人を殺す。
 鴉には躊躇いも、罪悪感も、名誉欲も、優しさもない。
 だから、私は迷ってはいない。
(ねぇ? 私達は正しいの?)
 迷っては……いない。
 
 雨に煙る石造りの街。
 雨雲で覆われた空では星を見つけることは出来ない。ガス灯の光だけが石畳で覆われた通りを照らしている。そんな場所で私は一人の男と対峙していた。
 その男の名前は知らない。その男が何をしたかも知らない。ただ、男を殺すのが私に与えられた仕事だった。
「貴様が! 貴様が『鴉』なのか?」
 黒いコートを着た男がわめくが、私は答えない。男は瞬時に右手の指輪を使い火の玉を虚空に生み出し、放つ。
 魔法、それは限られた血統にのみ宿る力。魔法はこの世界に重なる異界との境界を揺らし、世界の在り方を限定的に変える技術だ。だが、境界を揺らす別の技術によって魔法は特権ではなくなった。特権でなくなった特権……それは今まで維持されてきた世界の秩序を否応なしに変えて行くだろう。
 放たれた火の玉が私の体に触れる寸前、緑色の粒子となって消える。
「そんな?」
 男の顔が驚愕で彩られる。恐らく魔法が容易に無力化されたことが信じられないのだろう。魔法は特別なものではなくなったが、依然として特殊なものだ。
 腕を軽く上げ、手を開く。
 手の平を向けられた男は、それが魔法の予備動作とでも思ったのか、次々と火の玉を作り出して私に向けて放つ。
 だが、全ての火の玉は緑色の粒子となって空間に溶けて消える。
 男の足掻く様を、生きようとする意思を見ても、何の感情も抱くことなく。
 男の瞳を見つめながら、私は開いていた手をゆっくりと握りしめた。
 キュボ
 青白い炎が男を包み、一瞬で灰へと変える。
 男が死んだ、それだけのことだ。
(ねぇ? 私達がしていることって正しいの?)
 それだけのことだ……私は何も感じては……いない。
 
 
 昨日と同じように空は高く青かった。
 パン パン
 脚立の上でアッシュは二つに畳んだシーツを強く左右に引っ張り、ロープで作った即席の物干しにかけた。
 屋敷の庭にはロープを張るのに手頃な枝がなかったのでアッシュは二メートルほどの高さにロープを張り、脚立に乗って洗濯物を干している。わざわざ高い所にロープを張らなくても、木の適当な所にロープをくくりつければ良いのだが、アッシュはそこまで考えなかったらしい。
 そんな光景をマリアベルは飼い猫のポッターと一緒に眺めていた。
「マメなやつじゃな。どうして、メイドに頼まないのじゃ?」
 と言いながらマリアベルはポッターの顎をなでた。
「貧乏性なんですよ。それに自分で干した方が取り込む時に、お日様のポカポカを最初に感じられるじゃないですか」
 幸せそうなアッシュを見ながら、マリアベルは小さくため息をついた。働いているようでも、アッシュは本来の仕事をサボっているのだ。
「ところで、お主は教育をどう考えておるんじゃ?」
 ポッターの顎の下を指ですりながら、マリアベルはさりげなく言ってみた。マリアベルにとってアッシュの全存在は興味の対象だった。分かれなくてはいけないと知っていても、人を温かい気持ちにさせる彼のことを知っておきたかった。
「……大切なことだと思います」
 と微笑みを浮かべたまま答えるアッシュにマリアベルは履いていたサンダルを軽く投げつけた。
 アッシュはヒョイと避け……脚立から落下した。
 ゴキィ
 などと凄い音がマリアベルの耳には届いたが、死なないだろうなぁなどと考えて放置した。地面に倒れ伏したアッシュの指は力無く開かれ、緑色の芝にドス黒い液体がこびり付いているのだが……気にしてはいけないことも世の中にはあるのだ。
 しばらく、うなっていたが突然起きあがり、
「……ははは、死んだ知り合いが河の向こうで手招きしてました……」
 筆舌しがたい世界で感動の再会を果たしたアッシュは鼻血をダラダラと垂れ流しながら復活を遂げ、マリアベルに歩み寄った。
「人にものを教えるということは、思っている以上に難しいことだと思います。あらかじめ答えの決まっていることばかりじゃありませんから、自分が感じたことを通して教えなくてはいけません。自分が間違っていたせいで、その子の人生を台無しにしてしまうかもしれませんしね。だから、僕は教える方にも教えるだけの覚悟みたいなものが必要だと思っています。まぁ、僕の持論ですけど」
 非常にありきたりな言葉だが、絶対的の真実など世の中には存在していない。物の価値など主観的で、流動的だ。その価値に依存した物が真実ならば、長い目で見て真実などと言う物は存在しない。だが、変わりやすいからこそ、生徒と一緒に満足できる真実を求めていくしかないのだ、とアッシュは考えている。
 だから、教えるための時間が割り当てられていなくても、マリアベルとのやり取りはアッシュにとって授業も同然なのだ。
「役立たずの給料泥棒かと思っていたら、意外にものを考えて生きていたんじゃのう? お主は」
「そんな立派な人間じゃないですよ、僕は。いつだって迷ってますし、何かをして失敗するのを怖がっています」
 意外そうな顔で感心するマリアベルにアッシュは陰のある青年の顔で告げる。
 青年の言葉には大切な何かを失った、凄惨な現実を生きてきた者だけが負う重みがあった。不覚にもマリアベルは一瞬、その陰のある顔に見とれてしまった。
「それで、お主はわらわに何かを教えようとはしないのか?」
「違いますよ。ただサボっているだけで、意味はありません。それから僕のことはアッシュとフレンドリーに」
 ガシガシガシ
「なにがフレンドリーじゃ! 偉そうなことをぬかしおって! この給料泥棒め! お主なんぞ、犬で十分じゃ!」
 にこにこ顔に戻ったアッシュにマリアベルはスタンピングを容赦なく開始した。本当に容赦ない攻撃だった。マリアベルと仲良くなるにつれてアッシュは幸せから遠ざかっていくようだ。
 
 
 思っていた以上に敵は強かった。
 その予想を遙かに上回る強さにアッシュは心の中で舌打ちをした。だが、顔には出さない。後がないことを相手に悟られてしまうからだ。決して崩れることのないポーカーフェイスを頼りにアッシュは更に敵と対峙し続けた。マリアベルならにやけ顔と称するであろう微笑みが、優位に立つための最後の武器だった。
 アッシュが思っている以上に敵は焦っていた。戦ってみて敵が強かったからなどと撤退することは許されない。ましてや相手を圧倒しなくてはならないのだ。
 駆け引き、陽動、フェイントの全てを互いに出し尽くした。後は単純な体力のみが勝敗を決すると言っても良い。
 戦いは無情だ。
「……ぐ」
 敵は呻き、アッシュを忌々しげに睨み付けた。その呪詛すら込められた眼差しを平然と受け流しながら、アッシュは笑みを深めた。
「……あたしの負けだよ、持って行きな」
 敵……エプロンを身につけた四十代後半の女だ。一つに纏めた茶色の髪は色気などなく、その顔は憔悴しているようにも見える。彼女こそ、東街商店街において最強と言われる服屋のアンナである。
 大量に服を突っ込んだせいで膨れた紙袋を二つ渡しながらアンナは舌打ちをする。夕日に照らされて陰の出来た顔は子どもなら泣き出しそうな迫力があったが、
「……四割引で服を買えたのは幸運でした」
 ニコニコと笑いながらアッシュは受け答える。幸運などと言っているが、その全てをアッシュは値切ったのだ。マリアベルに傷を負わされるたびに服が血にまみれるのでアッシュは服を買いに着たのだ。それから、服屋のアンナとの死闘を経て現在に至る。
「チィッ……若造め! 月のない夜は背後に気をつけな!」
 戦いは空しい。勝利しようとも数々の呪詛を浴び、憎しみの籠もった眼差しで睨み付けられる。それでも、ささやかな戦利品……四割引で買い取った服……が僅かながら心を癒してくれる。
「アンナから四割引で……服を買うなんて」
 などと声が聞こえてくる。
「……戦いとは空しいですね」
 台詞とは裏腹にアッシュから微妙に満ち足りた雰囲気が漂っていた。それは彼が繰り広げた『戦い』を空しいとは思っていない証拠だった。
 
 
 そこは小さな公園だった。公園と言っても『大戦』期に破壊された街並みを修復した時に余った区画に木を適当に植えただけの代物で大した規模ではない。
 その一角にあるベンチでアッシュは惚けたように人を眺めていた。通り道として使っているのか、家路を急ぐ人の姿が見ることが出来た。腹を空かせて家に帰る子ども、仕事が終わったばかりの男性、行き交う人は様々だ。時折、可愛らしい少女や、大人の魅力を漂わせる女性が通り過ぎたが、アッシュは興味なさそうに前を見ているだけだった。
 『大戦』と呼ばれる戦争が終わって十年が過ぎ、人々の生活は落ち着きを取り戻していた。それは『大戦』に要塞を作る技術の恩恵でもあったし、人々が穏やかな生活を取り戻そうとした結果なのだろう。
「ねぇねぇ、パパ!」
 子どものはしゃぐ声が耳に届く。
「はは、そんなに急ぐな」
 幸せそうな男の……父親……の声。
 仲良く手を繋いで、家へと返っていく親子の姿を見て、アッシュは小さく溜息を吐いた。
「……今は笑っていないんですね?」
 その当然のように落ち着き払った声を聞き、アッシュはゆっくりと隣を見る。そこに立っていたのは無表情なメイド……メイ……だ。その無表情ぶりに感心しながらアッシュは視線を前に向けた。
「……座ってよろしいでしょうか?」
「構いませんよ」
 アッシュは隣に腰掛けるメイに素っ気なく答える。
「……仲の良い親子に嫌な思い出でもあるのですか?」
「親子連れを見ていると気分が沈むんですよ。どうして、他の人が手に入れられる幸せを僕は手に入れられないのかってね」
 言いながら握っていた手を開き、再び握る。意味のあることではなかったし、アッシュはそんな行動にまで意味を持たせようとは思っていなかった。
「そう、あれから……『大戦』から十年です。十年も経ったのに僕は何も手に入れていない」
 そこにあるのは他者への羨望。いつも穏やかに微笑む青年とは思えないほどの剥き出しの感情がそこにはあった。
「私も『大戦』が終わってから“何か”を手に入れたわけではありません。焦らないで、探しましょう。それが私達には、生き残った私達には出来るのですから」
 不意にメイの瞳に感情が浮かんだが、アッシュは気づかない振りをした。アッシュが地獄のような現実を見てきたのと同様にメイにも人に言えないような経験があると悟ったからだ。
「それにしても、どうしてここに?」
「……迎えに来ただけです」
 
 
 夕日が空と街を不思議な色に変えていた。見慣れたはずの屋敷であるというのに別の世界に来たような感覚を与える。
「助かりました、洗濯の手伝いをして頂いて」
 廊下を歩きながらメイは無表情なままアッシュに言った。メイは取り込んだ洗濯物の入った籠を片手に、アッシュは頭を越すほどの洗濯物を抱え、ヨタヨタと歩いていた。
「いや、良いんですよ。教育係として雇われたのに”あまり“役に立っていませんから」
 顔は見えなかったが、微笑みを浮かべていることは間違いないだろう。屋敷内の他の人にはアッシュ=『微笑んでいる人』で定着してしまっているし、彼はたいていの場合微笑みを浮かべていたからだ。
「いえ、そんなことはありませんよ」
 もちろん社交辞令だ。
「そう言って頂けるとっ!」
 背中に強烈な衝撃を受け、アッシュは洗濯物をばらまいて吹っ飛び、壁に激突した。壁に血の跡を残しながら、アッシュはズルズルと崩れ落ちた。白い壁にべっとりと張り付いた血の帯は流されたばかりと言うこともあり、かなりクるものがある。自分に対して問答無用で攻撃を仕掛ける人をアッシュは一人しか知らなかった。もちろん、マリアベルである。
「何をするんですかっ? マリアベル様!」
 ゴリ
 立ち上がりながら文句を言うアッシュにマリアベルは蹴りを一発。マリアベルは廊下をのたうち回るアッシュとメイを交互に見て一瞬頬を紅潮させたが、すぐに胸を張り
「うむ、ポッターがいなくなったのじゃ。アッシュ、場所を知らぬか?」
「いえ、知りませんが……」
 答えたのはメイだ。マリアベルはフンと鼻を鳴らし、自分の部屋に戻っていった。この時、マリアベルはアッシュに蹴りを入れた理由に気が付かない振りをした。
 
 窓から入ってくる月明かりが廊下にわだかまる闇を淡いものに変えていた。比較的明るかったが、マリアベルは闇の中に引き込まれるのではないかと言う不安を必死に払いながら歩いていた。
 夜が訪れ、マリアベルは一人で部屋にいるのが心細くなったのだ。マリアベルの中にも夜に男性の部屋を訪れることに対する後ろめたさと不安があったが、ポッターがいなくなったことで浮き彫りになった寂しさが勝った。いくら生意気で暴力を容赦なく振るってもマリアベルは子どもなのだ。
 マリアベルはアッシュの部屋の前で一度深呼吸し、扉をノックした。
「アッシュ、わらわじゃ。開けるぞ!」
「え? はい? ちょっ!」
 ドア越しに妙に焦った声が聞こえたが、マリアベルは一人でいる恐怖に耐えきれずに扉を開けた。そして、その向こうには……上半身裸のアッシュが。
 アッシュは時が凍り付いたような感覚を覚えた。
 マリアベルにしても、それは同じだった。
 その男とは思えないほど華奢な体。
 薄闇に浮かび上がる白い肌。
 そこに深く深く刻み込まれた傷跡にマリアベルは息をのんだ。
 殆どは鋭い刃物で斬りつけられた物だったが、右肩に火傷の跡が見て取れた。
「……アッシュ、その傷は」
「……見られちゃいましたね?」
 震える声のマリアベルに答えを返さず、アッシュは小さくため息を付き、黒いシャツを無造作に羽織った。
「……どうぞ」
 立ちつくしているマリアベルに小さな声がかけられる。
「なにがじゃ?」
「部屋に入ると言っていたのはマリアベル様じゃないですか」
 
 他の部屋と比べるとアッシュの部屋は狭かった。床は剥き出しでマリアベルが歩くたびにギシギシと音を立てる。見回してもあるのは安物の家具が置いてあるだけだ。
「ずいぶんと狭い部屋じゃな」
 部屋に入るなりマリアベルはそんなことを言った。
「これでも庶民のレベルから見ると広い方ですよ」
 そんなことを言っている間にマリアベルにベッドを占領し、現在アッシュはギシギシと悲鳴を上げるイスに座ることになった。
「そう言えば、アッシュの話を聞いたことがなかったの? 話すがよい。なんなら初恋の話でも良いぞ」
 努めて明るく振る舞いながら、ベッドに座り直したマリアベルは胸を張って言い放った。
「あまり楽しい話じゃありませんよ」
 過去は切り捨てた物だった。
 小さくため息をついて、普通に生きていくために切り離さなくてはいけなかった過去に思いを馳せる。
「むぅ? 告白して失恋でもしたのか?」
「そう言う訳じゃないんですけどね」
 アッシュの顔からは微笑みが消え、現れたのは青年の顔だ。
 切り捨てた過去をマリアベルに語ろうとするのは、ただの告白衝動なのか。
 それとも別の感情なのか。
 アッシュには区別できなかった。
「言いたくないのなら言わんで良いのじゃぞ」
 あわてて言いながら自分は彼の傷をえぐったのだとマリアベルは悟った。
 耳が痛くなるほどの静寂の後、アッシュは唐突に語り始めた。
「……僕が彼女を好きになったのが何時なのか正確には覚えていません。彼女はいつも優しくて……。彼女はよく僕に向かっていったものです。そんなつまらなそうな顔をしないでってね」
「今とは正反対じゃな。告白はしたのか?」
「いえ……僕が自分の気持ちに気づいたのは、彼女が死んでからでしたからね」
 ぎこちなく、笑みを作ろうと口の端を歪める。
 それは下手な、マリアベルを悲しくさせるような痛々しい微笑みだった。
「失ってみて初めて分かることもあるんですね、世の中には。きっと僕は彼女を絶対に失わないと思っていたんですよ。絶対なんて言葉、あるわけがないのに……マリアベル様、人を愛することは素晴らしいことだと思いますか?」
「素晴らしいことではないのか?」
 彼が意味深なことを言うのは何時でも唐突だ。
「ええ……でもね、人を愛するのは怖いことなんですよ。安らぎを得られても、次の瞬間には零れ落ちてしまうかもしれない。互いの気持ちが通じないことを悩み、苦しみ、傷つけあってしまう。それに、どれほど愛しても……それが失われてしまった時に愛し足りたなんて思える人はいないんですから」
 それはアッシュが血にまみれながら見つけた一つの真実であり、
「……アッシュは人を愛することが空しいとは思っておらんのじゃろ? なら、それは素晴らしいことじゃ。それに完全なものでなくて良いのじゃ。悩み苦しみ迷いながらでも、その後に後悔が残っても、同じ想いと時を共有して生きることが出来るのなら……それは何よりも大切な宝物じゃ」
 最悪の裏切られ方をしたことのない無垢なマリアベルの語る、それも真実であった。どちらも正しく、決して間違っているとは言えなかったが、言い切るマリアベルを見て、アッシュは眩しそうに目を細めた。何かを思い出すように目を閉じて、開けた瞬間には普段の人の良さそうな微笑みが戻っていた。
「うむ、アッシュには間抜け面が似合っておるのじゃ」
 とマリアベルはアッシュに初めて優しげな微笑みを浮かべた。
「間抜け面は酷いですよ」
「一応誉めておるのじゃ。それに人を気持ちよくさせる笑い方をする奴は珍しいからの?それに夜はまだまだ長いのじゃ。辛気くさい顔をされては興が冷めるのじゃ」
「は? まだいるつもりなんですか?」
 意外な台詞にアッシュの目が点になった。聞いてない、年頃の若い娘がふしだらな、などなど頭の中で説得する言葉が渦巻いたが、
「当たり前であろ? アッシュはわらわの話し相手で拒否する権利はないのじゃ」
と言う言葉にアッシュは説得するのを諦めた。自分で口にした言葉なのだ。それに口で勝てる気がしなかった。
 
 
 ブリュンヒルデは笑みを浮かべて、報告書を読んでいた。マリアベルの浮かべる微笑みとは違い、ブリュンヒルデの笑みは美しかったが、温もりは一切感じられない。
「ずいぶんと懐いてきたものね。これなら、殺した時に『鴉』の能力に目覚めるかもしれない」
 ブリュンヒルデは手元にある資料に目を下ろした。
「そうね、念には念を入れようかしら? あの薄汚い猫を殺してしまいなさい」
 ブリュンヒルデは闇に向かって呟いた。
 

(つづく)


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