−Prologue−

−402号室 綾波レイの居室  23:45−

 今しも中天にかかろうとしている蒼い満月の光が窓から差し込み、清潔なシーツの上で寝そべるレイの身体を照らしている。

 「碇君・・・」

 少女はつぶやく。
 いつのまにか心の中に住み着いた少年の名を。
 寝返りをうったレイの目に床の上のクッションが目に入る。
 日中淡い若草色をしていた絨毯の上に転がる一組のクッション。
 思い返すのはそこに座って過ごした時間。

 (何も話さなかった・・・でも、心地よかった・・・)

 ただ同じ室内に少年がいた。
 それだけのことがとても心安らぐものであると、少女は確かに感じていた。

 (何も、無いのに)

 そう言ったのはいつだったろうか?
 今空にかかっているのと同じ満月の下、死地へ赴く前のひとときにそう語ったのは、どれほど前になるのだろう。
 そして、九死に一生を得てもどって来た少女に向けられた少年・・・シンジの涙と微笑み。
 同じだと。
 レイと同じく自分にも何も無かったと、だから少女を失いたくないと、そう告白した少年に、それまで感じたことのない感情を抱いたのはいったいどれほど前なのだろうか?
 それ以来、少女の日常は少年と共にあった。
 部屋を清潔に保つこと、肉の食べられない少女でも食べられる食事の調理法、殺風景ということの意味とそれの和らげかた、そして、人と共にあることの温もりと安らぎ。
 誰一人として省みることのなかった少女の生活を、少年はいっそ強引とさえいえるやり方で潤していった。

 (・・・うれしい)

 レイは、そう感じていた。
 何も無いことは自由であることと同義であると、そう感じて全てから関わりを絶っていた少女にとって、シンジの束縛は当初うっとうしいものであった。
 だが、月光のもとで語られた誓いに、レイはシンジをはねつけようとは思わず・・・いつしか、そうやってさまざまに世話を焼かれるのがうれしいものなのだと理解していた。
 それでも、それだけならばここまで深くシンジがレイの心に住み着くことはなかっただろう。
 しかし、双子の使徒を迎撃するための月下の舞踏が、煮えたぎる火口の底に沈みゆくレイを救い上げた唯一の手が、使徒の接近に追い立てられながら闇の地下を二人きりでさまよった時間が、その全てがシンジという存在を深々とレイの魂に刻み込んでいた。
 それ故、少女はここの所寝付かれぬ夜を過ごしていた。
 眠りに落ちる前に、つい先日誘われて出かけた湖のほとりで一緒に撮った写真を見つめてシンジを思い返し、心と体が火照ってしまい眠りから遠ざけられる。
 けれど思い出すまいとすればするほどはっきりと少年の顔が浮かぶ。
 その繰り返しであった。
 今晩もそうなるはずだった、が・・・。




402  

by Corwin



 「いかりくん・・・」

 レイの唇から今晩幾度目になるかわからないその名が零れる。
 ますます酷くなる火照りを押え込もうと細い腕が胸をきつく抱きしめる・・・と。

 とく・・・ん

 「んっ?!」

 先端から戦慄が全身に走った。
 雨続きで着替えが無くなってしまい、やむなく寝間着代わりとしていたシャツの布地の上からその場所を慎重に探る。

 「ふ・・・ん、んっ!」

 再び慄きが響く。
 触れたままじっとしていると、掌の中心にぷくり、と膨らんでくる小さな粒が感じられる。

 「なに・・・?」

 初めて見る自分の身体の反応に、好奇心を覚えたレイはそれを確かめようとした。
 シャツの生地を突き上げる二つの蕾を、そっとなぞる。

 「はっ!ん、あぁ・・・」

 意識してのせいだろうか、先ほどよりもその感覚ははっきりとしていた。
 それが、何か心地よいものだということも。
 だから、彼女はそのままそこをつまみ続けた。
 身動きする度に蕾がひねられ、敏感な皮膚が布地とこすれてえもいわれぬ感覚をもたらす。
 レイは取り憑かれたようにその行為を続けた。

 「は、あ・・・はん、ん・・・」

 しばらくそうするうちに、刺激に慣れてしまったのかレイの精神にもどかしさが感じられはじめる。
 押し殺すようにあげられていたかすかな喘ぎもじれたような響きが混じりはじめる。
 布地ごしに触れるぷくりとした弾力は、更なる刺激を求めて脈打っているように感じられた。

 (直接・・・)

 そう思いたったレイはシャツのボタンをすばやく外していくと、むき出しにされた蕾へと指を走らせた。

 「ひっ!・・・ああぅ・・・っ!」

 その瞬間に走った刺激にレイはのけぞって甲高い喘ぎをもらした。
 だが指先は少女の意志とは無関係であるかのように雛突を弄び続ける。
 わずかに強く挟み込む

 「くひぃ・・・ん、うんっ!」

 そのままひねるようにして絞り、しごき上げる。

 「は、あ、ああっ!あ、うんっ!」

 熱を持ちはじめた乳房の中に埋め戻すように優しく指を突き立てる。

 「ひぃ・・・っ!あ、くううぅぅっ!!」

 少女の意識は熱く白く追い立てられていく。
 と、反射的な反応だろうか、少女の意識に少年の姿が浮かぶ。

 「あ、は、ああ・・・いかり、くん・・・っ!あ?!あ、ああぁぁぁっ?!!」

 その名を口にした瞬間、レイの感覚が一枚皮を剥いたように敏感になる。
 躰の底から吹き上げてくるピンク色の上昇気流に乗せられて、意識が白く染まっていく。

 「あ、や、いかりくん・・・っ!いかり、くぅん・・・っ!!」

 初めて感じる経験に怯え、縋るようにその名を呼ぶ・・・そして、それによってますます昂ぶらされる。
 清楚と言う言葉がふさわしいレイの細身の肢体が、それにそぐわない艶めかしさをもっってよじられた。
 やがて、中途半端な官能の中に磔になっていた状態に決着が付く。
 性の昂ぶりに言うことを聞かなくなった指先がきつく柔らかな蕾を締め上げてしまったから。

 「あ、はっ!ああっ、いかり、くぅんんっっ!!」

 限界まで弓なりにしなった背筋が枕に蒼銀の髪を擦り付ける。
 肢は大きく開かれ、腰がはしたなく突き出されてしゃくりあげた。

 「は・・・あ、あぁ・・・」

 ため息にも似た吐息と共にレイの身体がベッドに沈んだ。
 そのままはぁはぁと息を荒げて呆然と天井を見上げる。

 「あ・・・いまの・・・なに?」

 初めて感じる絶頂はそれがなんであるかを知らない少女には不可思議なものでしかなかった。
 そして、一度火をつけられた躰がそれを求めるのを止める理由は彼女の心のどこにも存在しなかった。
 だからレイは再び蕾へと手を伸ばす。

 「ふっ!!ん、んん・・・」
 (かたい・・・それに、すごく脈打っている)

 昇り詰めてすぐの敏感な肌を慎重に刺激するうち、レイは股間に違和感があるのに気が付いた。

 (・・・湿って・・・いえ、濡れている?)

 身を起こすとそこをまじまじと観察する。
 白いショーツに、月明かりの下では黒く映る染みができている。

 (排尿してしまったの?)

 だが、漂う空気にアンモニア臭はない。

 (・・・なに?)

 ためらうことなくそこに手を触れる。

 「っ!!ん!」

 びくりとのけぞる肢体。
 慎重にしたつもりであったが強すぎたらしく苦痛が発生する。

 (もっと、そっと・・・)

 好奇心は止まないらしく、おずおずと触れる。

 「っ!!」

 再びのけぞる・・・今度は激しい快感で。

 「あ、は・・・これ・・・な、に?」

 無意識に言葉が漏れる。
 掌にはじっとり濡れた布の感触、そしてその向こうの信じられないほど熱く脈打つ何か。
 確かめるように押してみると、腰の奥から背筋をどろどろとかき回して駆け昇ってくる熱い固まり。

 「ふぁう・・・ひぃん!い、ひいぃっ!!」

 唇を割り、日頃の彼女とはかけ離れただらしなく快感に溶けた声が出る。
 レイの意識はもはやそれを引き戻す事がかなわないほどに綻びていた。
 手は壊れたように同じ動きで股間をこすり続けている。
 僅かな動きからも湧き立つピンク色の電流が、レイの脳髄を甘く激しくかき回す。
 あまりにもつたない動きだったが、何も知らなかった少女を頂点まで連れて行くのにはさほど時間はかからなかった。

 「ふぁう、は、あんっ!はぅ、ひ!あああぁぁぁーーっっ!!」

 自らの秘所を蹂躪する自分の掌にそこを押し付けるようにして昇り詰めるレイ。
 興奮にどろどろに溶けている意識に掌に布地越しに何か熱いものがしぶくのが感じられる。

 「は、あぅ・・・はっ・・・は、はっ・・・」

 間を置かずに二度目の絶頂に昇り詰め、レイは荒い息をついて横たわった。
 呆然としたまま手を引き寄せると、掌がべっとりと光っているのに気づく。

 (これは・・・なに?)

 尿ではないとの確信のもと、わずかにそれをなめてみる。

 (塩辛い・・・体液だから、当然ね)

 それとは知らないまま性欲に侵食された意識の一部が冷静にそう判断する。
 そして、残りの部分がまたしてもざわめき出す・・・更に先を求めて。
 股間に手を伸ばしたところで、先ほど胸で行った行為を敷延する。
 一つうなずくと、レイはショーツを乱暴に引き降ろす。
 あわただしく片足だけ抜き出し大きく足を開くとそこを視界に収める。

 (線?)
 
 全く無毛の股間に、べっとりと濡れ光っているがぴたりと閉じ合わされた裂け目がある。
 常日頃全く意識を剥ける事の無かった部分の様子に不思議な感慨を覚えた。
 そこを見つめたまま、指先をそっと伸ばす。

 「んんっ!」

 仰け反りそうになるのをこらえて探り続ける。
 わずかに指が埋まっており、その奥に濡れたひだの感触がある。

 (確か二重構造になっていたはず)

 その部分に関しての医学的な知識がそう告げる。
 今度は両手の指を使ってひきはだける。
 ぱくり、という音がしたかのような錯覚とともに内部がさらされる。

 (複雑・・・粘膜なのね)

 レイ自身は意識していないが、そう考える冷静なはずの思考すらも徐々に熱くなっている。
 手を放すとわずかに粘膜を残して裂け目が閉じられる。
 今度は奥行きを確かめようと指が沈んでいく。
 慎重に、苦痛を感じないようゆっくりと。
 同時に、ぞくぞくと肌が震えるような疼きが広がっていく。

 「・・・っ!」

 わずかに苦痛を感じて引き戻す。
 その動きによって浅い部分の敏感な粘膜がこすられ、はっきりとした快感としてレイの意識に届く。

 (大体、解った・・・)

 再び枕に頭を預けると、レイはそのまま官能をむさぼりはじめる。
 足を開き、左手で秘唇を押し開いたままむき出しになった粘膜を慎重に、だが執拗に撫で回す。

 「あっ!ん、あぅんん・・・んっ!い、んっ!」

 湧き出す淫液がぴちゃぴちゃと濡れた音を立てる。
 押し寄せてくる快感の大波に、抑えようも無く乱れきった喘ぎが唇から放たれる。

 「はひ・・・は、ひんっ!あ、くうぅっ・・・痛っ!!」

 快感に乱れた指が陰唇の上方に位置する充血しだした蕾を擦り上げた。
 加減が効いていない指による蹂躪は、一瞬レイの意識を引き戻すほどの苦痛をもたらした。

 (ここは・・・触らないように・・・)

 だが苦痛のぶり返しで襲ってきた快楽への渇望に、その注意のみを心に留めて再び指を貪欲に蠢かせはじめる。

 「い、ああ・・・あ、ふっ!んんっ、い、かり、くん・・・っっ!!」

 先ほどと同じように名前を呼ぶ事で快感が一段高くなる。
 ふと思い至って足もとの側のサイドボードの上に目を向けた。
 写真の中には優しい微笑みを浮かべたシンジがいる。

 「っ!あ、だめ!あ、や、ああっ!!」

 今度は別の感情で意識が熱くなる。
 写真に相対していると、今している行為が本人の目の前で全てをさらしているように感じられ、それがこの感情を呼び起こしている。
 それがなんなのかは理解できていない、だが無意識のうちに顔を背けてしまう。
 それでも股間でうごめく手は動きを止めない、いや、その感情によって深まった性感を求めてますます激しく淫らなものになった。

 「はっ!あ、だめ、いかりくん・・・っ!あ、はあぁぁっっ!!」

 シンジの名を呼びながら手の動きを止めないレイ。
 名を繰り返し呼ぶ事から、本人に触れられていると想像するのはほんのわずかな距離だった。

 「っ!ああっ!いかりくっ!んんっ!いかりくぅぅん!!」

 そのとたんに跳ね上がる快感。
 既に二度味わったものよりも更に高いところへと連れ去られる。

 「はぁっ!あ、ひ!いかりっ、くうっ!あああぁぁぁ――っっ!!」

 仰け反り、全身をぶるぶると震わせて達するレイ。
 開かれた陰唇の奥からどっと愛液が溢れ出し、太股を伝って膝に引っかかったままのショーツに、ベッドのシーツに滴り落ちる。
 腰を高く突き上げた姿勢で数瞬とどまった後、力尽きたように身体を落とした。

 「はぁ・・・は、はぁ・・・はーっ・・・はぁぁ・・・」

 レイは息を喘がせながら激しい絶頂の揺り戻しに身を任せている。
 そうするうちに落ち着いたのか、閉じられていた瞼が開く。
 日ごろの静謐を湛えた瞳とはかけ離れた、躰に充たされた官能に熱く潤んだ瞳があらわになった。
 再び顔を上げれば、変わらぬ微笑みが視線を迎える。
 一度封が解かれてしまった性欲は、その笑みにたやすく掻き立てられてしまう。
 そして、それを止める理由はレイの記憶のどこにも無かった。



 ふたたび貪欲に指が蠢き出し、室内が熱い快感の喘ぎで満たされはじめた。




 シンジは訝っていた。
 学校にレイが来ないのがしばしばなのは解っていた・・・だが、今日は何ら用事はないはずだった。
 ネルフでのシンクロ実験でもない・・・放課後、日用品の買い出しを一緒にしようと約束していたのだから。
 だが、窓際のレイの席は主が不在のままだった。

 (どうしちゃったんだろう、綾波・・・)

 疑問に思いつつ思考を進めるうち、言いようの無い不安に駆られたシンジは3時限めで早退する事にした。
 ネルフの用事といってしまえばたいていの事は通ってしまう。

 (綾波・・・家に、居るかな?)

 一番可能性が高いのはそこだと見当を付けると、シンジは言い知れぬ胸のもやもやに足を速めた。

 トントン

 「綾波・・・?居るの?」

 再びノック。
 しかし応えはない。

 「居ないのかな・・・?あ、開く」

 戸締まりの徹底は最初に約束した事でもある。
 従って中には綾波が居るはずだと、そう考えてシンジは扉をわずかに開き直接声をかける。

 「綾波?居るんでしょ?」

 それでも返事はない。
 三和土に立ってシンジは聞き耳をたてる。
 最初にレイの部屋を訪れたときのような失敗をしないためだ。
 シャワーの音はない。

 (・・・お風呂じゃないのか・・・)

 ふと。
 最初に目にしたレイの裸体が瞼に浮かぶ。

 (な、何思い出してるんだよ!)

 慌てて打ち消そうとするものの、少年期特有の鮮明な映像の記憶は薄れようとしないばかりかはっきりと思い返されてしまう。
 いまだ成熟を見せない細い肢体ではあったが、シンジの動悸を早くするには十分な力を秘めていた。
 
 「・・・っ・・・・・・ん・・・・・・っ」

 ふと。

 部屋の奥からかすかな呻きが聞こえてきた。
 その瞬間にシンジの意識は現実に引き戻される。
 大切な少女が苦しんでいるのではないか?返事もできないほどに。
 その思いがシンジを駆り立てた。

 慌てて靴を脱ぐと部屋に駆け込む。

 「綾波?!だいじょ・・・う・・・?!」

 締め切られた部屋にこもるのはレイの体臭。
 昨晩から幾度繰り返したかわからない絶頂に醸された濃密な性臭。
 その中心で、

 「ふぁ・・・あ、いかりっ!くんっ!んんうぅぅっっ!!」

 今しも顔を唾液まみれの枕にすり付け、四つんばいの肢を突っ張らせて快楽の頂点を貪ったレイが、シンジの目の前でベッドにうつぶせに崩れ落ちたところだった。
 噴き出す生汗に濡れきったシャツは肌に張り付き、わずかに覆われている肌を淫靡に透けさせている。
 ベッドのシーツは日ごろの整った状態からはかけ離れてしわくちゃになり、腰の下の辺りには水溜まりのように愛液が染みている。

 「あ・・・あや、な、み・・・?」

 呆然と歩を進めベッドの傍らで名前を呼ぶシンジ。
 その声に、ふぅ、と瞼を開いたレイは、そこに居るのが想像の産物ではなく現実のシンジだと認識すると、これ以上無いほどの幸福にとろけた笑顔を浮かべてシンジに向き直った。

 「いかり・・・くぅん・・・」

 日ごろの静かな声とは対照的に、甘えるように囁きかけてくるその声は酷くシンジの心を揺さ振った。
 身体を翻すと、ベッドの傍らのシンジを這い登るようにして抱き付く。
 逃がすまいとするかのように体に手を回して背中でしっかりと手を組み、同時に胸にしゃぶりつくように頬擦りを繰り返した。

 「な・・・い、一体、何を、してたの・・・?」

 言わずもがなの事を動揺した口調で呟くシンジ。

 「自慰・・・?そう、私、自慰を、オナニーをしていたの」

 いつものように事実だけを告げる言葉。
 だが、レイのその声には、明らかに艶が、語り掛けた相手を誘い媚びるような熱が込められていた。

 「あ、あやな・・・み・・・」

 その熱にあてられ、シンジの中の何かが強烈に揺さぶられる。
 この年代の少年にとって、可憐な少女の、自らの想い人の唇から漏れる「オナニー」という単語にはたとえようも無い卑猥さが込められているように感じられた。
 それはいつもならば、彼をそこから逃げ出させるようなものだったのだろうが、抱き着き、擦り寄ってくるレイの体温がそれを言いようが無いほどの誘惑へと変化させてしまっている。

 「ね、いかりくん・・・?」

 とろけた口調でシンジを見上げながら何かを催促するレイ。
 彼女自身は何を求めているかは理解していない、だが、その視線には抵抗しようが無いほどの蠱惑が湛えられていた。
 

 
 ベッドに二人が倒れ込んだとき、それがどちらから始めた動きだったのかはようとして知れなかった。
 

 
 「ん・・・いかり、くん」

 頬を上気させ、未だ彼女の知らない何かを催促するようにシンジに囁きかけるレイ。
 それだけでシンジは体温が二三度上がったような錯覚を覚えていた。
 沸き上がる欲望に抗しきれず、シンジの手が性急にレイの胸の膨らみへと伸ばされる。

 「柔ら、かい・・・」

 膨らみかけの乳房は一見すると固いようにも思える。
 だが、成長途上とはいえそれには確かな柔らかさ、女性らしさが備わっていた。
 シンジの意識がその感触に支配される。
 もっとというように力がこもり、整った楕円が歪む。

 「ん・・・痛・・・っ」

 力がこもりすぎたのか、レイがかすかに苦痛の声を漏らす。

 「・・・!あ、ごめん、綾波!」

 慌てたシンジがそこから手を離そうとする。
 だがその動きはそっと添えられたレイの手によって制される。

 「綾波?」
 「・・・いい、大丈夫だから・・・もっと、触って、碇君」

 痛みよりも強く感じるシンジの体温を求めて、レイがそう催促する。

 「わ、わかったよ・・・綾波」

 今度は慎重に手を触れる。
 かすかに触れるか振れないかのところでシンジの掌がレイの肌を滑る。

 「ん、くすぐったい・・・」

 僅かに身を捩るが、その動きはどちらかというと乳房をシンジの掌に押し付けるといったものだった。
 そのままシンジの手が膨らみを撫でるように揉みはじめる。

 「ふ・・・っ」

 未だ感じるくすぐったさの中に僅かにピンク色に煌く感覚を感じ、レイが趣の異なる息を漏らす。
 シンジはその声に勇気づけられて大胆に、だがレイを気遣いながら動きを大きくしていった。

 「っ!んんっ!」

 そうするうちにシンジの掌が、意図しないままに勃ち上がり充血している乳首を擦った。
 それに応えてレイが身を跳ねさせる。
 昨晩から幾度と無く玩弄した場所だったが、シンジに触れられている感触は全く異なっていた。

 「そ、こ・・・いかり、く・・・っ!!」

 一瞬躊躇するものの、声に含まれている官能の響きを聞き取ったシンジはより想いを込めてそこを弄いだした。
 膨らんだ慎ましやかなピンク色の乳輪をなぞるようにくすぐり

 「は、ひっ!あ、いかりくっ・・・そ、れ・・・ひっ!」

 固く充血した乳首を癒すように優しく摘まみほぐし

 「あぁ・・・は、んん・・・ふぅ、んっ!」

 押し返す弾力に取り憑かれたように繰り返し蕾を乳房に埋め戻す。

 「かひ・・・ぃっ!そ、はあぅっ!あ、あああぁぁっっ!!」

 より荒くなっていく息遣いがシンジの額をなで始めたところで、昂ぶりに意識の惚けていたシンジがレイの状態に気づく。
 送り込まれる快楽が溢れ出したかのように、汗を浮かばせたレイの腰がもどかしげによじられている。
 目を上げれば、白い喉を疼きに震わせながら短い呼吸を繰り返しているレイの姿。

 「綾波・・・先、いい?」
 「は・・・はっ・・・」

 息を荒げながらも何度も繰り返し肯くレイ。
 許しを得たシンジは性急に手をレイの股間、秘められた場所へと伸ばしていく。
 待ちかねたように足が開かれ、腰がシンジの掌に擦り寄る。

 「あ・・・凄い・・・熱くて、濡れてて・・・」

 初めて触れるその場所の感触に手がひけそうになるが、触れた瞬間に腕を捕らえるように閉じられたレイの太股がそれをはばんだ。
 そのまま確かめるようにしとどに濡れた粘膜をなで上げる。

 「んはっ!!は、ああっ、いかりっ、くぅんっ!」

 繰り返された絶頂と自分の指によってかすかに開いた秘唇を、つたないながら余すところ無くシンジの手がなぞり上げ擦りつぶす。
 突き上げてくる快感の激しさに、反射的にシンジにしがみついた結果として、レイの固く尖った乳首はシンジのシャツによってざりざりと擦り上げられた。
 だが、それは興奮に染まりきったレイの肉体には激しい快感としてしか捉えられなかった。
 レイは無意識のうちに全身の肌をシンジに擦り付けるように激しく身悶えし続けている。

 「(綾波が・・・こんな風に、なるなんて・・・)」

 自分の身体の下で切ない喘ぎを上げながら全身で自分を求めてくれるレイの姿に、シンジは言いようの無い興奮と、それに匹敵する愛おしさを覚えていた。
 その意志にしたがって、シンジの指がそっとレイの裂け目の中に沈みはじめる。

 「っ!あ、そ、れ・・・っ!!」
 「痛いの?!」

 指が引き戻されるが

 「ちが・・・っ、そこ、もっといっぱい・・・っ!」

 昂ぶった懇願の言葉に引き止められ、沈む指が倍になって熱く潤みきった秘所を優しく弄びはじめた。
 差し入れた二本の指で、熱いぬかるみの中に感じる充血し弾力を増した襞を捕え、擦り上げ、押し広げる。

 「ふぁっ!あ、そっ!それっ!そこぉっ!いい、いいのっ!いかりくんっ!!」

 想いを込めて、優しく丁寧に。
 そうしてさまざまに動きを変えるたびにレイは自らの快感を素直にシンジに告げる。
 それを聞くシンジは、熱く濡れた舌で、すがり付く柔らかな唇で、耳元に吐き掛けられる甘く熔けきった、日頃からは信じられないようなレイの喘ぎで繰り返し快感を訴えられ、とうとう我慢が限界を超えてしまった。

 「・・・あ、綾波っ!」
 「きゃっ?!」

 突然シンジが起き上がると、両手で荒々しくレイの足を引きはだけた。
 びっくりしたレイが見上げると、シンジが見つめ返してくる。

 「あやなみ、もう、いいよね?最後まで・・・ね?」」

 一瞬戸惑うが、自分の中にある渇望と同種のものをシンジの目の中に見て取ったレイはそっと肯いた。
 衝動に突き動かされていても、シンジはそっとレイに覆い被さるのを忘れなかった。
 そのまま動こうとしたところで、体に掛かるシンジの重さに嬉しそうなため息を吐いたレイが問い掛けた。

 「いかり、くん・・・最後までするのに、ふくは、邪魔にならないの?」
 「・・・あ・・・」

 その素朴な問いかけに、暴走しかかっていたシンジの意識が落ち着く。

 「あ、いや、僕も裸にならないと、だめだよ」

 日常的な事を教えるといういつもの癖が、酷く気まずい思いを抱いていながらシンジにそう答えさせていた。
 ベッドから身を起こすと、あわただしく服を脱ぎはじめるシンジ。
 レイは剥き出しになっていく肌を未だ熱っぽく潤んだ瞳で見つめている。
 トランクスに手が掛かるところで、さすがに気恥ずかしいのかシンジが訴える。

 「その、綾波?あんまり見ないでくれるかな・・・」
 「どうして」
 「は、はずかしいし・・・」
 「私は全部見られている、でもそうではないわ・・・むしろ、嬉しい」
 「ぁ・・・」
 「碇君に見られている、そう想うとココロが熱く湧き立つ、柔らかくなる」

 素直すぎる告白に動きが止まり、結局シンジはそのまますべてを脱ぎ去っていた。 

 「・・・それ」
 「え?」
 「いつも、こうなっているの?」

 その問いかけと同時に、レイのたおやかな手がシンジのいきり立つペニスにかけられた。

 「あ、あやなみぃ?!」
 「こんな、ふうに・・・固く腫れ上がっていて、邪魔ではないの?」
 「い、つもは、こんな・・・ふうじゃ、ないよ・・・ちょっ、こすらな・・・っ!」

 興奮しきった暴発しかねないシンジのものを確かめるようにそっとさすり続けるレイ。
 そういう意図はないが、肉胴をなぞり上げ、雁首を撫で、肉の実を撫で回す柔らかな指は容赦無くシンジを昂ぶらせていく。

 「あ・・・あやな・・・くっ、んんっ!」
 「・・・濡れてる」
 「?!あ、ちょっ・・・ひぃっ!」

 確認作業を続けるうちに、先端の切れ込みから伝い降りた雫に気づいたレイはそれをたどるように人差し指を走らせた。
 当然終着点である敏感な粘膜がくすぐられる事になる。

 「っ!!は・・・だ、め・・・う、くぅぅっ!」
 「他と違う・・・」

 それに続けて、滲み出す雫を指先に絡めるようにしながらそこを繰り返し撫で回すレイ。
 鋭いが断続的な快感に焦れたシンジは、止めるどころかつい口走ってしまう。

 「口で・・・」

 と

 「そう・・・わかった」

 その答えにはっとなり、自らが何を口走ったのかを理解したシンジが慌てて目を開くのと、レイが熱い吐息とともに唇を柔らかくそこに触れさせるのとは同時だった。
 清楚な淡いピンク色の唇が、初々しい色合いながらどこかグロテスクな形のペニスに触れて淫猥に歪む。
 かすかに開かれた唇によってもたらされる熱く濡れた快感。
 視覚と感覚の二つの刺激は、昂ぶりきっていたシンジの射精のトリガーを引いてしまうには充分だった。

 「あ!ごめっ!くぁっ、あ、あやなみいっ!!」
 「っ?!」

 触れた瞬間に打ち出される熱い奔流に戸惑うものの、レイはそこに唇を当てたままで離そうとしない。

 「あく、は、ああっ!や、あうぅ・・・っ!」

 レイが意図してのことではなかったが、射精口を柔らかく塞がれたままの為射精は長引き、シンジの感じる快感も酷く深いものになっていた。

 「は・・・ああ・・・」
 「熱い・・・」

 レイの呟きを耳にしたシンジは、腰が崩れそうになるのを懸命にこらえながら目を開いた。

 「!あ、綾波、ごめ・・・!」
 「問題無いわ」

 言葉こそそっけないものの、唇でシンジの精を受けたレイもまた不思議な昂ぶりを覚えており、その声にもその熱さが忍び込んでいた。
 シンジはそれに気づけない・・・それどころではなかった。
 レイの貌は唇を中心としてシンジの放った精が大量に飛び散っており、そこから見上げてくる熱く潤んだ紅い瞳と上気した頬は完全に心を支配してしまうほどに淫靡なものだったからだ。
 そんなシンジの様子に気づかないまま、何も知らないままにレイは更に強烈な誘惑行動を起こす。
 飛び散った精を指先で掬い、同時に唇から紅い舌が閃いてぬめりを舐め取ったのだ。

 「・・・苦い・・・アルカリ性の、苦さね・・・」

 あまりに淫らに映る行為にシンジの思考が停止する。
 そして、レイが精液を掬い取った指先を口に含むに及んでようやくシンジが言葉を発した。

 「だ、だめだよ、汚いよ!」
 「どうして?精液に危険な雑菌は存在しないわ」
 「いや、でも・・・」

 言葉を失ったシンジは、その行為を止める事をあきらめると、自分のズボンからハンカチを探し出してレイの顔をぬぐいはじめた。

 「ん・・・」

 レイはそうされる事が嬉しいのか、シンジの目をじっと見上げながら顔を差し出して彼の行為を受けている。
 と、何かに気づいたのか視線が下を向いた。

 「(小さくなってる・・・)」

 好奇心にしたがってレイが半ばまで縮んだシンジのペニスをそっと弄う。

 「?!あ、あやなみ?!」

 戸惑うがまだ清めおわっていないので逃げられないシンジ。
 その間もレイの両手はシンジのものを先端から付け根、更には袋にいたるまでを弄り続ける。

 「っ・・・は、あ」
 「こんなに柔らかい・・・あ、固くなってきた・・・?」

 先端から滴る射精の僅かな名残を全体に塗り広げるようにするうちに、シンジのものはむくむくと鎌首を持ち上げはじめていた。

 「は。恥ずかしいからあんまり触るのは・・・」
 「どうして?これも碇君の一部・・・私は、もっと良く知りたい・・・碇君の事を、もっとたくさん知りたい」

 与えられる快感に気恥ずかしさを覚えながら言った制止の願いは、またしてもレイのまっすぐな言葉によって止められる。
 シンジに出来る事はレイの顔を綺麗にしていく事だけだった。

 「ふぅ・・・もう、いいよ、綾波」

 清め終えてそう伝えると、シンジは一歩引いた。
 確かめるというよりも掌に感じるすっかりいきり立ったシンジのペニスの熱さ、硬さを楽しんでいた風なレイは僅かに不満気だ。
 すねるように唇が尖った。

 「(?!綾波って、あんなふうに拗ねるのか・・・!)」

 シンジは初めて見るそんな表情に惚けるうちに、ふと一度もキスをしていないという事に思い至った。

 「(順序、違うよね)」

 苦笑しつつシンジが身をかがめる。

 「ねえ、綾波」
 「なに?碇君」
 「キス、してもいい?」
 「(キス、唇を合わせる行為、恋人同士のするもの)・・・構わないわ」

 それがレイの承諾の表現であると知っているシンジは、にっこりと微笑むと顔を寄せていく。
 だが、レイがじっと瞳を見詰め続けているので少し戸惑う。

 「その・・・目、つむってくれないかな」
 「どうして?」
 「いや、ちょっと恥かしくて・・・」
 「わからない・・・けど、碇君が言うなら」

 素直に応じて目をつむるレイ。
 期待に潤んでいた瞳が瞼に隠れる。
 無意識にこれからする事を理解しているのか、頬の赤みが僅かに強くなった。

 「ん・・・」
 「・・・」

 互いの唇をふれあわせるだけ。
 ただそれだけの、それも僅かな時間そうしていただけの事。
 だが、それだけでレイの心に不思議に穏やかな温もりが灯り、シンジの心にその柔らかさへの渇望が生まれた。

 「もう一度、いい?」

 僅かに瞼を開いたレイが視線を合わせ、かすかにこくりと肯く。
 再び触れ合う唇、今度は触れ合ったまま。

 「んふ・・・」
 「ん・・・んっ」

 柔らかさを感じ取ろうとどちらからともなく角度を変え唇を擦りあわせる。
 ぴりぴりと走るしびれ。
 同時に二人の心が穏やかな温もりにふわりと膨らみ、シンジは更なる欲望を感じる。
 その心のまま、シンジは舌で触れ合う柔らかな感触をなぞった。

 「っ?」

 レイの瞳が驚きに開かれる。
 目に映るのは自分を一心に求めているシンジの顔。
 唇を繰り返しなぞられる快感と、何よりも心に湧き起こる暖かな何かに後押しされて、レイもまた舌を差し伸べていった。

 「ふっ?!」
 「んむ、んんっ!」

 かすかに触れ合う舌、それによって湧き起こる意外なほどの快感。
 そして、シンジの舌に感じる僅かな苦み。
 罪悪感と快感が溶け合って、シンジはそのままレイの口腔に舌を滑り込ませていた。 

 「んんっ!」

 舌の侵入を受けたレイが鼻に掛かった驚きの呻きを漏らす。
 だが、その呻きは口内の苦みのもとをぬぐうかのようにシンジの舌がそこかしこを丁寧になぞるたびに、総てを受け入れるように蕩けたものへと変わっていく。
 ただ投げ出されていた腕が震えながら持ち上がり、すがりつくようにシンジの脇に廻される。
 引き寄せられて身体を支えるのが辛くなったシンジは、膝をレイの足を割るようにベッドに置いた。
 いったん唇を離すシンジ。

 「あ・・・」

 惚けた呟きとともにレイの唇から一筋涎が垂れた。

 「いい?」

 問いかけに頬を染めてこくりと小さく肯くレイ。
 ついで言葉が唇にのぼる。

 「ええ・・・もっと、したい、もっと、いかりくんを感じたい」

 可愛らしく、また切ない願いに答えてシンジはレイの口の温かさを確かめる行為に没頭していく。
 すがり付くように追いかけてくるレイの舌と擦りあわせながら歯茎をなぞる。

 「(くちゅ)んむ・・・ふ(ちゅく)んっ」

 震え仰け反るレイの頭を抱え込んで口蓋の奥をくすぐり。

 「んんっ・・・ん、ふむぅっ!んんっ!」

 絡み合った舌を吸い上げ唇と舌先とで丁寧にほぐしていった。

 「んんんぅっ!んっ、んくっ!むんんっ!!」

 舌を絡み合わせる事でまた高みへと追い上げられていくレイが、無意識にシンジの背に爪を立てた。

 「っ!」

 興奮のため、予想以上に敏感になっていた肌に加えられた刺激に思わず息を吐くシンジ。
 と、今度はその隙を突くようにレイがシンジにされた事をお返しとばかりにやり返してきた。
 レイの舌が踊り、口腔の粘膜に痺れを塗り込み、舌を絡め取る。
 とりわけ、舌を吸われていいように嬲られる快感にシンジの意識が霞んだ。

 「(あ・・・あやなみも、こんな、風だったのかな・・・)」

 震えが走り、無理な体勢を続けていたシンジの膝が滑る。

 トサ・・・

 倒れ込んだシンジの頭がレイの太股の付け根に乗った。

 「あ・・・」
 「あ、ごめ・・・?」

 起き上がろうとしたシンジは、レイの手に軽く押さえられて戸惑った。

 「どうしたの?」
 「息が・・・」

 それだけ言うと、ふと顔を赤らめるレイ。
 なおも身を起こそうとするシンジに、レイは無言のまま頭を抱え込むようにして抱き付く事で引き止める。
 ようやくレイが何を望んでいるかを理解したシンジは、レイの初めて見せる恥じらいの萌芽に酷く心を揺さ振られた。
 だから、彼は何も言わずにレイの足の間に顔を沈めた。

 「ふ・・・っ」

 先ほどと同じように、だが先ほどよりもずっと近くでシンジの息が疼く粘膜に降りかかる。
 その感覚にレイは僅かに震えた。
 昨晩から繰り返し自らの指で広げ捏ね回し、溢れる淫液を塗り広げられていたそこは処女の慎ましやかなピンク色とは対照的に、何かを求めるようにかすかに開きひくひくと震えている。
 初めて見るあまりに淫らな光景にシンジは魅入られてしまう。

 「あ・・・は、いかりくん、はや・・・く」

 欲情に焦がされているそこに、シンジの視線を感じて更に昂ぶっていたレイが催促する。
 我に返るとシンジは慌てたようにそこへ顔を寄せる・・・と、シンジの肩にぐっしょりと濡れそぼった布の感触が。

 「(・・・?あ、すごく濡れてる・・・)」

 目をやれば、そっけない白のショーツが見える。
 膝で止まった布の塊は昨晩から大量の愛液を吸い続け、そこから染み出したものが脛を伝うほどにぐしょ濡れになっていた。
 幾度の絶頂を繰り返せばここまでになるのだろうか。
 シンジは一晩中自慰をしていただろうレイの姿を想像し、欲情と、それに優るとも劣らない切なさのようなものを感じた。
 気づけばこうして触れている太股も汗と愛液とが混じりあってぬるぬるになっている。
 そこを滑るシンジの手にも感じているのか、身動きのたびにレイが切なげに肩を震わせる。

 「じゃ、いくよ」

 見上げてくるシンジの視線に期待の篭る眼を返し、レイは一つ肯いた。

 く・・・ちゅ

 「っ!!ひっ!あ、ひうぅぅぅっっ!!」

 唇が触れた、ただそれだけの事でレイは自分の指で高められていた場所にあっけなく追い上げられた。
 全身がおこりに掛かったようにがくがくと痙攣する。

 「?!あ、あやなみっ、だいじょ・・・むぶっ?!」

 あまりに激しすぎる反応にシンジが心配して声をかけようとする。
 だが、その動きは切羽詰まったレイが、頭にのしかかるようにその艶付き始めた胸を載せ、両腕で抱え込んで引き止められて中断された。

 「やっ!だめ、いかりっ・・・くん・・・やめ、ては・・・だめ・・・っ!」

 いまだに全身に鳴り響いている絶頂の余韻に、声を震わせながら切れ切れにそう訴える。
 一抹の心配を抱えつつもシンジはその願いに応える事にした。
 今し方溢れたものでべとべとになったそこにすするように吸い付く。

 「ひぅっ!あ、いいっ!いいのっ、いかりっ、くぅん・・・っ!!」

 溢れ出る愛液を顎まで滴らせながら、ざわめく襞の一つ一つを確かめるように舌で舐め上げていく。

 「ひんっ!う、くんぅっ!ん、んんっ!んんっ!!」

 更に背を丸めたレイが爪を立てるようにシンジの頭を抑えるのに押され、舌先を届く限り奥まで差し込み震わせた。

 「かひっ!!は、あうっ!ううぅっ、くはっ・・・そ、そこ・・・あああっ!!」
 「(凄いや・・・溢れて、溺れちゃうかも・・・)」

 悲鳴が一オクターブ高まるごとに噴き出すように溢れ出すレイの愛液に、顔じゅうをびしょびしょにしながらシンジはそんな事を思った。
 ふと、目の前に映る異変に気づく。
 連続する快感のせいで膨らみきったクリトリスが僅かに顔を覗かせている。

 「(ここ・・・確か、気持ちいいって・・・)」

 シンジは手を廻すと蕾を覆う包皮を引っ張りあげ、そこを剥き出しにした。

 「!!ま、まって・・・いっ、かはっ!くんっ、そ、そこは・・・っ!!」

 蠢き続けるシンジの舌によってもたらされる荒れ狂う官能の嵐に意識を揉まれながら、昨晩感じた苦痛を思い出し制止しようとするレイ。
 だが、それが形を成す前にシンジの舌がそこに触れていた。

 「っっ!!!」

 レイの意識がはぜた・・・今までより更に激しく鋭い快感で。
 僅かではあるが持ち合わせていたシンジの知識は、そこが敏感すぎる感度を持つと伝えていた。
 だからシンジはそこに限りなく優しく触れた・・・僅かなざらつきすら避けて、舌の裏の滑らかな部分でそっと撫でた。

 「ああっ!いかっ、り、くぅんっっ!!は、ああああぁぁーーっっ!!」

 レイは今までに無いほどの激しい絶頂に仰け反り、ベッドに倒れ込んだ。

 「(あ、綾波・・・イったんだ)」

 実際にはレイは先ほどからイきっぱなしといっていい状態であった。
 だが、経験の無いシンジにはそれは判らない、彼にとってはいまようやくレイが自分の手で昇り詰めたのだと認識している。
 ぴ、ぴっと降りかかる潮に瞼を閉じながら、シンジはそのことに誇らしさのようなものを感じていた。
 目を開ければ、余韻にかくかくと腰を震わせながら、力の抜けきった両足をしどけなく投げ出しているレイの姿が眼に入る。
 激しいアクメに緩んだ膣が開き、奥で息づく白い膜すらさらしている。

 「イったの?綾波」

 半ばのしかかるようにベッドに手を突きながら、シンジは尋ねた。
 息を喘がせつつ瞼の上で手を組んでいたレイが切れ切れに言う。

 「イく?・・・今の、感覚は、イくと、いうこと、なの?」

 くす

 そんな事すら知らないという事に、酷く可愛らしいという思いが湧きそれが自然と笑みをこぼさせる。

 「そうだよ・・・ねえ、もう一度確かめたい?」

 意識が性欲に染め抜かれているレイが、それを拒否するはずも無い。

 「ええ・・・そう、したい」
 「わかったよ、じゃあ・・・」
  
 そう言うと、絶頂に噴き出した生汗に濡れる紅く染まったお腹にキスをして、繰り返し音を立てて吸いながらレイの躰を下っていった。
 シンジ自身はほんの気まぐれでした事であったが、その動きは尖りきったレイの性感を宥め、再び舌の愛撫を受け入れられるようにする効果があった。
 燠火程度に鎮まり、キスのたびに掻き立てられる快感を楽しみながら、レイはシンジの舌がそこにたどり着くのを待ち受けていた。
 ゆっくりと下りていくシンジの唇が淫裂の上、産毛と見まがうばかりの慎ましい下生えに触れる。

 「っ?!」

 押し付ける唇にそこが柔らかく歪まされるたびに、意外なほどの快感が湧き起こる。
 その反応で感じている事がわかるシンジは、そこを優しく甘咬んだりもする。

 「くぅ・・・ん、んんっ!」

 レイの可愛らしい啼き声に満足すると、更に下へと唇を滑らせる。

 「あ・・・」

 期待に満ちたレイの声、だがそれはすぐに失望のため息に変わる。
 シンジの唇が肉丘の輪郭を辿り、脚の付け根をくすぐったからだ。
 シンジが動くたびに湧き起こるもどかしい快感にレイの息が切羽詰まる。
 と、レイの手がシンジの頭を引き寄せようとするのに併せてシンジが顔を上げた。

 「綾波・・・どうしてほしい?」

 レイのありようを理解しているシンジではあったが、そういった知識の蓄えのもととなった小説にあったように、自分の想い人を焦らすという誘惑に流されそんな事を口にする。
 だがその言葉は意外な行動で応えられた。
 レイは力の入らない頭をベッドから起こし、半ば突き出された下半身を大きく開くと、指を差し伸ばして濡れ光る淫裂とその上のクリトリスを剥き上げた。

 「あ・・・?」
 「ここ・・・ここを、碇君の唇と舌で、たくさん舐めて、弄り回して、欲しいの・・・」

 その言葉に聞いているシンジの方が真っ赤になってしまう。
 潤んだ瞳で見つめながら、総てをさらけ出す淫らな姿勢を取っているレイに罪悪感が湧く。

 「ごめん・・・」
 「?何故、あやまるの?」
 「・・・なんでもないよ、じゃあ、たくさんしてあげるね」

 未だ広げられたままのそこに顔を寄せると、謝罪の意を込めて剥き出しの粘膜を舐り上げ始める。
 はだけられている為その構造が良く理解できる。
 より奥へと通じる穴の周囲を中心にまんべんなく舐めたくる。

 「はあっ!あ、そこっ!そっ、うぅっ!んううぅっ!!」

 頬をかする指を感じながら膣肉を唇に捕え、舌と共に丁寧に弄ぶ。

 「ひっ!あ、ああっ、はっ!そ、いいっ!ひいいぃっ!!」

 慎重に差し入れた指を沈め、ピストンさせながら指を咥え込んだ周囲を舐め回した。

 「ううっ、くぅっ!それ、あ、あたって・・・んんっ!は、ああ、うあああぁぁっ!!」

 先ほどの狂乱を思い出して躊躇っていたものの、よりレイを気持ちよくさせたい、もっと快感に溶けた声を聞きたいという思いからシンジは唇を上にずらす。
 包皮を剥き上げられ、送り込まれる快感に震えているクリトリスをそっと唇に捕らえる。

 「っ!!は、いかりっ、くぅ!んんっ!!」

 根元までしたらもっと良くなってくれるだろうと考えたシンジは、中に沈めた指でクリトリスを持ち上げるようにしてみた。
 期せずして膣のもっとも敏感な部分を捏ね上げられ、レイが声も無く仰け反った。
 一瞬戸惑うが、指を更に奥に引き込むようにざわめく膣内の感触に後押しされて、シンジは更にぴんと尖った雛突を根元まで唇に捕らえた。

 「っ!!んんっ!!っ、く!んんんぅぅっ!!」

 快感に耐えるように手が太股を鷲掴む。
 シンジは更にレイを高めるべく、考えていた通りにクリトリスを吸い上げつつ舌先で転がすように舐め降ろした。

 「は!!あ、あうっ!!あ、ああああぁぁぁぁーーーっっ!!!」

 ただ舐められるのではなく、技巧と想いを込めた愛撫に先に倍する快感を送り込まれ、レイの意識がホワイトアウトした。



 「・・・綾波?」
 「は・・・あぁ・・・はぁ・・・・・・ん・・・」

 気絶しているレイに気づき慌てるシンジ。

 「綾波?!大丈夫?」
 「・・・あ・・・いかり、くん・・・」

 短いものではあるが意図せざる意識の断絶を感じてレイの心に不安が湧きかかるが、間近で呼びかけるシンジを見てたちまち霧散する。
 甘えるようにレイが手を廻すとシンジは安心し、そっと唇を重ねてきた。
 レイの舌に自身の愛液の味が広がるが、それを気にせず舌を絡めあう。

 「はぁ・・・大丈夫だった?」
 「ええ・・・もんだい、ない、わ・・・だから・・・」
 「・・・うん、わかってるよ・・・」

 目覚めたばかりの性に遥かな高みを教えられたレイは貪欲にそれを求めてしまう。
 シンジは再び顔を沈めた。



 「はくっ!あ、そ、あ、またっ!またイくのっ!!あ、あああぁっ!!」

 何度目かになる絶頂寸前の甘く爛れきった叫び。
 繰り返し耳にそれを注がれてきたシンジは、そろそろ我慢が限界に達しようとしていた。
 たまらずしびれた舌を膣から抜き出し、息を付く。

 「あ?!や、いやっ、ああぁっ!!だめ、やめちゃ、だめぇっ!!」

 快感に炙られて舌足らずな懇願の言葉に心を痛めつつも、シンジはレイに覆い被さる。

 「いかり、く、んっ・・・は、あ、どう、して・・・っ?!」
 「僕も・・・もう・・・」

 切なげなシンジの声にはっとするレイ。
 シンジもまた疼きを抱えているのを感じて提案する。 

 「じゃあ、さっきみたいに・・・」
 「ううん・・・綾波が、ほしい」
 「?どういう・・・こと?」
 「その・・・ここに・・・」

 性の餓えに支配されていてもさすがに恥ずかしいのか、レイの秘所に指を触れさせて口篭もるシンジ。
 だが、繰り返しの激しい絶頂の最中、どこか満たされないものを膣の奥に感じていたレイはその意味を理解できた。

 「入れるの、ね・・・いかりくんの、性器を・・・」
 「っ・・・う、うん・・・」
 「そう、好きに・・・いいえ、私も、そうして欲しい・・・」

 シンジは肯くと、しがみついていたレイの腰ごとベッドの上に乗った。
 二人分の体重を乗せたパイプベッドがぎしぎしと軋む。
 シンジは絡み付いていたレイの足をほどくと、両手を付いてそのままのしかかった。

 「行くよ・・・」
 「・・・ええ」

 腰を進めるが・・・固く反り返ったシンジのペニスは意に反してつるりとそれてしまう。

 「あ・・・」
 「っ!・・・どう、したの?」
 「いや、もう一度・・・」

 焦りがまたしても狙いを外させる。

 「・・・」
 「碇君」
 「なに?」
 「きちんと視界に入れながらの方がいいと、思うの」
 「?!恥ずかしくな・・・あ、そっか・・・」

 ここでシンジは思い出す。
 彼女は、レイは恥ずかしいという言葉の意味をまるで理解していないのだという事に。

 「はは・・・そうだよね・・・」

 恥ずかしくないようにと気遣っての行動が少し滑稽に思えて、シンジは軽く笑ってしまう。
 それですこし落ち着いたのか、今度はペニスに手を添えて、体を起こして挿入を試みる。
 と、たけり立ったペニスを見ていたレイが興奮を滲ませた声で提案した。

 「・・・こうした方がやりやすいでしょう?」

 開いた両足を抱える様に手を廻すと、そのまま秘唇を引きはだける。

 「っ!!」

 汗と粘液で光る太股がMの字に開かれ、廻された腕が僅かに持ち上げるように腰を突き出させている。
 それに加え、ぬらぬらと光るピンク色の粘膜がレイ自身の手で剥き出しになり、そこに彼のペニスが当てられているとてつもなく淫らな光景。
 その強烈な視覚刺激にペニスが更に一回り大きくなった。

 「っ、は(ごく)い、行くよ・・・」

 そのままずぶりと先端が膣に呑み込まれる。

 「んん・・・んんぅ・・・っ!」

 明らかな快感を訴える呻きとともに、亀頭を含んだ淫唇がざわざわと蠢いた。
 そうやってすべての反応を目の当たりにしながら行う挿入はますますシンジの意識を昂ぶらせる。
 それに追い立てられるように、シンジは残りの部分を一度に打ち込んだ。

 「っ・・・つっ、くうぅ・・・っ!!」

 膣内(なか)の僅かな隙間も残さずに愛液で充たされていた為、挿入自体はスムーズではあったが、それでも破瓜の痛みは存在する。
 噛み締めた歯の隙間から苦痛の悲鳴がかすかに漏れる。
 シンジはそれを耳にしていたが、気遣うのと同じくらいに初めて感じる女性の膣の感触に溺れてしまっていた。
 繰り返した絶頂で充分すぎるほどほぐされたそこは、熱く柔らかにシンジのものを包み込んでいる。
 処女特有の強烈な締め付けは、充血して厚みを増した襞がクッションとなりきつく柔らかという矛盾した快感をシンジにもたらしている。

 「うぁ・・・あ、すご・・・」

 腰の骨が溶けてしまったかのような強烈な快感に、体を支えきれなくなったシンジがレイに覆い被さる。

 「んあっ!!」

 更に深くはまり込んだペニスが子宮を突き上げ、苦痛と快感の入り交じった衝撃にレイは息を漏らしていた。
 その声に気づいたシンジは心配そうに声を掛けた。

 「・・・は・・・あ、あや、なみ・・・だいじょう、ぶ?」
 「・・・痛い・・・いたいの、いかりくん・・・」

 その訴えに、シンジは身じろぎしないようにきつく抱きしめ、宥めるようなキスを顔じゅうに繰り返し降らせる事で答えた。

 「ん・・・」

 嬉しそうな息が漏れる。
 それと共に僅かに締め付けが緩んだ膣肉がざわめき、シンジは躰を強ばらせた。

 「?どうしたの、碇君・・・」
 「あ・・・綾波のなかが、すごく、気持ちよくて・・・」
 「そう・・・それなら、私もうれしい」

 どちらからともなく微笑むと、二人はそっと唇を合わせた。
 ついばむようなキスから、唇同士をはむものに高め、そのまま離れる。
 そのまま見詰め合いながら、互いの温もりを確かめるようにじっと抱きしめあう。
 しばらくそうしているうちに、シンジの意識が胸に触れている二つのしこりに向かった。
 心臓の鼓動を背景に、何かを訴えるように押し付けられている。
 レイが意識してのことではなかったが、それに気づいたシンジは再び射精への欲求が高まるのを感じていた。

 「綾波・・・動いても、いいかな・・・?」
 「ええ・・・」

 奥まで貫いていたものをゆっくりと引き戻す。

 「ん・・・っ!」

 傷口を擦られる痛みにレイの眉がひそめられた。
 それでも、シンジを見詰める視線は外れない。
 まっすぐに見つめてくる紅い瞳を見つめかえすうちに、シンジは自然に呼びかけていた。

 「レイ」

 と。
 微笑みとともに放たれた名前に、レイの顔が柔らかにほころぶ。
 シンジはその表情に吸い込まれるようにして身体を寄せていた。
 心の中に満ちている温もりのせいか、少女の顔には苦痛の影が走らない。
 ペニスを呑み込んでいる秘唇も受け入れるかのようにゆるゆると絡み付いてくる。

 「いっぱい・・・いかりくんの、が、おく、まで・・・っ!」
 「っ・・・す、ご・・・っ!」

 先ほどは先端が触れる程度だったそこが、シンジのものが完全に挿入される事で深深とおしこまれる。
 子宮が歪まされる快感にレイの声が霞む。
 射精の欲を抱いているシンジは今度はすぐに引き戻す。

 「ふぁっ!は、はぁ・・・あ、あ、ああぁっ!」
 「く・・・引っ張られる・・・っ!」

 ゆっくりと引き出されるペニスを求めてか膣のひだがざわめき、絡み付いては雁にはじかれる。
 そのたび毎に二人の意識に快感がぴんぴんと響き渡る。
 再び返しのところまで引き戻したシンジは、レイの顔に苦痛の影が見えなくなったのを確認してから本格的な抽送に入った。
 奥までのひだの絡み付く感触を繰り返し貪る。

 「ふ!あっ、あ、はっ!ああっ、あたってっ!や、あうっ、ああぁっ!!」

 ごつごつと突き上げられるたびに切れ切れにレイの淫声が上がる。
 それにあわせて奥へと引き込もうとする膣内(なか)の動きに耐え兼ね、深くまで繋がったところでシンジの腰が震えた。

 「ひぅっ!あ、こすれっ!ひ、あひいぃぃっ!!」
 「うぁ・・・しゃぶられ、て・・・うぅっ!」

 結果として繰り返しの刺激で僅かに緩んだ子宮口と、恥骨に押し付けられた膨らみきったクリトリスが捏ね回されてレイの性感を更に翻弄する。
 快感に溶けきり肉の隘路を押し広げるものに繰り返し愛液を吹き掛けてくる膣の襞が、絶頂を促すようにシンジのペニスに絡み付いてくる。
 激しすぎる快感に跳ねるシンジの腰を絡み付いたレイの肢が必死に引き戻す。

 「あくっ、は、ひんっ!も、ああっ、いいっ!いかりっ、くんっ!!もっと、もっとぉっ!!」
 「あ、とけちゃ・・・あや、なみぃ・・・っ!」

 制御できない快感が二人の躰を突き動かして逃れようの無い高みへと追い立てていく。
 ちかちかと瞬くシンジの眼に、仰け反り大きく開かれたレイの唇の奥で震えるピンク色の舌が映った。
 そのまま縋り付くように舌を奪う。

 「「んんぅ!・・・ふむんっ!んくっ!んんんっ!!」」

 一つに溶け合った淫らな呻きが絡み合った唇から漏れ出してくる。
 上下で互いの粘膜を擦りあわせて得られる魂が溶け出してしまいそうな快感に、レイの子宮が突き上げてくる熱いペニスにしなだれかかり、膣肉が繰り返し扱き上げた。
 腰の奥から迫りあがる熱い塊に、自分の限界を感じたシンジが一瞬正気に戻り抜き出そうとする。
 だが、レイの両肢はきつく腰を抱きしめてシンジを逃そうとしない。

 「(ぷぁっ)あやっ、な、みぃっ!だ、め・・・もっ、ぼくっ!も、あぁっ!!」

 唇をずらし、耳元で訴えるシンジの背に爪を立てるようにしがみつきながらレイは必死に答えた。

 「いいっ、のっ!ぜん、ぶ、ほしい、のっ!
いかりっ、くっ!ううううぅぅぅぅっっ!!!」

 「あ、あやなみいぃぃっ!!」

 意識を煌く快感に支配されながらそれだけ絞り出したレイが絶頂を極めた。
 降りきった子宮口が鈴口を咥え込み、シンジも堪えていたものが弾けてしまう。

 ドクンッ!!

 「ひゃうっ!あ、あつっ!ひいぃっ!かはっ、ひいいいぃぃぃんっっ!!!」

 無垢な子宮に直接大量の精液が浴びせ掛けられる。
 その熱い快感に熔かされ、絶頂の悶え啼きを絶え間無く唇から溢れさせて、レイは繰り返し絶頂の雷に貫かれ続けた。
 
 ドクッ、ドクッ、ドクンッ!
 
 射精されるたびにレイの子宮が震え、それに呼応して全身がぶるぶると痙攣する。
 
 「あく、はっ!!ああっ!は、あううっ!!
くううぅぅっ!!」

 
 意志から外れた手がシンジの背を繰り返し引っかく。
 それすらも精を要求する動きに感じられ、シンジは今までに無い快感に震えながらレイにしがみついて射精を続けるしか出来ないでいた。
 そして、何度震えたか判らないペニスがようやく止まったとき、

 「「ふぁ・・・あ・・・くぅぅ・・・・・・」」

 ため息のような声をかすかにこぼし、二人はようやく許された無意識の中へと緩やかに滑り込んでいった。

 

  蒼い月光が部屋に差し込むまで、室内には二人の幸せそうな寝息だけが響いていた。




   −Epilogue−

−綾波レイの居室  20:10−

 「ん・・・」

 「あ、起こしちゃった?綾波」 

 「いかり・・・くん?」

 「おはよ・・・いや、もうよ・・・わっ?!」

 「碇君、いかりくん!」

 「・・・どうしたの?」

 「わからないの・・・けど、碇君の顔を見たら、もっとそばにいて欲しい、離れたくないって思って・・・」

 「・・・僕は、離れないよ・・・綾波が、僕をいらないって言うまで、ずっとそばにいるよ」

 「言わない・・・そんな事、絶対言わないの・・・だから・・・」

 「うん・・・」


 「えと、その・・・とりあえず、僕はもう帰らなきゃならないんだけど」

 「嫌」

 「で、でもさ・・・」

 「いや・・・もっと性交するの、もっとそばにいてほしいの・・・」

 「(真っ赤)いやでも帰らないわけにもいかないから・・・」

 「・・・・・・(ぎゅう)」

 「・・・ね?お願いだよ、綾波・・・ほら、明日学校で逢えるんだし」

 「・・・わかった」

 「(ふぅ)じゃあ、また明日」

 「ええ・・・明日、学校で」



 家路につくシンジは気づいていない。
 レイが「学校で」してもらうつもりだという事に。
 どの道彼は一人暮らしなのだから、彼女の希望をいれて一晩抱き合っているべきだったのだ。
 
 少年は月を仰ぎ見つつ幸せそうに歩く。
 明日の騒動に欠片も思い至らぬままに。
 

  あとがき
 お約束の感謝の言葉から。
 まずはこのような作品を受け入れていただいたページマスターへ。
 冗長と見る向きも有るかもしれませんが、寛大に許していただけるとありがたいです。
 次に某所掲示板の方およびけんけんZ師匠。
 あいまいだったベッドの中での振る舞いのイメージにしっかりした概観を与えていただきました。
 そして最後にミセスR(レイママといってもいいものだろうか・・・(笑))
 御所望の綾波レイ主演作品であります。
 ご満足いただけましたか?(笑)




Corwinさんのメールアドレスはここ
ymcorwin@broadway.or.jp


中昭のコメント(感想として・・・)
 

  Corwinさんからの投稿でぇーす。


 んではキャラ感(でぃーえぬえーばーじょん)
ミセスR   「にこにこにこにこ」
レミ     「ぶぅー」
レナ     「みぃー」
ミセスR   「にこにこにこにこ」


少年S    「何してるんだろ」
美少女M   「レナとレミが紙吹雪を播いて、レイママがにこにこしながら歩いてるんでしょ」
少年S    「見たまんじゃないか」
美少女M   「それ以上知ると大概不幸になるじゃないの。きゃらこめの常識よ常識」

ミセスA   「何?新作?早速読ませなさい。困っちゃうのよねぇ。アタシがシンジに愛されてる所をびにいりさいにいりりりり」
美少女M   「なんで渡しちゃうのよ」
少年S    「隙をつかれたんだよ」
ミセスA   「アスカのあの字もないのぉ?!
        れいぃ御所望っていつ御所望したのよぉ。さっさと白状しなさい」
ミセスR   「『ある日の出来事』 Report 2きゃらこめ」
ミセスA   「・・・ま、まぁいいわ。アタシも主役ばっかじゃ疲れるから、たまには譲ったゲル・・・その代わり一日奥様に就任したいなぁ
ミセスR   「ダメ」
ミセスA   「なんでよ。たった一日でいいのよ」

美少女M   「問題はどの星の自転周期を基準にして、一日って言ってるかよね」
少年S    「地球だったら24時間なんだけどね」
げしっつがすぅうう
美少女M   「いったぁーい」
少年S    「テッ」

ミセスA   「嘘も方便って言うでしょ。言って良いことと悪いことを弁えなさい」
少年Sjr  「意訳すれば、自分に都合の悪いことを言うなって事だね」
ミセスA   「意訳すんな」

レミ     「ぶぅー」
レナ     「みぃー」
ミセスR   「にこにこにこにこ」
永遠の少年S 「にこにこにこにこ」

少年S    「父さんも加わったね。事情は判ってるのかな」
美少女M   「理由は分かんなくても、家族の誰かが喜んでれば自分も嬉しいのよ。
        パパってそういう人でしょ」
ミセスA   「家族の誰かが悲しんでる時はどうなのよ」
美少女M   「勿論慰めてくれ・・・んと・・・やっぱ、言って良いことと悪いことは弁えるべきだったわね」
AUUUUUUU



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