「以上が大会のレギュラーだ、何か質問は?
 ...無いようなら練習に移れ。」

レギュラーの発表が終わり部員達は練習に移る。
だがヤマトは虚ろな表情でグラウンドから出て行こうとしていた。

「ヤマト! どこに行く気だ?」

止めたのはムサシだった。
だが声が届いていないのか歩みは止まらない。

「ちょっと待てよ! オマエどうしたん...だ...」

ヤマトの肩を掴んで強引に自分の方に振り向かせようとしたムサシが見たモノは、いつものヤマトではなかった。
目に光は宿らず、焦点は合っていない。 いつも希望に満ちていた表情はどこかへ消し飛んでいた。

「オマエ...ヤマト、だよな?」

恐る恐る尋ねる。
その問いにヤマトは覇気の無い声で答えた。

「...オレ、野球...辞める...」











大切な人への想い

第四拾壱話 男の闘い(中編)











「チクショウ!」
ガシャン!

ムサシがベンチを蹴る。
ヤマトが野球部を退部してから既に1週間が過ぎていた。
その間何度かムサシは説得を試みたがヤマトの考えは変わらない。
理由を聞いても頑なに口を割ろうとしないのだ。

「落ち着きなよ、ムサシ。」
「これが落ち着いてられるか!
 一体なに考えてんだよ、ヤマトのヤツ。」

あっちへウロウロこっちへウロウロと落ち着きの無いムサシ。
そこにマナも入ってくる。

「でもどうしちゃったんだろ...そんなにショックだったのかな?」
「レギュラーの事か? そんな筈は無い!
 野球をやるきっかけは確かにまともじゃないが、アイツの目は本気だった!
 ...それなのにどうして...くそ!」

悲痛な叫びであった。
時を同じくして職員室の一角では、そのヤマトが担任と話していた。

「じゃあ今学期中に日本を?」
「ハイ。 一学期だけでしたがお世話になりました。
 後日、父か母から連絡がくると思いますのでよろしくお願いします。」

ヤマトは真剣な表情だったが、どことなく生気が無い。
その事に担任は気付いていた。

「そうか...心残りは無いのか?」

心を見透かしたようにヤマトに問う。
担任と言う訳で野球部の事については多少なりとも耳にしていたのだ。
だがヤマトは心を閉ざして無関心を装う。

「ありません。」

日本を発つ日程は既に決まっており、大会が始まる頃にはヤマトは日本を離れている。
だからどうあがいてもレギュラーにはなれない。 日本に居る理由が無いのだ。
ヤマトは全てを諦めていた。

「分かった。
 オマエが決めた事だ、だから何も言わない。
 日本に居る残りの日を後悔の無いように過ごしてくれ。」

担任は今のヤマトには何を言っても無駄だと判断した。

「...では失礼します。」

ヤマトは一礼して職員室を出た。
担任はそれを見送ると電話を取り内線をかける。

「もしもし、野球部の顧問の先生ですか?
 私はヤマト=リー=ストラスバーグの担任ですが、彼の事でお話があるのですが...」





担任が野球部の顧問に連絡を取る中、ヤマトは誰も居ない屋上で校庭をぼんやりと眺めていた。
校庭からの喧騒がひどく遠くから聞こえるかのような錯覚に陥る。

「...何やってんだろ、オレ...?」

当ても無く屋上から校庭を眺めるだけ。
数週間後にはこの風景を眺める事は出来ない。 野球グラウンドで仲間達と練習する事も出来ない。
全てが終わってしまったと諦めるしかなかった。

「何をしているんだい、ヤマト君。」

背後からの声にも興味が無いのか振り向こうとはしない。
だがその声の主は知っていた。

「カヲルか。
 見りゃ分かるだろ、校庭を見てるんだ...」

いつもと違い、覇気が無い。
やがて訪れる沈黙。 辺りの空気が重くなってきた。
その沈黙を破ったのはカヲルだった。

「...日本を離れるんだってね。
 悪いとは思ったんだけど、聞かせてもらったよ。
 それでキミはどうするんだい?」
「どうするも何も、行くしかないだろう...」
「じゃあムサシ君と霧島さんの事はどうする?
 このままにするつもりなのかい?」

再び訪れる沈黙。
ヤマトはゆっくりと振り向き、カヲルを見据える。
カヲルもまた見据え、その真意を読み取ろうとするが、夕日の逆行によりその表情を伺う事が出来ない。

「...あれはオレの敗けだ。
 ケリは着いているんだよ...」

ヤマトはそのまますれ違い屋上を後にし、カヲルは見送る。
二人に言葉は無かった。
ガコンと重く塞ぐ扉の音が響き、屋上にはカヲル一人だけになる。

「...さて、これからどうするべきかな...」

カヲルは野球グラウンドを見ながら何をすべきかを考える。
その数分後、カヲルは屋上を後にしてグラウンドを目指した。





その翌日、ヤマトは野球部の顧問に呼び出された。
理由は退部届の件であった。
ヤマトの担任から話を聞き、最後の思い出として試合に出て欲しいとの事である。

「...という訳で今度の試合に出てみないか?」

野球部の顧問が薦める。
それを聞いたヤマトは少し驚いたがその話には乗らなかった。

「気持ちは嬉しいのですが...スイマセン...」

理由も言わず、ただスイマセンと答えるのみ。 話はそこで終わりだった。
結局ヤマトは意思を変える事はなく、職員室を後にし帰路に着く。
だが抜け殻のように学校を出ようとしたヤマトに声をかける者がいた。

「久しぶりだな、ヤマト。」
「ムサシ...」
「ちょっと顔貸せ。」

いつもの雰囲気とは違い険悪な空気が漂う。
ヤマトにとって本当ならば一番会いたくない人物だったが、その空気を感じ取りNOとは言えない。
二人は人気の無い校舎裏に行き、ムサシがヤマトに話す。

「今日監督から話があった。
 練習前にレギュラーの内の一人が辞退してきたんだとよ...」
「え?」

ヤマトが顔を上げるとそこには真剣な顔をしたムサシが居た。
予想外の事に驚きを隠せない。
だが次にムサシが口にした言葉に更に驚いた。

「監督は言ったよ。
 そこにオレかオマエを入れるってな!」
「!」

全ては仕組まれた事−−−
ヤマトには判っていたがムサシとの対決にケリが着けられる事に心が揺れた。

「空席は一つだ!
 オレとオマエのどちらがレギュラーに相応しいか、決着を着けるぞ!!」










☆★☆★☆











ガキン!

ヤマトの打球は快音と共にセンター方向を目指す。
一方、センターのムサシはフェンスギリギリまで下がり、打球を待っていた。
読んでいたのか、偶然か、それともカンが働いたのか、落下予想地点にいち早く辿り着き打球を見詰める。
打球はやがて勢いを失い徐々に重力に引かれて落下を始めた。
飛距離はギリギリで届かず、ボールはムサシが伸ばしたグラブの中に収まった。

「アウト!」

審判の声が響く。
だがムサシとヤマトには届かない。
二人はお互いを見据え、闘いの幕開けを告げる。
五番同士、そして三年越しの、どちらがより優れたバッターかの決着を着ける為の闘いが...





「アウト! チェンジ!」

その後の六番は内野ゴロに打ち取り、2回の表が終わる。
第壱高校の攻撃は四番のリュウスケからだった。
リュウスケが打席に立つとスタンドからは歓声が上がるが、総武台のメンバーは落ち着いた雰囲気で守備に着く。

ギン!

いきなりの初球打ちで打球は一塁線を駆け抜け、壁に当たる。
前進守備をしていたレフトがクッションボールに追い着き、捕球をする頃には既にリュウスケは二塁を回った。
レフトが急いで三塁にボールを送球し、届く頃には既にスライディングでリュウスケは塁に入った。
そして五番のムサシに打順が回ってきた。
ムサシは落ち着いた足取りで左打席に入る。
だがその目は遥か後方であるセンターのヤマトを捕らえていた。
今のムサシにはヤマトしか眼中に無い。 ただどちらが優れたバッターであるかを決める為に。

「マズイんじゃない...今のムサシは先走り過ぎてるよ。」

シンジが今の状況を懸念する。
第壱高校の相手は総武台高校であり、ヤマトという球児一人ではない。
ムサシがたった一人の球児に心を奪われている。 それがこの試合にどれだけ影響するのかが不安になった。

「今は何を言っても無駄だよ...それにホラ、ヤマトを見てごらんよ。
 ヤマトだって同じなんだ。
 三年前に果たせなかった二人の勝負に、やっとケリを着けられるんだ...」
「でもケイタ、僕達には勝利が何よりも優先されるんだよ!
 ココで敗けたら僕達の夏が終わる...僕は甲子園に行きたいんだ!」

自分の想いを握り締めた拳に篭める。
ケイタにはシンジの想いが痛いほど判っていた。

「...昔の親友に逢う為だね。」

ケイタは目は優しかった。

「知ってたの? 僕が闘う理由...」
「スマナイとは思ってたんだけどね。
 シンジはそこで決着を着ける...そうだろ?」

その問いにシンジは無言で頷き、ケイタは再び笑う。
そしてカヲルが誰に話すでもなく呟いた。

「ムサシ君とヤマト君も同じで決着を着ける為に今を闘っているんだ。
 どちらが勝つかは判らない。
 でもココで終わらせないといけないだ。
 でないと二人とも先には進めない...これは男の闘いなんだよ。」

ガキン!

鋭い音と共に打球はヤマトの守備位置であるセンター方向へ飛んだ。










☆★☆★☆











バキ!

ヤマトの拳がムサシを襲った。
突然の事に周りに居た部員達は何も出来ずに呆然と立ち尽くす。

「何故手を抜いた!」

殴られた部分を押さえてうずくまるムサシに向かってヤマトが吼える。
一方のムサシはヤマトから視線を逸らしていた。

「答えろムサシ!」

ヤマトは尚も殴りかからんばかりの勢いで力の限り叫ぶ。
そこでようやく気付いたのか、そこに居た部員達が止めに入った。
しかしそれでもヤマトは止まらず殴りかかり、ムサシはされるがままに殴られる。
何度殴ったかは最早分からず、ムサシの顔は腫れ上がり所々に血が滲む。 それでもヤマトは止まらなかった。
ヤマトはこれで終わりだと言わんばかりに利き腕に力を入れて殴りかかる。
その時、間に入る者が居た。

「やめて!」
ガキ!
「「!」」

突然の事で拳を逸らす事も出来ず、マナを殴ってしまった。
その瞬間がスローモーションのようにコマ送りでムサシの目に映る。
呆然と口を開き、ただ倒れていくマナを見ていた。

「...マナ...」

倒れたマナはピクリとも動かず、殴った拳を見ながらヤマトはワナワナと体を震わせる。
その刹那、ムサシの体が動き、ヤマトの顔面を捕らえた。

「ヤマト! よくもマナを!!」

誰もが目を疑った。
最早動く事も出来ないと思っていたのに一瞬で間合いを詰めてヤマトを殴り飛ばしたのである。
ムサシは肩で荒く息をしながらも鋭い視線でヤマトを射貫く。
だがそこにマナの呻き声が出た。

「ぅう...」
「マナ!」

誰よりも早く動いたのはムサシだった。
痛みという感覚が無くなってしまったのか、マナの元へ走り抱き起こす。

「大丈夫か、マナ!」
「...ム...サシ...」

マナはうっすらと目を開けて幼馴染みの名を呼ぶ。
手で押さえている部分は青くアザになり痛々しかった。
それを見たムサシは新たに怒りが湧き上がり、キッとヤマトを睨みつける。

「ヤマト! オマエだけは許さねぇぞ!」

純粋な怒りが湧き上がり、マナを抱く手からムサシの想う気持ちが伝わる。
ヤマトはそれを正視できず、地面に着いた手に視線を落としていた。
好きな人を殴ってしまった自責の念から動く事が出来ない。
こうなると先程とは立場が逆転してしまい、誰の目にも先程の一方的な喧嘩になる事が予測できた。

「待って、ムサシ。」
「マナ?」

だがそれを止めたのは痛みを堪えているマナであった。
怒りに震えるムサシの手に、そっと自分の手を乗せて幼馴染みを止める。

「いいの、ムサシ...悪いのは私だから...」

優しくムサシを諭し、ヤマトに視線をずらす。

「ゴメンね、ヤマト君。
 知っちゃたの...キミが日本を離れるって。」
「!」

マナが知ったのはカヲルからだった。
ちょうど野球グラウンドを目指していたカヲルと会い、そこで告げられたのだ。
マナの言葉を聞き、ヤマトは大地に着いた手の平をぎゅっと握り締める。
爪の間にグラウンドの土が入り嫌な感覚に襲われるが、それでも力を篭めて握り締める。

「知ったから、ほっとけなかった...
 キミが、ここに居たっていう思い出...創って...欲しかった。」

マナの口調は、最初は限りなく優しかったが次第に途切れ、涙ぐんで行く。
それを聞くムサシとヤマトは聞くに耐えなかった。

「だから、みんなに話しちゃった。
 ...それでみんなと、話し合って...考えた...」

先程までのムサシの怒りがウソのように消えていった。
自分の手に乗せられたマナの手が痛いほど強く握ってきたのだ。

「でも、こんな事に...なるなんて、思わなかった...
 ゴメンね...ヤマト君。
 ...ゴメン...な...」

最後まで言えず、涙が零れた。
ヤマトにとってはマナの涙を見るのは初めてだった。
好きな人を泣かせてしまった後悔と自責の念によって目の前が真っ暗になり、自責の念が激しくヤマトを責め立てる。
そして重責に耐えきれなくなり、ヤマトはその場から逃げ出した。

「ウワアアアアアァアァアアア!!!」

誰も動けなかった。 だがムサシだけは違った。
同じ力を持ち、同じ想いを抱くムサシだけが後を追いかけようとした。

「ヤマト!!
 あのバカヤロウ!」
...グィ

自分の腕に絡み付くモノ−−− マナが邪魔をする。

「え?
 離せ、マナ!」

ヤマトの事が気に掛かり、腕の中に居るマナを引き離そうとする。
だがムサシには出来ない。
マナが自分にしがみついて泣いていたのだ。

「ゴメン、ゴメンね...」

出てくる言葉は謝罪だけ。 しかしそれは誰に向けたのかは判らない。
結局ムサシはマナを振り切ってヤマトを追う事は出来なかった。



ヒグラシの鳴き声が夕暮れ時を告げ、沈みかけた太陽によって影がどこまでも長く伸びる。
ムサシとマナの二人で一つの影もまた伸びていた。










☆★☆★☆











ムサシの打った打球はセンター方向に伸びて行く。
しかしヤマトは既に落下予測地点より少し後ろに着き、小さくなったボールを見詰める。
リュウスケは三塁ベースに着き、いつでもスタートが切れるように腰を落とす。
タッチアップの準備は双方とも万全であった。

パシ!

ヤマトが助走を付けてセンターフライをキャッチした。
それと同時にリュウスケはスタートを切る。
ボールが落ちた場所が意外に深かった為に第壱高校側が有利に見えた。

「行ける!」

リュウスケは後ろを振り返らずにホームを目指す。
だがあと少しの所でセンターからの返球がキャッチャーミットに突き刺さった。

「え?」
バシィ!

それが目の前で起こったので三塁に戻る事は出来ず、そのままタッチアウトとなる。
全てはヤマトの持つ強肩によるダブルプレー。 改めてヤマトという球児の強さを見せられた形となった。

ヤマトは返球した際に落ちた帽子をかぶり、そのつばから見える目でムサシを見据える。
するとムサシもまたヤマトを見据え、二人の間だけに緊張が走る。
二人だけの闘いはいつ果てる事無く続く−−−










☆★☆★☆











時はまた遡り三年前、第3新東京国際空港−−−
ちょうど搭乗手続きを済ませた家族がいた。

<香港行き、219便は...>
「さて...そろそろ中に入るか。」

アナウンスを聞くと、一家の長である父親が出発を促した。
搭乗手続きを済ませ、あとは機内持ち込み品のチェックを過ぎれば、再び日本の土を踏む事は無い。
それ故に中へ行くのを躊躇う。

「どうした、行くぞヤマト。」

父親が自分の息子の名を呼ぶ。
心残りは無いと言ったらウソになるのだが、それでも行かなければならない。
ヤマトはゆっくりとした動作で立ち上がり、父親の後に続く。

「ヤマト君!」

空港ロビーに聞き慣れた声がした。
ヤマトにとって忘れる筈も無い。 自分の心を奪った人であり、事故であったとは言え自分の手にかけた人、霧島マナである。
数日前の事なので、その時のアザは最早消えていた。

「マナさん、何故ここに...
 なんで今日だと分かったんですか?」

今日まで日本を発つ日を黙っていた。
だが今日という日が平日である為、来る筈も無いと思っていた人が見送りに来てくれた事にヤマトは戸惑った。

「女のカン...て言うか、あそこに居る連中のお陰ね。」

マナはいつもの笑顔を見せ、自分の後ろを指差す。
そこにはケイタとカヲルが居た。
だがムサシの姿は無かった。

「アイツら...」
「ホントはムサシのヤツも呼んだんだけど、アイツのバカは...
 ゴメンね。」

ムサシは見送りには来なかった。
結局ギクシャクとした関係で終わってしまったのだ。

「ハイコレ♪」
「???」

有無を言わさずいきなり何かを渡された。
だがそれはいつも触っていたモノでありすぐに判った。

「ボールじゃないかですか...」
「そ、忘れないでネ♪」

手を後ろで組み、前かがみでしかも上目遣いでヤマトに念を押す。
そしていきなり真顔になってヤマトの顔を真っ直ぐに見る。

「キミは確かに第壱中野球部に入ってたんだよ。
 向こうに行っても、それを忘れないでね。」
「マナさん...
 でもオレにはそんな資格が...」

あの時のムサシとの一件を思い出し、申し訳なさそうな顔を見せる。
暗い考えはどこまでも留まるところを知らない。
だがマナが元気付ける為にバシッと背中を思いっ切り叩いた。

「ホラ、そんな顔しない!
 もっと胸を張っていつもの顔をみせてよ! キミらしくもない!!」

マナがカラ元気である事は分かった。
友達が遠く離れた違う地に行ってしまう。
そして何よりもお節介の為にムサシとの一件がうやむやになってしまった事を後悔していた。
だから自分が辛気臭い顔をしてはいけないと思い、何かをふっ切るようにしてマナを見る。

「そうか...らしくないね。
 ありがとうマナさん。 オレ、野球辞めないよ!
 ...好きだからね...」
「そうだよね、野球をやっているキミってカッコ良かったよ。」

マナはヤマトの言葉を聞いて安心した。
だがヤマトの最後の 「好き」 という言葉には様々な想いが詰まっていた。



その数刻後、時間通りにヤマトを乗せた飛行機は飛び立つ。
マナ、ケイタ、カヲルはその爆音を放ちながら小さくなって行く飛行機を見送る。
そしてムサシは授業をサボり、一人屋上で寝っ転がりながら空を見つめていた。
その目には何が見えているのかは判らない。
だが射貫くような鋭い視線でどこまでも続く蒼い空をいつまでも眺めていた。



第四拾壱話  完

第四拾弐話を読む




sugiさんの部屋に戻る/投稿小説の部屋に戻る
inserted by FC2 system