「そっか・・・ちゃんと自分の気持ちを伝えてたんだ、あのコは」

レイが自分が知っていることを全て話すとノゾミは穏やかな表情を見せた。

「嬉しそうですね」

「そりゃそうよ。 絶対に告白なんてできないと思ってたんだもん」

ノゾミが知っている六分儀レイは、昔の3人の関係を崩さないように自分の気持ちを抑え込んでいた。

しかし自分の想いと共に死んだのではなく、シンジの心にちゃんと伝わっていたことが嬉しかった。

「でも・・・」

ノゾミの表情が変わる。

「どうしたんですか?」

「碇・・・うぅん、六分儀シンジは誰が好きだったんだろう・・・」

湖で告白されたときは六分儀レイを受け入れられなかったが、助けに行ったときのことを考えると判らなくなる。

家族だからなのか、あるいは・・・?

それは誰にも判らない。

おそらくシンジですら判らない疑問だった。

しかしその疑問が出てくる理由は判る。

「もう1人、六分儀シンジを愛した人・・・惣流アスカさんですね」

「知ってるんだ、アスカさんのことも。 でも当然だよね・・・」

レイと違いあれからのアスカを知っているノゾミは寂しそうな表情で視線を落とした。

あれからの二年間を知る者だけが創り出せる重い空気が漂う。

黙っているのが嫌いなノゾミですら六分儀レイやアスカのことを考えると口が重くなってくる。

しかし総てを理解するためにレイは踏み込まなければならない。

「あの・・・聞かせてもらえませんか? アナタが見てきた六分儀シンジ、それから・・・この二年間のことを・・・」

不安からなのか握った手に汗が滲み、震えてくる。

ノゾミはレイを見てしばらく考えた末、話すことにした。

 

 

「そうね、アナタは知らなければならないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


大切な人への想い

第七拾七話 二年間の時の流れ


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンジは廊下をキョロキョロと眺めながら歩いていた。

「まいったな・・・保健室の場所、聞くべきだった・・・」

どうやら肝心の場所を知らないようだ。

ちなみにレイとマナはマネージャーの仕事柄、校内の知識は叩き込んである。

「保健室だから普通は1階にあると思うんだけどな・・・」

少し痛みの残る右ヒジを押さえながらシンジは探し続ける。

 

タッタッタッタ・・・

遠くから足音が聞こえてきた。

体育館と繋がる渡り廊下から聞こえ、次第に大きくなってくるところから自分に近づいてくるのが判った。

「危ないな、廊下を走るなんて」

とりあえず角の手前で立ち止まって危険を回避しようとする。

すると案の定、曲がり角から誰かが走ってきた。

しかも見覚えのある顔だった。

「・・・ミユキちゃん・・・?」

「えっ・・・碇さん・・・?」

馴染みのある声で呼び止められ、シンジを見て驚き、次の瞬間・・・

ドンガラガッシャン!!

掃除の後片付けがなってないのか、モップとバケツにつまづいて豪快に転んでしまった。

これにはさすがのシンジも面食らった。

「だ、大丈夫・・・?」

シンジはそっとミユキに自分の左手を差し出す。

ごく自然な仕草だったのでミユキもシンジの手を取って立ち上がろうとした。

「あ、ありがとう・・・!」

だが突然昨日のことが思い出され、行き場のない怒りから触れる寸前でミユキは手を引いた。

「自分で立てます!」

立ち上がるとパっパっとホコリを払ってこの場から急いで離れようとした。

しょうがないのでシンジは行き場の無い手を引っ込めてミユキを見守っている。

そこでミユキが何かを見落としていることに気づいた。

「・・・右手、どうしたんですか・・・?」

そう、シンジは利き腕ではない左腕を出してきたのだ。

しかも今は右ヒジを押さえている。

「ヒジ・・・まさか・・・」

ピッチャー、そしてヒジとくれば想像するモノは簡単で、しかも悪いことしか思い浮かばない。

見られていることに気づいたのか、シンジは慌ててヒジから手を離し平静を装う。

それがミユキの考えをどんどん悪い方向に走らせる。

「ははは、ちょっとトイレに行ったら迷っちゃって・・・」

あからさまに右手を隠すように後ろに回す。

ウソをつけない性格なのが判っていないらしい。

「じゃ、グラウンドに戻るから・・・」

シンジが立ち去ろうとしたとき、グイっと左手が引かれた。

引いたのはもちろんミユキだ。

「早く保健室に行きましょう」

「な、なんともないんだって・・・」

「ダメです。 さ、行きましょう」

その場しのぎのウソをつくが、今のミユキは何を言っても耳を貸さない。

強引なところは兄のトウジと同じである。

結局シンジが根負けして2人で保健室に行くことになった。

 

 

で、保健室。

つい先ほどまで校医の先生がいたのだが席を外しているらしくミユキが処置をすることになった。

トウジという球児の兄を持っているせいか、大抵のケガの処置方法は知っているのだ。

「ヒジ、冷やしといてくださいね」

氷水を用意すると今度はシップを探し始める。

テキパキと動く度に揺れるポニーテールの後姿が懐かしく、昔もこんな風にケガの手当てをしてもらったことをシンジは思い出す。

そこにはトウジもいてケンスケもいる。

レイもノゾミもミユキもヒカリも、そしてアスカもいる。

総てがあった楽しい頃。

どこで何が狂ったのかと考えてしまうほど懐かしかった。

 

「でも突然ヒジなんて、一体どうしたんですか?」

思い出に浸っているとミユキがシップを持ってきていた。

ミユキの問いにシンジは言葉を濁すだけで答えられない。

そこでミユキは察することができた。

「あ・・・そうですよね。 碇さん、お兄ちゃんと闘うから教えられませんよね。 右手、もういいですよ」

済まなそうに微笑んでタオルを渡す。

そのときの笑顔に胸がつまり、シンジは原因と思えることを正直に話すことにした。

「多分、変化球のせいなんだ。 フォームがまだ完全じゃなくてヒジに負担がかかったんだと思う」

「変化球なんて投げてたんですか?」

ミユキは昔のシンジしか知らない。

その頃のシンジはストレート1本で多くのバッターを倒していた。

「うん・・・今年の予選からね。 予選のデータにもあるから、トウジもケンスケも知ってるはずだよ」

「変化球を投げるんですか。 なんか意外だな・・・」

ミユキはシンジのヒジにシップを張る。

「あれから二年も経ってるんだ。 変わったとしても不思議じゃないよ」

その言葉にミユキの動きが止まる。

時と共に人は変わっていくというが、身体的に変わっても心まで変わってほしくなかった。

シンジにはあのときのままでいてほしかった。

 

「・・・ハイ、終わりました」

シップの上に包帯を軽く巻いて治療は終わった。

シンジが軽く右ヒジを動かしても別に邪魔とは感じない。

「ありがとう、ミユキちゃん」

軽く微笑む。

だがどこかかげりがあるせいか昔のシンジの笑顔ではない。

失ったモノが多すぎるのだ。

「でも大丈夫なんですか? ヒジが痛むんだったら甲子園は・・・」

心配するせいかミユキが右ヒジに触れた。

触れた瞬間、過去と現在の違いが激しく泣きそうになってくる。

「あそこにはトウジとケンスケがいるんだ。 逃げるわけにはいかない・・・」

「でもそれじゃヒジが・・・」

震えるミユキを見たシンジは優しい笑顔を見せる。

「大丈夫だよミユキちゃん。 今回ヒジが痛くなったのは投球フォームを変えようとしたからなんだ。 だから今まで通り投げれば問題ない」

これはウソではない。

フォークボールは予選を前にすでに完成していた。

シンジはあえてフォークボールの投球フォームを変えようとしているのだ。

「ホントですか・・・」

「うん」

トウジとケンスケとは敵同士になり、闘うことは判っていた。

だがシンジが無茶はしないといってくれたお陰で安心することができた。

「そっか・・・よかった」

昔と同じ笑顔をシンジに向ける。

しかしミユキに笑顔が戻っても、今のシンジには不安材料がありすぎた。

 

 

(でも、今まで通りに投げたんじゃ・・・トウジやケンスケには勝てない・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、何から話せばいいのかな・・・」

話すことが多すぎてノゾミは困っていた。

「・・・と、その前に聞きたいことがあるわ」

腕を組んで空を見上げていたが、レイの顔を真っ直ぐに見た。

真剣な顔からこれから聞くことがどれだけ重要なのかが判る。

「碇さんから二年前の事故のことを聞いたって言うけど・・・アナタはそれを聞いて何を感じた?」

シンジたちを襲った二年前の事故。

だが 「何を感じた」 といきなり問われてもなかなか言葉が出てこない。

レイは頭に浮かんだことを素直に話すことにした。

「感じたって・・・とてもかわいそうだった・・・」

「そうね。 でも、誰がかわいそうだと思う?」

「レイさんとお母さん、それとシンジさん」

死んでしまった2人と家族を失い独りになってしまった少年。

この3人以外で一体誰がかわいそうだというのだろうとレイは思った。

「本当にその3人だけだと思う? アスカさんはどう思う?」

ノゾミはレイの考えを否定し、事故と大きく関わりを持つ最後の1人である少女の名を上げた。

当然レイは疑問に思い、心がザラつく。

「・・・なんで彼女が出てくるのよ・・・」

「同じ人が好きなんだから快く思わないのは無理ないか。 でもね、アスカさんも心に傷を負ってしまったかわいそうな人なのよ」

「大体彼女が出てきたのがいけないんじゃない! あのとき彼女がいなかったらあんなことには・・・シンジさんが恨むのも当然よ!」

事故の全容、シンジがレイを助けたときアスカが2人の許にきたために総てが起こってしまった。

当事者であるシンジから直接聞いたので間違いはない。

だがそれはあくまでも惣流アスカを直接知らない綾波レイが、惣流アスカを憎んでいる碇シンジから聞いたモノだった。

「じゃ聞くけど、もしアナタがアスカさんの立場にあったらどうする?」

予想されたレイの返答にノゾミはもう一度聞き返した。

ノゾミから再び投げられた問いにレイは言葉に詰まり答えられなくなる。

「あのときアスカさんは六分儀シンジの身を案じてそばに行った。 死ぬかもしれないっていうのに危険を省みずにね。 アナタにそれができる?」

「で、でも・・・それは2人の仲に嫉妬したからじゃ・・・」

レイは声が小さくなるにつれ、気持ちが揺れてくる。

「ま、アスカさんの性格からするとそっちかもしれないわね。 でも危険な状況は変わらないわ」

レイだってアスカの心を判らないワケではない。

自分だってシンジの身に危険があれば飛んでいくし、他の女の子と仲良くしていれば腹も立つ。

アスカと同じ行動に出てもおかしくないと思う。

だが独り残されたシンジの気持ちを考えるとどうしても納得できない。

アスカは自分の気持ちを抑えきれず、あの事故を招いた。

そう考えられなくもない。

だがノゾミも一度はそこに思い至った。

「でもそのために事故が起きたんじゃ・・・」

「そうかもしれない。 でも事故が起きた後だからそう思えるだけであって、アナタだったらあのときそこまで冷静に判断できるの?」

何度か考えている間に芽生えてきた新たな疑問。

「恋敵と仲良くしている・・・でも危険だから行っちゃダメ、迷惑をかけるから自分を抑えなくちゃいけない」

レイの脳裏にアスカの立場に置かれた自分が映し出される。

ノゾミの問いが怖くなってきたレイは必死で体の芯からくる震え抑えた。

「ひょっとしたら人が死んでしまうかもしれない・・・だから2人のところに行ってはダメ。 例え好きな人が自分から離れようとしてもね」

レイの同じ女である部分がアスカの取った行動を理解しようとしていた。

「周りを見て自分の置かれた状況を冷静に判断して、それで自分の感情を抑えつける。 私だったらそんなのできない」

ノゾミは二年という歳月をかけても出せなかった答えをレイに求めようとしていた。

「都合のいい解釈かもしれない。 でもね、それからの二年間のアスカさんを知っているから、私はそう思えるの」

ノゾミは哀しい目で遠い空を見上げる。

「・・・惣流アスカは誰よりも、何よりも、六分儀シンジだけを愛していた。 ただそれだけなのよ・・・」

そして最後にこの二年間、考え続けてきた疑問をレイに託した。

 

 

「私にはもう何が正しくて何が悪いのかは判らない。 でも六ぶ・・・碇シンジを愛しているのなら、答えを見つけてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「加持ぃ〜」

ミサトがグラウンドの端で部員たちを見ていた監督である加持リョウジを呼んだ。

「葛城か。 スマンな、面倒なこと頼んじまって」

「な〜に言ってんのよ、私はこういうののためにきてるんだから」

若手監督とモデル並の美女という、野球グラウンドには似合わない2人組みができた。

 

「で、あちらさんはなんて言ってた?」

「予想してたのよりずっとタチが悪かったわ。 なにしろ全員揃っちゃったんだから」

初日のシンジの行き先に関してだった。

加持が連絡を取った冴羽リョウがシンジを監視していたのだ。

そして一同を介した墓地での再会を一部始終見ていた。

「ってことは最悪のシナリオが開かれたわけか」

「そっ。 それにねシンジ君・・・彼女を殴ったって言うのよ」

「なっ・・・本当かそれ?」

シンジの優しい性格は野球部だったら誰でも知っている。

その手を上げるどころか虫も殺せないような優しい少年が女の子に手を上げるのは想像できなかった。

「で、どうすんのよこれから?」

「原因が判れば対策ができると思ったんだが・・・簡単にはいかないモノだな・・・」

困り果てているのだが、顔に出さない分だけ大人である。

監督が動揺すれば部員たちの士気にも関わるのだ。

ともかく第壱高校は甲子園を前にして問題ごとが山積みになってきた。

 

「監督〜・・・ってミサト先生じゃないですか」

「あら若槻君、ガンバってるわね」

第壱高校野球部をまとめるキャプテンのタツヤがやってきた。

しかも問題ごとを抱えてだ。

「シンジのヤツ、右ヒジを痛めたそうなんですよ。 大丈夫なんですかね・・・」

「オイオイ、今度はケガか? カヲル君!」

加持がシンジの女房役を呼んだ。

「なんですか?」

「シンジ君が右ヒジを痛めたって聞いたが、それ本当か?」

「ええ。 それで今、保健室に行ったところです」

カヲルが言うのだから間違い。

「ピッチングで何か変わったことはないか?」

「いえ、今まで通りです。 変化球の投げすぎかと思ったんですが、そんなに投げてませんし・・・ただ・・・」

「ただ?」

「多分、精神的な影響かもしれませんが、コントロールが定まらないんですよ。 そう、特にフォークボールを投げるときなんかは」

精神的というところで加持とミサトがピンときた。

甲子園入りした初日にシンジは昔の親友たちに会っている。

そこからピッチング全体に影響が出てもおかしくはない、という結論にすぐ至った。

「綾波君は今どこにいる?」

「霧島さんの話では保健室にいるみたいです。 多分シンジ君を診てるはずですから大丈夫だと思います」

「そうか。 なら大丈夫か・・・」

シンジの支えになってくれるレイの名前が出たが、現実には行き違いがあって2人が会っていないことを知らなかった。

 

「シンジ君は古巣に戻ってきたこともあってナーバスになっているんだと思う。 一応綾波君もそのことを知っているが、これ以上悪くなるようだったらオレたちもフォローしてやらないといけないな」

加持の言葉にタツヤとカヲルが了解してこの場は解散となった。

だが甲子園が開幕すればイヤでもシンジと昔の仲間はかかわってくる。

加持とミサトにはシンジがこれ以上悪い方に向かうのが判っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アナタに聞いてほしかったことはここまで。 これからアナタが聞きたかったことを話すわ」

ノゾミから見た事故の話がようやく終わった。

シンジから聞いた話とノゾミから聞いた話とでは、惣流アスカの印象が大きく異なっている。

憎んでいる者とそうでない者の違い。

視点を変えれば見えなかった部分が見えてくるのだ。

「さてと、何から話せば・・・じゃ、六分儀シンジが去った直後から話そうか」

レイの心臓が高鳴る。

これから始まるのは碇シンジでさえ知らないことだった。

 

まずアスカが今のアスカになってしまったのは、シンジが去った直後ではなかったことだ。

確かに去ってしまった直後に変わったのは事実だが、今より少しはマシだった。

決定的だったのは高校に入って初めての夏、甲子園が始まったときだった。

家族を失っても野球は続け、甲子園で必ず再会できると思っていたのだろうとレイはすぐに思いついた。

現実には再会できず、アスカは全国の予選データ全ての中から六分儀シンジの名を探した。

シンジの実力ならば甲子園に行けずともレギュラーにはなれるはずだからだ。

だが予選データにもシンジの名は見つからなかった。

野球すら辞めていた事実を知ったとき罪の意識に押し潰され、今のアスカになってしまった。

 

次に相田ケンスケの話になった。

過去の話では鈴原トウジと同じく東雲高校の特待生の話があったが、知っての通りケンスケは四国の十六夜高校である。

東雲高校の特待生のテストは受けており、しかも合格していたという。

しかし突然転校すると言い、何も言わずに9月の終わり、ケンスケは四国へと発ってしまった。

なぜケンスケも違う道を選んだかはノゾミにも判らない。

トウジやヒカリ、ミユキもその理由を知らない。

 

次は鈴原トウジの話だ。

1人残ったトウジは特待生として東雲高校へと進むことになった。

シンジに続きケンスケも去ってしまってからしばらくの間、野球にも身が入らなかったという。

だが洞木ヒカリの助けもあり無事に再開し、トウジとヒカリの2人でアスカを見てきた。

その後3人が東雲高校に入学し、トウジの練習熱心さは一層熱を帯びてきた。

1年生であるにもかかわらず四番を任されるところから推測すると、並大抵の努力家でないのが判る。

 

そして昨年の甲子園でトウジたちはケンスケと再会する。

ケンスケが四国の名門、十六夜高校に入っていたのはそのとき知ることになった。

そこで1年生レギュラーの座を手に入れていたことも、シンジが帰ってこなかったこともである。

シンジの名前がなかったことからアスカは変わり果て、そのまま甲子園は開幕する。

トウジとケンスケの闘いは実現されず東雲高校が優勝、十六夜高校はベスト8という結果で甲子園の熱い闘いは幕を下ろした。

 

それから一年、アスカはただ次の夏を待ち続けた。

六分儀シンジとの再会だけを夢見てきたのだ。

総てを忘れて日本を離れるという話もあったのだが、当然アスカは残ると言った。

哀れ父のアベルは現在ドイツで単身赴任中というのはまた別のお話。

トウジとケンスケは一年後、同じ場所、甲子園での再開を約束して別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて時は流れ一年の歳月が過ぎる。

そして六分儀レイの眠る墓石の前で、シンジたちは再会を果たすことになった。


第七拾七話  完


 

 

 

――― 予告 ―――

 

どーも、東ケイタです

 

なんとシンジの右ヒジの調子がおかしくなってきた

 

なかなか野球の話らしくなってきたな、うん

 

さて、次回はミユキってコが綾波を良く思わない理由らしい

 

いったいどんな理由なのかな?

 

それよりもフジオが新しい変化球を身につけたぞ

 

 

 

次回

大切な人への想い

 

「隠された心」

 

注) 予告はあくまで予定です






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