10年経って...(後編)
 
 
 
 

その日は朝から何か胸のざわつくのを感じていた。心なしか回りもざわついているような気がする。それが何なのか上司のリツコに聞いてみても何も教えてくれない。なんだろう、研究のことでないことは確かだ。それで有れば私に対して隠しておくことのメリットはどこにもない。ならば何?

仕方が無いので『昔なじみ』で有ることを利用して保安・諜報を統括しているミサトの所に探りを入れることにした。そう言えばミサトに会うのもずいぶんと久しぶりな気がする。私は秘書官からミサトの昼の予定を聞き出すと、偶然を装って食堂で網を張った。

予定の時間に食堂に現れるミサトを見つけた。情報通り、一人のようだ。なにやら難しそうな顔をしているところを見るとミサトのところで何か問題を抱えているらしいのは想像が付く。私は偶然を装い、トレーを持ってミサトの居るテーブルへと行った。

「ここいい?」

出来るだけ用心をさせないように、さりげなく前方から声を掛けた。ミサトの方は少し驚いているようだった。無理もないか、アタシから声を掛けるなんてもう何年も前のことだから。

「珍しいわね、アスカ。何か聞きたいことでもあるの」

昔からそうだけど、ミサトの勘は鋭い。まあ普段避けているあたしが声を掛けたのだから、何か裏があるのだろうと考えるのは当然でも有るけど。

「別に、たまたまミサトを見かけたから声を掛けただけよ。何かおかしい」

アタシの顔は引きつっていないだろうか、そう心配しながらミサトの疑問に答えた。でも多分誤魔化しきれないだろうと思いながら。

ミサトは何か考え込んでいるようだった。いや何か迷っていると言った方が正確なのかもしれない。即断即決を絵に描いたような彼女としては珍しいことだ。

「あなたの所には、もう少し状況が見えてきてから話に行くつもりだったんだけどね。まあ来てしまったものは仕方ないか」ミサトはそう言うと「ここでは話しにくいから」と言って「午後一で自分のところに来るように」と私に告げた。その時にはレイも連れてくるようにと。それだけを言うとミサトはさっさとトレーを下げてアタシの前から姿を消した。

「一体何なの」

それがアタシの正直な感想。単にざわついていると感じたことが、思ったより大きな事態だったのかもしれない。『レイも呼べ』と言われたことにアタシはふと不安を感じた。なんだろうこの感じは...不安が増幅してくる気がする。

「とにかくレイに話さなくちゃ」

アタシはレイを連れ出すべく、昼食を早々に切り上げ研究室へと急いだ。
 
 

                                                ***
 
 

午後一の約束と言うことで、アタシはレイを捕まえてミサトの執務室へと向かった。そしてもう一人、上司のリツコを連れて...

「レイ、ちょっとお願いが有るんだけど。アタシと一緒にミサトの所へ行ってくれない」

アタシは隅っこの方でちまちまとお弁当を食べているレイを捕まえ、いきなりそう切り出した。レイは目を白黒とさせている。のどにご飯を詰まらせたのだっろうか、慌ててお茶を飲み干している。

「…アスカ、急にどうしたの」

少し抗議の色が混じったその声。でもアタシはそれに構わず言葉を続けた。

「アンタも少しは感じているでしょう。何か周りがざわついているって。その理由をミサトの所へ探りに行ったんだけど、そうしたらこういう話になったわけ。ミサトがアンタも連れて来いって言ったのよ」だからアンタも来るのよとばかりアタシはレイに詰め寄った。

「あら、アタシもその話には興味があるわね」

その時突然後ろからそう言われてアタシも驚いた。アタシの後ろにはリツコが腕を組んで立っていた。

「驚かさないでよ。でもリツコも理由を知らなかったの」アタシは驚きで上がってしまった心拍を治めながらリツコにそう聞いた。何よりリツコが知らないと言うことに興味が有ったからだ。

「アタシだって何でも知っているわけじゃないのよ。それにミサトの所の情報は特に技術には関係ないからね」リツコは笑いながらそう言った。そして「当然アタシも行って良いのよね」と言った。でもリツコの顔が本当には笑っていないのはアタシやレイにもよく分かった。こんなリツコに逆らってはいけない。

「も、問題ないんじゃない。アタシたちの上司なんだし」...顔、引きつっていなかったかしら。

ミサトの執務室に着くと、待っていたようにすぐに秘書によってミサトの前に通された。そこには久しぶりに見る加持さんの姿もあった。以前はその姿を見ると痛んだ胸も、もう痛むことは無くなっていた。私の心の中には誰が住んでいるのだろうか。

ミサトはリツコの姿を認めると「やっぱり来たわね」と笑い、全員をソファーの所へ招き寄せた。そしてアタシたち全員が座ったのを確認すると、ミサトは加持さんへ目配せをした。それを合図に加持さんはアタシたちに状況の説明を始めた。

「何かいつもと違うとは感じているだろうが、この数日保安部隊の侵入者との接触が増えている。今のところこちらの被害は軽微だが、慎重を期する必要がある」

そう言うと加持さんは私たちの顔を見渡した。

「多分みんな気づいていると思うが、これはすべてアスカの周りの出来事なんだ」

そう言って加持さんはアタシの顔を見た。仕事をする男の顔とでも言ったものだろうか、アタシも滅多に見たことのない加持さんの真剣な表情だった。

「なんで、アタシが。それに一体誰が。日本政府なの」

アタシの声は震えていたかもしれない、怖かったアイやレイと一緒の平穏な日々が壊れてしまうのが。

「日本政府はこの件には関係ない。それはすでに確認がとれている。それに日本政府が行うには大がかりすぎるんだ。彼らも、今ネルフを敵に回すのは得策では無いことは良く理解している」

「なら誰が」

「まだ推測の息を出ていないが、ゼーレだ」

加持さんは苦いものを飲み込むような顔で、その名前を出した。ゼーレが絡むとすればことはアタシの拉致だけで済むはずがない。その先に何か悪いことがある。そう思えるからだ。

「狙われているのはアスカだけなんですか」

その時レイが話に割り込んできた。ゼーレが絡むとなれば彼女だけ蚊帳の外と言うわけではあるまい。

「保安部員と接触があったのはアスカの周りだけだ」

その加持さんの言葉はアタシたちに小さな疑問を呼び起こした。

「じゃあ接触が無いところでは他にも居るの」

「実は侵入者との接触が増えたとは言ったが、これはこれまでの許容範囲を超えない範囲でのことだ。だが本当の問題は、それとは別に沢山の身元不明の死体が見つかっていることだ。そしてこれらはアスカとアイちゃんの周りで見つかっている」

「どういうことなのそれは」

アタシの声が震えているのが判る。アイまでターゲットに入っているのか。せっかく捕まえた幸せに暗雲が掛かる思いがした。

「アスカとアイちゃんが、奴らのターゲットであることが推測されると言うことだ」

「そんな、アタシたち親子を襲ってどうしようって言うのよ」

「分からない。息のあった侵入者も何も情報を持っていなかった。
 そして一つ分かったことは、もう一つのグループが背後で動いていることだ」

「どうしてそんなことが分かるんですか」レイの凛とした声がひびく。

「その侵入者を仕留めたのがネルフじゃないからだよ」

アタシの頭にふと浮かぶものがあった。それは最近レイと交わした会話のせいかもしれない。

『碇君は今でも戦っている』

レイの言葉がアタシの頭の中を木霊した。

アタシは視線をそっとレイの方に向けた。そしてレイがアタシと同じことを考えているのを理解した。レイがこれまで見たこともないような喜びと悲しみの入り交じった顔をしていたからだ。アタシはレイから視線を外すと、もう一度加持さんの顔を見た。

「シンジなんでしょう」

自分の口ではないかのように、その言葉が紡ぎ出された。何故アタシはこの名前をこんなにも平静に言うことが出来るのだろう。そして今の状態をどうして受け入れているのだろう。

「ああ、あの二人に間違いない。彼らがゼーレの動きを掴み、それを潰すために動いていると考えるのが一番自然だからな」

その時アタシは気づいてしまった。守られている状況を嬉しいと思っている自分がいることに...
 
 

                                                ***
 
 

「何故だ」

その男は暗闇の中、一人呟いた。

「何故他のものは参加せん」

自分の置かれた状況の理解を拒むかのように。

「まさかすでに奴らの手に掛かったのでは...」

そのつぶやきと共に一枚のモノリスはその場から姿を消した。
 
 

                                                ***
 
 

「アタシはどうしてここにいるのだろう」

焦点の合わない目で、周りの景色を見回してみる。どこかのホテルの一室だろうか、広めのダブルのベッドに簡単な調度品。落ち着いた調度品から、その手のことを目的としたホテルでないことは十分に理解できた。しかし自分のしたことは変わらない。ようやくはっきりとした意識は、隣にその相手が眠って居ないことを気づかせた。

一体どうしたんだろう。あれ以来他人と肌を合わせることを嫌悪していたはずなのに。どうして、昨夜たまたま出会った男とこうなってしまったのだろう。それよりも何故こんなに安らぎを覚えているのだろう。アタシは昨夜の出来事思いだそうともう一度目を閉じた...
 
 

ミサトの話があってから今に至るまで、結局アタシたちの目に触れるところでは何事も起こらなかった。アタシもアイも普段の通り生活を過ごすことが出来た。何時しかミサトの言っていることが本当のことなのかと疑っている自分もいた。

しかしミサトの所から回ってくる報告書にはその事実が存在した。実際、情報操作が間に合わなかった分に付いては、殺人事件としてTVで取り上げられることも有った。確かにアタシとアイを狙う組織は存在していた。そして、その組織からアタシたちを守る存在もまた実在したのだ。

あれから1ヶ月経った昨日、レイはアタシに向かっていきなり夜遊びをしろと命令した。「どうしてそんなことを言うのか」と言うアタシの質問には、レイは笑いながら「たまには息抜きをしないと気持ちが参ってしまうでしょう」と言った。確かにそれは分かる。しかし、まだ身の安全も分からないのにそんなことをしていて良いのかと言う気持ちも強かった。そして何より、こんな時にアイを一人残すことにも不安が有った。そんなアタシの気持ちを察したのか「葛城さんも同じ意見よ。それにアイちゃんなら今日は私が一緒にいるから心配しないで」そう言って夜遊びをしろと嗾けた。アタシはそのレイの厚意に腑に落ちないものも感じたが、いい加減退屈もしていたので、感謝してそれを受けることにした。

そして行きつけのバーでその男に逢った。

アタシがその店に入ったときには、すでにその男はカウンターに腰を掛け、マスターと談笑していた。たまたまその日は店が混んでいたので、空いている席はその男の隣しかなかった。一瞬店を変えようかとも思ったが、すでにお酒が入っていて面倒になったせいか、そのまま空いている席に座ることにした。

その男は女のアタシから見ても「綺麗」な男だった。長く延ばした髪と薄い化粧のせいか、男と言うより男装した女性という雰囲気をその男は持っていた。普段だったらあまり相手にしたくないタイプのはずなのに、その日は久しぶりに飲んだお酒のせいかそんなことも気にしないで会話を楽しんでいた。

「アンタ本当に男なの」

「試してみるかい」

きっかけは些細なことだったと思う。売り言葉に買い言葉とでも言うか、アタシたちは成り行きでベッドを共にする事になった。これも自分にとって信じられないことだった。

信じられないことにアタシは久しぶりの男に没入していった。それがなぜだか分からない。でもその男に抱かれることで、アタシは快感と共に心の安らぎを得ていたのは確かだった。そして心の中の今まで満たされなかったものが、男によって満たされていくのを感じていた。アタシは何度も男を求め、その男も何度もアタシの要求に応えアタシの中に精を放った。

その男の体は、華美な外見とは異なり、しなやかで張りのある筋肉と沢山の傷を持っているのがアタシの心に残った...

何度目かの絶頂を迎えたとき、アタシの意識は白い闇の向こうに消えていった...
 
 

昨日の出来事を思い出したアタシは、急に恥ずかしくなった。いくら勢いとはいえ10代の小娘でも有るまいし、何を興奮していたのだろう。お酒の所為には出来ない。そんなに沢山飲んでいたわけでは無いのだから。でも...

「何でこれまで我慢していたんだろう」

ふとそんな気持ちが浮かんできた。シンジに対して貞操を立てなければならない筋合いは無い。でもこれまでは周りの男達とそんな関係になることなど想像も付かなかった。ならこれからはどうか...やはり想像も付かない。なら昨日はどうしたんだろう...アタシは男の顔を思い浮かべ、また寝ても良いかなと考えていた。

そんな自分の考えに浸っていたが、ふと一つ思いついたことがある。確かそろそろ危ない日のはずだった。今は後のみタイプの避妊薬があるから良いようなものの、はっきり言って無様なものだ。クスリを貰う時のリツコの顔が思い浮かんだ。そのとたん、いい気持ちだったものが吹き飛び、自分の体が汗と体液でべたついているのが気になった。「シャワー、浴びよう」アタシはベッドから飛び起きると、脱ぎ捨ててあったガウンを体に纏ってシャワールームへと向かった。

そう言えばやけに外が明るい。カーテンの間から差し込む日差しが強いことにアタシは気づいた。ちらりと窓の外を覗いてみる、窓から見たら日はすでに高く昇っていた。時計を見たら10時を過ぎている。完全な遅刻...怒っているリツコの顔が目に浮かぶようだ。

『早くネルフに行かないと』と急いでシャワールームに着いた時、ようやく先客がいることにアタシは気が付いた。今頃気が付くというのも間抜けな話だ。部屋から出ていかない限り相方の行き先はそこしかないはずだ。すぐにはシャワーが浴びられないと分かったとたん、体にまとわりつくものがいっそう不快に思えてくるから不思議だ。

『早く出ろ』と声を掛けようとして、アタシはあいつの名前を知らないことにハタと気づいた。仕方がない、ドアを叩いて叫んでやれ。そう思いドアを叩こうと腕を振り下ろしたとき、唐突に内開きのシャワールームの扉が開けられた。勢い余ったアタシは開いた扉から、男の胸に飛び込む形となった。

「このまま続きって言うのも魅力的だけどね。残念ながらこれから外せない用が有るんだ。先に出るから鍵はフロントに預けておいてくれないか」男はそう言ってアタシの体を放すと入れ替わるようにしてシャワールームを出ていった。

「なんか手玉に取られている気がする」ふとそんなことを考えてぼんやりと閉まった扉を見ていたが、今自分が置かれている状況を思い出した。

「急がなくちゃ」

アタシはガシガシと体を洗い、急いで準備をすると部屋を飛び出した。フロントへ出て分かったことだが、アタシはずいぶんと高級なホテルを利用していたらしい。部屋もよくよく考えるとスイートのようだ。一瞬支払いのことが頭をかすめたが、ままよとばかりフロントに鍵を突きだした。

端から見ると滑稽な姿かもしれない。力みかえったアタシを気にすることも無く、フロントの男性は「いってらっしゃいませ」と笑顔を浮かべて応対をした。何か肩すかしを食らったような気がするが、そんなことにかまけている暇も無いのでアタシはそのまま車止めでタクシーを拾った。
 
 

                                                ***
 
 

『こういったときは本当に白衣って便利だと思う』アタシは更衣室で着替えながらそう思った。何しろ白衣を着てしまえば昨日と同じ服を着ていることに気づかれないからだ。アタシはぴっちりと白衣を着込むとこれから言われるであろう、リツコの小言を思い浮かべながら重い足を引きずって研究室へと向かった。

途中ですれ違う所員がアタシを見て笑っている気がする。服装はちゃんとしているはずだし、目の下に隈もないしキスマークが付いてないのも確認している。『気のせいよ』と自分に言い聞かせながらアタシは先を急いだ。

「さりげなく、さりげなく」アタシは研究室のドアを前に一つ深呼吸をした。「さりげなく行くのよ、アスカ」もう一度確認してドアの開閉スイッチを押した。

軽やかな空気音と共に、そのドアは開いた。アタシはすぐさま上司であるリツコの存在を目で探った。

「ほっ、不在のようね」アタシは胸をなで下ろした。その瞬間背後から冷たい声が...

「残念ねアスカ。アタシならここにいるわよ」

びくりと振り向くと、そこにはこめかみを押さえたリツコの姿があった。

「はは、ちょっち遅くなっちゃって...はは」背中にたっぷりと冷や汗をかきながらアタシはなんと言って弁解しようかと考えていた。しかしアタシが考えた弁解の言葉を口に出すよりも早く「久しぶりだからって...まったく。ミサトが呼んでいるからすぐに行きなさい」リツコはそう言って固まってしまったアタシの横を通り抜けて自分の席へと戻っていった。その時のリツコの顔が優しく微笑んでいるように見えたのはアタシの見間違いに違いない。きっとどうやって苛めようか考えているのに違いない、とアタシは信じていた。

秘書に通されてミサトの部屋に入ったとき、すでに5名の先客がいた。白髪をびしっと固めた長身の男、冬月指令と、相変わらずむさ苦しい格好をしている加持さん。そしてアタシの親友のレイ。他に二人...アタシはまず銀髪の男が目についた。アタシの記憶に間違いなければ、銀髪に赤い瞳なんて男はそうは居ない。

「ちょっと、アンタカヲルでしょう。何でこんな所に居るのよ」アタシはその男をかなり陰険な目で睨み付けていた。しかしその男は私の視線をさらりと受け流すと嬉しそうに話し出した。

「これで賭は2連勝だね」カヲルはレイとその横に向こうを向いて座っている黒髪の人物に向かって楽しそうに言った。

「…アスカ、見損なったわ」レイは冷たい視線をアタシに向けてそう言った。

「…全くだね」向こうを向いて座っていた男がそう言って振り向いた。その顔は...

「アンタ、昨夜の」瞬間アタシの頭は真っ白になった。カヲルがここにいるのならもう一人の男が誰であるか決まり切ったことだ。

「まったく...カヲル君はすぐに分かったのに、ボクのことは今まで分からないなんて...」あからさまに落ち込んだ様子を見せ、シンジはそうアタシに向かってそう言った。

「…私は一目で分かったのに。碇君、昔のことは忘れて私と一つにならない」レイはちらりらとアタシの顔を見ながらシンジに向かってそう言った。レイの顔にあんないたずらな笑みが浮かぶのを見るのは初めてのことだった。

「レイ、それでは約束が違うね。ボクが賭に勝ったんだから、ボクと付き合うんじゃなかったのかい」カヲルは明日の天気を話すかの様にそう言った。彼らの会話に違和感を感じながら口を挟むことの出来ない自分にとまどいを感じていた。

「…あなたは私に取って2番目なの。でも1番と2番の間には大きな溝がある...あなたではそれを越えることは出来ないわ」レイはカヲルを見るのではなく、私に視線を向けそう言った。「1番が存在する今、2番目には用はないわ」

「だがシンジ君の1番が君でないことも知っているだろう」

「ええ、でも私には問題ではないわ。碇くんの1番は彼を1番として見ていないのだから」レイはアタシの方をチラチラと見る。レイってこんなに意地悪だったのかしら。

辛抱という言葉に縁の薄いアタシはついに爆発した。こいつらアタシをさしおいてなんの話をしているのよ、と。
「ボクがね、二人に賭を持ちかけたんだ。一つは惣流さんが昨夜帰ってくるか。もう一つが、シンジ君とボクとどちらを惣流さんが先に判別するか。君のお陰でボクが2連勝と言うわけさ」にこにこ笑いながらカヲルは私にそう言った。横ではレイがぶつぶつと文句を言っていた。

「…碇君と分かっての朝帰りだったら許せたのに...
 アスカがそんなふしだらな娘だと思わなかったわ」

「まったくだよ、アスカは誰でも良かったんだね」シンジがことさら落ち込んだ姿をアタシに見せつけた。

さすがにシンジの『誰でも良かった』の言葉には返す言葉が無かった。何しろ今の今まで昨夜の相手がシンジであったことを知らなかったからだ。でも、言われている内にだんだんと腹が立ってきた...こうなってしまえば理屈はない。

「あ〜、も〜うるさいわね。相変わらずいじいじとしているんだから。
 子供まで作っておいてぶつぶつ文句を言うんじゃない!
 それにアンタ昨日お化粧していたでしょ。
 なんか言っていることがわざとらしいのよ。
 それにねぇ、二人目をアタシの中に仕込んでいるのかもしれないのよ。
 きっちりとこれまでの分、責任とんなさい」

アタシはぶつぶつ言っているシンジの胸ぐらを掴んでそう言った。今ではシンジの方が遙かに背が高いがそんなことは関係ない。何故かシンジに向かうときだけは、迫力がいつもの5割り増しになっている気がする。

「アスカってまた嘘を付いたんだ。
 昨日だって『今日は大丈夫だから』なんて言ったくせに」

「アタシはそんなことを言った覚えは無いわ。
 だからその反論は却下却下、大却下よ。
 50歩譲ってそう言ったとしても、それは女にだけ許される嘘よ。
 騙される方が悪いんだわ」

アタシはシンジの胸ぐらを掴んだまま、勝ち誇ったようにそう言った。やはりシンジには理屈より力押しが適当だ。

「大体アタシじゃあ不満だってゆうの」

ここまで来ればもう一押し。アタシはシンジの胸ぐらをつかんだ右腕に『グイ』と力を込めた。

「でもアスカはボクじゃなくても良いんでしょう」シンジの反撃は思いの外クリティカルヒットになった。「7年前なんてボクのことを見ていなかったじゃないか。ボクに抱かれながらその目は最後まで加持さんを見つめていた。違うかい」更にシンジは言葉を続けた。「ボクにアスカへこだわる理由があっても、アスカにボクをこだわる理由は無いんだろ。どうして今更なんだよ」

淡々と話されるシンジの言葉がアタシに突き刺さる。昨夜のことも含め、アタシはシンジだから抱かれたということは無いのだから。アタシはシンジをどう思っているの...解らない。今までわざとそのことを考えるのを避けてきた。そのつけが今回ってきたのか...シンジを掴んでいた右腕は、いつの間にか中を彷徨っていた。

「シンジ君」「しんちゃん」加持さん、ミサトからシンジを咎めるような声がひびいた。

「加持さん、ミサトさん。もう手遅れなんですよ。
 ボクはカヲル君との賭に負けてしまった。
 それに誰かが責任を取らなければ収まりがつかないことも確かです。
 アスカはボクのことを愛しているわけではない。
 それで良いんです」

掴まえなくちゃ...そう思っても手が動かない。足も動かない。シンジの言っていることは本当のことだったから。つけが回って来たのだ...シンジのことを考えなかったことへの。

「どうするつもりなの」

ようやく絞り出されたアタシの言葉。本当に言いたいのはこんなことじゃないのに。

「ボク達は数え切れないほど人を殺している。
 いくら理由があったとしてもそれは許されることじゃない。
 だから誰かが責任を取らなくてはいけないんだ。
 カヲル君がボクをICPOに突きだす。その見返りに彼は自由になる。
 それがボク達の賭の内容...司法取引というやつさ。
 そう言うことだよ。惣流さん」

シンジがアタシを『惣流さん』と呼んだ瞬間、アタシの中の何かが崩れ落ちたのを感じていた。それはアタシの中で決して変わらないと思っていたものが消え去る瞬間だったのかもしれない。

シンジがカヲルを伴ってその場を出ていくときも、アタシは声一つ立てることが出来なかった。それどころか指の一本も動かすことも出来なかった。自分が息をしているのかも自信が無いくらいだ。

失ってしまった...アタシはシンジを失ってしまったのだ。

昨夜からの楽しかった気分はいっぺんに吹き飛んでしまった。シンジが帰ってきたことへの喜びも一気に消えてしまった。甘えだったのだ。アタシはシンジに対して甘えていたのだ。シンジならアタシが何をしてもアタシを見ていてくれる。決してアタシを見捨てることは無いという、なんの根拠もないアタシの甘えだったのだ。

半身の喪失...その表現がまさにぴったりだった。アタシは加持さんやミサト、レイの掛けてくれる慰めの言葉も耳には入らなかった。
 
 

                                                ***
 
 

その翌日の新聞には『国際的テロリスト逮捕』の文字が踊っていた。仲間から持ちかけられた司法取引にICPOが応じることで主犯の「碇シンジ」を捕縛することが出来たと大々的に報じられていた。そしてその横には犠牲となった各国の要人の顔写真と、被害者がリストアップされていた。稀代の大犯罪人。犯行理由は不明との文字も見つけることが出来た。どの新聞を見ても同じ様な内容だった。それは日本の新聞だけでは無く、海外の新聞を見ても同じだった。

逮捕後、シンジの身柄はすぐさまハーグに移され、そこで非公開裁判が行われることになった。

裁判の様子は分からない。ただ一つだけ明確なことはもうシンジには会えないだろうと言うことだ。そしてそのアタシのあたって欲しくない予想は『碇シンジ処刑』と言う1ヶ月後の新聞記事で現実のものとなった。

その知らせを聞いてもアタシの目からは涙はこぼれなかった。あの日からアタシは泣く権利を失ってしまったのだから。
 
 

一方アタシは予想通りと言うかなんというか子供を身籠もっていた。当然あのとき出来た子供である。今度はアタシもこの子の父親は碇シンジだと公言した。そして一緒にアイの父親のこともみんなに話した。

そして碇シンジのことを愛しているとも。今更手遅れなことは分かっている。でもこれがアタシのけじめなのだと...

レイはカヲルとつき合いだしたようだ。1番が消えてしまったので、2番が繰り上げになったと言っていた。現金な気もしないでもないがそれも仕方ないだろう。

あの後もレイのアタシに対する態度は変わらなかった。最初はそれが重荷にもなったが、今ではそれもありがたいことだと思えるようになった。とにかくレイはアタシに対して変わらぬ友情を与えてくれる。今はレイとこの子達がアタシの支えだ...

でもアタシは幸せではない...
 
 

                                                ***
 
 

「ママ〜、お誕生日おめでとう」

アタシもこれで25だ。あの忌まわしい事件からも10ヶ月が過ぎ、隣では生まれたばかりの「スナヲ」がすやすやと眠っている。私の前では、今年7歳になった娘のアイが、可愛い声でハッピーバースデーを歌ってくれる。その横にはレイ夫妻が、そして更にその横には...

「なんでアンタがここにいるのよ」

アタシはアイの前で発散しうる最大限の毒と敵意を持ってその男を見た。今日は化粧をしていないようだが相変わらず綺麗な顔をしている。ただ見ても分かるように盛大に冷や汗をかいているが。

「後できっちりと説明して貰うからね」

アタシの前ではアイがしっかりとその男に懐いていた。これもすべてレイ達の陰謀だろう。アタシが帰ってきたときにはすでにその男は上がり込んで、バースディパーティの準備をしていたのだから。

「それにしてもどうしてこんなに料理があるのよ。食べきれないじゃない」

レイとカヲルがにこにこと笑っている。こいつらぜったに何か企んでいるんだ。何かお返しをしてやらなくてはとは思うのだが、なにぶん身重なレイには迂闊な真似は出来ないし。アタシは悔しさに臍をかんだ。

レイが身重...信じられないことだが、レイはカヲルとの子供を妊娠した。遺伝子、血液...すべての条件でレイは子供を身籠もることは出来なかったはずだ。それなのに何故と言う疑問がアタシたちには有った。

「ボクとレイは同じだからね」「…そう言うこと」

アタシたちの疑問に対する二人の如何にもあっさりとした答え。何か仕組まれていたような気がする結末だ。それにしてももう一つ問題は有る。

「でもあんた達の子供はどうすんのよ。外に相手なんていないわよ。問題を先送りにしただけじゃない」アタシはそう言ってカヲルとレイを責めた。レイ達の子供が将来苦しむのは分かっていることだから。

「心配することは無いよ惣流さん。ボク達はちゃんとした人の遺伝子も持っているからね。その遺伝子同志が結びつけば、産まれてくる子供に障害が及ぶことは無いよ」いけしゃあしゃあとカヲルはそう言った。

「だったら他の相手でも良かったんじゃないの」あまりにもあまりなその回答にアタシは噛みついた。別にこの夫婦を壊そうとする気なんか無いけれど。

「残りの半分が阻害要因として働いているんだ。だから普通の人相手では無理なんだよ」出来てしまった今となってはどうでもいいと言えばどうでも良いのだが。とにかくあの二人の間に子供が出来て、その子供の将来には制限が無い。その結果になんの不服も有るわけが無い。

アタシが昔のことを思い出している時、山のような料理の理由がやってきた。加持さん夫婦にリツコやヒカリ達...みんなはシンジの顔を見ると順に頭を叩いていった。でもみんなお顔には優しい表情が浮かんでいた...

みんなの祝ってくれる誕生日。そして横にはシンジがいる...私は今、幸せだ。
 
 

                                                ***
 
 

楽しかったパーティも終わり、みんな三々五々家路についていった。いつもなら一緒に夜更かしをしていたレイも身重だと言うことで、そうそうにカヲルと二人で引き上げていった。その結果アタシの家にはアタシたち親子とシンジだけが取り残された。

今アイはシンジと一緒にお風呂に入っている。いつになくアイのはしゃいだ声が聞こえてくる。着替えを持って洗面所に入ったアタシは、自分の顔を鏡に映してみた。

「笑ってる...」

アタシの顔は幸せそうに笑っていた。こんな笑顔は自分でも久しぶりだ。

「認めるしかないのかなぁ」

心のどこかであいつを待っていたことに。あいつを待っていた自分自身に...
あたし自身、あのとき一歩を踏み出せないでどれだけ後悔したことか。
もう二度とあんな思いをするのはイヤダ...

「アタシも入るっ」

アタシはその場で着ている物を脱ぎ捨てると、二人の入っているお風呂へと飛び込んでいった。
 
 

                                                ***
 
 

「スナヲは寝たわよ」
「アイちゃんも寝たよ」

アタシたちは一つのベッドに横たわっていた。当然寝間着の類をちゃんと着ている。ネグリジェのボタンを外そうとするシンジの手をアタシは押さえた。

「だめよ」
「どうして、子供達はもう寝たよ」
「そんなんじゃないわよ。アンタアタシに言わなくちゃいけないことが沢山あるでしょう」

そしてアタシはシンジの手のひらを抓った。

「痛いなぁ、いいだろぅもう済んだことだし」
「アタシがこの一年どんな思いをしていたと思うのよ。
 だからそんなことでは誤魔化されないわ」

アタシの胸をまさぐろうとしていたシンジの手をもう一度抓った。

「分かったよ。長い話になるけどいいかな」
「アタシたちには時間は十分にあるわ」
「そうだね、じゃあどこから聞きたい」
「ここからいなくなった所からよ」

はいはいとシンジは長い長い物語を語りだした。

日本国内の危険を排除した頃にカヲルに聞いたゼーレの陰謀。
日本に居てはアタシを守りきれないと、力を手に入れるため。そしてゼーレの目を逸らすために中東へ行ったこと。
世界各国でのゼーレのメンバーとの戦い。
ゼーレの真の目的。
そしてゼーレのターゲットが変わったことを察知して日本に戻ってきたこと。
アタシに娘が居たことへの驚きと失望。
それが自分の子供だったことへの喜び。

アタシは知らないところで戦ってきたシンジの話を黙って聞いた。それが全部本当のことであるのはシンジの体を見れば分かる。8年前とは違って鍛え抜かれた体。そして戦いの傷を幾つも残したその体。

アタシは最後に残った疑問を口にした。

「ねえ、1年前はどうしてアタシを拒絶したの。
 あんなに愛してくれたのに...」

「それは...」シンジは一瞬言葉に詰まったが、すぐに言葉を続けてくれた。

「アスカは賭のことを覚えているだろう。アレも賭の一つだったんだ。
 ボクがカヲル君に賭に負けたら...アスカがボクのことを分からなかったらということなんだけど。
 ボクが捕まる役になって、カヲル君がサポートする役になる。
 そして僕らの持っている情報でUNの上層部を脅して譲歩を取り付ける。

 それからボクのことを分からなかったアスカには、きつ〜い罰を与えるってね」

「酷いよ、アレが罰だったの...
 アタシは本当に苦しんだんだから」

「でも、あのときアスカは、ボクのことを愛していると言ってくれなかっただろう」

「それは...」

「それにね、これは本当に賭だったんだ。捕まる役になったボクが生きて帰れるかどうか。
 だからある意味アスカを突き放す必要があった。もし帰って来られなかったときのためにね」

「でも酷いよ」

「そうだね酷いことをしたね。だからさ」

そう言うとシンジはアタシに覆い被さるようにしてキスをしてきた。今度はアタシも抵抗はしなかった。

「責任をとるって訳じゃないけど、この子達の父親として一生一緒に居たいんだけど...だめかな」

「ずいぶんと勝手なことを言うわね...どこに逃げたってあなたはこの子達の父親なの。
 そんなことは今更言わなくても良いわ。
 それにこうして今ここにいるのよ。だめなわけ無いじゃない」

今度はアタシの方からシンジに抱きつきキスの雨を降らした。

「愛してるシンジッ」

シンジはその言葉に応えるように、アタシのネグリジェのボタンを外してアタシの胸を露わにした。そしてその胸を愛おしそうに優しく愛撫すると乳房に口付けをしようとした。その時...

おぎゃーおぎゃー

それは自分の物だと主張するようなスナヲの泣き声が上がった。

その泣き声にアタシはシンジを払いのけると、スナヲの所へと飛んでいった。そしてスナヲを抱き上げ、露わになっていた乳房を清浄綿で拭きあげスナヲにくわえさせた。

「残念ねぇ、この月齢の子供は3時間おきに目を覚ますの。これからはシンジにもつき合って起きて貰うからよろしくね...お父さん」

アタシは乳首に吸い付いて母乳をすっているスナヲの顔をシンジに向け、シンジに向かってトドメを刺した。これでこいつはもう逃げられない。子供という太い鎖を首からかけてやったのだ。アタシは勝ち誇ったようにシンジの顔を見た。

シンジは邪魔されたことに腹を立てたのか、すねて向こうを向いていた。こいつも何時かは鈴原の所みたいな親ばかになるのだろうか。アタシはその姿を見てとりとめもなくそう考えていた。子煩悩な世界一のテロリスト...これではまるで漫画の世界だ。

アタシはすっかりとすねてしまったシンジに向かってウインクをした。スナヲは十分に飲んだのか、再び浅い眠りへと堕ちていっている。

「そんなにすねなくてもいいのよ。シンジの分もちゃんとあるんだから。
 それにね、夜はまだまだ長いのよ」

スナヲにゲップをさせ、再びベビーベッドに寝かすと、アタシは残っていたショーツも脱ぎ捨て、そのままシンジへと飛びかかった。

「それに、今までの分まで愛して貰わないとね...あ・な・た」

アタシはシンジを押し倒すと唇を重ねた。そして唖然としているシンジのパジャマを剥ぎ取った。残念ねぇ子供を持った母親はテロリスト何かより強いのよ。良くそこの所を認識しておくようにね、バカシンジ。

アタシはシンジに抱かれながら、『しばらく休暇を取ってやる』と心の中で考えていた...

これまでの思いを果たすには一晩では短いのだ。
 
 
 

fin
 


トータスさんのメールアドレスはここ
tortoise@kw.NetLaputa.ne.jp



中昭のコメント(感想として・・・)

  トータスさんより一周年記念作品、投稿して頂きました。

  >「アンタ本当に男なの」
  >「試してみるかい」
  おろおろろろろ
  しかもどうやらその男は特別らしいぞぉ
  おろおろろろろ
  ・・・・・・・・シンジだったのね


  >「それに、今までの分まで愛して貰わないとね...あ・な・た」
  幸せそうでよかったっす。 うん。
  




オフ会できゃらこめやってくんないのと言われた記念2。ちょっときゃらこめ。
美少女M  「・・・はふぅーん。らぶらぶね」
少年S   「うん・・・あれ?
       静かだね」
美少女M  「そう言えば、こういう時絶好調に騒ぐ人が・・・
       どったのアスかーさん。目なんか塞いで」
ミセスA  「ど・・どお・・・どーなったのよ」
少年S   「なにが?」
ミセスA  「アタシの相手は誰だったのよぉ」
少年S   「途中から読めなくなっちゃったの?」
美少女M  「知らないおじさん」
ミセスA  「・・・・・・きゅう
少年S   「わっ!違うよ!パパだよ・・・・って、気絶しちゃった
       ミライ!」
美少女M  「てへっ」
少年S   「てへっじゃないよ。どうするのさ。アスかーさん起きて」
永遠の少年S「お前達はもう寝なさい。アスカは僕が看てるから」
美少女M  「・・・でも」
ミセスR  「行きましょう」
少年S   「レイママも?」
ミセスR  「話たい事がいっぱいあるの。碇くんには」
永遠の少年S「・・・もしかして怒ってるの?」
ミセスR  「いいの」
永遠の少年S「・・・はい、明日の夜頑張ります」
ミセスR  「こくん」
ミセスA  「ピクン」
美少女M  「・・・もしかして狸
ミセスR  「シィー


永遠の少年S「話したい事ってそんなにあるわけじゃないんだ」
ミセスA  「・・・」
永遠の少年S「言葉にすると消えていってしまいそうだから」
ミセスA  「・・・」
永遠の少年S「でも一つだけ」
ミセスA  「・・・」
永遠の少年S「愛してるよ」
ミセスA  「・・・ぴくく
永遠の少年S「君の中で、この言葉が消えていっても大丈夫
       何度でも言うから」
ミセスA  「・・・」
永遠の少年S「今も・・・昔も・・・これから将来も
       君の事を愛してる」
ミセスA  「・・・じぃーん

永遠の少年S「・・・ねぇ。聞こえてる?」
ミセスA  「ばーか。ちゃんと聞いてるわよ」
永遠の少年S「・・・え?」

ミセスA  「・・・」
永遠の少年S「・・・」

ミセスA  「・・・小説書いてたの?」
永遠の少年S「・・・うん。アスカが起きるまで暇だから」


ミセスA  「・・・声に出して読むんじゃなぁーい!」どかっっつ
永遠の少年S「・・・く・・くせなんだ・・・推敲しやす・・・い」


美少女M  「・・・心配になって戻ってきたけど
       パパってば、いつまでたっても女心がわかんないのね」
ミセスR  「・・・」
美少女M  「・・・そこがいいの?」
ミセスR  「こくん」




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