。





その後、何人かの研究チームのリーダーによる発表が続けられ、
最後に、第三研究所(松代)の主任研究員が演台に向かった。
第三研究所では、旧ネルフの施設を利用しての研究が進められている。
S2機関の応用研究がすすめられているのもここである。

「...アマテラスUに搭載されたS2機関は高効率のエネルギー変換によって、
 革新的な質量/燃料費と高加速を実現いたしているわけです。
 国連宇宙開発機構の試算では、S2機関を利用した恒星間ラムジェットを開発すれば、
 恒星間探査も十分に実現可能であると見込まれます。」

恒星間ラムジェット。
発案者の名前をとって、『バザード・ラムジェット』と呼ばれることもある。
その革新的なアイデアは1960年代に発表されていた。
従来の宇宙船のように、燃料を自前で持っていくとなると、
数十光年に及ぶ恒星間を飛行する場合莫大な量の燃料を用意しなければならない。
『昆崙』はその意味で従来型宇宙船の頂点とも言えるのだが、これでも恒星間を往復するには全然燃料が足りないのである。
バザードのラムジェットは燃料を現地調達する、という形でこの問題を根本的に解決した。
飛行中に前方にネットを張って星間物質を集め、それを燃料にしようというのである。
理論的にこの発想には無理がなく、技術的にも実現可能に思われた。
そのため数多くの宇宙研究者を魅了し、SF小説の題材にもしばしば用いられた。

ただし、現実にはいくつかの問題がある。
最大の問題は充分な燃料となるだけの星間物質を確保できるか、と言う点である。
この点については、銀河系内の星間物質の密度分布とその収集効率が重要である。
この問題については数多くの技術的検討がなされたが、
既知の技術では船を充分加速するに足る星間物質を集めるのは不可能、というのが20世紀末にだされた結論だった。
しかしS2機関ならば可能である、と国連宇宙開発機構によって最近結論が改められた。
前提には、S2機関の高エネルギー効率と、暗黒物質の存在がある。
S2機関では暗黒物質ですら、燃料に利用できる筈であった。
他の問題はこれに比べれば些細な事であり、近い将来にはいずれも解決が予想される小障害に過ぎない。

人体は高Gには長期間堪えられないし、1G加速では亜光速に達するまで時間がかかり過ぎるため、
人を他の恒星系に送り込むことは不可能かもしれない。
(世代間恒星船を建造するつもりならば話は別だが。)
しかし、数年後に人間並の知能を持ち人間並の機動力を持ったロボットが完成した暁には、
無人探査船が何機も作られ、αケンタウリやエリダヌスεに向けて出発するであろう。
もしそれまでに超光速飛行理論でも発見されない限りは、の話であるが。

華々しい恒星間宇宙船の話がしばらく続いたあと、
一転して地上でのS2機関の応用技術に話は移っていった。

「...この様に、実証炉は現在順調に稼働しております。
 まだ理論的に未知の領域が残されているのは確かですが、その制御技術はほぼ確立しており、
 人類は将来にわたりエネルギー危機に悩まされることはなくなるでしょう。
 現在富山に建設中の第1号炉は北米、欧州に次いで世界で3番目の実用規模発電施設となります。」

宇宙空間での利用と違い、地上でのS2機関の利用には慎重さが求められた。
不用意に暴走させると、半径200kmの範囲がディラックの海に飲み込まれてしまう。
誰も、かつてのネルフの北米第二研究所の二の舞はゴメンである。
幾重にもわたるフェイルセーフの上に、ようやく実用が始められた。

S2機関を利用する上で最大の問題は、S2機関が『永久』機関だと言うことである。
現在の人類は、一度生成したS2機関を停止させる方法をいまだ見いだしていない。

超高真空下に置いて燃料の供給を止めれば、自らを食いつぶしてエネルギーに変えながら暴走を始め、
ついにはそのエネルギーを支えきれなくなって爆発する。
燃料を過剰に供給した場合も同じである。
燃料の供給と機関の冷却のバランスがS2機関の制御の勘所であった。

「最後に、残念ながら今回のカンファレンスには出席することのかなわなかった、
 第3研究所のもう一人の主任研究員の報告をビデオで差せて頂きます。」

映像が中央のスクリーンに映しだされた。

「ハーロゥ、レディース・アンド・ジェントルメン!」

そこには、先技研最年少の主任研究員の姿があった。
オデッセウス計画のパイロットとして今は宇宙に行ってしまったが、
第一研究所の冬月マヤ、第二研究所の時田シロウを並び称される、
第三研究所の花形研究員であった。

「...先日の実験では30光秒以上はなれた金星軌道上のアマテラスとのシンクロに成功しました。
 実験結果はすでに宇宙開発機構の方に転送しており、今スタッフが解析中です。」

真面目に研究報告をするアスカ。
いつもシンジとじゃれていた訳では無かったようだ。
ちゃんと、研究者としての仕事をこなしていた。

「...シンクロ率は、碇操縦士が12%という最高数値を示しましたが、
 これはフィードバックのタイムラグを考えますと驚異的な値であります。
 ただ、やはり無理があるため操縦者への心理的負担は想像以上に大きく、
 10%以上を長時間維持することは不可能です。
 CASMを援用すれば有効起動時間を伸ばすのに効果的でありますが、限界があります。
 私見ですが、軌道上からの遠隔操作を行なう場合でも、
 連続1時間以上のシンクロは肉体的、精神的に厳しいのではないかと思われます。
 現在、新たな作業工程について遠征隊司令と検討作業に入っています。」

この映像はほぼ1日前に『昆崙』から発信されたものである。

「...現在『昆崙』は金星から約30光秒の位置まで接近しており、
 明日12:00GMTにアマテラスUは昆崙から離脱、
 単独で金星周回軌道に向かう事になります。
 今からほぼ180時間後には計画通り金星周回軌道の遠日点に到達します。
 先行したアマテラスが投下した探知機は依然沈黙しており、
 低出力のセンサーでは金星の雲を突き抜けられなかったものと見られます。
 情報不足という点に不安は残りますが、何にせよ、すべては来週です。
 皆さん、あっという成果を期待して待っていてください。
 以上、宇宙(そら)飛ぶ研究員、惣流アスカの報告でした。」





アスカの報告で、研究報告会は終了した。
プレゼンの後に続いたのは会議だった。
政治家や官僚を集めて行われたプレゼンは実は前座に過ぎなかった。
この会議で、来年度の予算配分の大枠が決定されるからである。
その会議も終わった。
予算を大幅に削減しようという、政府の方針は会議を紛糾させた。
昨今の経済状況を鑑みた政府予算の全体的な縮小。それが理由だった。
同時に国連の意向もあって、国際的な研究協力と効率化の推進も理由にされた。
時田シロウの声を大にしての抗議の声も、効果は無かった。
JA計画は大幅に縮小される事が決定された。
S2発電計画は着工分は現状維持だが、新規着工は無期延期になり、
これまでの研究成果はCERNに引き継がれる事になった。
青葉シゲルは知っていた。
この方針が誰の意志で決められたのかを。
だが、それをくつがえす力は、彼にはなかった。

「さて、仕事の時間はこれでおしまい。
 この近くにウマい店を知っているんだ。
 行かないかい、セイラ中尉。」

取りあえず、今の所はできることは何も無い。
今晩は近くのホテルに泊って、週末は二人で京都観光の予定だった。
敵になるにせよ、そうでないにせよ、
この際、相手の事をよく知っておくに越した事はない。
それが建前であった。

  後は成り行きまかせだ。
  まあ、なるようになるさ。





朝。
女は成り行きでこうなった事を後悔はしていなかった。
男に強制されたのでもなく、彼女から意識して誘ったわけでもない。
食後にバーで飲んでるうちに、ただなんとなくこうなってしまった。
その時は、仕事の事もイヤな事も忘れて、のめり込む事ができた。
それを望んだのは、女としての自分だった。

部屋に朝日が差し込んできた。
今日は一日、彼と一緒に京都観光だ。

  どうせなら、うーんと楽しみましょう。
  これがおそらく最後の休日なのだから。









「ツォイギン(再見)、パイ。」
「グーテ・ライセ(Gute Reise)、フラウ・アスカ。」

プシュ。
エアロックの扉が閉じられた。

これで、二人は仲間たちど別れ、再び二人だけの航宙がはじまるのだ。
ここ昆崙に初めて来た時と逆向きに、氷の壁を歩いてアマテラスに二人は帰った。
エアロックに入る。
部屋が与圧され、内部隔壁が開いた。
プシュ。
だが、そこに待っている者は誰もいない。

「シンジ。」
「何?」
「なんだか少し寂しいね。」
「うん。みんな、いい人達だったね。楽しくて。
 でも、これで最後って訳じゃないんだし...。」
「そんなこと、言われなくてもわかってる。わかってるけど...。
 あれ、どうしたんだろ、アタシ...。なんで...。」
「アスカ...」
「これでまた二人ぼっちねって思ったら急に...」
「一年。一年たったら彼らとはまた会えるさ。
 さあ、行こうよアスカ。金星が僕達を待っているよ。」

彼は間違っていた。
アスカは彼らに再会を果たすことになるが、それは一年後ではなかった。
そしてシンジは...。









「珍しいな。お前がここにやってくるなんて。」

場所はサンクトペテルスブルグ。とある豪邸の一室。
かつてロシア皇帝が客をもてなすために作らせた由緒ある建物であるが、
今は一介の商人の所有物に成り下がった。
彼を「商人」と呼ぶのには若干の抵抗があるが。

「ユーリ。頼みがある。」
「そうだろうな。でなければお前がわざわざ来るはずがない。」
「ふん。」
「で、博士先生のたっての頼みというのは何かね。」
「G。Gを借りたい。」

それまで、優雅に座りながら猫をなでていた彼の手がとまる。
目がわずかに細くなる。

「今、なんといったのかな?」
「Gを借りたい。そう言った。」
「Gか。彼のスケジュールは知っているな。
 決行まであと一週間しかないのだぞ。」
「わかっているわ。私の用事は三日もあれば十分に用は足りる。」
「議長の承認は得たのかね?」
「いいえ、彼女には連絡が取れないわ。
 議長はしばらく潜行することになったから。
 今後しばらくの間、委員会は私が主導させていただくわ。」

  彼女、か。口を滑らせたな、ラフィニアよ。
  まあ、この程度ではたいして利用できる情報でもない、か。

これまでメンバーの中にも議長の正体はまったく知られていなかった。
腹心であり、システムを作ったラフィニア・ロンバルド博士を除いては。

「それで、目的は、なんだ。」
「個人的な復讐、いえ、懲罰ね。悪さをした坊やに対する。」
「ただの悪戯で、殺されたのではたまったものではないな。」
「ただの悪戯なんかじゃないわ。私のコンピュータに侵入しようとしたのよ!」
「まあ、そうむきになるな。」

彼は落ちついていた。感情で物事を判断するのは愚者の犯す過ちである。

  女の悪いくせだ。するとこいつもやはり女だったということか。
  まあ三日ぐらいならどうにでもなるだろう。
  それにここで女史に貸しを作っておくのもわるくない。

冷静に自分の損得を計算し、決断を下した。

「よかろう。
 で、Gはどこに向かわせれば良い?」
「日本。」

彼女は壁にあった世界地図を指差した。

縮尺が大き過ぎて、具体的にどの都市を指しているのかボリソフにはわからなかったが、
彼女の視線の先にあったのは、日本の首都、第二東京市だった。








次話予告





「やっと少しはSFらしくなって来たわね。」
「なに、この説明。ぜんっぜんわっかんないわ。頭痛くなりそ。」
「S2機関の原理は粒子消滅、ね。
 で、N2爆弾の正体は対消滅。」


『ええ。S2の方はさらにまだ奥があります。リリス絡みで。
 で、N2の方は「核では無い」という話なんで....。』

「でも、私の父さんが『Letters第5話』で『核を使うのか?』って言ってるわよ。」

『それは、語義の問題です。
 対消滅爆弾は明らかに従来の核兵器とは異なります。
 エネルギー発生の原理としては核エネルギーとも言えますし、そうで無いとも言えます。』

「ようするに、よくわかんない、ってこと?」

『まあ、そうとも言えます。なんせ実在しませんから。
 米国あたりはCTBT(包括的核実験禁止条約)絡みで「核でない」と主張するでしょうし、
 NGOや非核保有国は「大量破壊兵器」という点で「核兵器」に分類しようとするんじゃないでしょうか。』

「あり得るわね。」

『他の候補としては、中間子爆弾、空間破砕弾、他いろいろあったんですが、
 一番現実的だと言うことでこれにしたわけです。』

「まあ、その辺はいいわ。
 でも他の所も色々突っ込むとボロがでそうな説明ね
 きちんと物理学を学んだヒトだったら、こんなデタラメな宇宙論は許しておかないわよ。
 まあ、ミサトにはこれでも難し過ぎるかも知れないけど。」

「ふん、どうせ私は莫迦ですよ。」
「あら、自覚してるのね。」

「大体、第一部ってただの導入だった筈なのに、長いったらありゃしない。
 出番を待ってる間にビールがぬるくなっちゃったわ。」


『いやー、ゴメンなさい。一応、全員第一部に出しておこうと思いまして。』

「まあいいわ。で、これからどうなるの?」

『さあ。』

「さあって、あなた。作者でしょ。責任とんなさいよ。」
(どこかで聞いたセリフね。)

『どうして、そういうこと言うの。作者(おとーさん)の仕事が信じられないの?』
(これも聞いた事、あるわね。)

「信じられないわよ。アンタ、全然アタシ達が出てこないじゃないの。」

『ア、アスカ様−。』





次回、第五話

せんりつ
戦慄

「と・に・か・く、アタシを活躍させるのよ。わかったわね、へぼ作者!」

(と、言われてもねー。もうシナリオはほぼ固まってるからなー。)





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