変わらない日常
 
止まる事の無い情景
 
消費されるだけの無駄な時間
 
 でも、それが幸せだった
 
 公園で服がドロドロに為るまで遊んでいた頃
 
 全てが優しく、癒しのような祈りに包み込まれていた幸せだった頃
 
 僕はそれが本当に幸せだった事なんて忘れていた
 
 いや、忘れたかった
 
 それくらい僕は悲しくなってしまったから
 
 幸せだったあの日の空が嫌いに為ったから
 
 母さんが迎えに来なくなったあの日から
 
帰れなくなったあの日から
 
 帰る場所が無くなるのは突然だった
 
 僕は知らなかった
 
 帰る場所が在ると言う事がこんなに懐かしいだなんて
 
帰る場所が無くなってしまう事がこんなに悲しいだなんて
 
 日常では気が付かない最高の至福がこんなに側にあるだなんて思いも因らなかった
 
 でも、僕にはもう帰る場所すら無い
 
 それが本当に悲しかった
 
 
 
「何が悲しいの?」
 
  
 
 拒絶した世界に響き渡った声
 
心地よかった
 
心から暖かかった
  
 
 
「お家に帰りたい・・・」
 
「でも、帰れないから・・・」
 
 
 
 それは絶望
 
 自分にじゃなくて、自分の生きていく世界への・・・
 
 
 
「ここだよ」
 
「ここに帰ってきなよ」
 
 
 
 彼女が言った
 
 
 
「あたしが帰って来れる場所になってあげるよ」
 
 
 
 彼女の声が聞こえる・・・
 
 そして、僕は帰って来た・・・
 
 彼女の下に・・・
 
でも、僕は泣かなかった・・・
 
いや、泣けなかった・・・
 
知ってしまったから・・・
 
哀しみの全てを・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泡沫の風
 
一話「朝」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シャーーーッ』

 ・・・眩しい。

 暗転するような感じに陥る錯覚、まるで谷底に落とされたようだ。

 五月蝿いくらいに眩しい日差しが入ってくる。

 もっと寝たいのに・・・誰が起きるモンか。

 眩しそうに眼をぎゅっと瞑り、タオルケットを身体に捲いて更に身体を縮こめる。

『バッ!!』

 ・・・寒い。

 一瞬体が軽くなると同時にブルッと来る肌寒さ。

 タオルケットが取り払われたようだ。

 それでも僕はまだ粘る。

 朝の、それでいて起きながらも惰眠を貪るのは一種、僕にとっての儀式なのだから・・・。

・い・・・・」

 ・・・うるさい。

 どうも耳元で何かが喋っているようだが気にしてはいけない。

 これは僕を落とし入れようとしている罠である。

 そんな悪に断じて負けてはいけない。

『ガン!!』

 ・・・痛い。

 枕をダルマ落としの要領で抜き取られ、頭に在る筈である支えが無くなってしまった。

 ・・・まだ負けん。

『バフッ!!』

 ・・・苦しい。

 かと思えば今度は真っ暗い闇に落とされた・・・よりも、それ以上に息が出来ない。

 今度はその枕を頭に押し付けて窒息させようとしている・・・。

 って殺す気か!!?

「ぶはぁあっ!!!」

 取り払われた枷を隅に投げ飛ばし、代りに新鮮な空気を肺に送る。

 は〜っ、死ぬかと思った。

「やっと起きたわね!この馬鹿シンジ!!」

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・眼が覚めてきた。

 耳障りな声を無視して状況を整える。

 起き抜けのしょぼしょぼとしている眼を擦りながら目脂を摘んで落とす。

 乾いた唇を拭い、もう一度状況を整え、考える。

 朝、寝起き、そして僕の隣には何かが立っていた。

 女性・・・と言うには程遠いが・・・。

 まぁ、性別的に見たら強ち(あながち)間違いではないだろう。

 いや、ボリュームたっぷりの肉体は高校生とは思えないほどの色艶を醸し出している。

 そんな彼女、惣流・アスカ・ラングレーが先ほどから僕の睡眠を邪魔している張本人だ。

 ・・・・・・・

 ・・・・・・

 あ・駄目だ・・又・・・瞼が・・・・落ちる・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・もう一度頭を振る。

 完全に状況を把握して、日の光の当たる方に視線を向かわせる。

 顔を窓際に向けると一瞬にして世界が眩しく輝き出す。

 朝の陽の光が強すぎた所為か眼を細めないと倒れてしまいそうだった。

 朝の日差しの心地良さを尻目に、ぼそっと、僕は呟いた。

「あ、もうそんな時間か・・・」

 僕の声に飽きれながらアスカが、

「はぁ〜っ、あんたってばホンっとに寝起きが悪いわね」

 と言う。

 そんな彼女の皮肉を無視しながら、僕は学校へ行く支度をする。

 今もそうだが、先ほどのやり取りなど日常茶飯事だった。

 これが自然に感じられる事が、今朝も生きていると言う事を実感する。 

「あ、アスカ。今朝はもう朝御飯食べた?ってまだに決まってるか・・・」

 判り切った質問しておいて、自分で勝手に答えを決めつけながら時計を見る。

 朝の6時30分。

 今朝も丁度良い時間だ。

 僕は自分の仕事の為に台所へと足を運ばせる。

「当ったり前じゃない!これはあんたの仕事でしょ」

 まったく・・・五月蝿いなぁ〜・・・と言いたい所だが言えないのが僕の性分である。

 アスカはぶちぶちと文句を言いながら後ろから着いて来る。

「で、今日は何にする?」

 ここで、何にする?と言うのは一応朝食のメニューの事。

 コレが僕の仕事である。

 この家での殆ど、いや全ての家事は僕の領分である。

 家事を出来るのが僕だけと言うのが欠点の様な気がする。

「目玉焼きと、フレンチトースト!!あ、蜂蜜たっぷりね」

 朝から蜂蜜たっぷりとは・・・まぁ、文句を言うのは止めておこう。

 素直に従った方が身の為だろうし・・・。

「は〜い、かしこまりました。お嬢様・・・っと。アスカ、用意するからミサトさん、お願い」

 葛城ミサト、僕達二人にとっての親代わり権お姉さん。

 親代わりだと言うのはこの家に僕やアスカが引き取られたと言うことであって、決して親類と言うわけでは無い。

 アスカがここに居る事の細かい事情は知らないけれど、僕の方は両親の事とか色々なゴタゴタでこの家に流されてきた。

 ミサトさん自体も結構色々在るらしいが三人共、お互いに深い事は詮索しないようにしている。

 誰が決めた訳でも無いのに、なんとなくこの事はについては、僕も聞かないし話さない。

 暗黙の了解・・・と言うよりもここのルールと言った方がしっくりくると思う。

 だから、皆それぞれに『大体の事』は判っているが、細かい事は知っていないと言う事に為る。

 それはミサトさんも例外では無い。

 だからどうしてミサトさんが僕らを引き取ったのかも知り様が無い。

 知っている事は母の知り合いと言う事だけ。

 でも、僕としてはそんな事は如何でも良いんだけれどね。

 この家に居られるだけで十分なんだから。

 そんな、仕事の忙しい彼女は何時も帰ってくると直ぐに死んだように眠ってしまう。

 よって、朝は極端に弱い。

 僕も弱い方だが、それに輪をかけた以上に弱い。

 でも、普段(家以外)は僕から見ても、いつもピシっ!としててカッコ良いと思ったりする事があるくらいのキャリアウーマンである。

 でも彼女はもう一つ欠点・・・汚点と言っても良いが彼女は無類の酒好きで、偶に早く帰ってくると底抜けの胃がビールを水の如くがぶがぶと飲んでは絡む、飲む、絡む、飲む、絡む、そして最後はぶっ倒れる、等と、無茶苦茶な面も持っていたりする。

 そんなこんなで、先のような事が昨日の夜は起こった。

 仕事が早かった所為もあってか何時も以上に飲んで入た。

 それが楽しみなら居候である僕としては止め様も無いけれど・・・。

「え〜っ、いいわよ。あんなグータラ、放って置いたって罰は当たらないわよ!」

 まぁ、アスカの怒りも判らなくも無い・・・が、 ね・・・。

「いいから、早く!朝だけは一緒に食べるって約束だろ?」

 僕はエプロンを着けながらアスカに言った。

 ミサトさんの時間は殆どと言って良い程規則性が無い。

 よって夕飯が一緒と言う事は殆ど無い。

 だから、僕の提案で責めて朝だけは一緒に食べようと言う事にしている。

 勿論、休日は除くが・・・。

「へ〜いへい。判りました判りました」

 そんなアスカの背中に返事は一回!と言いながらフライパンに油を広げた。

 卵を割ってフライパンに落とす、今朝は目玉焼きだ。

 

 

 

 

 毎朝繰り返される単調で普遍的な日常の流れ。

 弱火でゆっくりと焼けて行く卵の白身。

 それに併せて食パンにマーガリンを塗ってトースターにかける。

 何も考えないでこれらの仕事をこなして行くような気に為ってくる。

 でも、それが楽な生き方。

 僕にとって一番優しい生き方。

 

 

 

 

「まったく!ミサトもあんたも寝起きが悪すぎよ!!」

 アスカの怒鳴り声ではっと、我に帰る。

 何時の間にかアスカはテーブルに座っていた。

 慌てて火を落とし、平皿を出してそれに目玉焼きを乗せる。

「ふぁ〜あ、シンちゃんおはよ〜。御飯まだ?」

 アスカの後ろから、これもまた何時も通りの声がする。

 眠たそうなミサトさんの声。

「ちょっとミサトぉ!このまま食べる気!?」

 このままというのは、下着姿の事である。

 小さい頃から見てきたのでお互いに為れてはいるが、流石にだらしないと僕ですら思う。

「え?そぉ〜よ、いけない?」

 彼女にとってはコレが普通だから悪びれもしないのは当然か・・・。

「はぁ、あんたってばホントにだらしないわね〜」

 呆れ口調でも明らかに怒気が感じられる。

 このままでは朝から口喧嘩が始まりそうだ・・・。

「ほら、アスカもミサトさんも止めて、御飯、もう直ぐ出来ますから、顔洗って、ちゃんと着替えてくださいよ。ミサトさん」

 僕のこの台詞だって、毎朝のお約束のようなモノになった。

 一応、僕はここに居ても良いようだ。

 まだ、出て行く必要は無いのだろう。

 

 

 

 

 必要は無い・・・か。

 それで安心して生きていられる。

 それで都合は付けた・・・つもりか・・・。

 いや、縋っているのか・・・。

 

 

 

 

 

「ほら、さっさと行くわよ!今朝はいつもより時間がきついんだから!」

 アスカはもう準備は出来ているようだ、玄関で例の如く怒鳴っている。

 僕も後は玄関を出て行くだけなんだけどね・・・。

「わかってるって」

 ま、今日はもう無理だろうな・・・きっと。

 HRは完全に遅刻だよ・・・と頭の中で返しておく。

「はい、いってらっしゃいね〜。急いでるのは判るけど、車に気をつけるのよ〜」

 ミサトさんがビールを飲みながら玄関まで来た。

 ビール片手にする挨拶じゃないと思うけどね・・・。

「ミサトさん程じゃありませんから大丈夫ですよ」

 ミサトさんは酒飲みでも有り、重度のスピード狂だったりもする。

 この人に皮肉を言っても効かないんだろうな。

 あ、そうそう、忙しかったから聞くの忘れてた。

「今日は夕飯どうします?」

 一応僕の仕事だし。

「今日は仕事。外で食べるからいいわ」

 今日はミサトさん、仕事か・・・。

「はい、判りました。じゃ、行ってきます」

 悠長に挨拶していたら行き成り引っ張られた。

 僕はアスカに手を引かれる様に玄関を出る。

 一瞬何が起こったのか判らなかったけれど、それでも玄関を閉め忘れた、と思ったらミサトさんが玄関の脇から手を振って居た。

「朝から熱いわね〜♪」

 何を言ってるんだ?この人は・・・。

 と、呆れながらも、あの人らしいと苦笑する。

 

 

 

 

 

 

 

 朝、僕にとっての一瞬の救い。

 他人には只の朝かもしれない。

 けれど僕に朝が来なかったら、それは完全に死を意味している。

 生きていると実感したい瞬間。

 それが朝。

 でも、それに感じる背徳的な後ろめたさが生を否定したがっている事も知っている。

 そして、この二つが行き交う事で始めて感じる。

 生きていると判る。

 全てが実感に変わる・・・。

 握り締めた拳の痛みが気持ち良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 学校へ行く途中、何時もの信号で止まる。

 今朝はここ迄走り続けた所為も在って結構息が切れていた。

 何時もは歩道橋の階段の前まで走っているからだ。

 先に着いたアスカは無意味にも夜間用歩道信号の待ちボタンを押してる。

 焦っている様にも見える。

 ぎりぎりの時に何時もやってるもんな、アレ。

 やっぱり遅刻するのは嫌なのかな?

「あ〜、早く青になってくんないと遅刻しちゃうのに〜!!」

 あ、やっぱり・・・。

 でもさ、別に学校なんか行かなくったって如何とでも為るのに・・・。

 流石にコレは聞かせられないので心の中で反芻する。

 聞かせられると思う所だけ口にする。

「アスカ、もう完全に遅刻だよ。もう良いじゃないか、ゆっくり行こうよ」

 少なくともここから学校まではどんなに急いでも後5分はかかる。

 無理だと判っているのに走るのは無駄だと思うのに・・・。

「あんたね〜、誰の所為で遅刻しそうになってんのよ!?」

 誰の所為って・・・誰だろう?

 あ、僕だ。

 自分でそう思って苦笑する。

 昨日の夜は水泳の授業で疲れてて洗濯をしないで寝たモンだから、今朝代りに洗濯をしたら思いのほか時間がかかってしまった。

 結果がコレである。

「ごめん、僕の所為。でもさ、アスカが先に行ってくれても良かったのに・・・、待ってたって意味無いでしょ?」

 一応、僕が悪いので誤りはする。

 補足を付け加えてだけど・・・。

「そりゃ・・・まぁ、でも色々あるのよ!」

 何が色々なのかは判らないが聞くのは止めておこう。

「ほら、それに今日だって私が居なかったらあんた学校行かなかったでしょう!?」

 ・・・・・確かに。

 アスカの発言には裏付けがあって、過去にそう言う例は何度と無く在る。

 僕は面倒くさくなると学校に行かない性格で、何時もアスカが居るから学校に行っているような物であって・・・。

 今日みたいに学校に遅刻すると判ってしまうと、学校に行こうとはまず思わない。

 でも遅れると判って付き合っておいて、怒るのは筋違いなんじゃないのか?と、そこまで言おうとして止めておいた。

 遅刻に付き合って貰っている上に、コレ以上アスカを怒らせるのも何だしね・・・。

 残り時間はもう無い、そろそろ朝のHRの時間が始まりを告げるチャイムが鳴る頃だ。

 信号機も青に変わり、それに併せたように僕とアスカは学校へと急いだ。

 途中でチャイムが鳴り響き、結局そこからは歩いて行ったが・・・。

 

 

 授業五分前、下駄箱についた時はもうそんな時間だった。

 アスカは溜息を吐きながら、

「またヒカリに何か言われる〜」

 とぼやいていた。

 アスカの言っている事は大体判るが何時もの事なので、少なからず僕に対する当て付けが在ったように感じた。

「悪かったよ、アスカ」

 コレで機嫌が直るなら何回でも言うんだけど・・・。

 

 でも、案の定、授業の始まる少し前の喧騒の中に迷う込んだような形で入っていった僕らには何時ものように声が飛び交った。

 まぁ、ここ数年でそんなのも為れて来ている。

 その中でも、僕の親友である鈴原トウジの台詞は毎度お馴染みの必ず聞いている物だった。

「よっ、ご両人。朝からお熱いな〜」

 コレを口火に一斉に周りから野次が飛んでくる。

 僕はそんなモノには気をにも止めずに一応、まぁねと返しておく。

 僕の方は怒りもしないが真に受けたりもしない、アスカの方は怒るけれども・・・。

 気にしなければ良いのに・・・。

 ふっと、アスカの方を見てみる。

 案の定、アスカは震えていた。

 ほら、顔が赤くなって来た、そろそろかな?

「ちょっと、あんた何馬鹿な事言ってんのよ!」

 あ〜あ、切れちゃった・・・。

 と、こんな感じで、コレも何時も通り。

 中学から続いてきている言わばコミュニケーションとでも言っておこう。

 そしてこの後、洞木さんが入ってきて、『ちょっと、鈴原もアスカも止めなさいよ』ってね。

 何時もコレで終わる、ホント、迷惑かけてゴメンね、洞木さん。

「ちょっと、もう授業始まるわよ。二人とももう止めなさい!」

 ちょっと違ったけど、大体合ってるよね?

 そんな中、僕はそんなモノには最初から興味は無かったように、授業の準備をして机に座る。

 後ろから呼ばれた。

 僕の後ろはもう一人の親友、いやこちらは寧ろ悪友と言った方が近いな。

 後ろには相田ケンスケが座っていて、彼が話し掛けてきた。

「朝からよくヤルよ。ホント、飽きないよな?あいつら・・・」

 僕はケンスケに頷きながら、

「僕もそう思うよ・・・」

 と返す、一応、ケンスケは何か用事があって僕に話し掛けて来たのだと思う。

 僕は必要以上の事は聞かない主義なので、そのままケンスケが次に何を言うのかを待つ。

 昔からのやり取りでケンスケも既に判っていて、さっそく本題を切り出す。

「そうそう、碇、知ってるか?昨日ゲーセンに新しい奴が入ったんだってさ。格闘系の最新版だって。だからトウジも誘って、午後このまま授業ふけて行かないか?」

 大体は予想は着いて入たけど、今日は財布の具合も中々だったからケンスケの誘いに乗ろうと思った。

「うん。良いね、今日はそれで決まりか・・・・」

 そんな時、僕が言おうと思った事を最後まで言う前に先生が入ってきた。

 ケンスケと話を中断し、僕は起立した。

 トウジもアスカも、先生が入った瞬間に口喧嘩を止めて起立した。

 先生も勝手知ったるなんとやら・・・と言うように、朝の出来事を大体判っていてアスカとトウジの方を見て、またか・・、と笑って居た。

 

 

 一時間目の現国の先生がテストが近い事を告げる。

 教科書と漢字の範囲を言っているが、それも耳に余り入ってこない。

 そんなモノを聞く気にも為れない僕は、既に窓の方へと視線をやっている。

 雲がふわふわと浮いているのが目に入る。

 余りに儚く感じた。

 例えると、海に浮いた泡が暗い底に飲み込まれる前の瞬間に似ている。

 いや、瞬間移動で消えてしまう人みたいなモノかも・・・と自分自身に訂正をいれる。

 それ位、一瞬にして消えてしまいそうな雲だった。

 

 

 今日も何事も無く、何時も通りの退屈な授業が始まる。

 

 

 

二話に続く

 
 


 

 ひょっとしたら後書きかも?

 

 半年ぶりの投稿です。

 ちなみに「僕らが還る場所2」は書いている途中で書けなくなってしまいました。

 スイマセン、実力の無いモノの大失敗です。

 今回はそんな事の無いように頑張りますので、これからもまたお願いします。

 まだまだ稚拙な文章がたくさんありますが、意見や感想、文章のおかしな所の指摘等々があればメールでも書いてあげて下さい。

 



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