著者注
其の壱:18禁作品に付き、18才以下の読者の閲覧を禁じます。
其の壱:不況への対抗措置として(笑)、就業時間中の読者の閲覧を禁じます(爆)
其の参:「これはいったいどういうレイなん?」と言う方は拙作「甘いのはお好き?」Vol.1〜2参照。






把恋多淫
説話
セントバレンタインデーストーリー (X指定)


そのさん


書いた人 けんけんZ




「あっ・・アスカ?」

 なぜかシンジは自分のナニが急に元気をなくしたように感じたのだった。

「そこに居るのは分かってるのよ。さっさと開けなさい」

「だれ?」

 あまり騒がしいので、レイは濡れた頭をタオルに包んで様子を伺いに来た。

「えっと・・・アスカ」

 焦るばかりか元気を無くしたシンジの様子は、まるで浮気現場を押さえられた間男である。
 この場合「間男」と言うべきはレイなのだが、そのレイの方がむしろ落ち着いている。

「なんか怒ってるみたいね。私が出るわ、碇君どっかに隠れて」

「どっかって、隠れられるわけ無いよ。こんなに狭いのに」

「狭くて悪かったわね」

「それに、綾波、その格好じゃ」

 レイの様子はまるで風呂上がり。
 アスカがどんな誤解をするか分かったものではない。

「じゃあどうするの。黙って帰るのを待つ?」

“どんどんどんっ”

「往生際が悪いわよっ。さっさと開けなさい」

 ドアの外のアスカはますます怒り狂っている。
 黙って帰るのを待つにしろ、このままではあまりに近所迷惑な話だ。

「う・・とりあえず、僕が出てみる。綾波、お風呂場かどこかに入って」

 レイのアパートはワンルーム。
 ユニットではない風呂に洗面所が付く以外は、全く簡素な作りだった。

「風呂もトイレも無理よ、カギかからないもん・・・あ、でもクローゼットなら」

「隠れられそう?」

 収納スペースは壁に作り付けられたクローゼット一個所のみ。
 アスカが本気で家捜しすればすぐに見つかるに違いないのだが、かかっている服や衣装ケースの
間に上手く隠れれば、戸を開けたぐらいでは見つからない。

 もしここにシンジを隠しても、アスカの事だからすぐに見つけるだろう。
 そうすると、隠れていて見つかった分だけシンジの立場が悪い。
 だがレイが隠れる分には、アスカも真面目に探したりしないだろう。

「なんとか玄関で追い返して。それと、アスカ返しても碇君は帰っちゃダメよ」

 レイの言わんとするところはシンジにも察しがついた。

「さっきの続き、したいでしょ?」

「う、うん」

 シンジがうなずくのを見て、レイはクローゼットの上半分にあたる、ハンガーが掛けられるスペー
スに上る。
 シンジは戸を閉めながら、服の間に隠れたレイが簡単には見つからない事を確認した。

「居るんでしょう。開けなさいよっ」

 ドアの前で、シンジは一度大きく息を吸った。
 なんて言えばアスカが帰るのか、考える事も出来なかったが、とにかくこの場を収めなくてはい
けない。

「アスカ」

「なっ、何であんたがここに居るのよ」

“ここにシンジが居るんじゃないでしょうね”と言ってドアを叩いたのはだれあろうアスカ自身
である。

「なんでって・・・綾波に呼ばれて」

「のこのこ付いて来たってわけ?」

「う・うん。けどアスカ、どうしてここに?」

「あんたの家に行ったら、これがこのままだったから」

 アスカは今朝シンジに渡したチョコの包みを、改めてシンジに渡す。

「え、なんで」

「いいから黙って開ける。話はその後。あの女はどこっ」

 矢継ぎ早に怒鳴り散らして、アスカは勝手に靴を脱いで部屋に上がる。

「あ、アスカ待って」

 シンジの制止も聞かず、アスカはさっさと部屋に上がり込んでずかずかと歩を進める。

「何よ、居ないじゃない」

 たいして広くないリビングを見渡して、風呂場に続く洗面所も一応覗く。

「あ・・うん、今ちょっと出てて・・・」

「ふーん、怪しいわね」

「えと・・ば、晩ご飯の買い出しに」

「これ、チョコね」

 シンジの言い訳など無視して、アスカはテーブルの上の包みを摘み上げる。

「私があげたのは開けもしなかったくせに、ここで転校生と二人でお茶飲んでチョコ食べてたっ
 てぇの?」

「あ、うん」

「何が「あ、うん」よ。人の気も知らないで」

「ちょっと待ってよアスカ、何でアスカがそんなに怒ってるのか分からないよ」

「それで転校生が夕飯の買い出し?あんたここでご飯まで食べてくつもり?」

 アスカはシンジの言い訳など聞きもしなかった。

「ちょっと僕の話も聞いてよ」

「帰るわよ、シンジ。こんなとこに用はないわ」

「そっ、そんな。急に帰ったりしちゃ悪いよ」

「じゃあ私もここで待たせてもらうわ」

「え・・・」

 シンジは目の前が真っ暗になる思いがした。
 このままアスカに居座られたのでは、レイは隠れたまま出てくる事も出来ない。

「「え」ってなによ、私が居ちゃなんかまずい事でも有るの?」

 アスカを帰すためにはシンジ自身がこの場を離れる以外に無いようだ。
 しかしそれはシンジにとって惜しすぎた。

「いや、あの・・別に無いです」

 アスカは勝手に手近なクッションに腰を下ろす。

「あっそ。チョコもらってなんて言われたの?あの女に」

「別になんにも言われてないよ。チョコもらって、えと、手作りだって聞いて・・・」

「てづくりぃ〜?・・・ま、いいわ、それで」

「それでって、それだけだよ」

「それだけ?・・・告白されたんじゃないの?」

「そんな話ししてないよ。アスカが勝手に思い込んでるだけで・・」

 クローゼットの中のレイは忸怩たる思いで唇を噛んでいた。
 さっきあれだけの事をしておいて、いけしゃあしゃあと何を言ってるのだシンジは。

 百歩譲って、ここにレイが居なくて、シンジがアスカと二股掛けようと言うなら話は分かる。
 だがクローゼットの中にはレイが居る。
 それをシンジは忘れてるんだろうか?
 さっさとアスカを追い返して「続きをしましょ(はぁと)」と言うのがレイの計画だったのに。

 初めはアスカが開けるんじゃないかと思って奥の方で身体を硬くして居たレイだったが、一向に
アスカを帰す気配が無いシンジに業を煮やして、クローゼットの戸のスリットから二人の様子をう
かがった。

 アスカはまるで当然と言う顔で座り込んでお茶をすすっている。
 注いでいるのはシンジだ。

“なにやってんのよ、もう”

 と言いながら戸を開けてやろうかと思ったが、まだアスカが帰らないと決まったわけではない。
 だいいち、心配そうにクローゼットの方をちらちらうかがうシンジの顔があまりに情けないので、
レイは思いとどまった。

“碇君だって続きがしたいでしょ。何とかして追い返してみなさいよ”

 レイの思いがシンジに通じたかどうかは定かでない。

「あ、アスカ、これ」

「なに、まだ開けてなかったの」

「うん」

 シンジはさっきアスカに押し付けられた包みを見た。
 真っ赤な包装紙に金色のリボンが派手派手である。
 いかにも「アスカらしい」とシンジは思った。

「今朝さっさと開けさせときゃ良かったわ。早く開けてよ」

 シンジにとって、このアスカの態度は謎である。
 今朝だってわざわざ「義理」と断ってこのチョコを渡してきたのに、なぜレイからチョコを受け
取ったぐらいでシンジに対してこうも怒るのだろう?

 少し考えたら疑問とも思わず気が付きそうなものだが、その辺に気が付かないあたりが朴念仁の
朴念仁たる所以だろうか。

 とにかく、シンジは包みを開けて驚いた。

 包みの中身はあろう事か、ハート型のチョコである。
 アスカがこういうモノを買うのも贈るのも、ちょっとシンジにとっては想定外だった。

 さらに、茶色いチョコの上に白いチョコペンで書かれたメッセージは想像を絶する。

「つきあってあげる
 感謝しなさい byアスカ」

 シンジは目を疑った。
「感謝」の文字が潰れて読みにくいが、だからと言ってニュアンスを取り違える文面ではない。

「・・あ・・アスカ・・これは」

「見たままよ」

「え・・・え?」

「何よ。そんなに意外?」

「だ、だって・・・」

 シンジにとって意外だったのは、余りにストレートなアスカの表現だ。
 幼馴染としてずっと一緒に育ってきて、最近は人前で喧嘩でもしようものなら「犬も食わない」
等という扱いを受ける二人だが、「そういう関係」であった事は一切無い。

 もしも「そういう関係」になるとしても、アスカの方から言い出すなんて絶対にありえないとシ
ンジは思っていた。
 だからこそ、今朝アスカからチョコを受け取ったにもかかわらず、のこのこレイに付いてきたう
え手玉に取られたのだ。

 アスカが「義理だ」と言ったチョコに義理以上の意味が有ったなんて、今この瞬間にもシンジは
信じられないと思う。

「あんたね、転校生が帰ってきたらなんて言うつもり」

「な・・なにって」

「手作りのチョコなんでしょ。あの娘だってマジなんじゃないの?」

「それはそうだけど・・・」

 脳みそが沸点に達しているシンジに、今いろいろな事態を想定して一番丸く収まる解答を見つけ
ろなどというのは酷である。

「チョコはね、私が先に渡したの。それをあんたは受け取ってるのよ」

 アスカは向かいに座ったシンジに向かって身を乗り出す。
 自分が渡したチョコの返事を聞こう、と言うよりも、これではほとんど脅迫である。

「先にって・・・」

 早い者勝ちじゃない、等という理屈はアスカには通らないだろう。
 それ以前に、この幼馴染は私が一言「つきあったげる」と言えば泣いて喜ぶ、とでも思っている
フシがある。

「だから、転校生が帰ってきたら、言ってあげなきゃダメ」

「ダメって、何を?」

「決まってるでしょ、諦めさせるの。今ならあの子も傷つかないわ。本気じゃ無かったって言い訳
 できるうちに断ってあげるのが思いやりってもんよ」

 アスカの中に、自分が断られるというオプションは無い。
 そして、シンジにとってもそれは選択しにくいオプションだった。

 レイに魅力を感じないと言えば嘘になる。
 むしろ、アスカを除けば間違いなく一番好きな女の子だろう。
 しかも、彼女が肉体関係に非常に積極的なのは十分すぎるぐらい分かっている。
 思春期の男の子にとって、恋愛対象として文句を付ける筋合いは一つも無かった。

 だが、シンジにとってアスカはアスカなのだ。
 良く分からない理屈なのだが、アスカを失うという選択は考えられない。

 もちろん「つきあったげる」とのアスカの申し出に対して「ありがとうございます」とまで言う
気は無い。
 だが、その申し出を断れば、二度と幼馴染にすら戻れないだろう事は、いくら朴念仁極まるシン
ジと言えど十分に分かった。

 レイは、悔しい思いに血が出るほど唇を噛んで居た。

 追い返すどころか目の前でこれである。
 アスカはもちろん、シンジに対しても怒りが込み上げてきて目眩がする。

“じゃあさっきまでの態度は何だったの”

 レイで無くてもヒステリーを起こして叫びたくなるだろう。
 だが、思いとどまったのにはわけがある。

 隙間からわずかに見えた、アスカの行動、その光景。

「んっ」

 逡巡しているシンジに、アスカはテーブルの向かいからいきなりキスをお見舞いした。

「なっ」

「「なっ」じゃ無いわよ。もうちょっと嬉しそうな顔しなさい」

「なななななに考えてんだよアスカ」

 シンジはクローゼットの中にレイがいる事を思い出した。

「覚えて無い?幼稚園の頃シンジとよくキスしてた」

「それとこれとじゃ、ぜんぜん意味が違うだろ」

「同じよ。私の気持ち、ずっと変わらないもん」

 シンジは意外な言葉に、一瞬呆気に取られた。

「バカシンジ」

 そんなシンジにもう一度、アスカの唇が降ってくる。

「あの娘のおかげで気が付いた。自分の気持ちに。だから感謝してるぐらい」

「・・綾波に?」

「そうよ。誰も私とあんたの間に割って入ろうなんて思わなかったわ。あの子は転校生だから、
 私達の事良く知らなかったのね」

「で、でも・・・。だからってここでしなくったって良いじゃ無いか」

「よけなかったくせに何言ってるの?あの娘の部屋であんたとキスするなんて、いい気味だわ」

 アスカはシンジを残して玄関に向かう。
 カギがちゃんと掛かった事を確認して、さらにチェーンを掛ける。

「これであの娘が帰ってきても、中には入れないわ」

 戻ってきたアスカは、シンジにもたれかかるようにして座る。

「中に入れないって・・・」

「いい気味。私に思い出させなけりゃ、あの娘もこんな目に合わなかったのにね」

「・・・こんな目?」

「シンジはここで、私とするの」

「・・・する?」

「うん。私達の間に割り込んだあの娘に、思い知らせてやるのよ」

“冗談じゃない”

 レイは危うく飛び出すところだった。

“ひとんちで何やってるのよ”と喉まで出かかったレイを押しとどめたのは、またもやアスカの意
外な、と言うか大胆な行動だった。

「な、ちょ、ま」

 シンジの言語中枢を破壊しかねないインパクト。
 髪留めを外したアスカは、いきなり服を脱ぎ始めた。

「キスだけじゃダメ」

 レイは完全に「出のタイミング」を逸していた。
 もう、今さら止めるのもばかばかしい。

 アスカがどんな大胆な行動に出るのか。
 シンジが何処までアスカに押し切られるのか。
 それを見極めてからでも遅くないと思ったのだ。

「好きにして良いなんて言わないから。私が好きなようにさせてもらう」

「あ・・アスカ・・」

 アスカを止めようとか、レイが居るのにとか、シンジには既に考えられなくなっている。

 思い切り良くシンジの前に肌を晒したアスカ。
 その伸びやかな肢体に、シンジの思考は停まった。

「アスカ」

 靴下を残して下着姿になったアスカを、シンジは押し倒す。

 ずっと望んでいた事、のような気がする。
 仲の良い幼馴染という二人の関係。
 常にアスカが姉のように、シンジをリードするのが今までの二人。
 その関係に居心地の良さを感じながら、心のどこかで反発していた事も事実。

 いつかアスカを、自分のモノにしたいとずっと思いつづけていた。
 それは見果てぬ夢と、半ば諦めながら。
 それでもシンジの見る淫夢はいつも、アスカが相手だ。
 自分で性欲を処理する事を覚えてからも、夢想する相手はいつも、いつも隣に居た幼馴染。

 恋愛感情、とは違う。
 もっと純粋で、肉体的な欲望。

 物心付く前から一緒に育ってきた、思春期を迎えてますます美しさに磨きのかかるこの幼馴染を、
抱きしめたい、押し倒したい、自分のモノにしたいと思いながらも抑圧されてきたシンジの思いが
今、弾けた。

「アスカ・・」

 引き金を引いたのはアスカだった。
 もう戻れない事を、二人とも良く分かっている。

 シンジは押し倒したアスカの、細い身体を抱きしめる。

「痛くしないで・・・それだけ、お願い」

 口付けたのは、シンジの方からだった。

 レイは泣いたか?

 答えは否。

 むしろ、目の前の光景から目が離せなくなっている。

 見せ付けられるのはもちろん辛い。
 だがレイ自身、不思議な事だが覚悟が出来て気持ちは落ち着いていた。
 なにより、ずっと思い描いていた通りの光景が目の前で始まって、その事に興奮している。

 レイが自分を慰める時、相手は無論シンジを思い描くが、自分は自分自身では無くアスカになっ
ているのが常だった。

 シンジに抱かれるアスカ、そのアスカになったつもりで自慰する。

 自分でも納得いかないのだが、シンジに抱かれている自分より、シンジに抱かれているアスカに
なりたいと思っていたのかもしれない。
 だから、シンジがアスカのブラを外して胸の先端に口付けた時、悔しいと思うよりも早く、濡れ
てきてしまった自分の身体を恨めしく思った。

「あんっ」

 見知らぬ場所で男に抱かれる緊張感からか、アスカは敏感になっていた。
 乳首をシンジに吸われただけで、自分でも驚くほど素直に声が漏れた。

 その声に、シンジは興奮する。
 ずっと聞きたいと思っていた、幼馴染の淫らな吐息。
 甘い声を聞きながら、腕の中に裸のアスカの身体が有り、目の前に眩しい肌がある。

 シンジの股間は、先ほどレイと果てたばかりにも関わらず、再びこれ以上無いほど張り詰めてい
た。
 その、痛いほどに張り詰めたモノを、アスカがズボンの上からそっと摩る。

「あ・・アスカ」

「こんなに硬くなるのね・・・朝、立っちゃってるの見たこと有ったでしょ。あれからずうっと、
 触ったらどんな感じだろうって・・・」

 シンジはアスカの手を止めて、ズボンのチャックを下ろして前を開ける。
 目の前に姿をあらわした、熱く張り詰めたモノを握って、アスカは満足げな笑みを浮かべる。

「熱くなるのね・・・こんなに」

 アスカに握らせたまま、シンジは自分のシャツのボタンを外し、ズボンを下ろして裸になる。
 ランニングもパンツも無かった事に、アスカは気が付かない。

 ショーツと靴下を残したままのアスカを抱えあげて、ベッドの上で折り重なるように抱きしめた。
 裸の胸が触れ合う。
 互いの背に回した腕も、熱い。

 さっきはレイは脱がなかったから、裸で抱き合うという経験はシンジにとって初めてのものだ。

「うっ・・んっ」

 アスカは唇を合わせるだけのキスしか知らない。
 シンジはレイとしたような、舌を絡ませ合う濃厚な口付けをアスカに教える。

「んんっ」

 口付けたまま、アスカの胸に触れる。
 抱きしめ合っていた胸は、わずかに汗ばんでしっとりと手の平に吸い付く。
 その頼りないほど柔らかい感触の中で、先端だけが硬く尖って存在を主張する。

 シンジは指先で、アスカの胸の先端をつまんで転がす。

「んくっ」

 口付けたまま、アスカの喉が鳴いた。
 つながっていた唇を離すと、溶け合った唾液が糸を引く。

「・・奇麗だよ・・アスカの胸」

 レイの胸は、見ていない。
 惜しい事をした、と思えるぐらいにシンジは冷静だった。
 目の前のアスカの胸と、レイの胸を見比べる機会は、永遠に無いかもしれない。
 シンジは、クローゼットからレイが出てこないのが不思議でならなかった。

 クローゼットの中では、レイは自分がどれだけ濡れているか確かめられずには居られなかった。
 それほどに身体が疼いた。
 ショーツをはいていない股間に、指先でそっと触れる。

「・ぃゃ・」

 驚くほど・・いや、当然と言うべきか。
 そこは滴りそうなほどに濡れていた。

 扉のスリットから見る事の出来る光景は、断片的ではっきりしない。
 それでも、アスカとシンジの息づかいを間近に感じるせいか、自慰の夢想とは違う。

 自分が思い描いていた通りの光景が目の前で展開している。
 そのリアリティ。

 どれだけ濡れてきたのか確かめるために触れたはずの指先が、今では更に身体の奥から沸いてく
るモノを促すように、勝手に動き始めている。

 今自分が姿をあらわして、この光景に終止符を打つ事は出来ない。
 むしろ、すべて終わってからずっと見ていたと言う方が、アスカにとってはダメージだろう。

 それまでレイが冷静で居られればの話しでは有るが。

「はっ・・あっ」

 シンジはアスカの胸の先端に口付ける。
 硬く尖った胸の先端を、唇で挟み付けながら舌先で触れる。
 たまらずアスカの口から、吐息と共に喘ぎが漏れる。

 これほど事態が進んでいるのにレイが姿を現さないと言う事が、シンジを大胆にさせた。
 アスカを満足させて帰すまで、レイは待っていてくれるような気がしたのだ。

 シンジはアスカのショーツに手を掛ける。

「あ・・暗くして・・」

「まだ外が明るいから・・無理だよ」

「いやぁ・・見ないで」

「ダメ。見せて欲しいんだ、アスカの」

 恥ずかしそうに身を捩らせながらも、アスカはシンジの手を止めようとはしない。

「やっ・・・いやぁっ」

 シンジの手がショーツを下ろす時も、アスカは止めはしなかった。
 ただ、恥ずかしそうに顔を手で覆うだけ。

 裸で居るのに、不思議と寒さは感じなかった。
 なのに、最後の一枚の薄布を取り上げられるだけで、どうしてこんなに不安になるのだろう。

 シンジの息づかいを、アスカは肌で感じていた。
 熱いシンジの吐息が、アスカの茂みをかすかに揺らす。

 シンジはアスカの、髪と同じ栗色の茂みにそっと触れる。

 指先に、かすかに湿って重くなった感触。
 柔らかく絡み合うその茂みをそっとかき分けて、口を付ける。

「やっ・あっ」

 唇に、熱く濡れた感触。
 アスカから立ち上る匂いと、舌先に絡み合う茂みの感触。
 レイとは違う、その味。

 シンジがレイとアスカを比べられるのは、其処しかなかった。
 だが、それだけで人によってまるで違うという事が良く分かる。

「はっ・・あっ」

 反応の仕方も違う。
 吐息とともに漏れる声が違う。
 だが、感じる場所は同じだった。

 シンジはアスカの蕾を舌先で押し広げ、中心に触れる。
 それだけで、アスカの身体の中から湧くように滴るものがある。

 シンジは湧き出すそこを、そっと指でなぞる。
 熱く充血して、誘うような弾力と滑らかさ。

「あっ、まだダメ」

 触れられて、アスカは身体を硬くする。
 まだ受け入れる準備が出来ていないのか、単に恐怖のせいか、シンジには分からない。

 シンジはアスカの入り口に、舌先で触れる。

「アスカの味がする」

 シンジは入り口を押し広げるように、ゆっくりゆっくりその場所を舐め続ける。
 ピチャピチャという湿った音とアスカの荒い息づかいだけが、狭い部屋を満たした。

“はぁ・・”

 レイは押し殺した熱い吐息を吐いた。

 レイの身体は、シンジとアスカを盗み見ながら、クローゼットの床を濡らすほど滴っている。

 その熱い場所を、自分の指で慰める。
 シンジの舌先を想いながら。

“あ・・だめ・・もう”

 吐息を押し殺すのも、もう限界かもしれない。
 絡み合うシンジとアスカの身体を見ながらだと、なぜこんなにも切なく感じてしまうのか。

“・・声が出ちゃう・・”

「あっあん」

 シンジは舌に代えて、指でアスカの入り口を押し広げた。
 わずかな抵抗を残して、飲み込まれていく自分の指を見詰めながら、自分とアスカが繋がる光景
を思い描かずには居られない。

「大丈夫?痛くない?」

「う・・ん」

 シンジの問い掛けがなにを意味するのか、アスカにもすぐに分かった。

「・・でも待って」

「なに?」

「う・ん・・もうちょっと」

 初めてする前に、一度シンジの指で、口で、もっと気持ち良くなりたい。と言うのがアスカの正
直な気持ち。

 耳年増なアスカは、初めての“それ”が、たいして気持ちの良いもので無い事ぐらいは知ってい
た。

 だから、その前にシンジにもっと気持ち良くさせて欲しかったのだ。

「もうちょっと、なに?」

 聞かなくても、シンジはアスカの想っている事が分かった。
 にもかかわらず、尋ねるには訳がある。

「・・もうちょっとだけ続けて」

「どうして?まだダメ?」

 いつもは素直じゃない幼馴染の、素直な言葉を聞いてみたい。
 それがシンジの意図。

 普段のアスカなら、そんな事は絶対に言えない。
 シンジに「お願い」するなど、ありえない事だ。

 けれど、今のアスカはそんな風に問い詰められる事すら楽しんでいる。

「うん・・もっと、気持ち良くさせて」

「どうやって?」

 シンジはあくまで、アスカのプライドを試す。

「え・・今ので良いから、続けて」

「今の?」

「もう早く・・お願い」

「だから、なにを?」

「お願い・・もっと・・舐めて。・・私のあそこ」

「素直だね、アスカ」

 いいよ、アスカが気持ち良くなるまでしてあげる、と呟きながら、シンジはレイにしたように、
アスカの蕾を指で押し広げて花弁の中心を唇で啄ばむ。

「はあっ・・ぁんっ」

 吸い付くように啄ばまれた一番敏感な部分を口の中で転がされて、アスカは悲鳴に近い喘ぎを漏
らす。

 それを聞いて興奮したのは、シンジよりもレイだった。
 さっきシンジにしてもらったのと同じ愛撫を、アスカがされている。
 シンジのしている事ももちろん刺激的だが、それ以上にアスカの反応がレイを興奮させる。

“なんでアスカの声が、こんなにドキドキするんだろう”

「はあ・・はあ・・はあっ・・」

 自分とシンジしかここに居ないと思い込んでいるアスカの喘ぎ声は、徐々に切なく大胆になって
いく。
 普段のアスカからは想像もつかないような、甘く切ないその声に、シンジと同じように、いや、
ある意味それ以上にレイは興奮していた。

 なぜならシンジは喘ぐアスカを見ても「ああ、ちゃんと感じてる」ぐらいにしか思わない。
 愛撫の仕方が正しいかどうかとか、アスカがどのくらい感じているかとか、そういう事を判断す
る目安にすぎない。
 だが、同じ事をされたレイには、今のアスカの喘ぎ声はまざまざと自分が受けた愛撫の感覚を蘇
らせるもの。
 レイは今アスカが感じているのと同じように感じようと、自分の花弁を左手の人差し指と中指で
押し広げて、右手で蕾の中心に直に触れる。

“もうだめ・・聞こえちゃうかも”

 レイは自分の吐息がベッドの上の二人に聞こえない様に押し殺すのが、もう限界だと知った。

「はぁっ」

 狭いクローゼットの中で反響する自分の声が、意外に大きいのでレイは思わず身体を硬くする。
 すでに止められない手の動きはそのままで、スリットの間からベッドの上で絡み合う二人を見る
が、気付いた様子はない。

 それどころか、シンジはますます執拗にアスカを責め、アスカもそれに応えてさらに切なく喘い
でいる。

「ああっシンジッ・・あっ・あんっ・・シンジッ」

“あ・・アスカ、もうイッちゃいそう”

 アスカはシンジの髪に両手の指を絡ませて、狂おしそうに腰を反らす。

「あっ・・もうダメッ」

 それを見ながらレイは、自分も同時に果てようと、花弁を開いていた左手の指を、自分の中へと
滑り込ませた。

“一緒にイきたい”

「あっ・・ああっ・・あああああっ」

 背中を反らして、シンジの顔を股間に押し付けるようにしながら、アスカは果てた。
 だがクローゼットの中のレイは、絶頂を迎えるアスカを見詰めながら、逆に醒めてしまった。

“バッカみたい・・なにしてんだろ、私”

 悲しいと言うより、空しい。

 髪に絡んだアスカの指を解きながら、シンジは顔を上げる。
 そのシンジの口から顎にかけて、滴り落ちるほどに濡らしたアスカの愛液が光る。

「アスカ、大丈夫?」

「ん・・・うん・・・でも」

 さんざん喘いでアスカは息が切れていた。
 そんなアスカを見下ろしながら、シンジは張り詰めた自分のモノを摩る。

「今度は僕が気持ち良くなっても良いよね?」

「はぁ・・シンジ・・ちょっと待って」

“なにが「ちょっと待って」よ”

 二人の濃密なペッティングを見せ付けられたうえイクことすら許されず、レイの身体はたぎって
いた。

“アスカが碇君を待たせるなら・・・”

 レイはクローゼットの戸を開けた。

「碇君を一人占めしないで」





まだ引っ張るのか?(笑)
そのよんへGO!

制作・著作 「よごれに」けんけんZ
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