第6話 −再会...そして−
それから数日経って加持さんが現れた。シンジもミサトも驚いていた。そうだろう死んだと知らされていたから。
「すまなかった葛城」
加持さんの最初の言葉。ミサトに向けられた言葉。以前のあたしなら腹を立ててただろうけれど今は平気。だってシンジがいるから。
加持さんはいくつかの情報を持ってきた。ゼーレが14号機以降の製造を始めたこと。しかしダミーダミープラグの準備ができないためたとえ建造が完了しても実戦投入ができないこと。日本政府は今のところゼーレと距離を置いていること。これで通常部隊に攻められる心配はない。
加持さんがしていたもう一つの仕事...それはあたしたちがここを脱出したときの潜伏先の確保。今のままお互いがエヴァをぶつけ合っている状態なら要らなくなりそうだと加持さんは言っていた。
最初の計画では2陣に別れて脱出する予定になっていた。あたしや、レイ、マヤ、加持さんと言った直接戦闘や本部の工作に関係ないメンバーのグループ。そしてシンジ、ミサト、リツコ、冬月さんと言った主要メンバーのグループ。あたしはシンジと一緒のグループでないことに文句を言ったが、最後に残る人数はできるだけ少なくしておかないと脱出するのが困難になるということで説得された。
「気にすることはないよアスカ。
今のところ脱出する必要はないから」
シンジがそう言ってくれた。
「アスカ...きれいになったね」
加持さんがあたしを見て言った。
「俺は惜しいことをしたのかな?」
そう言って加持さんは笑った。
「残念ね加持さん。
そんなおばさんよりあたしを選んでいればこんな後悔をしなくて済んだのにね。
でも、もう手後れよ。
あたしを変えたのはシンジなの。
そしてあたしはシンジしか見えないんだから
あたしのすべてはシンジのもの...」
「アスカ...見つけたんだね」
「うん」
あたしはシンジに抱き着いた。あたしに抱き着かれたシンジは顔を真っ赤にしている。こいつ...あたしとのこと全部モニタされてるの知らないのかしら。あんなことしておいてこの程度のことで赤くなるんじゃないわよ。
「よかったなアスカ」
加持さんの言葉にあたしは最高の笑顔で答えた。
「うん!」
この後、あたしを部屋に帰してシンジはミサト、リツコ、加持さんと冬月さんと話をしていた。あたしは心配になり、部屋に戻ってきたシンジに何を話していたか問い詰めた。
「もし、脱出した場合どこで落ち合うかだよ。
用心に越したことはないからね」
シンジはきちんとあたしの目を見て言った。大丈夫、こいつのうそはすぐ分かる。今のはうそじゃない...心配しなくていいんだ。
「ねえ、アスカ...」
そう言ってシンジはあたしを求めてきた。
シンジはあたしをやさしくベッドに押し倒すと愛撫を始めた。時にはやさしく、時には激しく。まるでシンジが弾くチェロのようにあたしの体を翻弄する。あたしはシンジにされるがままだった。あたしの体が変わってくるのがわかる...シンジに抱かれるたびに。満たされても満たされてもシンジを求め続けている。もっともっとして欲しい。もっともっとしてあげたい。何度目かの絶頂をともに迎えたあたしはそのまま眠りに就いた。シンジが好き、シンジに抱かれるのが好き...シンジのすべてが好き...あたしは満ち足りていた。
シンジに抱かれた絶頂の中で「ごめん」という言葉が聞こえたような気がした。
(to be continue)
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中昭のコメント(感想として・・・)
掲示板で好評連載しておりました『時を駆ける』第6話です。
満ち足りたアスカ。カスカに響く言葉、「ごめん」。
初めて読んだとき、先行きが不安になりました。できれば幸せが続いて欲しかった。
少々異常な状況だとは思いますけど。
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