時を駆ける


第4話 −転機−


その日の戦闘はいつもと違っていた。さすがのゼーレも焦れたのか初号機に対して直接戦闘を行った。ロンギヌスの槍を手に2体同時に襲い掛かる量産機に対して初号機は有り余るパワーと強力なATフィールドで対抗した。勝負はあっけないほど簡単についた。初号機のはるATフィールドは強力で、まがい物のロンギヌスの槍では貫けなかった。量産機の放つロンギヌスの槍をATフィールドで防いだ初号機は返す刀で量産機のコアを貫いた。もはや比べることもかなわないほどの力の差だった。

2体の量産機が倒されるさまは発令所にいた人々を狂喜させた。残る敵のエヴァは3体...ようやく終わりが見えてきたからだ。しかし歓声のあふれる中ミサトの表情が冴えないのにあたしは気づいた。厳しい状況が変わったわけではないことは確かだがそれにしてもおかしい。リツコもそれに気づいたのかミサトに声をかけた。

「ミサトどうしたの浮かないようだけど」

「ん、リツコ...ちょっとね」

「何よ。指揮官が暗いと士気に影響するわよ」

「う〜ん。気にかかることがあるのよ」

「教えてくれる?」

「結局今までゼーレがしてきた作戦ってうまくいっていないじゃない。
 パイロットを精神的につぶすってやつ。
 確かに一時期危なかったけど、今は絶好調でしょ。
 これで相手が攻め方を変えてくるんじゃないかしら。
 もっと直接的な方法に」

「パイロットの暗殺?」

「パイロットが難しければアスカを襲うことだってありえるわよ
 今のシンジ君を支えているのはアスカだから」

「いずれにしても二人の身辺警護を一層厳重にしたほうがいいわね」

「ええ」


あたしは途中までミサトたちの話を聞いていたけど、初号機がケージに戻ったとの知らせにパイロットルームに向かうことにした。あたしたちが狙われる...そんなことわかっているわよ。何を今更...そんな気も確かにあった。でも今は早くシンジに会いたかった。

戻って来たシンジはいきなりあたしを求めた。壁に向かってあたしを押しつけるようにするとパンツを引きちぎるように引き下ろし、愛撫もそこそこに後ろからあたしを犯した。まだ潤っていなかったあたしに、興奮したシンジのものは厳しかった。シンジが入ってきたときのあまりの痛みにあたしは悲鳴を上げた。それでもシンジはあたしを犯すことをやめなかった...いや、いっそう激しく犯し続けた。そのときのシンジの表情は見えなかった...でもあたしにはわかった。シンジは戦いに興奮しているんだと。久しぶりの戦い...そして完全な勝利。精神をすり減らす牽制のしあいから解放された興奮。その高ぶった気持ちをあたしにぶつけてきているのだと。

1度目は意外なほど早くシンジは果てた。シンジは押さえつけていた手を離すとあたしの体の向きを変え、唇を求めてきた。息の詰まるほどの激しい口づけ...シンジの舌はあたしの口腔の中で蠢き、あたしの舌に絡みついてきた。そして右手はあたしのブラウスのボタンを引きちぎるとブラの上から乱暴に胸をもみ下した。あたしはその痛みに耐えかねて両手でシンジの右手を押さえようとしたが、その反抗もシンジの力に負け万歳の形で両手をシンジの左手一本で押さえつけられてしまった。邪魔者が亡くなるとシンジは再びあたしの胸を強く愛撫した。

シンジってこんなに力が強かったっけ...あたしは考えた。初めての時だってあたしはシンジの力に抗うことができなかった。いつからシンジの力がこんなに強くなったのだろう...そしてわかった。シンジの力が強くなったんじゃない、あたしに始めからシンジに手向かう気がなかったんだということに。あたしは心の中で望んでいたんだ...シンジにこうされることを。

痛みはいつの間にか気にならなくなっていた。違う、シンジの手から与えられる快感があたしを支配したのだ。シンジの戒めから解き放たれたあたしの両手は絶え間なく与えられ続ける快感の中、所在なく中をさまよっていた。気持ちいい、あたしの心が解けていくような気がする。立っているのか寝ているのかわからない...全身でシンジを感じている...シンジの手が、唇が、舌が、胸が、髪が、分身が...シンジの全てがあたしに快感を与え続ける。もうあたしに正常な思考はない...ただひたすらシンジを求める本能だけだった。あたしの意識が白い光の中に飲み込まれていく気がした。

この時アタシたちの狂態を見つめている目にアタシたちは気づかなかった。

              (to be continue)


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中昭のコメント(感想として・・・)

  掲示板で好評連載しておりました『時を駆ける』第4話です。

  「あたしは心の中で望んでいたんだ」自分の想いに改めて気づくアスカ

  全編を貫く匂うような愛の営みとそれを見つめる一対の瞳。


  色々な意味で濃い第四話でした。



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