著者注
其の壱:18禁作品に付き、18才以下の読者の閲覧を禁じます。
其の壱:不況への対抗措置として(笑)、就業時間中の読者の閲覧を禁じます(爆)
其の参:「これはいったいどういうレイなん?」と言う方は拙作「甘いのはお好き?」Vol.1〜2参照。






把恋多淫
説話
セントバレンタインデーストーリー (X指定)


そのに


書いた人 けんけんZ




「・・・バカ」

 レイの囁きに、シンジの首筋が硬くなる。
 耳元に吹きかけられたその言葉に、思うより早く身体が反応した。

 シンジはレイが包みから解いたモノを引っ掴むと、レイを仰向けにして自分がレイに覆い被さる
ように唇を求めた。

「あっ・んっ」

 嬉しいような、驚いたような、レイの短い悲鳴。
 シンジは抵抗しないレイのうなじを右手で掴んで、唇を貪るように押し付ける。

「んっ」

 シンジの左手が胸に触れると、レイの喉が鳴いた。
 口付けたままで、シンジの左手がエプロンを剥いで制服のリボンを探る。
 リボンまでは簡単に取れたが、制服の前の合わせ目をどう外したら良いのか、シンジには分から
ない。
 壱中女子の制服を脱がせるよな事態に陥ったのは、これが始めてなのだから仕方が無い。

 どうやって外せばいいのかといったん身体を離したシンジの胸元を、レイの指が探る。
 シンジのシャツのボタンを、手早く外していく。
 シャツのボタンをすべて外すと、ズボンにたくし込まれた裾を引っ張り出してシンジに腕を上げ
させる。
 ランニングシャツ姿になったシンジは一瞬寒さを覚えたが、すぐにそのランニングも脱がされた。

 上半身が裸にされると同時に、シンジはベッドに押し倒されていた。

「あ、綾波」

「もう、碇君ってば不器用だからイライラしちゃう」

 レイが頬を赤く染めたまま、シンジを見下ろす。

「・ご・・ごめん」

 レイの手がシンジのズボンのウェストボタンに伸びた時、シンジはとっくにレイに気圧されてい
た。

「見せてもらうわ。碇君の」

「あっ、ちょっとまって」

 一瞬でボタンを外して、今チャックを下ろそうとしていたレイの手を、シンジの手が止める。

「なに?」

「・・ズボンぐらい、自分で脱いだ方が良いかなって」

 照れ隠しに笑うシンジを見て、レイもふっと微笑んだ。

「そう?」

「う、うん」

「分かった」

 なんとなく、相手が服を着ているのに自分が裸で居るのはプレッシャーを感じる。
 自分の方が弱いという気がしてしまう。
 まして、女の子の前で裸になった事など無いシンジには、プレッシャーだった。

「ちょっと、向こう向いててよ」

 裸のままレイの目に晒されるのも困るだろうが、脱ぐと言う行為自体位も見られていると思うと
恥ずかしい。

「なんで?」

「なんか、恥ずかしいから」

 自分でチャックを下ろしてズボンが下ろせる体勢になって改めて、シンジはそんな弱音を吐いた。

「じれったいってば」

 シンジの手を退けてレイの手がズボンを掴む。
 とっさに抵抗する気も無くしたシンジから、レイはズボンを取り上げた。

「パンツも脱ぐ?脱がせてほしい?」

 一瞬シンジの動きが止まる。

「えいっ」

 シンジの返事を待たずにレイはシンジのトランクスに手を掛けて、一気に下ろしてしまう。

「うわっ」

「なによ、情けない」

 手で前を隠したシンジを見下ろして、レイが吐き捨てるように言う。

「恥ずかしいんだからしょうがないよ」

 隠そうにも裸である。
 シンジは身体をねじってなんとかレイに背を向けようとするが、レイはシンジの肩を両手で掴ん
でベッドに押し付けた。

「隠さないで、見せて」

 真上から仰向けのシンジを見詰めるレイの目は、笑っていなかった。

「う・・うん」

 仕方なく、シンジは股間から手を引いた。
 自分のモノが頼りなくそそり立つ。

 それを上から、レイが見下ろす。

 まだシンジは若いせいか、充血してはちきれんばかりに膨れ上がっているのに、そのモノ自体は
赤黒く染まったりはしない。
 せいぜい肌色に対して血の気が多いぐらいのものである。
 しかも、これはシンジ自身にとってもコンプレックスなのだが、何とも頼りなくしか根元に茂る
ものが無いのだ。

「ふふっ、元気じゃない」

 そんなシンジのモノを見て、レイが目を細める様にして、笑った。

「・・・かわいい」

 自分のモノが「かわいい」と言われて嬉しがる男はそう居ないだろう。
 シンジもなんとなく、傷ついた。

 もうちょっと、こう、驚いたり、迫力を感じたりして欲しかったのだ。
 まあそれが無理だろう事は当のシンジ自身が自覚しているので仕方ないと言えば仕方ないのだが。

 ゆっくりと、レイの手がシンジの股間に伸びる。
 シンジはその光景を見ながら唾を一つ飲んだ。

 レイの手がシンジのモノを掴む。

「うわっ」

 シンジの悲鳴と共に、レイの手の中でシンジのモノが大きく脈打つ。

「ピクピクしてる・・・」

 レイは両手で包むようにシンジのモノを掴むと、その先端にそっと唇を寄せた。

 今までだって限界まで膨れていたものが、どくん、と脈打ってさらに太く充血した。
 と同時に、ずっと先ほどから欲情していたシンジの身体の中から、先走りが零れる。
 その、先端からわずかに零れる透明な粘液を、レイが舌先をとがらせて舐め取る。

「あっうっ」

 はちきれんばかりに膨れ上がり、敏感になっているその部分は、撫でるように触れるだけのレイ
の舌のわずかなざらつきすら明確に捉えて反応する。

「溜まってる?ダメよ」

 あむ、という感じで、まるで躊躇せず、レイはシンジのモノを口に含んだ。

「あっああ」

 シンジの口から情けない声が漏れる。
 熱く、ねっとりと湿ったレイの口の中は、膨れ上がったシンジのモノで一杯になった。

 その狭い口の中で、レイはシンジのモノをしごき上げるように舌を動かす。

「うっ・・うっ」

 あまりの気持ち良さに、シンジは実際めまいを覚えた。
 自分の手でするのとはまるで違う、濃密な快感が身体を駆け上がってくる。

 あまり気持ち良くされるとあっけなく終わってしまいそうだった。

「あ・・あやなみ」

 声を掛けたシンジに、レイは顔を上げたが口は離さなかった。

「なに?」

 シンジを口にくわえたまま、わずかに口を開けただけでレイが返事をする。
 その声の振動すら、シンジには過酷な責めだ。

「あ・あんまりしちゃうと・・・」

 シンジの弱ったような声を無視して、レイは口の中でシンジの先端をゆっくり舐め回し始めた。

 レイの口にしっかり咥えられた自分のモノが、シンジの目に映る。
 敏感になった先端の感覚以上に、その光景がシンジを刺激する。

 レイの口の中に、自分の一部が入り込んでいる。
 滴る唾液が光る。
 口の中の舌の動きが、頬を透かして手に取るように分かる。

 そして、シンジのモノを咥え込んだ、レイの表情。
 満足したように微笑んだかと思うと、悪戯っぽく目の端で笑って、さらにシンジを刺激するよう
に舌を動かす。

「んっ・・ふぅ。気持ち良い?」

 いったん口を離すと、レイは挑むような上目遣いでシンジに尋ねる。

「・・うん。綾波、もっと」

 シンジは観念した。
 一度レイの口で果ててしまっても「かまわない」と思ったのだ。
 そのぐらい、初めて経験する口の中は気持ちが良かった。

「じゃあもっとしてあげる」

 右手でシンジの根元をしっかり掴んで、左手で髪をかき上げながら、レイはゆっくりシンジを飲
み込んでいく。
 一番奥まで届く寸前に、今度はゆっくり引きぬく。
 唇をすぼめて、膨れ上がった先端の周りを締め付けながら、口の中では舌先がせわしなく動く。

 また唾液が零れて光る。
 まだ生え揃わないシンジの茂みを、零れたレイの唾液が濡らす。

「うっ・もっと・・」

 シンジの声に応えるように、レイはゆっくりと頭を動かし始める。

 右手でしっかり根元を掴んだまま、口の中全体でシンジのモノを刺激しつつ、ゆっくり動きつづ
ける。
 レイの中に入っていく感覚、出てくる感覚。
 締め付けるような唇の柔らかさ。
 熱く濡れて自在に動く舌先。

 それらが渾然となって、シンジを痺れさせるほどの快感を生み出しているのだ。

 ゆっくり動くレイの顔の下で、脈打っているのがはっきり分かる自分のモノ。
 それを掴んでいるレイの手。
 硬く細い指の感覚。
 熱く柔らかい唇。
 うっとりしたようなレイの表情。

 なにより、レイの口の中に自分のモノが有ると言う、その異様な光景。

 口をすぼめてシンジを包むレイの唇が立てる、湿った音。
 唇とシンジのモノがこすれて立てる音。
 レイの舌の動きが奏でる音。

 シンジとつながっているレイの口の中の濡れた音が、シンジの耳に届く。

 触覚が、視覚が、聴覚が、すべてがシンジを刺激していた。

「あ、あやなみ」

 熱いモノが込み上げてきて、シンジはレイの頭を掴んだ。
 もっと強く、もっと激しくして欲しくなった。

 だが、レイは頭を振ってシンジの手を振り解くと、咥えていたモノを離してしまう。

「はっ・・はっ・・はっ」

 シンジの息は荒い。
 それを見てレイは満足したようにうなずいて、

「もうイッちゃいそう?」

 と尋ねた。

「うん。もう・・」

 ふたたび子悪魔の微笑を湛えるその顔。

「ダメ。ずるいわ」

 レイは目だけ笑ったまま拗ねたような顔をして、シンジの上に馬乗りになる。

「私はまだ何もしてもらってないのに」

 レイの顔がすっと近づいてきて、シンジに短い口付けを浴びせた。
 そして、シンジの身体の上でゆっくりと向きを代える。

 レイは何も言わなかった。
 ただ、スカートに包まれた柔らかそうな、形の良いお尻をシンジの方へ向けただけだった。

 そして再びシンジの根元をぎゅっと掴むと、そのまま身体を倒して口付ける。

 レイの身体に遮られて、今度はシンジの目からその光景は見えない。
 目の前には水色のスカートのひだが、レイの身体のラインを隠しているだけ。

 シンジはゆっくり手を上げて、自分の胸の上に乗っているレイのお尻を、ゆっくりと両手で掴ん
でみる。
 スカートの生地越しに感じられたその肉の感触は、思ったよりも柔らかいのだが、指が食い込む
ほどに力を込めてもしっとりと押し返すような弾力と厚みがある。

 シンジは掴んだ手をゆっくり動かして、レイの身体を撫でるように味わう。
 そして、おずおずと、スカートの裾を探る。

 そんな消極的でおよび腰なシンジの手の動きに業を煮やしたのか、レイは自分でスカートを捲し
上げ、ショーツの股布をシンジの顎に押し付けるように身体を寄せた。

「ねぇ、碇君も」

「う・・うん」

 シンジは文字どおり息を呑んだ。
 目の前に、至近距離にレイの股間がある。
 手を伸ばせば、どころではない。
 舌を伸ばせば届きそうなところに。

 そしてそこは、布が透けそうなぐらいに湿っている。
 そこからは濃密な、シンジが今まで知らない「女の匂い」がした。

 シンジは首を曲げて、レイの股間に口付けた。

「うんっ」

 シンジのモノに口を塞がれたまま、レイの喉が鳴る。
 濡れた布越しに、その部分の複雑な弾力がシンジの舌先に伝わってくる。

 シンジはまだそこを見た事が無かった。
 舌で触れれば触れるほど、レイの口から吐息が漏れ、身体からは液体が溢れてくる。

 そんな不思議な場所を、直接この目で確かめたくなる。

「取って良い?」

「・・うん」

 レイはわずかに腰を浮かせて、シンジの手が動くに任せた。
 シンジはレイのショーツを太股の途中まで下ろして、また自分の顔に密着するようにお尻を掴ん
で引き寄せる。

 レイの肌は、白い。
 太股も、お尻も、きめが細かく柔らかい肌。
 それはそのまま、人目に付かぬ股間まで続いていた。

 陰りの無い肌。
 滑らかな恥丘がそこにあった。

 手で押し広げると、白い肌の真ん中に、ピンク色の裂け目が現れる。
 柔らかく弾力に富む肉ひだの間は、肌と言うより唇や舌に似た色をしている。

 そしてその部分は、レイの中から溢れたもので滑らかに濡れそぼる。

 シンジは夢中で口を付けた。

「はんっ」

 シンジの耳に、遠くからレイの嬌声が届く。
 それと同時に、掴んだ手の平を通じて、レイの身体が緊張するのが分かった。

「気持ち良い?」

「うん・・あっ」

 レイの返事を待たずに、シンジは舌を動かす。
 両手で肉ひだを一杯に押し広げて、その間にある複雑な肉ひだを舌先でなぞる。
 そして、小さな左右のひだの付け根にある、小さな突起を唇で捕らえる。

 捕らえた突起は、シンジの唇の間でゆっくり弾力を増していく。
 初めは感触など無いぐらいに小さかったものが、徐々に充血して小指の先ほどに膨れ上がった。

「はっ・・・はぁっ」

 肉ひだが花びらとすれば、その部分は雌しべか。
 花と言うより蕾に似ていると、シンジは思った。

 硬く閉じて、あらわになるのを拒んでいる、小さな蕾。

 シンジは手の平で肉ひだを押し広げたまま、親指で膨れた突起を包む小さなひだを押しのけた。
 そこには、血が通っているのか分からないような、白っぽい半球が埋まっている。

 唾液と愛液に濡れ、光るようなその小さな半球に、シンジは興味を覚えた。
 その場所の名前ぐらいは知っている。
 そこが、女性の体の中で一番敏感な場所だと言う事も。

 シンジは唇を尖らせて、それを吸う。

「んっ・・はぁっ・・だめっ」

 レイが悲鳴を上げる。
 体験した事の無い、直接的な快感。

「はぁっ・あんっ」

 シンジは唇でしっかり捕らえた半球を、舌先で弄ぶ。
 シンジの舌の動きに合わせて、悲鳴も嬌声とも付かぬ声を上げるレイの反応が面白かった。

「あっ・やっ・ぃやっ・・やめっ」

 身体を捩ってシンジの口から逃れようとするレイを両手でしっかり捕まえたまま、シンジはます
ます強くレイの蕾の中心を責める。

 右の親指で突起を包むひだを押さえて開いたたまま、左の親指を、わずかに口を開けたレイの身
体の入り口へと伸ばしてみる。
 小さく口を開けた入り口で、わずかに抵抗がある。
 まだ触れられていないそこは、シンジの指のぐらいなサイズのモノでも、受け入れる事を拒んだ。

 シンジは入り口の周りを、ゆっくりと指先で押し広げるように撫でる。
 徐々に柔らかくなっていく肉の感触を楽しむように。
 触れれば触れるほど、滴るほどに蜜が溢れる。
 シンジの指も、じきに滑らかな粘液が絡んでぬらぬらと光る。

 すでにレイは、シンジのモノをすがり付くように握り締めたまま、口にする事は出来なくなって
いた。

 それほどに息が荒い。

 シンジはゆっくりと、左の親指をレイの身体に沈めていく。

「ああっ・・はぁああっ」

 抵抗を伴ってレイの身体にゆっくりと沈んでいく自分の指を、シンジは間近で眺めた。
 狭い入り口で濡れた指がこすれて湿った音を立てる。

 入り口を過ぎて少しのところに、わずかに違和感を感じる場所。
 そこが、外側の敏感な部分とつながっている事を、シンジも知識として知ってはいた。
 その知識が本物かどうか、試す機会が有るとは思っていなかったが。

 シンジはレイの中で指を曲げてみる。

「あっ・やっ・いやっ」

 真っ直ぐ入る事すら拒んだそこは狭く、シンジが指を曲げると抗うように軋む。
 曲げた親指の関節で、レイの中のざらつく場所を刺激する。

 それに伴って、蕾の中の半球もさらに膨らむ。
 どうやらつながっているのは本当らしい。
 内側に力を込めると、それに反応するように外側が脈打つのが分かる。

 シンジはそれを唇で吸い上げて、舌でこすり上げる。

「い・やっ・だめぇっ・・やっ・あっ・・あっ」

 リズミカルに、シンジはレイを責める。
 少し曲げたままの指を、レイの中で動かしてみる。
 初めは抜き差しする方向で動かしてみたが、ゆっくり回すようにした方がレイの反応が良い事に
気が付いて、ゆっくり舌の動きに合わせて指を回す。

「あっ・・あっ・んあっ・・あんっ・あんっ」

 レイの上げる声が、シンジには楽しかった。

「もうっやめっ・・ああっ・・ああっ」

 一度は柔らかくシンジの指を受け入れたレイの身体が、内側でまた硬く、今度はシンジの指を締
め付けるように蠢く。

「いやっ・やんっ・あっ・はあっ・ああっああっあああああっ!」

「ううっ」

 レイがひときわ甲高い嬌声を上げるのと同時に、シンジも果てた。

 レイはシンジのモノを掴んだ手を動かしもしないのに、レイのあげる喘ぎ声と、目の前で蠢くレ
イの股間を眺めているうちに、シンジは果ててしまったのだった。

「はぁ・・はぁ・・はぁ・・」

 しばらく、シンジの身体の上でレイはぐったりとして荒い息を吐いていた。
 息が整うと、シンジの顔の前にお尻を突き出した格好が恥ずかしくなって、身体を起こす。

「いや、もう。口の中でと思ってたのに」

 シンジから吹き出したものが、レイの顔を盛大に汚していた。
 顔だけではなく、髪にまで。

「ごめん」

 頬や額に滴るべたべたした感触に、レイは口を尖らせて抗議する。

「・・・顔洗ってくる」

「う、うん」

 自分のモノで白く顔を汚したレイ。
 シンジは奇妙な満足感を覚えていた。

「待っててね。もう」

 膝まで下がっていたショーツを脱いで、レイは風呂場へ行ってしまった。
 シンジは手持ち無沙汰になる。

 待っててと言われても、いつまでも一人で裸で居るのはおかしな感じである。
 シンジはとりあえずパンツとシャツとズボンだけ着た。

 そして、ベッドの上で忘れられていた、チョコの箱から最後に出てきたコンドームをズボンのポ
ケットにしまう。
 レイが何を思ってこんな物をバレンタインのチョコの箱の中に入れたのか、今となっては尋ねる
までもなく明白だ。

 レイが戻って来たら、もう一度、そういう雰囲気になるんだろうか。
 そして今日、ここでレイを相手にズボンのポケットの中のものを使うのだろうか?
 つい今さっき、互いに一番大事なところを口付け合ったというのに、その先はまだやはり一線の
向こう側と言う気がする。

 シンジは一度ポケットの中にねじ込んだものを取り出して、しげしげと眺めてみた。

 知識として、どう使うか、そんな事は百も承知だ。
 だが実際に付けてみた事も無ければ、必要になると思った事も無い。

 いざその時に、上手く行くだろうか?
 またレイに

「不器用だからイライラしちゃう」

 なんて言われるんじゃないだろうか?

 まあ、言われたら言われたで、その時はレイに任せてしまうのが一番良いような気もする。
 そんな事をぼんやり考えていたら、また下の方に血が集まってくる感触が有った。

 今一度果てたばかりなのに。
 けれど、このまま「また明日」とレイの家を後にするのは想像しにくい。
 やっぱり行き着くところまで行くんじゃないか、という予感がする。

 そんな事を考えていた時。

“ピンポーン!”

 玄関でチャイムが鳴った。
 シンジはなぜか、急にドキドキしてきた。

 たぶん郵便とか宅急便とか集金とか、そういうものだろう。
 でも万が一、学校の知り合いが尋ねてきて、ここに居る事が分かったら・・・。

「ごめん、碇君ちょっと出てくれる」

「えっ、僕?!」

「ちょっと今出れないの」

 シンジが風呂場を覗くと、洗面台でレイは髪を流していた。
 たしかに今すぐには出られそうに無い。

 仕方なく、自分の格好を確認する。
 靴下を履いていないのとランニングを下に着ていない以外は、普段どおりだ。

 玄関で、覗き穴から外を確認する。
 何も見えない。

「あれ?、帰っちゃったのかな、すぐに出たのに・・・」

 とシンジが思った直後に“ピンポンピンポンピンポン!”とチャイムが連打された。

 シンジはとっさに、近所の子供が悪戯してるんだろうと思った。
 女の子の一人暮らしじゃあ、そういう悪戯に困っていても不思議はない。

 シンジはガキどもをしかってやろうと、勢い良く扉を開ける気でノブに手を掛けた。
 その時。

「転校生!ここにシンジが居るんじゃないでしょうね!」

 同時にどんどんどんっと扉を叩く音。

「あっ・・アスカ?」

 なぜかシンジは自分のナニが急に元気をなくしたように感じたのだった。





鬼のような引きでそのさんにつづくっ!(爆)

制作・著作 「よごれに」けんけんZ
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